報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「夜の帰京路」 2

2024-02-13 15:06:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月26日20時21分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅→東北新幹線6158B列車1号車内]

 

〔13番線から、“やまびこ”158号、東京行きが、発車致します。次は、福島に、止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
 地元の管弦楽団“仙台フィルハーモーニー管弦楽団”の演奏を録音した、“青葉城恋唄”が流れる。

 高橋「サーセン!戻りました!」

 そこへ高橋とパールがバタバタと戻ってくる。

 愛原「おー、ギリギリだったな。お前達の席はそこ」
 高橋「あざっス!」

 私とリサのすぐ後ろの席だ。
 因みにリサは私の隣の窓側席に座り、テーブルを出して、おやつを食べている。

〔「13番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 甲高い客扱い終了合図のブザーが聞こえて来ると、ドアが閉まる。
 様々な編成、形式の車両がやってくる仙台駅には、まだホームドアが設置されていない。
 そして列車は、インバータのモーター音を響かせて発車した。
 途中にポイントがあるが、元々上り本線を走行しているので、それを使って他の線路に移ることはない。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、東北新幹線“やまびこ”号、東京行きです。次は、福島に止まります。……〕

 リサ「ん?!ねぇ、先生。あれ、見て!」
 愛原「えっ?」

 リサは進行方向右側の窓の向こうを指さした。
 その先には山がある。
 何かその山の辺りが、時々オレンジ色の光が輝くように見えた。

 リサ「わたしの目には、ヘリコプターが墜ちたように見えたよ」
 愛原「ヘリコプターが墜ちた!?」

 まさか、伯父さんの乗ったヘリじゃあるまいな?
 とっくに飛び立ったと思っていたが……。

 愛原「ん!?」

 その時、私のスマホが震えた。
 しかし、震え方はメールや通話の着信ではない。
 スマホを確認すると、BSAAのアプリだった。
 この近くでBSAAが戦闘に入ったから待避せよというものだった。
 BSAA早っ!?
 どこかの自衛隊駐屯地、或いは米軍基地から出動したのか!?
 日本のBSAAは自衛隊駐屯地を間借りしていることがあるし、米軍基地には、BSAA北米支部も出向していると聞く。
 その繫がりで、北米支部の養成学校に通っているレイチェルが、こちらに留学してきたのだ。

 愛原「てか戦闘って、何だ!?」
 リサ「BOWでも現れた???」

 市街地に飛び火しないでもらいたいものだ。

〔「……次の停車駅は福島、福島です」〕

 私達の列車は仙台市どころか、一気に宮城県を出て福島県福島市まで行く。
 郊外の山で何が起きているのかは知らんが、このアプリの通り、巻き添えは御免だ。
 さっさと待避したい。
 私はネットニュースを見たが、今のところ何も出ていない。

 リサ「レイチェルに聞いてみようか?もしかしたら、何か教えてくれるかもしれない」
 愛原「おっ、そうだな!頼むぞ!」
 リサ「うん!」

 リサは自分のスマホを取り出すと、それでレイチェルにLINEしたらしい。
 しかし、既読は付くが、返信は無いという。
 作者の婚活支援者と同じだな。

 リサ「あっ、返って来た」
 愛原「何だって!?」
 リサ「ちょっと待って。英文だから、日本語に訳す」
 愛原「英文かい!」

 まあ、レイチェルはアメリカ人だからしょうがないが。

 リサ「えーっと……。『確かに、三沢基地から北米支部が出動したという話は聞いています。それはリサ、あなたではないのですか?』……とんだ誤解だ!」

 場所が仙台なだけに、リサが暴走したと疑われたか。
 そうかそうか。
 青森県の三沢に、米軍基地があったな。
 そこから北米支部が出動したのか。
 仙台市内の自衛隊駐屯地から、日本地区本部隊ではなく?
 リサは急いで否定したらしい。

 リサ「『リサではなかったですか。それはごめんなさい。ですが、出動理由については分かりません。リサの他に、BOWが現れたのかもしれません』だって」
 愛原「まあ、出動理由は軍機だろうからな」

 三沢基地から出動したというのを教えてくれただけでも凄いと思う。
 確かにそこからヘリや飛行機を飛ばせば、そんなに時間は掛からないだろう。

 愛原「じゃあ、墜落したのは北米支部のヘリか?」
 リサ「カプコン製のヘリはよく墜ちるねぇ……」
 愛原「いやいや!誰かが堕とすからだよ!誰だ、堕としたのは!?」
 リサ「そんなの知らないよ!ネメシスだって、ロケットランチャー撃つくらいだし!」
 愛原「そう都合良く、ロケランぶっ放すネメシスが現れるわけないだろう!」
 高橋「先生!」

 その時、後ろから高橋が話し掛けた。

 愛原「んっ!?」
 高橋「俺、1人心当たりがあります。ヘリを堕とせるくらいの力を持ったBOW、奥日光にいたじゃないスか!」
 愛原「栗原蓮華か!」

 確かにリサと同じく鬼型BOWと化した栗原蓮華。
 ボウリングの球くらいの大きさの岩を片手でぶん投げ、それで高野君のヘリを墜落させたのだった。

 愛原「何で蓮華がそんな所に?」
 リサ「だから知らないって!」
 高橋「たまたま仙台に逃げていたのかもしれませんね」
 愛原「たまたまかよ」
 高橋「あの女も先生のことを気に入ってたじゃないスか。先生の御実家が仙台にあるというのを憶えていて、それで追い掛けて来たんじゃ?」
 愛原「い、今更かよ!」
 リサ「あのクソ女!」

 とにかく、新幹線の車内にいたのでは、何の情報も来ない。
 一応、善場主任にこのことを報告しようと思い、メール送信した。
 いつもは返信の早い主任であるが、さすがに今度は返信が来ることはなかった。

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