報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「日曜日の事件」

2023-11-16 20:33:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月29日15時00分 天候:霙 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋]

 徹夜勤務明けの今日、私は帰宅すると、自室で仮眠を取っていた。
 昼間に寝ようとすると、なかなか深い眠りに就けない。
 そのせいか夢を見た。
 それはかつて、ゾンビパラダイスと化した某県霧生市において、私と高橋でゾンビ無双していた夢だった。
 そして場面は変わって、霧生市郊外の山の麓にある大寺院・大山寺。
 その大講堂の地下には防災センターがあったが、そこは一時、私達の境内探索の拠点となっていた。
 防災センターの監視室の隣は仮眠室となっており、そこで仮眠を取ったこともあった。
 そして、そこで仮眠を取っていると、外から銃声や悲鳴が聞こえてきて……。

 愛原「ん?」

 悲鳴ではないが、何やら外が騒がしくて目が覚めた。
 そういえば、初めて会ったリサ、仰向けに倒れてる私の前に現れて、わざとスカートの中を見せてきたっけ。
 セーラー服のスカートの下はブルマもスパッツも穿いておらず、当時まだ12歳にも満たなかった幼女の幼い白いショーツが視界に広がったっけ。
 ……って、私は何を思い出してるんだ。
 遮光性の強いカーテンを開くと、外の明かりが一気に差し込んで来る。
 とはいえ、そこまで明るいわけではないのは、けして天気は良くないからだ。
 ヘリコプターの音が上空から聞こえ、下からは……。

〔「こちらは警視庁本所警察署です。菊川地区はBSAAの緊急出動により、警戒区域に指定されました。警報解除までは外出を控え、家の戸締りを厳重に行ってください。……」〕

 と、パトカーが広報している。
 BSAAが緊急出動した!?
 一体どういうことだ!?
 私は飛び起きると、すぐに私服に着替えて部屋を飛び出した。
 そして、階段を駆け下りて、3階に向かった。

 愛原「おい!一体何があった!?」
 高橋「あっ、先生!大変です!」

 リビングには高橋がいた。
 テレビが点いていて、そのテレビでは緊急特番をやっていた。

 高橋「俺達が前に住んでいたマンション、住民がゾンビ化したらしいです!」
 愛原「はあ!?」
 高橋「もう既に何人か食い殺されたってんで、それでBSAAが出動してるんですよ!」
 愛原「何だって、前のマンションでゾンビ化なんか!?」
 高橋「リサがウィルスばら撒きましたかね?」
 愛原「バカな。仮にリサのウィルスのせいだとしても、ゾンビ化が遅すぎる。初期のTウィルスは……って、ちょっと待て。今のリサはTウィルスを持ってないぞ?」

 今のリサが保有してるのはGウィルスと特異菌だけ。
 Tウィルスに感染した蜘蛛を食べて、一時期はそれも保有したが、後に特異菌に侵食されて消えてしまっている。
 しかもその頃には、既に今の住まいに転居した後なので。
 それとも、まだリサがTウィルスを保有していた頃の話だろうか?
 だとしても、やっぱり遅い。
 アメリカのラクーン市の郊外で最初に発生したバイオハザードでさえ、感染者が感染してからゾンビ化するまで1週間ほど掛かっている。
 今はかなり変異してしまっている為、感染してから数時間でゾンビ化するのが普通だ。

 愛原「……って、あれ?リサとパールは?」
 高橋「リサはまだ起きて来てません。パールは今、近所のスーパーで買い物中で。戒厳令が出たせいで、帰れないんじゃないっスかね」
 愛原「マジか……」

〔「……はい、私は今、都営地下鉄新宿線の菊川駅前に来ております。御覧頂けますでしょうか?現在、新大橋通りは、菊川駅より西方面が全面通行止めになっており、その手前の三ツ目通りが大渋滞となっております。……こうして時折、BSAAのヘリコプターの音や、銃声が聞こえてきます」〕

 愛原「うわ、マジか……」

〔「現場となっている菊川1丁目では避難命令が出されており、その他の2丁目と3丁目では避難勧告が出ております。避難が遅れた住民の方につきましては、警報が解除されるまで、屋内退避命令が出ております。事件は今日正午頃、菊川1丁目のマンションにて、Tウィルスの感染者による殺傷事件が発生したことに端を発します。そして警察の調べによりますと、マンションの住人の殆どが感染しており、来訪者を次々に殺傷していたことが明らかとなりました。感染の原因については現在調べてを進めておりますが……」〕

 高橋「これ、100パー、リサが疑われますよ?」
 愛原「疑われたところで、証拠が無いだろうが」

 Tウィルスの特徴の1つに、変異性がとても強いというのがある。
 インフルエンザやコロナもそうだが、変異性の強いウィルスは毒性は強いものの、変異していくうちにその毒性が弱まっていくのがセオリーである。
 そしてそれは、Tウィルスも例外ではない。
 仮にリサの体内にあったTウィルスがマンション内に蔓延していたとしても、今頃はとっくに変異の限りを尽くし、もはや毒性など無いに等しい状態のはずなのである。
 もしも仮に住人がTウィルスに感染していたのだとしたら、今日か昨日には感染しないとおかしい。
 しかし、それならリサにはアリバイがある。
 昨日は埼玉にいたわけだし、帰京したのも今日の午前中であり、リサの場合は帰宅してから一切外出していない。

 リサ「……何かあったの?外、すっごいうるさいんだけど……」

 そこへリサが寝惚け眼で起きて来た。

 愛原「リサも起こされたか。実は俺もなんだ。……ってリサ、寝ぐせすっげぇ……」
 リサ「えっ!?あっ!」

 リサは顔を真っ赤して、慌てて洗面所に走っていった。
 リサにとってはブルマ姿よりも、寝ぐせの方が恥ずかしいらしい。

 愛原「しかし、起きたものはしょうがない。せめて、パールが帰れればなぁ……」
 高橋「すぐ近くのスーパーですし、俺が迎えに行きましょうか?」
 愛原「いや、しかし……」

〔「……現在、屋内退避の協力をお願いしております。不要不急の外出は控えるよう、お願い致します。こちらは、警視庁……」〕

 愛原「……って、言ってますが?」
 高橋「出掛けるんじゃなく、帰るんだっつの!」
 愛原「取りあえず、状況は知っておきたい。ちょっと屋上に出てみよう」
 高橋「屋上に出ても、前のマンションは見えませんが?」
 愛原「BSAAのヘリコプターの動きとか、分かるだろう」
 高橋「はあ……」
 リサ「わたしも行く」

 リサは体操服の上から、学校のジャージの上着を羽織った。

 愛原「その恰好で?」
 リサ「うん!」

 さすがはBOWである。

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