報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「日曜日の事件」 2

2023-11-19 16:05:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月29日15時30分 天候:雪 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家・屋上]

 4階まではエレベーターで行けるが、その上の屋上へは階段でしか行けない。
 4階のトイレの横のドアを開けて、そこから屋上へ繋がる外階段を上がる。
 リサが先頭に立って、ヒョイヒョイと階段を上る。
 その後ろに私がいるのだが、リサがわざと見せつけているのか、さっきからリサのブルマ尻しか目に入らない。
 ようやく屋上に出ると、外は霙から雪へと変わっていた。

 愛原「リサ、寒くないか?」
 リサ「全然」
 愛原「凄いな」

 私が感心してると……。

 高橋「先生、あそこです!」

 高橋が上空を飛ぶヘリコプターを指さした。

 愛原「あれはBSAAのヘリだな……」

 私は双眼鏡でヘリコプターを確認した。
 そして、また銃声。

 愛原「ヘリから攻撃してるぞ!」
 高橋「あのマンション、屋上がありましたからね。そこにもゾンビがいたんスかね?」
 愛原「ここからじゃ分からんな……」

 私が更に双眼鏡で覗いていると……。

 愛原「お、BSAAがヘリから降下したぞ」
 高橋「ぶっちゃけどうなんスかね?俺達の出番、無さそうっスか?」
 愛原「そうだな。今のところ、特にBSAAが不利ってわけでもなさそうだし。それより、パールが心配だ」
 リサ「わたしが迎えに行こうか?」
 愛原「だけど、自宅待機命令が出てるんだぞ?」
 リサ「わたしは人間じゃないから大丈夫。ちょっと着替えて来るね」

 リサはそう言って、屋内へと戻って行った。

[同日16時00分 天候:霙 愛原家1階→3階]

 パール「ただいまですー!」
 リサ「連れて来たよ!」
 愛原「まさか、本当に連れて来るとは……」

 私は呆れていた。
 とにかく、パールとリサが入ると、私は半開きにしていた電動シャッターを閉めた。

 リサ「私が抱えて跳んだら、みんなビックリしてたね」
 パール「とてもスリリングでした」
 愛原「あんまり、正体がバレるようなことはするなよ?」
 リサ「分かってるよ」

 今のリサは人間に化けている状態だ。
 私はエレベーターに乗り込むと、スイッチキーを使って3階に行けるようにした。

 愛原「とにかく寒かっただろ。一旦中に入って休憩するといい」
 パール「ありがとうございます」
 リサ「人間にはキツい寒さなんだね」
 愛原「そうだよ」

 私は3階のボタンを押してドアを閉めた。
 パールはダークブラウンの革ジャンを羽織っているが、リサは相変わらずグレーのパーカーだけである。
 外に出る時はフードを被っていた。
 今はフードは外している。

 パール「ただいまァ」

 エレベーターが3階に着いて、私達はリビングに向かった。

 高橋「おーう」

 高橋はダイニングで、全員分のコーヒーを入れていた。

 高橋「今、コーヒー入れてますんで」
 愛原「ありがとう。パールも少し温まってから、夕食の準備をするといい」
 パール「ありがとうございます」
 高橋「先生、取りあえず、マンションのゾンビ無双は粗方終わったみたいですよ」
 愛原「そうか」

 すると、これから現場検証が始まるわけか。
 私はリビングのソファに座った。
 体操服から私服に着替えたリサも、雪や霙で濡れたパーカーを脱ぐと、それをハンガーに掛けて、暖房の入っているエアコンの近くに掛けた。
 パーカーの下は、黒いTシャツ。
 『biohazard☣』と、赤い文字がプリントされている。
 下はデニムのショートパンツに穿き替えていた。
 リサが隣に腰かけてきて、寄り掛かって来る。

 愛原「リサはあの事件、何も心当たりは無いのか?」
 リサ「無いね。そんな急にゾンビ化なんか、させられないもん」
 愛原「だよなぁ……」
 リサ「それに、今の私の体じゃ、『ゾンビ化』はさせられないよ?」

 リサの体内に棲息しているのは、Gウィルスと新種のカビから生成された特異菌だけ。
 Gウィルスではゾンビにはならないし、特異菌ではゾンビというより、モールデッドという2足歩行の化け物になるだけだ。
 また、リサの場合、体内に入った寄生虫がGウィルスや特異菌の作用によりプラーガ化し、人間を『ゾンビ化』させるのは、むしろこっちの方である。
 ブラーガではゾンビの姿になることはなく、感染者は人間の姿のまま、支配種を宿したリサの意により操られる。
 『魔王軍』メンバーの殆どは、リサのプラーガに寄生されており、リサの意思通りの行動を取る為、本来なら絶対有り得ないブルマ復活運動を惜しげも無く展開してしまったのだ。
 そして何故かリサのこの所業を、デイライトは黙認している。
 知らないフリをしているというべきか。
 いや、本当に知らないのかもしれないが、しかし、そんなお粗末な組織ではないはずだ。
 もちろん、リサの所業で死人が出たら、それは話が別なのかもしれないが。

 愛原「知ってる」

 リサはペロッと舌を出した。
 その舌には、ミミズくらいの大きさの回虫のような物が這っている。

 リサ「先生にもあげようか?わたしの寄生虫」
 愛原「バレたら、BSAAに捕まるぞ?」
 リサ「はーい」

 リサはそう言って、自分の寄生虫を飲み込んだ。
 そして、もう1度舌を出すと、今度は何も無かった。
 便宜上プラーガと呼ばれているが、2000年代前半のスペインの片田舎で起きたバイオハザードで使用された物とは、大きく異なるものだ。
 ただ、作用が良く似ているので、そう呼ばれているだけだ。

 パール「リサさん。ステーキ肉は、これでいい?」

 パールはスーパーで買ってきたステーキ肉を見せた。
 オーストラリア産牛肉で、280gもあった。

 リサ「うん!これでいい!早く焼いて!何ならいっそ、このままでも!」
 愛原「こらこら。ちゃんと焼いて食え。それに、まだ夕食の時間じゃないぞ」
 リサ「えー……」
 パール「今日は特売で安かったので、皆の分も買ってきましたよ」
 愛原「えっ、そうなの?」
 パール「はい」

 値段も値段なので、私は安いチキンステーキでいいと思っていたのだが……。

 愛原「まあ、安いならいいや。……あ、俺はミディアムくらいでね」
 パール「かしこまりました」
 リサ「うー……。あんな肉見せられたら、お腹が空くよ……」
 パール「おやつに、これをどうぞ」

 パールはビーフジャーキーをリサに渡した。

 リサ「おー!さすがはエレンのメイドさん!」
 パール「恐れ入ります」

 ハードタイプであり、リサは早速袋を開けると、硬めのビーフジャーキーに、生え変わったばかりの牙を突き立てたのだった。

 高橋「先生、あれなら犬用のジャーキーでも食うんじゃないスか?」
 愛原「こらこら。何つーことを……」

 さすがに犬用はダメだろ。

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