報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「大山寺内を探索」

2020-11-22 12:42:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日11:30.天候:曇 某県霧生市西部郊外 新日蓮宗大本山・大山寺]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「大山寺は意外と無事なんですね」
 善場:「そのようです」

 西部郊外の山の中腹に位置する山寺、大山寺。
 駅前が荒れ果てている中、こちらは本当にただの廃墟といった感じだ。
 所々に白骨死体が落ちているのは、餓死したゾンビやクリーチャーなどであろう。
 さしものゾンビも腐乱死体で徘徊することはあっても、白骨死体で歩き回るということはないようだ。

 愛原:「でも、ここにリサ・トレヴァーはいませんでしたよ?」
 善場:「それは所長達が気が付かなかっただけのことです」
 愛原:「んん?」
 善場:「この広いお寺を総合的に監視する場所があるはずです。所長は御存知ですか?」
 愛原:「あ、はい。それはもう」

 それは大講堂の地下だろう。
 あそこには警備室があって、境内を全体的に監視していた。
 私は大講堂を案内した。

 高橋:「この寺でアネゴと初めて会ったんでしたね」
 愛原:「そうだ。懐かしいな。忘れもしない。……きっと、一生忘れないんだろうな」
 善場:「高野事務員が、どうして大山寺に来たか知っていますか?」
 愛原:「確か彼女は地元の新聞記者で、このバイオハザードの真相がこのお寺に隠されていると知って来たって言ってたような……」

 実際はこの寺というよりは、鉄道トンネルの中にあったのだが。

 善場:「そうですか」

 善場主任はそれだけ言った。
 大講堂に到着する。
 入口のガラスは割られ、シャッターも破られていた。
 私達がここを出てから、何者かが侵入したりしたのだろう。
 もう誰もいないはずだが、私達は一応警戒しながら、地下の警備室に向かった。
 既に境内は停電しており、マグライトを装備している。

 愛原:「ここが警備室です。……って、わっ!?」

 地下の警備室はメチャクチャに荒れていた。
 よく見ると、血の跡などがあっちこっちに見受けられる。

 愛原:「何だこれ!?俺達が来た時はこんなんじゃなかったぞ!?」
 『2番』:「ハンターの臭いが残ってる。ここにハンターが侵入したんだ」
 愛原:「ハンターだって!?」

 私達が出た後、奴らが侵入してきたというのか。
 一体どうしてだ?

 善場:「やられましたね」

 善場主任は散乱した書類やら何やら探していたが、その中から1枚の紙を取り出した。
 そこには、こう書かれていた。

 『敵を探してハンター連れて来た。いなかった。でも取りあえず、カメラの機械は壊しておいた。「1番」に頼まれた。 7番』

 『2番』:「『7番』のしわざか!」

 『7番』はハンター達を使役する。
 でも確かに、タイラントを使役する『2番』のリサから見れば弱い部類なのだろう。

 愛原:「『1番』に頼まれたというのは?」
 善場:「私達の調査では、この寺の境内に『1番』が来たことを把握しています。その動きを押さえる為、ここのカメラの録画ビデオを押収しようと思っていたのですが、『1番』も同じ事を考えていたようです」
 愛原:「頭いいんですね」
 善場:「……ええ。私が『1番』の脅威的な所は、『人間と何ら変わらない思考』であることだと考えています」
 愛原:「『人間と何ら変わらない思考』?」
 善場:「『2番』のリサもそうではあるのですが、でも、やはり感覚が普通の人間とズレている部分はあるでしょう?」
 愛原:「確かに……」

 ただ、教育して修正できるレベルではあるので、それで学校に入れて教育させるプランが発動している。
 でも今でもたまに羞恥心が欠如していたり(今では無くなったが、かつては私の前で平気で裸になっていた)、食生活がズレていたり(生肉を食したり)することはあるな。

 高橋:「姉ちゃん、機材はダメだ。全部ぶっ壊れてやがる。中のDVDもごっそり無くなってるぜ」
 善場:「それは残念です。ここでの探索は無意味なものとなりました。引き上げましょう」

 私達は警備室を出た。

 愛原:「『1番』はここへ何しに?」
 善場:「『1番』こそ五十嵐社長達の忠実な下僕だったわけです。バイオハザードの最中、日本アンブレラの悪事の露呈防止に動いてたのでしょうね」
 愛原:「その割には栗原さん達を捕食したり、悪事を重ねてますけど?」
 善場:「リサ・トレヴァー達にとって、食人はただの食事です。悪事でも何でもないのですよ」

 再び大講堂のエントランスホールに出る。
 そこでは栗原姉妹が待っているはずだが、何故かいなかった。

 愛原:「あれ?いない」

 しかし、『2番』リサがフンフンと鼻を鳴らして言った。

 『2番』:「トイレにいるみたいだよ」
 愛原:「何だ、そうか」

 すると、トイレの方からライトを持った栗原姉妹が出て来た。

 栗原蓮華:「妹がトイレに行きたいと言って……。でも、水が流れないんですよ」
 善場:「そりゃそうですよ。今はライフラインは全て止まってる状態ですから。HQに行けばトイレもありますよ」
 愛原:「BSAAの本部か。どこにあるんですか?」
 善場:「ここの境内ですよ」
 愛原:「え?」
 善場:「市街地は他のリサ・トレヴァーやBOWが現れています。今現在、安全が確保されているこの境内にHQが設置されました」
 蓮華:「早く言ってくださいよ」
 善場:「申し訳ありません。午前中までに、『1番』の動きを押さえておきたかったのです。で、それは無理だと分かりました。次はHQに向かいましょう。そこで休憩を取ります」
 愛原:「ちょうど昼休みくらいの時間だな」

 私達は大講堂の外で待っているBSAA隊員に先導されてHQに向かった。

 『2番』:「老廃物なら、私が吸い出してあげるよ」

 ヒョイと栗原姉妹の前に現れる『2番』のリサ。

 栗原愛里:「ひぅ……!」

 びっくりした愛里が姉の後ろに隠れる。

 蓮華:「ちょっと!妹に近づかないで!斬るよ!」

 蓮華はスカートの腰の部分にベルトを通し、そこに刀を差している。
 歩く度にカチャカチャと音がした。
 それが二重に聞こえるのは、左足の義足からも金属音がするからだろう。
 動きだけ見ると、まるで義足ではなく、本物の足みたいに見えるから不思議だ。
 ベルトで腰の部分を上げているのでその分、裾が短くなっているが、義足を隠さないのは、偏に『1番』に対する主張の意味が大きい。
 いくら『2番』を除くリサ・トレヴァー達が多くの人間を捕食してきたとはいえ、左足しか食わなかったことは憶えているだろうから、それで的確に仇討ち相手を探すという意味が込められているんだな。

 愛原:「いいから、リサ。こっちに来い」
 『2番』:「はーい」

 私はリサを引き寄せて、栗原姉妹から離した。

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