報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「霧生ハイウェイの戦い」

2020-11-21 22:26:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日10:30.天候:曇 某県霧生市西部郊外 県道(霧生バイパス)]

 『7番』のリサ(以下、『7番』とする):「がっ……!」

 おきゃんな感じで登場したリサ・トレヴァー。
 しかしその仮面を善場主任がいきなり打ち壊した。
 仮面の内側には『7』という番号が印字されていたようだ。
 すると、こいつは『7番』か。

 善場:「無駄口叩くなら、こちらの質問に答えなさい。『1番』はどこ?」
 『7番』:「さあね。でも、『0番』なら知ってるよ」

 善場主任、更に手持ちのハンドガンをバンバン『7番』に発砲する。
 心なしか、善場主任が動揺しているような気がする。
 ポーカーフェイスの彼女は、その表情からはなかなか読み取れないのだが。

 栗原蓮華:「化け物は斬る!」

 仮面の下は鬼だった。
 両目はうちの『2番』と違って金色の瞳だが、ニヤけた顔からはしっかり鋭い牙が覗いている。
 そして、額の上には角が2本生えていた。

 『7番』:「ヒドーイ!化け物なんて!せめて『鬼』って言ってよ!」
 蓮華:「うるさい!同じようなものだ!」

 蓮華さんは本物の右足や義足の左足を踏み込んで、『7番』に斬り掛かる。
 『2番』のリサも両手の爪を鋭く尖らせて、『7番』に掛かった。
 オリジナル版のリサ・トレヴァーは普段の動きは緩慢だったそうだが、いざ戦闘となれば人外的な跳躍力や怪力を振るったという(それでも何故か、特殊部隊員達を先回りしていたことがあったらしいが)。
 しかし日本版の彼女らは、俊敏性も備わっている。

 『7番』:「ピィーッ!」

 『7番』が指笛を吹いた。
 すると!

 ハンターα:「ガァッ!」
 ハンターβ:「ガウゥウ……!」

 高架となっている道路の下からハンターが2匹飛び上がって来た。
 どうやら『7番』はハンターを使役できるらしい。

 愛原リサ(以下、『2番』とする):「私に任せて!」
 蓮華:「……頼む」

 蓮華さんは『7番』に集中し、ハンター達は『2番』のリサやBSAA隊員達が対応した。

 蓮華:「本当に『1番』を知らないのか!?私の兄弟を食い殺し、私の左足を食い千切ったヤツだ!」
 『7番』:「知らないよ。でも、『0番』は知ってるよ」
 蓮華:「だったら『0番』はどこだ!?」
 『7番』:「私に勝ったら教えるって言ったじゃない。……あら?もうやられちゃった」

 ハンター2匹はリサとBSAA隊員達に倒されてしまった。

 『7番』:「もういっちょ!」

 『7番』が再び指笛を吹くと、今度はハンターγの他、ファルファレルロというインビシブルタイプのハンターも現れた。
 これは止まっている時、動いている時は姿を消すことができるハンターのことである。
 但し、攻撃する際や、攻撃を受けた際に姿を現してしまう。

 BSAA隊員A:「消えた!?」
 BSAA隊員B:「くそっ!見えない!」
 BSAA隊長:「落ち着け!」
 『2番』:「私に任せて!」

 『2番』のリサは鼻が利く。
 例え姿を消すことができるハンターであっても、臭いまでは消せず、リサ・トレヴァーには誤魔化せなかった。

 『2番』:「そこだっ!」

 『2番』のリサは空間に対し、鋭く尖った自分の爪を振り下ろした。

 ファルファレルロA:「ギャッ!」

 顔を『2番』のリサに引っ掛かれたファルファレルロAは、顔から血を流して姿を現した。
 しかし気を取り直して、再び姿を消そうとする。

 隊長:「させるか!撃てっ!撃てっ!」

 BSAA隊員達がファルファレルロAに対して、マシンガンやショットガンの集中砲火を浴びせる。

 ハンターγ:「グワーッ!」
 高橋:「しゃらぁーっ!」

 ハンターγは高橋を丸呑みにしようと口を大きく開けて近づいてきたが、高橋がそいつの口の中にマグナム44を撃ち込んだ。

 善場:「その調子です!」

 善場主任も高橋と一緒にハンターγの口の中に撃ち込んだ。

 愛原:「!?」

 しかし私は背後に気配を感じて、思わず振り向き様、手持ちのショットガンを発砲した。
 それが人間だったらエラいことになっていたが、幸いそいつは人間ではなく……。

 ファルファレルロB:「ギャッ!」

 消えるハンターだった。
 それは一匹だけではなかったのだ。

 愛原:「ここにもいやがった!リサ!」
 『2番』:「今行くよー!」
 高橋:「先生!よく気が付きましたね!?さすがっス!」
 愛原:「第六感か……」

 『2番』のリサが私の所へ走って来る。
 手は血だらけだったが、自分がケガしたのではなく、ハンターを引っ掻き殺した際の血だ。
 その血を舐めとるリサ。

 『2番』:「ちっ、マズい。さすが化け物」
 愛原:「そりゃそうだろ」
 『2番』:「やっぱり先生の血が一番美味しそう。てか、絶対美味しい」
 愛原:「勝手に美味認定すんな。とにかく、あのハンターも倒してくれ」
 『2番』:「うん。先生の命令は絶対。報酬は?」
 愛原:「ん!?」
 『2番』:「報酬」

 リサはまるで小遣いをねだるかのような仕草をした。

 愛原:「分かった分かった。また、マッサージで俺の老廃物吸っていいから」
 『2番』:「やった!契約成立ぅ!」

 『2番』のリサは喜び勇んで、もう一匹の消えるハンターの所に走って行った。
 そして彼女は、私の命令通り、そいつに対して『流血の惨』を見舞わせたのである。

 『7番』:「ぐっ……!」

 『7番』のリサの胸に日本刀を突き刺した蓮華。

 蓮華:「あんたがこのくらいでは死なないことは分かってる。だけど、実力差は分かったはずだ。さあ!『0番』がどこにいるか言え!」
 『7番』:「『0番』ね。すぐ近くにいるよ。分かんないの?」
 蓮華:「は?」
 『7番』:「ほら。すぐそこにいるじゃない」

 『7番』はある方向を指さした。
 だが、蓮華はその方向を見ない。
 その隙を突いて攻撃してくることは明らかだったからだ。

 『7番』:「引っ掛からなかったか」
 蓮華:「当たり前だ!フザけるな!」

 蓮華はそう言って『7番』の首を跳ね飛ばした。
 ゴロンと首は道路の上に落ち、残った首からしたはドッと道路の上に倒れた。
 首からはどす黒い血が噴き出している。

 『7番』:「ウソは付いてない……よ……。本当に、すぐ近くに……『0番』は……いる……。『1番』は……いない……」

 『7番』のリサはドロドロに溶けていった。
 死んだら骨すら残さず消えるのが、人工生物兵器たるBOWの宿命なのである。

 蓮華:「っ……!」

 蓮華は『7番』が指さした方を振り向いた。
 そこにいたのはBSAA隊員達以外の全員であった。
 即ち、そこに私も含まれている。
 もちろん、私はリサ・トレヴァー『0番』なんかではない。
 左腋の下にそんな番号、入れ墨なんかされていない。
 もちろん、高橋も違う。
 旅行に行った時、一緒に大浴場に入ったことがあるが、あいつの左腋の下には何も無かったはずだ。
 となると、残りは……。

 善場:「すぐにHQに報告を!」
 隊長:「少々お待ちください」
 栗原愛里:「終わったの……?」
 蓮華:「愛里!トラックの中にいな!」
 愛原:「蓮華さん。きっと『7番』は、キミを惑わす為にあんなことを言ったんだ。あるいは、もっと向こうの方にいるのかもしれないよ?BOWの感覚は、人間のそれとはズレてるから」
 蓮華:「そうかもしれませんね。あいつらは平気でウソを吐きますから。人間を好きなだけ食う癖に、いざ自分が殺されそうになったら、助かる為に平気でウソを吐く。『3番』も『5番』もそうでした」
 愛原:「これでキミが倒したのは、『3番』『5番』『7番』か。奇しくも奇数だね。でもこの流れで行けば、『1番』も奇数だから、きっと倒せるよ」
 蓮華:「そうしたいです」
 愛原:「だから、『2番』のリサは偶数だから殺さないでね?」
 蓮華:「それは、本当に人を食わないことが分かったら約束します」
 愛原:「大丈夫だよ」

 でもやっぱり代わりの餌は必要か。
 人間にとって老廃物は必要の無いものだし、『2番』のリサがそれで満足だって言うなら、それは妥協してあげてもいいような気がする。

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