報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行2日目」

2024-08-28 21:11:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月9日07時00分 天候:晴 沖縄県那覇市大道 沖縄ホテル・朝食会場]

 朝食会場は一般客向けのレストランとは別の宴会場。
 そこに修学旅行生用にバイキング形式の朝食が用意されている。
 沖縄料理もあるが、さすがに朝食には本州と同じ料理、例えば魚の西京焼きとかもある。
 まあ、リサなら絶対に肉中心の朝食にするだろうが。

 高橋「さすがに2食続けて沖縄料理も飽きるんで、ここで東京のと同じのが出てくるといいっスね」
 愛原「まあな」

 朝食時間になったばかりということもあり、修学旅行生達はすぐには来ない。
 昨日の疲れがまだ残っていたりすると、なかなか起きられないということもあるだろう。
 だが……。

 リサ「愛原先生!おはよう!」
 愛原「あれ、リサ?もう起きて来たのか?」
 リサ「後から来て肉が無くなってると困るから」
 愛原「そういうことか……。さすがに、朝からラフテーは無いぞ」
 リサ「それは残念」
 レイチェル「愛原センセイ、おはようございます」
 愛原「れ、レイチェル!迷わず成仏してくれ!」
 レイチェル「Huh?」
 リサ「レイチェル、ゾンビなの?」
 レイチェル「No!私は何のウィルスにも感染してませんよ?」
 リサ「だってさ」
 愛原「ゴメン。夢の話だった」

 私は夢の話をした。

 レイチェル「心外ですね。私はTアビスのワクチンを接種していますので、今更それに感染することはありませんよ?」
 愛原「そ、そうだよな。申し訳ない」
 リサ「枕が変わると変な夢を見やすいもんね」
 愛原「そ、そうだな。リサは大丈夫だったか?」
 リサ「今回はね。その前は、男の鬼達に……何でもない!」
 愛原「ん?」
 淀橋「それより早く食べようよ」
 リサ「それもそうだな」
 小島「絵恋さんはいないんですか?」
 愛原「いや、絵恋さんは一般客扱いだから、向こうのレストランで食べてるよ」
 高橋「ぼっち飯だ」
 愛原「急いで食べてこっちに来るらしいよ」
 高橋「さっさと学校行けってんだ」
 愛原「まあまあ……」

 沖縄県は東京と比べて、日の出と日の入りが遅い。
 その為、もしかしたら、学校が始まる時間も遅いのかもしれない。

 愛原「沖縄は日の出が遅いんだよ」
 高橋「何の話っスか」
 淀橋「確かに、いつもより外が明るくなるのが遅かったような……」
 愛原「そして、日が暮れるのは遅い」
 小島「昨日、そうでしたね」
 愛原「日本って案外広いってことが分かるよ」

 警備会社で働いていた頃、社員旅行があった。
 北は北海道、南は沖縄に行ったりした。
 どちらも冬。
 札幌は16時で暗くなるのに、那覇は17時になってもまだ明るかった。

 小島「日本は東西に広いってことですね」
 愛原「そういうことだな」
 リサ「肉ゲット~♪」

 リサはソーキとローストチキンを手にしていた。

 淀橋「うわ……朝から胃もたれいそう……」
 小島「フツーはこれだけ食べたら太るのに、リサさんは太らないね。さすがは魔王様」
 リサ「むふー!」
 レイチェル「食べた物は、体内のGウィルスに吸収されるからですよね」
 リサ「リサ・トレヴァー大先輩から受け継いだGウィルスは食いしん坊だから」
 レイチェル「リサの強さの秘訣はそこですね」
 リサ「むふー!」

 誇らしげな顔をするリサだったが、私は一瞬その顔が歪んだのを見逃さなかった。
 知っている。
 リサは現在の食生活では、これ以上強くなれないということを。
 私も知っている。
 これ以上強くなるには、人食いや人の生き血を啜るしかない。
 だがもちろん、そんなことができるわけがない。
 苦肉の策として、血中老廃物を啜るということで僅かに強化させるに留まっている状態だ。
 それで、“鬼つよし”か……。

 絵恋「リサさーん!おはよー!」

 しばらくして、沖縄中央学園の制服に身を包んだ我那覇絵恋がやってきた。

 リサ「エレン、来たー」
 高橋「ここは東京中央学園関係者以外は立入禁止だ!」

 高橋が絵恋の入室を阻止しようとした時だった。

 絵恋「ほっ!はっ!」
 高橋「うっ!?」

 絵恋は空手の有段者だということは知っている。
 だが、沖縄に引っ越してからは道場通いは休止中だと聞いているが……。
 稽古休止中とは思えないほどの身のこなしで、高橋を軽くいなしてしまった。

 絵恋「はーっ!」
 高橋「がっ……!」

 高橋は絵恋の突き技を受け止めたが、それでもダメージがあったようだ。

 高橋「てめェ……!」
 絵恋「ふっ!」

 スカートの下に穿いているブルマが見えたが、絵恋は気にしていないようだ。

 男子生徒A「おー!」
 リサ「エレン、強いー!」
 絵恋「良かった。腕は鈍ってない」
 淀橋「飲み物でも飲みましょうよ。ドリンクバーだから、飲み物くらいいいでしょ」
 絵恋「ありがとう」
 リサ「…………」

 何故かリサは訝し気な顔をしていた。

 愛原「高橋、大丈夫か?」
 高橋「え、ええ……。大丈夫です。……あいつ、あんなに強かったです?」
 愛原「本当は空手道場に通ってるのかもな。空手の発祥って沖縄だから、ここは本場だ」

 高橋は絵恋の思わぬ反撃に困惑していたが、リサもリサで訝し気にしていたのが気になった。

[同日08時00分 天候:晴 同ホテル1階ロビー]

 朝食を食べ終わった後、リサ達は旅館棟に戻って行った。
 絵恋は学校に行ってしまった。
 私達は引率の先生方と集まって、今日の予定を話した。

 坂上「バスは予定通り来るそうです。9時にホテルを出発して、今度は南城市に向かいます。そこで今度は、おきなわワールドと玉泉洞を……」
 愛原「今度の宿泊先は、高級ホテルのようですね」
 坂上「はい。午後はリゾートホテルの施設で、マリンアクティビティをする予定です」
 三上「私にはホテル併設の海水浴場で海水浴というイメージしか湧かないが、安全性は大丈夫なのか?」
 坂上「正式に海開きされている砂浜ですし、私達が監視に当たります。ホテルの施設内ですから、安全性も保障されているでしょう」
 三上「うむ……」

 海か……。
 沖縄では、海は切っても切れない関係であるが、昨夜の夢が海洋性のウィルスに関する夢だっただけに、嫌な予感がしなくも無かった。
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“私立探偵 愛原学” 「悪夢からの朝」

2024-08-28 16:13:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明 天候:不明 地中海上 豪華客船内]

 枕が変わったせいか、私は変な夢を見た。
 羽田空港のカプセルホテルに泊まった時は、そんなことはなかったのだが。
 それは船の中だった。
 それも、ただの船ではない。
 Tアビスという生物兵器ウィルスに感染し、ウーズという化け物に変化してしまった船内の人々の猛攻を交わしながら進む猛者の後ろを付いて行くという夢だった。
 TウィルスやCウィルスに感染した人間は、腐乱死体の見た目になる。
 しかし、Tアビスは水死体のような見た目から更に体が変化する。
 この船は……クイーンゼノビア号?
 ウーズの猛攻を交わしながら船内を探索しているのは、BSAAの猛者達だろうか。
 彼らは船内で手に入れた鍵やカードキーを手に、施錠されたドアを開けたり、中にはヴェルトロの隠し金庫を開けたりしている。
 クイーンゼノビア号は、老朽化した豪華客船であった。
 船会社が倒産して廃船寸前だったところを、FBCというヴェルトロに肩入れしている組織がタダ同然で引き取り、それをTアビスの秘密研究施設やヴェルトロのアジトに改造してヴェルトロに引き渡した船である。
 FBCとは、アメリカ合衆国が肝煎りで設立した組織。
 テロ組織ヴェルトロと繫がり、ヴェルトロにウィルステロを起こさせ、FBCがそれを鎮圧することにより、その存在を世界中に知らしめるというマッチポンプを行っていた。
 そう、正に消防団員が、自分が活躍している所を見せたいが為に放火事件を起こしていたようなものである。
 そんな船内を探索していると、ヴェルトロの隠し金庫があったにも関わらず、それをスルーして行くBSAAの猛者達がいた。
 折しも船内には、自爆装置が起動した旨のアラームとアナウンスが鳴り響いている。

 愛原「おい!ここの金庫は開けんのか!?」

 私は後ろから彼ら……恐らく、ジル・ヴァレンタインとパーカー・ルチアーニというBSAAの古参組と思しき後ろに声を掛けた。
 しかし、2人は私のことなど見えないかのように、船橋に向かうエレベーターに乗ってしまった。

 愛原「この金庫は……!?」

 他の金庫はヴェルトロの紋章が描かれていたが、彼らがスルーした金庫には別の紋章が描かれていた。
 それはアンブレラの紋章。
 開いた傘を上から見た図をデザイン化したもの。
 このマークはあの2人……特にジルにとっては忌むべき物だろうに、どうしてスルーしたのだろうか?

 愛原「リサのゴールドカードがあれば開けられるかも……」

 しかし、それはリサしか持っていない。
 何とかして開けようとした時だった。
 部屋の天井にあるダクトから、見覚えのある者がウーズ化してやってきた。

 レイチェル「愛原センセイ……見ィ~つぅけたぁぁぁぁぁ♪」
 愛原「わぁぁぁ!?」

[5月9日06時15分 天候:晴 沖縄県那覇市大道 沖縄ホテル・愛原と高橋の客室]

 愛原「わぁぁぁぁっ!?」

 そこで目が覚めた。

 高橋「先生!?どうしました!?」

 バスルームにいた高橋が、ドアを開けて出て来た。
 どうやら、先に顔を洗ったりしていたようだ。

 愛原「あー……びっくりしたぁ……」
 高橋「先生?」
 愛原「あ、いや、悪い。ちょっと、変な夢見ちゃって……」
 高橋「マジっスか。大丈夫っスか?」
 愛原「大丈夫大丈夫。枕が変わると、寝付きが変わるせいだな」
 高橋「もうちょっとしたら、洗面所開けますんで」
 愛原「ああ」

 高橋はまたバスルームに戻っていった。
 私はベッドから出ると、冷蔵庫に保管していた水を一杯飲んだ。
 それにしても、あの金庫は何だったのだろう?

 愛原「ん……?」

 それにしても、あれは本当にクイーン・ゼノビア号だったのか?
 船内の様子を思い出してみると、船内には日本語の看板とかもあった。
 クイーン・ゼノビア号は、ヨーロッパの船会社が造船・保有していたものだ。
 船会社在りし頃は世界一周クルーズなども行っており、日本にも立ち寄ったことはあったそうだ。
 もちろんその頃はちゃんとした船会社が運航していたものであり、けしてFBCの秘密研究施設でもなければ、ヴェルトロのアジトでもなかった。
 とはいうものの、当時は日本人の乗客も少しはいたのかもしれないが、外国籍の船で日本語の案内看板が設置されているとは思えない。
 クイーン・ゼノビア号のことについては、私もデイライト主催の研修で公開された資料映像などで見たことはある。
 その際、特に船内で日本語表記の案内板など見たことも無かった。

 愛原「! まさかあれは、破邪顕正号……うっ!」

 日本船籍の豪華客船で、今はこの世に存在しない破邪顕正号を思い出した。
 あれは日本船籍なので、当然船内の案内板は日本語表記が主流だ。
 あれも船内でバイオハザードが起きて……最終的には沈没したと聞いているし、姉妹船にあっても廃船処分となったと聞いている。
 確かに、あの船内にはアンブレラの紋章が付いた金庫とかがあったような気がしたのだが、それを思い出そうとした時、激しい頭痛が起きた。

 愛原「……くそっ!」

 一体、何だというんだ?
 目の前に軍服姿の高橋が現れた所で、我に返った。

 高橋「先生、どうしました?」
 愛原「いや、何でもない」
 高橋「具合が悪いんですか?」
 愛原「いや、そんなことはない。そんなことはないぞ。それより、洗面所は?」
 高橋「ど、どうぞ」

 私は洗面所に行って、顔を洗うことにした。

 高橋「あ、あの、先生……」
 愛原「何だ?」
 高橋「実は先生が寝落ちされた後、俺、タバコ吸いに行ったんです」

 この客室は禁煙だ。
 タバコを吸いたければ、外に出るしかない。

 愛原「それで?」
 高橋「あのレズガキが訪ねて来まして……」

 我那覇絵恋さんのこと。
 彼女はLGBTのLで、リサの事が大好き。

 愛原「夜中にか?」
 高橋「はい。それで何の用だと聞いたら、『早苗さんからもらったお菓子、先生達も食べますか?』って聞いて来たんスよ」
 愛原「斉藤早苗が絵恋の家に行く際の手土産として持って行ったという、手作りのクッキーとかか」
 高橋「そうです」
 愛原「それで、オマエは何て言ったんだ?」
 高橋「『バカヤロウ!先生に手作りクッキーを食べて頂く権利があるのは、この俺様だけだ!』と怒鳴りつけて追い返しました」
 愛原「オマエな、いくら非常識な訪問だからって、そんな近所迷惑な声を上げなくてもいいだろう」
 高橋「さ、サーセン」

 その割に、私は起きることはなかった。
 夢を見ていた割には、案外深い眠りに陥ったというわけか。
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