報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサも実験で昏睡中」

2020-03-26 19:38:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日13:00.天候:不明 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センターB3F研究施設]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 Tアビスワクチンを投与されている絵恋さんは、未だに研究室のベッドで眠っている。
 善場主任曰く、狙いが当たったようである。

 愛原:「まあ、とにかく昼飯でも食おう」
 高橋:「はい」

 12時から13時の間は施設職員が使用するので、私達来訪者はその後の13時に昼食を取ることとなる。
 閑散としている職員食堂で出された給食は、豚肉のカツ煮定食だった。

 愛原:「皆、元気出せよ。今、絵恋さんは人間に戻るかBOWになるかの瀬戸際なんだから」
 高橋:「俺は元気ですよ!」
 高野:「そういうのを空元気って言うの」

〔「今日午前、成田空港を出発した大日本製薬代表取締役社長の斉藤秀樹氏は……」〕

 その時、食堂のテレビから斉藤社長の名前が出て来た。

 愛原:「ん!?」
 高野:「斉藤社長!?」
 高橋:「あ?国外逃亡か?」

〔「……もしかしたらヨーロッパの現地法人に、新型コロナウィルスのワクチンが作れる物があるかもしれないんですよ。それを直接確かめに行こうと思いましてねぇ……」〕

 と、マスコミのインタビューに答える斉藤社長が映し出されていた。
 どうやらもう機上の人らしい。

 愛原:「え?なに?どゆこと?」
 高橋:「いや、だから国外逃亡っスよね?」
 高野:「国外逃亡……かなぁ?体のいい」

〔「その物とは何なんでしょうか!?」「過去にバイオテロで使われたウィルスを応用するということですか!?」「すいません。そろそろ保安検査の時間ですので……」「社長!出張はいつまでですか!?」「社長自身、感染のリスクは!?」〕

 高野:「もし切り札があるのなら、娘さんをここに送ったりはしないですよねぇ?」
 高橋:「ガチの国外逃亡っスよ!ゴーンといい、金持ちは都合が悪くなると外国に逃げやがりますね!」

 しかし私には、社長ほどの者が国外逃亡しても無駄なような気がした。
 そしてそれはバイオテロに対し、新薬開発という形で協力している社長自身が知っているはずだ。
 今やバイオテロの首謀者達は、BSAAや“青いアンブレラ”によって次々と摘発されている。
 もしも新型コロナウィルスまで生物兵器だったとしたら、BSAAが突入するはずだ。
 それだけの機動力を持つBSAAから逃れられると思うほど、斉藤社長もバカではない。
 今までBSAAに追い詰められた者達はそう思ったバカか、自分の策略で何とかできると思い込んで策に溺れて自滅した頭の良過ぎた者達だ。

 愛原:「本当に切り札があるのかもしれないなぁ……」

 私は首を傾げた。

 善場:「お食事中、申し訳ありません!」

 そこへ善場主任が駆け込んできた。

 愛原:「善場主任、どうしました?」
 善場:「今テレビでやっているので御存知かとは思いますが、斉藤社長が国外へ脱出しました!」
 愛原:「そのようですね。拘束でもするつもりだったんですか?」
 善場:「状況によってはそれも有り得ました。仕方が無いので捜査令状を取り、社長の自宅や会社を捜索しようかと思います」
 愛原:「何の容疑で!?対バイオテロ特措法か何かですか?」
 善場:「それは……」
 部下:「主任!ちょっと……」

 善場主任の部下の男性職員がやってきて、何やら耳打ちした。

 善場:「お騒がせしました。失礼します」

 バタバタと出て行く善場主任と部下の職員。

 高橋:「何なんだ、あのねーちゃん」
 高野:「女の慌てん坊はウザいだけですね」
 愛原:「まあまあ。タッチの差で斉藤社長の国外逃亡……もとい、海外出張を許してしまったんだから焦ったんだよ。あの様子じゃ、第二のカルロス・ゴーンが現れても、また国外逃亡を許しちゃいそうだねぇ」
 高橋:「日本の政治と法律は腐ってます!」
 高野:「組織のトップを貶める為にコロナ感染拡大を喜んで利用する奴と、対立する政党を貶める為にコロナ感染拡大を喜んで利用する奴がいるくらいだからね」
 高橋:「先生、午後はどうします?リサも寝てるんじゃ、何もすることないっスよ?」
 愛原:「そうだなぁ……。もしかしたら、また動きがあるかもしれない。善場主任に聞いてみよう」

 私はそう言って、食事を続けた。
 それから1時間経ち、昼食を片付けると、また善場主任がやってきた。

 善場:「すいません。お話があるので、また会議室に来て頂けますか?」
 愛原:「いいですよ」

 食堂から会議室へ移動する。

 高橋:「食った後の会議は眠くなりますよ」
 愛原:「ただの会議じゃないと思うぞ」

 会議室に入って適当に席に着くと、善場主任が言った。

 善場:「実は先ほど、斉藤社長からファックスがこちらに届きました」
 愛原:「ファックスが!」
 高野:「で、何ですって?」
 善場:「斉藤絵恋さんには、確かに予防接種としてウィルスを投与したとのことです。だからあのコには、様々な抗体があったんですね」
 愛原:「しかし実際、BOW化しかかってることは?」
 善場:「これは迂闊なことだったということです。生まれつき抗体を持っているならまだしも、後天的にウィルスを投与して抗体を作っても、他のウィルスとケンカして変異する恐れがあると最近知ったとのことです」
 愛原:「そんなことがあるんですか?私だって毎年インフルエンザのワクチンを打ってますけど、そんな話聞きませんよ?」
 善場:「それは1年空けてるからですよ。しかし、不思議ですね。BSAAの関係者などは、過去の兵器ウィルスの予防接種を受けているのです。もちろん、それまで世界を騒がせたウィルス全てです。にも関わらず、BSAAの関係者にはそのような変異の現れた者の報告は出ていないのです」
 愛原:「よほどのレアケースかな?」
 高野:「電気を発生させるものといったら、TとGの混合とか、強化型Cウィルスとかですよね?」
 善場:「そうですね。……ん?Cウィルス?」
 高野:「Cウィルスにもワクチンはあるでしょ?」
 善場:「ありますけど……」

 善場主任は考え込んだ。
 何かか繋がりそうな感じがするのだが、上手く繋がらないといった感じだった。

 善場:「ちょっと、CウィルスとTアビスの検査を絵恋さんにするよう伝えてくれない?」
 部下:「了解しました」

 部下は大きく頷くと、会議室を出て行った。

 愛原:「何か思い当たる節が?」
 善場:「ええ。気のせいだといいんですけど……」

 生物兵器としてのウィルスは、ワクチンも危険物であったか。
 
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“私立探偵 愛原学” 「検査と実験」

2020-03-26 15:03:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日10:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センターB3F研究施設・会議室]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今、斉藤絵恋さんは隔離されて研究室の方に行き、私達は善場主任から説明を受ける為に会議室にいる。

 善場:「……このように、生きている人間の肉ではなく、血を求めるクリーチャーは“ウーズ”しかいません。これはTウィルスに海洋性ウィルスを混合して作られたTアビスというウィルスに感染すると変化するクリーチャーです」
 愛原:「主任。そうは仰いますが、2005年のバイオテロでそのウィルスが出てきますが、BSAAの記録映像を見る限り、ウーズというクリーチャーは相当グロテスクなものです。絵恋さんは人間の姿を保っていますが、これは?」
 善場:「あくまでも可能性を述べただけです。斉藤さん自身、Tアビスを投与されただけとは限りません」
 愛原:「しかし、今やCウィルスだのTフォボスだの特異菌だの、最新型の生物兵器が出回ってしまったのに、旧式のTアビスとは……」
 善場:「現段階では調査中ですが、大日本製薬はかつてFBCに協力していたようです。アメリカ進出の際、後ろ盾してもらう見返りとしての支援だったそうですが、それが何か関係しているのかもしれませんね」

 その流れから、今はBSAAに協力しているのだと斉藤社長から聞いたことはある。
 BSAAこそ今は正義の味方だからいいが、FBCは長官が残念ながら黒幕であった。
 事件は2005年のことだから、少なくとも絵恋さんやリサはまだ生まれていない。

 善場:「あと、これは昨日の検査で分かったことなんですが、斉藤さんにはありとあらゆる人工ウィルスの抗体があります。Tウィルスはもちろん、2013年のCウィルスに至るまでです」
 愛原:「どういうことだ?」
 善場:「大日本製薬では、バイオテロに使用されたウィルスのワクチン開発を日本代表として取り組んでいることで有名です。今回こちらに協力したのも、新型コロナウィルスのワクチン製造の為だということです」
 高野:「斉藤社長、何か怪しくないですか?まるで娘さんをモルモットとして送り込んだかのような……」
 愛原:「うーむ……」
 善場:「Gウィルスを投与されつつも、上手く自分の体内に取り込んで、驚異的な回復力と身体能力を持ち、政府エージェントとして活躍しているシェリー・バーキン氏の例もあります」
 愛原:「でも、そのシェリー・バーキン氏はBOWではないんでしょう?」
 善場:「少なくとも人間の姿から他の生物に変化することはなく、あくまでも驚異的な回復力と身体能力に終始しているので、人間ということで良いでしょう。あいにくと、愛原リサさんは既に自我を保ちつつ、理性と知性を保ちつつも、しかし他人の制御を必要とし、場合によっては異形の者に変化するという意味では人間ではありません。それでも普段は人間の姿でいられることから、こちらとしては是非エージェントとして将来働いて頂きたいと思っているのです」
 高橋:「で?結局あのガキはどうするよ?殺処分にするのか?」
 リサ:「サイトーを殺さないで!」
 善場:「今、実験をしています。実はもうTアビスに対するワクチンは存在するのです。それを投与してみまして、様子を見たいと思っております」
 愛原:「デイライトは効かんかね?」

 デイライトとはTウィルスに対するワクチンのことだ。
 ただ単にTウィルスを無効化するだけでなく、投与者には抗体も作られる。

 高野:「先生、ウィルスが違います」
 愛原:「ん、そうか」

 善場主任は室内にある大型モニターの電源を入れた。
 それからリモコンのボタンを何個か押すと、とある映像が映し出された。
 それはここの研究室。
 ベッドの上に絵恋さんが寝かされ、まるで病院の集中治療室のような光景が広がっていた。

 善場:「これは今、点滴によるTアビスのワクチンを投与しているところです。このように、今はおとなしく眠っています。恐らく効いているものと思われます」
 愛原:「上手く行けば絵恋さんは人間に戻れるんですね!?」
 善場:「上手く行けば、です。ただ恐らく、シェリー・バーキン氏のように、体内に何らかの影響は残るものと思われます」
 高橋:「で、政府エージェントにスカウトか?」
 善場:「状態如何によっては、是非とも来て頂きたいですね」
 高野:「その前に真相を究明しませんと」
 高橋:「社長のオッサン締め上げんのか?」
 善場:「それはこちらに任せてください。少なくとも娘さんがああなった経緯については、事情を聴く必要がありそうです」
 高橋:「娘をモルモットにして最悪だな」
 愛原:「まだそうと決まったわけじゃないだろう。バイオテロ組織に浚われて、実験させられたのかもしれんぞ?」
 高野:「だから先生、そういう記録が無いんですって」
 愛原:「ん?しかしそんな記録、森友みたいに政治権力で『無かった事』にできるだろう」
 善場:「とにかく、斉藤社長にはこちらから事情を聴きます。リサさんは引き続き、実験に協力してください。もしかしたら、あなたの体内から斉藤さんのウィルスに対抗する物が作れるかもしれませんからね」
 リサ:「なるほど。分かりました」
 高橋:「先生。実際、先生から社長に電話してみてはどうですか?」
 愛原:「余計なことしなくていいって。それに、ここ圏外だ」
 善場:「機密保持の為に電波は遮断しております。GPSも届かないようになっております」
 高橋:「ここに死体埋めたら完全犯罪だなw」
 愛原:「滞在期間は延びることになりそうですか?」
 善場:「そうですね。でも、ご安心してください。ちゃんと宿泊室とお食事は御用意させて頂きますから」
 高橋:「レンタカーの延長料金は?」
 善場:「それもこちらで負担しますから、どうかご安心を……」

 何だか大変なことになったなぁ。
 新型コロナウィルスのワクチン製造の為の実験に協力するはずが、とんでもないことになったものだ。
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“愛原リサの日常” 「最終日の実験」

2020-03-26 11:43:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日09:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センター1F女子トイレ→B3F研究施設]

 被験者の少女A:「ぎゃああああああああ!痛い痛い!痛いよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 被験者の少女B:「もう嫌……!おうち……帰して……」
 被験者の少女C:「…………」(完全に呆然自失となっており、何をされても全く反応しない)

 リサ:「…………」

 リサは過去に旧アンブレラの研究所で受けた凄惨さを極める非人道的な実験を思い出していた。

 絵恋:「リサさん、ごめんね……」
 リサ:「いい。気にしないで」
 絵恋:「おしっこがね、止まらないの……」
 リサ:「そういうこともある。最初のうちは体がおかしくなる。私もそうだった」
 絵恋:「リサさんがいてくれて良かった」
 リサ:「サイトーは……何かの実験を受けた?」
 絵恋:「受けてないわ。受けてない……はず」
 リサ:「私は何度も受けたけどね。それでこんな体になったわけだけど」

 それはリサだけでなく、愛原達もそう思っている。
 リサはBOWになる為の実験を受け、改造されて今に至る。
 しかし絵恋には、そのような経緯は一見して見当たらない。
 にも関わらず、絵恋がBOWと化したのは何故か?
 単なる『感染』なら、もしかしたらどこかであったかもしれない。
 しかしこちらの研究施設の検査では、明らかに『人為的な改造』の痕があるのだという。

 絵恋:「お待たせ」
 リサ:「もういい?」
 絵恋:「うん。何とか、おしっこ止まった」
 リサ:「すぐに喉が渇く。後で水をもらって」
 絵恋:「うん。よく知ってるね?」
 リサ:「そういう症状が出たコを私は……うぅう……」

 リサはついに泣き出した。

 絵恋:「リサさん!?」
 リサ:「早く行こ……っく」

 リサはなるべく泣くのを堪えようとしていた。

 高野:「もう大丈夫?」
 リサ:「うん」

 トイレの外では高野が待っていた。

 高野:「皆は先に研究所に行ってる。私達も行きましょう」
 リサ:「うん……」
 高野:「気持ちは分かるけど、このままだと絵恋さんは暴走してしまう。それを防ぐ為にも、研究所に行かないといけないのよ」
 リサ:「分かってる……」

 3人はエレベーターに向かった。

〔下に参ります〕

 高野が反対側のドアの横に付いているカードリーダーにカードを当てる。
 すると、注意書きの下に隠された地下3階へのボタンが点灯した。

〔ドアが閉まります〕

 ドアが閉まって、エレベーターがゆっくりと下に下りる。

 絵恋:「喉が渇いたわ……」
 リサ:「早くお水を!」
 高野:「分かったわ」

 高野は手に持っていたトートバッグの中に入っていた2リットル入りのペットボトルを渡した。

 絵恋:「!」

 絵恋はそれを奪うように取ると、すぐに蓋を開けてラッパ飲みした。
 それを悲しそうな顔をして見るリサ。
 恐らく、このような症状が出た実験体の少女の末路を見たことがあるのだろう。

〔ドアが開きます。地下3階です。上に参ります〕

 ドアが開くと、殺風景な附室に出る。
 そこから外に出ると、地下駐車場に愛原達がいた。

 愛原:「もう大丈夫なのか?」
 高野:「今のところは」
 善場:「カードを返してください。急ぎましょう。時は刻一刻を争います」
 絵恋:「まだ足りない……!もっと飲みたい……!」
 リサ:「! 先生、サイトーにもっと水を飲ませてあげて!」
 愛原:「え、えっと……!」

 愛原は水道を探したが、都合良くそんなものはない。

 愛原:「こうなったら!」

 駐車場内にある自動販売機コーナーで、ペットボトルの水を買った。

 愛原:「ほら!」
 リサ:「多分これ一本だけじゃ足りない」

 リサが絵恋にペットボトルを渡した時、絵恋の両目の瞳が赤く鈍く光っていた。

 リサ:「このままだと、今度は生きた人間の血が欲しくなって……しまうの……!」

 リサはまた涙を流しながら言った。

 善場:「! 今、何て言ったの!?」
 リサ:「私が知ってる限り……サイトーと同じ症状が出たコは、今度は生きてる人間の血を欲しくなってしまって……」
 善場:「……!」

 善場は何か思い当たる節があるのだろうか。

 善場:「急いでこっちに来て!」

 善場はリサと絵恋を研究所の奥に連れて行った。

 愛原:「善場主任、一体どこに!?」
 守衛:「ちょっと!ここから先は職員のIDが無いと入れません!」

 レセプションから先の研究施設に善場は入れたが、愛原達は止められた。

 リサ:「愛原先生達、止められたよ!?」
 善場:「今はそれどころじゃないの!」
 絵恋:「まだ足りない……足りない……!」
 リサ:「サイトー、我慢して!このままだと、本当に『吸血鬼』になっちゃう!」
 善場:「緊急です!至急、アレをお願いします!」

 善場はとある部屋に駆け込むと、中にいた職員に言った。

 善場:「リサさんはこっちへ!」
 絵恋:「血が……血が欲しい……!」
 リサ:「サイトー!」

 絵恋とリサは引き離された。

 リサ:「サイトーは!?サイトーはどうなるの!?殺しちゃうの!?」
 善場:「今はそんなことしないから安心して!」

 何か研究所の廊下をぐるっと一周したような気がする。
 そして、最後のドアを通ると……。

 善場:「愛原所長!お待たせしました!」
 愛原:「おっ、善場主任!いきなりでびっくりしましたよ」
 善場:「緊急だったのです。申し訳ありません」
 高野:「ま、斉藤さんのあの様子じゃね。BSAAなら殺処分してたかもね」

 この中では高野が一番冷静だ。

 善場:「さすがは日本の『エイダ・ウォン』ですね。この状況が一番理解できていらっしゃるようです」
 高野:「だから違うって言ってるでしょ」
 愛原:「一番状況が理解できていない私の為に、最初から説明しては頂けないでしょうか?」
 善場:「もちろんそのつもりです。受付係、『ビジタータグ』を4つちょうだい」
 受付係:「かしこまりました」

 リサ達は昨日着けたのと同じリストタグを渡された。

 善場:「これで大丈夫です。行きましょう」

 今度は守衛に止められることはなかった。
 職員タグを持った者の先導であれば、ビジタータグでも入れるらしい。
 私達はリサ達が向かった研究室エリアではなく、会議室のある事務室エリアへと誘導された。
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