報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「地下研究所へ」

2020-03-18 19:47:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日08:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センター2F食堂]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日から政府機関直轄の秘密研究所へ向かう。
 昨夜は食堂で夕食が出なかった為、自動販売機で何とか見繕った侘しいものだったが、今朝からは食事が出た。
 合宿所の食事らしく、和食がメインだった。
 しかも御飯や味噌汁は、テーブルの上に置かれたおひつや鍋から自由に取り分ける方式であった。

 リサ:「サイトー、何か食べるの早い?」
 絵恋:「何か、こういう所に来たら急いで食べないといけないって感じがするの!」
 愛原:「ははは、絵恋さん。空手道場の合宿じゃないんだから、ゆっくり食べていいんだよ」
 高野:「絵恋さん、5時に起きて走り込みをしようとしたんですよ」
 愛原:「ますます体育会系の合宿!?」
 高野:「そしたらエントランスが開いてない上に、管理人さんに止められたらしくて……」
 絵恋:「外へ出ちゃダメなんですか?」
 愛原:「まあ、ここは政府の重要施設だからねぇ……。俺達の行動が許されている範囲は限定されているんだろう。今現在においては、これがこの本館建物内ということだ」

 3階廊下の窓から見ると、この研修センターには体育館や屋外のプレイコートも設置されているようだ。
 このコ達を屋内に押し込めるのは何だから、運動の時間でも設けてもらいたいものだ。

 管理人:「皆さん、おはようございます」
 愛原:「あ、おはようございます」

 私達が朝食を終えると、管理人さんがやってきた。

 管理人:「例の担当主任さんですが、あと30分ほどで到着するそうです」
 愛原:「分かりました。やっぱり早く到着されますか」
 高橋:「先生の予言、当たりましたね?」
 愛原:「予言じゃない。ただの予想さ」
 高橋:「やはり、探偵の直感ってヤツですか。パネェっスね」
 愛原:「どうだろう?そうなのかな?」
 高野:「ま、そういうことにしておきましょう。じゃあ、そろそろ片付けてして、部屋に戻りましょうか」
 絵恋:「あの、残った御飯は御握りにするんでしょうか?」
 高橋:「だから空手の合宿じゃねぇって」
 リサ:「残った御飯?どこにあるの?」
 絵恋:「どこってそこに……」
 高橋:「あぁ?リサが全部食っちまったぜ。パネェ!」
 絵恋:「リサさん、マジパネェ!」
 リサ:「いぇい」

 おひつに残っていた御飯は、リサが全部食べてしまった。
 ついでに言えば味噌汁も。

 高橋:「こいつのせいで、非常食の買い置きができねぇんだ。先生、何とかしてくださいよ」
 愛原:「非常食備蓄用の金庫でも買っておくか」
 リサ:「金庫ぉ~?」( ̄ー ̄)

 リサは不敵な笑みを浮かべた。
 恐らくリサのことだから、金庫に閉まっていても力づくでこじ開けてしまうかもしれない。

 愛原:「リサ、俺の言う事なら何でも聞くんだろ?今後は非常食は俺の許可無しで食べちゃダメだ。分かったな?」
 リサ:「はーい」
 高橋:「俺が証人だ。先生の決定は絶対だぜ」
 リサ:「うん、分かったっ!」

 しかし後に私は、『私の決定は絶対』の意味が高橋とリサでは違うことを知ることになる。

[同日09:00.天候:晴 同研修センター1Fロビー→B3秘密研究所]

 善場主任は早着したが、そこは御役人。
 如何に早着しようが、研究所へ向かう時間も早くなるわけではないらしい。
 まず私達はロビーに集められ、如何にこれから向かう研究所が重要施設であるかを聞かされた。
 わざわざ研修センターの地下に造るくらいであることの意味を理解してほしいとのことだった。
 各省庁の国家公務員やその関係者が利用する研修センターであるが、ここの地下に何があるのか、はたまたそもそも地下があるのかどうかすら知らない職員が多いとのこと(そもそも国家公務員だからといって、気軽にこの施設を利用できるかというと、そうでもないらしい。だから、『特別』研修センターなのだと)。

 善場:「それでは行きましょう」

 私達は善場主任の先導で、例のエレベーターに向かった。

〔下に参ります〕

 そして迷わず反対側のドアの横にあるカードリーダーにカードを当てる。
 私のビジターカードでは弾かれたが、善場主任のカードではオッケーだった。
 ピッと鳴って、青いランプが点灯した。
 そして、貼り紙の下に隠されたボタンが点灯する。
 ボタンの位置からして……地下3階くらいだろうか。

〔ドアが閉まります〕

 ドアが閉まって、エレベーターはゆっくり下に降りて行った。

 絵恋:「な、何だか緊張するね」
 リサ:「うん……」

 リサも研究所は嫌いだ。
 いかに私達や絵恋さんも一緒だからとはいえ、やはりルンルン気分で行くような場所ではないのだろう。
 リサも無表情……というか、緊張した面持ちだった。
 リサは第0形態のままだ。
 ここにいるメンバーは皆、リサの正体を知っている(絵恋さんは第1形態まで)。
 善場主任がリサになるべく第0形態のままでいるよう指示したのである。
 恐らく、ふとした拍子に暴走するのを警戒したものと思われる。
 リサは今までBSAAが退治したどのBOW(生物兵器)よりも理知的で理性的な完成品だという。
 そこまで褒めてしまうと、アルバート・ウェスカーの立場が無いような気がするが、それだけに暴走されると非常にマズいということだ。

〔ドアが開きます。地下3階です〕

 仕様だからか、超重要機密区域に着いても、エレベーターのアナウンスは変わらない。
 先ほど乗り込んだドアとは反対側のドアが開くと、そこは……ただの小部屋だった。

 高橋:「! どういうことだ!?」
 善場:「慌てないでください。ここはただの附室です」

 といっても、四角い部屋にドアが4つある。
 そのうちの1つはエレベーターのドアだ。
 つまり、左右にドアと前方にドアがある。
 そのうちどれが研究所に行くドアなのかは、大体分かった。
 前方のドアだけ、また電子ロックの装置が付いているし、何より左右のドアにはそれぞれ小さく上の方に『空調機械室』だとか『倉庫』とか書かれている。
 善場主任がまたカードリーダーにカードを当てると、モニタに何かが表示された。

『2020年3月7日、雲羽百三がJR富士宮駅から乗った上条行き路線バスの発車時刻を入力してください』

 ……おい、作者w

 善場:「…………」

 善場さんも困ってる。
 関係者が入力できない問題出すなや!

 善場:「……分かった。あの数字ね」

 善場主任は自分のスマホで上手く検索し、それを入力した。
 まあ、このブログのどこかに答えは書いています。

『認証完了』

 そういう表示が出ると、ドアロックが解除された。

 善場:「お待たせしました。どうぞ、お入りください」

 私達はドアの向こうに行って驚いた。
 そこにあったのは……。

 1:まるでSF映画に出てくるかのような研究施設
 2:ただの地下駐車場
 3:何故かゴミ処理施設
 4:いきなり素掘りのトンネル
 5:よく分からない機械が置かれた機械室
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“私立探偵 愛原学” 「6つのレントラー舞曲」

2020-03-18 16:04:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日06:30.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センター3F宿泊室]

 枕元のスマホがアラームを鳴らす。

 愛原:「うーん……」

 私は手を伸ばしてアラームを止めた。
 すると天井のスピーカーから、大音量のメロディが流れる。

 https://www.youtube.com/watch?v=O9pnwSA8Yhk

 愛原:「2番線、ご注意ください。都営地下鉄浅草線直通、普通車、印旛日本医大行きが参ります……」
 高橋:「第10レースは3連単1-3-7で決まりだぜ……」

 互いに寝言を言う。
 高橋は前者のメロディに対して、私は後者のメロディに対して。

 愛原:「って、時間だ、おい!」
 高橋:「ま、待ってください!まだマークシートが……」
 愛原:「高橋、寝ぼるな!ここは川口オートレースじゃない!終電が来るぞ!印旛日本医大行きだ!」
 高橋:「先生、京急でもないっス!」

 互いに寝ぼける探偵と助手の図w

 愛原:「一体、何なんだ?」
 高橋:「何スかね?」

 私達が起きたのを見計らうようにしてメロディが止まった。

 愛原:「ここは合宿所のようなものだから、全員起床合図だったのか、もしかして?」
 高橋:「くっ!俺がいたネンショー(少年刑務所)とは違いますね!」
 愛原:「当たり前だろ!」

 刑務所じゃあるまいし、刑務官がモーニングコールしてくるわけがない。

 愛原:「ちょっとトイレ行ってくる。お前、先に顔洗ってていいよ」
 高橋:「はい」

 もっとも、私はトイレの洗面所で顔を洗ってこようと思ったがな。
 あそこの洗面台はお湯が出るからちょうどいい。

 愛原:「おーう、リサ。おはよう」
 リサ:「おはよう、先生」

 トイレに行くと、ちょうどトイレから出て来たリサと会った。

 リサ:「先生、『おはようのチュー』」
 愛原:「ははは、さすがリサだなー」

 私は屈んでリサの顔に自分の顔を近づけた。
 リサは第0形態のはずだが、一瞬口元に牙が見えたような気がした。
 犬歯が鋭く尖るのは、第1形態からのはずだが……。

 絵恋:「あーっ、ずるい!リサさん、私には!?私にはーっ!?」

 リサに『おはようのチュー』をしてもらったところを絵恋さんに見られてしまった。
 常識的な意味で騒がれるかと思ったが、絵恋さんは自分にもそれを欲しただけだった。

 リサ:「ん!」

 リサは嫌がらず、絵恋さんにも『おはようのチュー』をしてあげた。

 絵恋:「も、萌えぇぇぇぇぇぇっ!!」

 絵恋さん、朝から悶絶する。

 愛原:「高野君は起きたか?」
 絵恋:「うん。『京急電車がやってくる』っていうメロディ?が流れて起きた」
 愛原:「いや、川口オートレースでも流れてるから、そういう曲名じゃないと思うぞ?」
 絵恋:「川口おーとれーす?」
 愛原:「あ、いや、何でも無い。高橋みたいな奴が行くような場所さ。リサには似合わない」

 もっとも、高橋の話によれば、家族連れも多く見受けられるという。
 『ガラの悪いオッサン達のいるような場所の方が、却って小さいガキ共には安全なのかもっスねぇ』とのこと。
 まあ、昨今のロリペド誘拐犯を見てみると、普段は気が小さくておとなしい人物達らしいから、ああいうガラの悪いオッサンには近づきたくないかもしれない。
 そのオッサン達は自分の車券だけに夢中だろうから、今さら小さい子供になんか興味が無いだろうし。
 結果的に小心ロリペド誘拐犯を退け、かつ子供達には手を出さないという循環が起きているのだろう。

 愛原:「俺も顔を洗うから、取りあえずリサは絵恋さんを担いで部屋に戻るように」
 リサ:「はーい」

 リサは大きく頷くと、悶絶死かかってる絵恋さんを文字通り『担ぎ上げて』部屋に戻って行った。
 私がトイレのドアを開けて中に入った時だった。

 愛原:「!?」

 背後からドサッと何か大きな音が聞こえた。
 そして、

 絵恋:「きゃっ!」

 という絵恋さんの短い叫び声。

 愛原:「どうした!?」

 私が再びトイレから出ると、リサが倒れていた!

 絵恋:「リサさん、どうしたの!?」
 愛原:「リサ、どうした!?」

 すぐにリサは起き上がった。
 リサ自身も何が起きたか分からないといった感じだった。

 リサ:「……何か……急に頭がズキンって痛くなって……気が付いたら、倒れてた」
 愛原:「!?」
 絵恋:「頭が痛いの!?」
 リサ:「今は大丈夫……。本当に一瞬痛くなっただけ……。目の前の景色が一瞬変わって……」

 フラッシュバックか!?
 リサがまだ人間だった頃の記憶が、ふとした拍子に一瞬だけ蘇ることがある。
 リサが日本アンブレラに捕まった時、BOWへ改造されるべく、様々な人体改造を受けさせられたが、当然ながら人間としての記憶も消去された。
 ところが、それが生物の神秘とでもいうのだろう。
 消されたはずの記憶が、何とかして蘇ろうとすることがリサにはある。
 それがフラッシュバックとして現れるのだと。

 愛原:「どんな景色だった!?」
 リサ:「分からない。でも……大勢の人が周りにいた……」

 リサの一瞬だけ蘇った記憶は本当に断片的だ。
 それだけでは何のことかさっぱりであることが多い。
 その景色も白黒であることが多く、音声もある時と無い時が多い。

 リサ:「でも……『京急電車がやってくる』音楽は流れてたような気がする……」
 愛原:「京急の駅のどこかか!?」

 或いは川口オートレース……なわけないか。
 きっと人間だった頃のリサは、京急線沿線に住んでいたのだろう。
 リサが人間だった頃の記録は日本アンブレラが崩壊し、リサがいた研究所も自爆装置によって自爆、全壊・全焼した為に失われてしまった。
 リサの記憶が戻れば、更に日本アンブレラの悪事を告発することができるので、私としては何としてでも突き止めたいところである。

 愛原:「赤い電車とかの記憶はあるか?」

 リサは無言で大きく首を横に振った。
 京急と言えば赤い電車。
 赤は目立つから、子供心にも記憶に残りそうなものだが……。

 絵恋:「リサさん……」
 愛原:「とにかく、部屋に戻るんだ。無理に思い出す必要は無い」
 リサ:「うん……」

 リサは絵恋さんを伴って部屋に戻って行った。
 京急の接近メロディが記憶に残っている。
 これは大きなヒントだ。
コメント (1)
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