[3月4日15:00.天候:曇 神奈川県相模原市緑区 政府機関研修所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
早速私達は政府機関の秘密研究所に到着することができた。
表向きは研修所である。
しかし、ただの研修所の割には厳重な警備であった。
因みに藤野パーキングエリアからは何を思ったか、高野君が運転を代わっている。
高橋は嫌がったが、高野君の凄みと私の決定権行使により、渋々助手席へと移った。
愛原:「ここか……。何か、凄いな」
私が想像していたのとは違う入口であった。
私が想像していたのは、ショッピングセンターの駐車場みたいに駐車券を取る機械と係員のブースがあり、ゲートバーが設置されているというものだった。
しかし実際そこにあったのは、堅く閉ざされた鉄扉であった。
一応、横の看板に『独立行政法人 国家公務員特別研修センター』と書かれていた。
まあ、確かに善場主任はどちらかというと地方公務員ではなく、国家公務員という感じがする。
高橋:「どうやって入るんだ?」
高野:「私達がここに来ることは、中の人達は知ってるんですよね?」
愛原:「そのはずだ。一応資料には、『インターホンを押してください』とある。ちょっと俺が押して来よう」
私はスライドドアを開けて車を降りた。
そして、インターホンを押す。
係員:「はい。国家公務員特別研修センターです」
愛原:「こんにちは。東京から参りました愛原学以下5名です」
係員:「愛原学さんですね。お待ちしておりました。今、門を開けますので……」
すると、重厚な門扉が自動でガラガラと左右に開いた。
これで来訪者は中に入れるわけだが、まだ奥へと入れるわけではない。
入るとすぐ左に警備室らしき建物があり、その前の車道には車止めのポールが立っていて、車が奥へ進むことを拒んでいる。
中から50歳くらいの警備員が出て来た。
ワッペンが地味なものなので、民間委託の警備会社の者なのか、或いは直接雇用の守衛なのかは分からない(民間の警備会社だと、往々にしてワッペンの柄が派手な会社がある)。
もし後者なら、国家公務員ということになる。
警備員:「はい、こんにちはー。東京の愛原さん達ですねぇ?」
愛原:「そうです。善場主任を通して、今日からお世話になる話になっていると思いますが……」
警備員:「ええ、ちゃんと登録が入ってますよ。その前に手荷物検査と入場手続きがあるので、よろしくお願いします」
愛原:「はい」
さすが国の機関。
警備員が更に何人か出て来て、車の中や下を調べ始めた。
警備員:「それじゃですね、鞄の中を見せてもらえますか?」
愛原:「はい」
あっ、しまった!
銃火器持ってたんだ!
これ、どうしよう……?
警備員:「ほほぉ……。M3ショットガンに、ライトニングホーク、更にアサルトライフルに……こりゃ何だ?」
愛原:「あ、あの、許可はありますので!」
私は急いで許可証を出した。
警備員:「さすがは民間人ながらバイオハザード事件を何度も潜り抜けた方々でありますなぁ」
愛原:「よく御存知で……」
警備員:「もう愛原さん達は有名人ですよ」
愛原:「ええっ?その割には仕事量が、今は少ないんですけどねぇ……」
絵恋:「こ、この中は見ないでください!」
絵恋さんがポーチの中を開けるのを拒んでいる。
高野:「この中には生理用品とか入ってるんで、あんまり男性の方々には……困るんですよね」
警備員:「こちらとしても、規則なんでねぇ……」
愛原:「女性の警備員さんはいないんですか?」
警備員:「あいにくと男所帯でして……」
愛原:「刑務官や自衛官には女性もいるのにねぇ……。なあ、高橋?」
高橋:「男のムショに、女の看守がいるわけないじゃないスか」
愛原:「女囚刑務所には、一応男の刑務官もいるのにねぇ……」
女囚達が夜叉と化すので、男性刑務官には非モテのキモヲタや定年間近の年配者を配置するらしい。
警備員:「しょうがない。検査拒否の手荷物に関しては、X線を通すんだ」
どうやら最初に応対した警備員が責任者クラスらしい。
愛原:「こうやって銃は堂々と検査に回してるんですから、今さら怪しい物なんて入ってないと思いますけどね」
警備員:「いや、私もそう思うんですが、何しろ規則なんでねぇ……」
ポーチなどに関してはX線を通し、特に怪しい物は無いと判明した。
警備員:「はい、ご協力ありがとうございました」
警備員が警備室に向かって手を上げると、プシューッとエアが抜ける音が響いた。
すると、車止めのポールが地面の中に下がって行った。
警備員:「それじゃですね、この奥に駐車場があります。駐車場の前にある建物が本館になります。中に受付がありますので、これを持ってビジターカードをもらってください」
警備員は私が書いた来訪者シートの控えを渡した。
これがこの警備室で、来場受付をしたという証拠なのだろう。
愛原:「よろしくお願いします」
私達は車に乗り込んだ。
再び高野君が車を発進させる。
高橋:「もしもあのまま強行突破してたら、どうなってたんスかね?」
高橋が後ろを振り向いて言った。
愛原:「どうもしないだろ。車止めのポールが立ってるんだから、車は前に進めない」
高橋:「いや、車は置いて、このまま奥へダッシュしたらですよ」
愛原:「そりゃ、中から警備員達が出て来て追い掛けられるだろうよ。で、捕まってタイーホだ」
高橋:「逮捕っスか?!」
愛原:「当たり前だろう。不法侵入ってことなるんだから。多分あの警備員達、警備会社の警備員じゃなくて、ここの機関で直接働いている守衛さんだぞ?つまり、国家公務員だ。そういった不法侵入者は逮捕して取り調べる権限くらいはあるかもしれないぞ?」
警備会社の警備員も、この場合は逮捕権限はあるものの、取り調べの権限は無いので、逮捕したらすぐに警察に引き渡さなければならない。
愛原:「つまり高橋、お前が昔お世話になった刑務官と同じ立場の人達ってことだよ」
高橋:「くっ……」
もっとも、少年院の場合は刑務官とは言わず、矯正官とか言うんだっけか?
いや、私は少年院どころか、鑑別所の世話にすらなったことは無いからよく分からんけど。
私達は車を駐車場に止めて、早速本館へと向かった。
駐車場には関係者らしき車が数台しか止まっておらず、本館は静まり返っていて、本当に誰かいるのかと思うくらいだった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
早速私達は政府機関の秘密研究所に到着することができた。
表向きは研修所である。
しかし、ただの研修所の割には厳重な警備であった。
因みに藤野パーキングエリアからは何を思ったか、高野君が運転を代わっている。
高橋は嫌がったが、高野君の凄みと私の決定権行使により、渋々助手席へと移った。
愛原:「ここか……。何か、凄いな」
私が想像していたのとは違う入口であった。
私が想像していたのは、ショッピングセンターの駐車場みたいに駐車券を取る機械と係員のブースがあり、ゲートバーが設置されているというものだった。
しかし実際そこにあったのは、堅く閉ざされた鉄扉であった。
一応、横の看板に『独立行政法人 国家公務員特別研修センター』と書かれていた。
まあ、確かに善場主任はどちらかというと地方公務員ではなく、国家公務員という感じがする。
高橋:「どうやって入るんだ?」
高野:「私達がここに来ることは、中の人達は知ってるんですよね?」
愛原:「そのはずだ。一応資料には、『インターホンを押してください』とある。ちょっと俺が押して来よう」
私はスライドドアを開けて車を降りた。
そして、インターホンを押す。
係員:「はい。国家公務員特別研修センターです」
愛原:「こんにちは。東京から参りました愛原学以下5名です」
係員:「愛原学さんですね。お待ちしておりました。今、門を開けますので……」
すると、重厚な門扉が自動でガラガラと左右に開いた。
これで来訪者は中に入れるわけだが、まだ奥へと入れるわけではない。
入るとすぐ左に警備室らしき建物があり、その前の車道には車止めのポールが立っていて、車が奥へ進むことを拒んでいる。
中から50歳くらいの警備員が出て来た。
ワッペンが地味なものなので、民間委託の警備会社の者なのか、或いは直接雇用の守衛なのかは分からない(民間の警備会社だと、往々にしてワッペンの柄が派手な会社がある)。
もし後者なら、国家公務員ということになる。
警備員:「はい、こんにちはー。東京の愛原さん達ですねぇ?」
愛原:「そうです。善場主任を通して、今日からお世話になる話になっていると思いますが……」
警備員:「ええ、ちゃんと登録が入ってますよ。その前に手荷物検査と入場手続きがあるので、よろしくお願いします」
愛原:「はい」
さすが国の機関。
警備員が更に何人か出て来て、車の中や下を調べ始めた。
警備員:「それじゃですね、鞄の中を見せてもらえますか?」
愛原:「はい」
あっ、しまった!
銃火器持ってたんだ!
これ、どうしよう……?
警備員:「ほほぉ……。M3ショットガンに、ライトニングホーク、更にアサルトライフルに……こりゃ何だ?」
愛原:「あ、あの、許可はありますので!」
私は急いで許可証を出した。
警備員:「さすがは民間人ながらバイオハザード事件を何度も潜り抜けた方々でありますなぁ」
愛原:「よく御存知で……」
警備員:「もう愛原さん達は有名人ですよ」
愛原:「ええっ?その割には仕事量が、今は少ないんですけどねぇ……」
絵恋:「こ、この中は見ないでください!」
絵恋さんがポーチの中を開けるのを拒んでいる。
高野:「この中には生理用品とか入ってるんで、あんまり男性の方々には……困るんですよね」
警備員:「こちらとしても、規則なんでねぇ……」
愛原:「女性の警備員さんはいないんですか?」
警備員:「あいにくと男所帯でして……」
愛原:「刑務官や自衛官には女性もいるのにねぇ……。なあ、高橋?」
高橋:「男のムショに、女の看守がいるわけないじゃないスか」
愛原:「女囚刑務所には、一応男の刑務官もいるのにねぇ……」
女囚達が夜叉と化すので、男性刑務官には非モテのキモヲタや定年間近の年配者を配置するらしい。
警備員:「しょうがない。検査拒否の手荷物に関しては、X線を通すんだ」
どうやら最初に応対した警備員が責任者クラスらしい。
愛原:「こうやって銃は堂々と検査に回してるんですから、今さら怪しい物なんて入ってないと思いますけどね」
警備員:「いや、私もそう思うんですが、何しろ規則なんでねぇ……」
ポーチなどに関してはX線を通し、特に怪しい物は無いと判明した。
警備員:「はい、ご協力ありがとうございました」
警備員が警備室に向かって手を上げると、プシューッとエアが抜ける音が響いた。
すると、車止めのポールが地面の中に下がって行った。
警備員:「それじゃですね、この奥に駐車場があります。駐車場の前にある建物が本館になります。中に受付がありますので、これを持ってビジターカードをもらってください」
警備員は私が書いた来訪者シートの控えを渡した。
これがこの警備室で、来場受付をしたという証拠なのだろう。
愛原:「よろしくお願いします」
私達は車に乗り込んだ。
再び高野君が車を発進させる。
高橋:「もしもあのまま強行突破してたら、どうなってたんスかね?」
高橋が後ろを振り向いて言った。
愛原:「どうもしないだろ。車止めのポールが立ってるんだから、車は前に進めない」
高橋:「いや、車は置いて、このまま奥へダッシュしたらですよ」
愛原:「そりゃ、中から警備員達が出て来て追い掛けられるだろうよ。で、捕まってタイーホだ」
高橋:「逮捕っスか?!」
愛原:「当たり前だろう。不法侵入ってことなるんだから。多分あの警備員達、警備会社の警備員じゃなくて、ここの機関で直接働いている守衛さんだぞ?つまり、国家公務員だ。そういった不法侵入者は逮捕して取り調べる権限くらいはあるかもしれないぞ?」
警備会社の警備員も、この場合は逮捕権限はあるものの、取り調べの権限は無いので、逮捕したらすぐに警察に引き渡さなければならない。
愛原:「つまり高橋、お前が昔お世話になった刑務官と同じ立場の人達ってことだよ」
高橋:「くっ……」
もっとも、少年院の場合は刑務官とは言わず、矯正官とか言うんだっけか?
いや、私は少年院どころか、鑑別所の世話にすらなったことは無いからよく分からんけど。
私達は車を駐車場に止めて、早速本館へと向かった。
駐車場には関係者らしき車が数台しか止まっておらず、本館は静まり返っていて、本当に誰かいるのかと思うくらいだった。