報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「ドタバタ、バレンタインデー」

2020-03-03 19:50:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月14日08:00.天候:晴 東京都墨田区内某所 東京中央学園隅田中学校]

 リサは1人で登校した。
 昇降口の下駄箱で上履きに履き替えようとすると……。

 斉藤絵恋:「お、おはよう。リサさん」
 リサ:「おはよう、サイトー」
 絵恋:「き、今日は、いい天気ね」
 リサ:「うん」

 何故か緊張した面持ちでリサに話し掛ける絵恋。

 絵恋:「き、今日は何の日か……知ってる?」
 リサ:「! うん、知ってる!バレンタインデー!」
 絵恋:「そう!そ、それでね、わ、私……」

 絵恋が言い終わらないうちに、リサが自分の上履きが入ったシューズボックスの扉を開けた時だった。
 ドサドサッとリサ宛てのチョコレートが大量に落ちて来たのだった。

 リサ:「おー!これは私への御供養?!
 絵恋:「くっ!皆、余計なことを……!

 そして教室に入ったリサ。
 早速、下駄箱に入っていた自分への御供養を机の上に並べて鑑賞する。
 今すぐ食べないのは、この学校では基本的に、弁当や調理実習及び部活動などで使う以外の食品の持ち込みが禁止されているからだ。
 部活動で食品を使うのは家政部や茶道部があり、それに配慮したものだろう。

 絵恋:(本当は私がイの1番にリサさんにチョコを渡すはずだったのに……!)

 しかし絵恋、めげずにリサの席に向かう。
 が!

 女子生徒A:「はい、リサさん、友チョコ。この前は宿題教えてくれてありがとう」
 リサ:「おー!」
 女子生徒B:「私からも友チョコ!この前は掃除当番代わってくれてありがとう!」
 リサ:「おー!」
 女子生徒C:「私も!」
 女子生徒D:「ウチも!」
 女子生徒E:「小生も!」
 女子生徒F:「我も!」
 絵恋:「んなっ……!」

 遠巻きに見ているしかなかった絵恋だが、その人だかりがようやく消えた時には始業のチャイムが鳴っていたという。

 絵恋:「こ、今度こそは……!」

 1時限目の授業が終わった後で、今度こそはと絵恋、リサの席に向かう。
 今度は邪魔者は現れなかった。
 ……はずだった。

 男子生徒A:「いやー、愛原さん、凄い人気でヤンスねー!」
 リサ:「うん。チョコをタダでくれるなんてサイコー」
 男子生徒B:「その代わりホワイトデーのお返しが大変だなー。でさぁ、ホワイトデーって知ってる?」
 リサ:「ほわいとでー?」
 男子生徒A:「ちょっとちょっと、帰国子女の愛原さんに日本の文化はハードモードでヤンスよ」
 男子生徒B:「ホワイトデーっつーのは……」
 絵恋:「あー、ちょっとちょっと!これ以上、リサさんに近づかないでくださる?」
 男子生徒B:「あ?何だよ、斉藤?」
 絵恋:「男クサイ臭いがリサさんに染み付いたら気持ち悪くてしょうがないわ」
 男子生徒B:「あ?何だと、コラ」
 絵恋:「うっさいわね!さっさとどっか行きなさいよ!」

 ピッカーッ!(絵恋の広いおでこからサーチライト発射!)

 男子生徒B:「うおっ、まぶしっ!」
 男子生徒A:「B君、このままでは照射殺されるでヤンスよ!ここは退散でヤンスよ!」
 男子生徒B:「覚えてやがれ、斉藤!」

 男子生徒2人、慌てて教室の外に避難。

 絵恋:「全く。学校でリサさんをナンパなんてサイテーね。鏡見て来なさいっての。大丈夫だった?リサさん?」
 リサ:「うん」
 絵恋:「良かった。これ、私からもチョコ」
 リサ:「おー!サイトー、ありがとう!サイトーも友チョコ?」
 絵恋:「友……ッ!?ち、違うの!こ、ここ、これは……そ、そそ、その……ほ、本命……」
 リサ:「まあいいや。サイトーのチョコ、食べてみてもいい?」
 絵恋:「え?……しょ、しょうがないわね。、もうすぐ休み時間終わるから、先生が来る前に試食するだけね」
 リサ:「うん」

 絵恋が持ってきたチョコレートは、小さいチョコレートが1つ1つ包装されたものだった。
 絵恋はそのうちの1つを取ってあげた。

 絵恋:「はい、どうぞ」
 リサ:「はーむっ!」
 絵恋:「ええっ!?」

 リサ、絵恋の手ごと口に入れる。

 絵恋:「も、萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 教室どころか、学校中に絵恋の悶え声が響き渡ったことは言うまでもない。

 男子生徒C:「先生!斉藤さんが悶絶して気絶しました!」
 男子生徒B:「センセー、イジメでーすw 斉藤が愛原さんイジメてましたーw」
 男子生徒D:「いや、違う!気絶したのは斉藤の方だ!」
 女子生徒G:「愛原さん、何したの?」
 リサ:「分かんない。全然分かんない」

 この後、斉藤絵恋は保健室へ直行。
 午前中の授業は全て休んだとのことである。

[同日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 帰宅したリサは早速学校でもらった友チョコを食い漁っていた。

 高橋:「ったく、友チョコとはな。浮かれやがって」
 リサ:「お兄ちゃんも普通のチョコなら、愛原先生受け取ってくれたと思う」
 高橋:「うっせーな。先生にフツーのチョコなんて失礼だろーが!」
 リサ:「お兄ちゃんは愛原先生の御心が分かっていない……」
 高橋:「あ!?何か言ったか!?マグナム撃ち込むぞ!」
 リサ:「ううん、別に」
 高橋:「ったく!……俺はそろそろ夕飯の材料買いに行って来っから。今日は先生、早めにお帰りだそうだ」
 リサ:「今日も仕事の依頼無かった?」
 高橋:「そういうことは、先生の前で言うなよ!?思いっきりヘコまれるから!」
 リサ:「はーい」

 高橋は買い物をしに部屋を出て行った。
 愛原が帰って来るまでの間、リサは学校でもらったチョコを全部食べてしまった。

 リサ:「もっと食べたい……。チョコ……チョコ……」

 リサは第1形態の『鬼娘』の姿になっているせいか、食欲が旺盛のようだ。
 もちろん学校では第0形態の『人間』の姿になっている。
 それでもBOWの特性か、身体能力については意識して隠さないといけないくらい強いものであるが。
 リサは家中を家探しするかのようにチョコレートを探し回った。
 すると、キッチンの収納の奥に見つけた。
 大きなハート形のチョコレートである。

 リサ:「おー!

 リサは早速中を開けて食べ始めた。
 3分の1ほど食べたところで、愛原が帰って来る。

 愛原:「ただいまァ」
 リサ:「お帰りなさい」
 愛原:「高橋は?」
 リサ:「買い物に行った」
 愛原:「そっか。リサ、おやつの時間か?」
 リサ:「うん。友チョコ」
 愛原:「ほー、友チョコか。最近の中学生はマセてるなぁ。俺はせいぜい、高野君から義理チョコをもらったくらいか」
 リサ:「はい、先生も食べる?」

 リサは食べかけのチョコを愛原に差し出した。

 愛原:「お、リサも俺にくれるのか?」
 リサ:「うん!」
 愛原:「じゃあ、一口だけ」

 愛原はリサが齧った部分を一口齧った。

 愛原:「んっ!?」

 すると愛原の調子が突然おかしくなった。
 まるで急に発熱したかのようだ。

 リサ:「先生?大丈夫?」
 愛原:「あ……うん」

 しかし愛原の顔が真っ赤である。

 愛原:「リサ、このチョコって……!?」
 リサ:「そこにあった」

 リサがキッチンを指さす。
 どうやら愛原には見覚えがあったようだ。
 そう、今朝高橋が渡そうとしてきたチョコにそっくりだと!

 愛原:「やっちまったーっ!くっそー!……り、リサ。俺、ちょっと具合悪くなったみたいだから、ちょっと部屋で寝てるな」
 リサ:「うん」

 愛原は自分の部屋に入ってしまった。

 リサ:(何かあった?)

 リサが首を傾げていると、高橋が帰って来た。

 高橋:「お、先生はお帰りなったのか?」
 リサ:「うん。具合悪いからって寝てる」
 高橋:「な、何だってー!?」

 高橋、買い物袋を床に放り投げると、愛原の部屋に飛び込んだ。

 高橋:「先生、大丈夫っスかーっ!?」
 リサ:「お兄ちゃん、慌て過ぎ」

 リサが代わりに食材をしまっていく。
 そんなことをしていると、愛原の部屋から怒号が聞こえて来た。

 愛原:「高橋!テメェ、フザけんなぁーっ!」
 高橋:「うぎゃあああああああっ!!」

 種明かしをすると、リサが平気だったのは、リサはBOWだったからというのは言うまでもない。
 愛原がすぐに治ったのは、愛原はリサが齧った所を齧った。
 つまり、間接キスのような形になり、リサの唾液が愛原の口に入ったことで、愛原もまたチョコレートの媚薬効果を無効化することができたのである。
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“愛原リサの日常” 「愛原以外の視点で書く時はこれ」 

2020-03-03 16:03:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月5日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 愛原が所用で留守にしている間、事務所に残るのは助手にして住み込みの弟子である高橋正義と事務員の高野芽衣子。
 そこへ学校が終わったリサがやってくる。

 リサ:「ただいまー」
 高野:「あら、リサちゃん。いらっしゃい」
 リサ:「家に帰っても誰もいないから、こっちに来た」
 高野:「まあ、先生も協会支部に行っちゃったもんね。今日は斉藤さんは一緒じゃないのね」
 リサ:「サイトー、今日は空手の稽古があるから来れない」
 高野:「そう。大企業家の御嬢様なのに、自分の身は自分で守るって偉いよね」

 と、そこへ奥から高橋の話し声が聞こえてくる。
 どうやら知り合いと電話しているようだ。

 高橋:「それ、マジパなくね?いや、マジパねぇって。いやマジマジ。いや、それパねぇ話だから、そんな大声で言うなって。あー、そうだって。パねぇって」

 自分の机に座り、私用のスマホで友人と話をしているようだ。

 リサ:「あれなに?」
 高野:「マサみたいなチャラ男がよく喋る魔法の言葉だね。ああいう輩にはああいう言葉だけで大抵いけるから、覚えておくといいかもね」
 リサ:「おー、魔法の言葉!」
 高橋:「いや、確かに俺もパねぇけどさ、オメーの方でパねぇって」
 リサ:「マジパネェ……」

 ここに今、上級BOWリサ・トレヴァー(人間名:愛原リサ)の頭脳に新しい言葉がインストールされた。

[2月6日08:00.天候:晴 東京都墨田区内某所 東京中央学園墨田中学校]

 普通に登校するリサ。

 男子生徒:「なあなあ、愛原!このマンガ、メッチャ面白いぞー!?読んでみー!?」

 クラスの男子生徒がマンガ本をリサに持ってくる。
 校則的にどうかと思われるが、東京中央学園は比較的自由な校風で知られている(その割に制服はある)。

 リサ:「おー!マジパネェ

 2時限目の休み時間には……。

 女子生徒:「ねぇねぇ、愛原さん!これ、どう?メッチャ可愛くない!?」

 クラスの女子生徒が買ったばかりのシュシュを見せてくる。

 リサ:「おー、マジパネェ

 昼休みには……。

 斉藤絵恋:「ねぇねぇ、リサさーん
 リサ:「サイトー、マジパネェ……」

 昼休みが終わって最初の授業。
 担任教師の教科なので、担任がやってくる。

 担任教師:「よーし!それじゃ授業始める……ぞ?」

 マジパネェ……マジパナクネ……マジパネェ……マジパネェ……

 担任教師:「な……!?」

 リサが起こした『バイオハザード』により、クラス全員が『マジパネェ』ウィルスに感染した!
 そして、担任も……。

 担任教師:(な、何だこれ?マジパなくね!?)

[2月14日02:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 愛原もリサも寝静まった頃、1人キッチンで何かを作る高橋。
 材料を見ると、どうやらそれはチョコレートのようだった。

 高橋:「日付は変わっちったが、今日はバレンタイン。今年こそは、先生に俺の気持ちをぶつける!さて、あとは最終兵器……歌舞伎町でイラン人をボコし、その辺仕切ってたヤクザをボコし、そして最後に歌舞伎町のホストをボコして手に入れた、この最終兵器!“惚れ薬”!いよいよ、投入だ!」

 高橋、本当に怪しい小瓶の中の液体を鍋の中に投入する。

 高橋:「ふふふふふ……!ふははははははははは!はーっはっはっはっはっはーっ!」

 高橋のBOWに勝るとも劣らない不気味な笑い声が響いたという。

[同日07:45.天候:晴 同マンション]

 普通に起きて来た愛原とリサ。
 普通に朝食を食べ終わる。
 リサはテレビを観ていた。

〔「今日は待ちに待ったバレンタインデーです!今日はここ渋谷のセンター街で、どんなチョコを渡すのがインタビューしてみたいと思います!〕

 リサ:「ねぇねぇ、愛原先生」
 愛原:「ん、何だ?」
 リサ:「今のテレビ、『ばれんたいんでー』ってなに?」
 愛原:「あー、もうそんな時期なのか。好きな人にチョコを送る日のことだよ、簡単に言えば」
 リサ:「おー、チョコ!」

 すると高橋、この話題が出るのを待ってましたとばかりに耳を大きくすると、スススッと愛原の所へすり寄った。

 高橋:「先生、どうぞ!ハッピーバレンタインです!」

 高橋、ハート形の大きなチョコレートを愛原に渡す。

 愛原:「…………」

 愛原、無言で高橋からのチョコレートを受け取った。

 高橋:「ど、どうっスか!?」(;゚∀゚)=3

 高橋が鼻息を荒くしてくる。
 すると愛原は俯き加減になって言った。

 愛原:「高橋、お前に1つ言っておくことがある」
 高橋:「は、はい!」
 愛原:「探偵に必要なもの。それは、『信用』だ。探偵はクライアントに『信用』されて、初めて仕事が受けられる。そしてその『信用』を維持したまま仕事を終えることで、更なる『信用』が積み重なって行き、それがやがて大きな仕事を得られることに繋がるんだ」
 高橋:「め、メモっておきます!」
 愛原:「話はまだ終わっていないぞ。だがもし、その『信用』を失ってしまったらどうなると思う?全てがパーだ。このたった2文字を失うだけで、もうこの探偵の仕事はできなくなる恐れがある。それくらい重要なことなんだ。いいな?分かるな?」
 高橋:「は、はい!」
 愛原:「それを踏まえた上で、お前に1つ質問をする。しっかり考えて答えろ」
 高橋:「お、俺は先生にどこまでも付いていきます!地獄の果ての果てまでも!」
 愛原:「そういうことじゃない。このチョコレートのことだ。俺はお前を『信用』して、今からこのチョコレートを食べても大丈夫なんだな?」

 愛原、高橋の目を見据えながらズイッと迫る。

 愛原:「『信用』というたった2文字を失うだけで、全てを失うこともあるが……どうなんだ?」
 高橋:「え、えっとぉ……ですね……」

 高橋、冷や汗をダラダラ流して愛原のチョコレートを回収した。

 高橋:「こ、ここ、これっ!ちょちょ、ちょ、ちょっと失敗したかもしんないっス!こ、この俺としたことが!マジパなくサーセン!」
 愛原:「素直でよろしい。じゃ、俺は先に事務所に行ってるから。片付けしてから来いよ」
 高橋:「は、はい!行ってらっしゃいっス!」
 リサ:「私も学校行く」

 高橋、汗を拭きながら愛原とリサを見送る。

 高橋:「くっそ!アラブ原産の媚薬まで使ったのにぃっ!」

 で、エレベーターに乗った愛原とリサは……。

 愛原:「ったく!俺が何も知らねぇとでも思ってんのかよ、あいつ……」
 リサ:「はー……」

 公判……もとい、後半へ続く!
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