報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「最終日の実験」

2020-03-26 11:43:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日09:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 (独)国家公務員特別研修センター1F女子トイレ→B3F研究施設]

 被験者の少女A:「ぎゃああああああああ!痛い痛い!痛いよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 被験者の少女B:「もう嫌……!おうち……帰して……」
 被験者の少女C:「…………」(完全に呆然自失となっており、何をされても全く反応しない)

 リサ:「…………」

 リサは過去に旧アンブレラの研究所で受けた凄惨さを極める非人道的な実験を思い出していた。

 絵恋:「リサさん、ごめんね……」
 リサ:「いい。気にしないで」
 絵恋:「おしっこがね、止まらないの……」
 リサ:「そういうこともある。最初のうちは体がおかしくなる。私もそうだった」
 絵恋:「リサさんがいてくれて良かった」
 リサ:「サイトーは……何かの実験を受けた?」
 絵恋:「受けてないわ。受けてない……はず」
 リサ:「私は何度も受けたけどね。それでこんな体になったわけだけど」

 それはリサだけでなく、愛原達もそう思っている。
 リサはBOWになる為の実験を受け、改造されて今に至る。
 しかし絵恋には、そのような経緯は一見して見当たらない。
 にも関わらず、絵恋がBOWと化したのは何故か?
 単なる『感染』なら、もしかしたらどこかであったかもしれない。
 しかしこちらの研究施設の検査では、明らかに『人為的な改造』の痕があるのだという。

 絵恋:「お待たせ」
 リサ:「もういい?」
 絵恋:「うん。何とか、おしっこ止まった」
 リサ:「すぐに喉が渇く。後で水をもらって」
 絵恋:「うん。よく知ってるね?」
 リサ:「そういう症状が出たコを私は……うぅう……」

 リサはついに泣き出した。

 絵恋:「リサさん!?」
 リサ:「早く行こ……っく」

 リサはなるべく泣くのを堪えようとしていた。

 高野:「もう大丈夫?」
 リサ:「うん」

 トイレの外では高野が待っていた。

 高野:「皆は先に研究所に行ってる。私達も行きましょう」
 リサ:「うん……」
 高野:「気持ちは分かるけど、このままだと絵恋さんは暴走してしまう。それを防ぐ為にも、研究所に行かないといけないのよ」
 リサ:「分かってる……」

 3人はエレベーターに向かった。

〔下に参ります〕

 高野が反対側のドアの横に付いているカードリーダーにカードを当てる。
 すると、注意書きの下に隠された地下3階へのボタンが点灯した。

〔ドアが閉まります〕

 ドアが閉まって、エレベーターがゆっくりと下に下りる。

 絵恋:「喉が渇いたわ……」
 リサ:「早くお水を!」
 高野:「分かったわ」

 高野は手に持っていたトートバッグの中に入っていた2リットル入りのペットボトルを渡した。

 絵恋:「!」

 絵恋はそれを奪うように取ると、すぐに蓋を開けてラッパ飲みした。
 それを悲しそうな顔をして見るリサ。
 恐らく、このような症状が出た実験体の少女の末路を見たことがあるのだろう。

〔ドアが開きます。地下3階です。上に参ります〕

 ドアが開くと、殺風景な附室に出る。
 そこから外に出ると、地下駐車場に愛原達がいた。

 愛原:「もう大丈夫なのか?」
 高野:「今のところは」
 善場:「カードを返してください。急ぎましょう。時は刻一刻を争います」
 絵恋:「まだ足りない……!もっと飲みたい……!」
 リサ:「! 先生、サイトーにもっと水を飲ませてあげて!」
 愛原:「え、えっと……!」

 愛原は水道を探したが、都合良くそんなものはない。

 愛原:「こうなったら!」

 駐車場内にある自動販売機コーナーで、ペットボトルの水を買った。

 愛原:「ほら!」
 リサ:「多分これ一本だけじゃ足りない」

 リサが絵恋にペットボトルを渡した時、絵恋の両目の瞳が赤く鈍く光っていた。

 リサ:「このままだと、今度は生きた人間の血が欲しくなって……しまうの……!」

 リサはまた涙を流しながら言った。

 善場:「! 今、何て言ったの!?」
 リサ:「私が知ってる限り……サイトーと同じ症状が出たコは、今度は生きてる人間の血を欲しくなってしまって……」
 善場:「……!」

 善場は何か思い当たる節があるのだろうか。

 善場:「急いでこっちに来て!」

 善場はリサと絵恋を研究所の奥に連れて行った。

 愛原:「善場主任、一体どこに!?」
 守衛:「ちょっと!ここから先は職員のIDが無いと入れません!」

 レセプションから先の研究施設に善場は入れたが、愛原達は止められた。

 リサ:「愛原先生達、止められたよ!?」
 善場:「今はそれどころじゃないの!」
 絵恋:「まだ足りない……足りない……!」
 リサ:「サイトー、我慢して!このままだと、本当に『吸血鬼』になっちゃう!」
 善場:「緊急です!至急、アレをお願いします!」

 善場はとある部屋に駆け込むと、中にいた職員に言った。

 善場:「リサさんはこっちへ!」
 絵恋:「血が……血が欲しい……!」
 リサ:「サイトー!」

 絵恋とリサは引き離された。

 リサ:「サイトーは!?サイトーはどうなるの!?殺しちゃうの!?」
 善場:「今はそんなことしないから安心して!」

 何か研究所の廊下をぐるっと一周したような気がする。
 そして、最後のドアを通ると……。

 善場:「愛原所長!お待たせしました!」
 愛原:「おっ、善場主任!いきなりでびっくりしましたよ」
 善場:「緊急だったのです。申し訳ありません」
 高野:「ま、斉藤さんのあの様子じゃね。BSAAなら殺処分してたかもね」

 この中では高野が一番冷静だ。

 善場:「さすがは日本の『エイダ・ウォン』ですね。この状況が一番理解できていらっしゃるようです」
 高野:「だから違うって言ってるでしょ」
 愛原:「一番状況が理解できていない私の為に、最初から説明しては頂けないでしょうか?」
 善場:「もちろんそのつもりです。受付係、『ビジタータグ』を4つちょうだい」
 受付係:「かしこまりました」

 リサ達は昨日着けたのと同じリストタグを渡された。

 善場:「これで大丈夫です。行きましょう」

 今度は守衛に止められることはなかった。
 職員タグを持った者の先導であれば、ビジタータグでも入れるらしい。
 私達はリサ達が向かった研究室エリアではなく、会議室のある事務室エリアへと誘導された。

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2020-03-26 13:07:55
https://news.goo.ne.jp/topstories/politics/329/93742edba0e84534348eca7aa97edef4.html?fr=RSS

 私、明日は24勤務なんだが?
 何だね?明日の朝の通勤電車はガラガラになるのか?
 そのうちJRが、「そういうわけで、平日だけど暫くの間は休日ダイヤで運行しまーすw」とか言い出さないだろうか。
 ん?地元の路線バス?
 最悪、『年末年始ダイヤで運行しまーすw』とか言い出したりして?
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