報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「ケンショーブルー」

2014-08-27 21:52:51 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月19日19:00.廃ホテル“シークルーズ”1Fプロムナードのバー“スター・オーシャン” ケンショーブルー]

「プロムナードに立てこもったのは正解だったぜ、ああっ!?思った通り、開けてねぇ酒やら缶詰やら沢山あって功徳だぜ、ああっ!?」
 ホテルが廃業して何年も経っているというのに、何を言っているのだろうか。
 しかしブルー、気にせず、埃被ったワインの瓶を開ける。
 ……なるほど。ワインなら、ワインセラーに長年保存されていても大丈夫か。
「……ヒック!1991年もののワイン、最高だぜぇ!ああっ!?ソッカー破門の年だぜっ、ああっ!?コクが効き過ぎて功徳だぜぇ……!」
 ワインはともかく、20年前の缶詰まで酒の肴にしてしまうブルー。恐るべし!
「ん?何だこりゃ?」
 ブルー、何かを拾い上げる。銃だった。ライフルである。
「おおっ!やったぜ!これで化け物もテロリストもブッ殺せて功徳だぜ!」

 トントン。(背後から肩を叩かれるブルー)

「あ?何か用か、ああっ?」
「ウウ……」
 振り向くと、クリーチャーロボがいた。
「…………」
 目が点になるブルー。
 しかし、
「うわあっ!くくく、来るなっ!ああっ?!」

 ズダーン!ズダーン!(慌てて引き金を引く。至近距離ということもあって、弾はクリーチャーの頭に命中)

「ウアア……!」
 頭から火花を吹き散らし、ズフズブに崩れ落ちるも、ボンッ!と爆発し、白いドロドロの液体をまともに被ったブルーだった。
「……罪障消滅だぜ。ああっ?グリーン以上にイカ臭いぜ。ああっ?……ん?何だこれ?」
 ブルー、今度は鍵を拾った。

[同日20:00.同ホテル、コントロールセンター入口前→エントランスホール 敷島孝夫、アリス・シキシマ、キール、エミリー]

 コントロールセンターに向かった敷島達だったが、引き返さざるを得なかった。
 何故なら、コントロールセンターに向かう階段があると思われるドアは施錠されており、そのドアには貼り紙がしてあったからだ。

『この先、コントロールセンターにつき、関係者以外立ち入り禁止。鍵が御入用の方はプロムナードのいつもの店まで御足労を。 コントロールセンター室長』
 とのこと。

「結局、プロムナードに行かなきゃいけないのね」
 アリスはめんど臭そうに頭をかいた。
「いっそのこと、エミリーに無理やりこじ開けてもらうっていう手があるぞ?」
「それは危険ですね。ややもすると、セキュリティが入っていて、こじ開けたらそのシステムが作動する恐れがあります」
 敷島の乱暴な言葉に、キールが冷静に答えた。
「いいんじゃないの?テロリストもいることだし、警察に通報が行っても」
 更に言う敷島。
「いえ。警察ではなく、ドクター・ウィリーが仕掛けた罠が作動するかもしれないと申し上げているのです」
「……じー様ならやりかねないね。アタシが子供の頃、無理やり研究所に突入してきたFBIを一網打尽にしてた気がする」
「うへー……。なんつージジィだ」
 敷島は呆れた。
「だから、キールの言う事が正しいと思うわ」
「へーへー」
 エミリーは右腕をマシンガンに変形させながら、プロナードに続く扉の舵輪型の取っ手を回した。

[同日20:15.同ホテル、プロムナード 敷島、アリス、キール、エミリー]

 プロムナードにある飲食店街は、当然ながらほとんどの店舗がシャッターを下ろしている。
「どこにテロリストがいるかも分からん。気をつけろよ?」
「イエス」
 エミリーとキールは互いの片目をオレンジや緑に光らせ、周囲をスキャンしていた。
 オレンジや緑というのは、見る角度によって光の色が変わるということだ。
「……この展開、思い出した。今、MEIKOとKAITOが出ているドラマによく似てる」
「あの、ゴーストシップと化した豪華客船内でのホラーアクションのこと?」
 敷島の言葉に、アリスが反応した。
「ああ。確か、ドラマの時もプロムナードに鍵を探しに行くシーンがあって、そこで中ボスと戦うんだよ。ウィルスに感染したんだけど、なまじっか耐性があった為に、却ってもっと変な化け物に変化してしまったっていう……」
「ふーん……」
「そいつは化け物でありながら銃を扱えるヤツで、いきなり発砲してくるんだよ」
 敷島がそう言った時だった。
「危ない!敷島さん!」
 エミリーが敷島の前に立ちはだかった。

 ズダーン!(ライフルが発砲される音)
 キンッ!(エミリーが左手で弾を弾いた)

「うわっ!?」
「誰だ!」
 エミリー、弾が発射された方をスキャンする。
「死にさらせ!テロリスト共がーっ!」
「うわっ!?ドラマのクリーチャーみたいだ!」
 白い液体や赤いオイルが付着したままのブルーは、まるで新手のクリーチャーのようだ。
「くっ……!」
 エミリーは急いで武器を入れ替えた。
「何やってんだ、エミリー!?」
「生物反応が・あります。実弾は・使えません」
「何を甘っちょろいこと言ってんだ、お前は!相手は武装テロリストのクリーチャー化したヤツだぞ!?模擬弾なんか使うな!」
「ああっ!?テメーらこそ、ケンショーに敵対する謗法テロリストだろうが!ああっ!?」
「ケンショー!?何のこっちゃ!?」

 ズダダダダダダダダダダダダダダダ!(エミリー、模擬弾を装填したマシンガンでブルーに集中砲火)

「いでででででで!」

 ズダーン!
 キーン!ガッシャーン!(エミリーの攻撃で、誤って引き金を天井に向かって引いたブルー。吊り照明が落ちてきて直撃)

「ケ……ケンショーの……功徳……ああっ……?」
 ブルー、ノックダウンである。
 倒れた弾みで、ポケットから鍵が出て来た。
 タグにはコントロールセンターと書いてある。
「おおっ、こいつがコントロールセンターの室長だったか!」
 敷島は鍵を拾い上げた。
「んなわけないでしょ。とにかく、これでコイツには用は無いわ」
「そうだな」

[同日20:30.同ホテル、エントランスホール→コントロールセンター入口 敷島、アリス、ブルー、エミリー]

「しかし、妙ですね」
 と、キール、
「何が?」
「件のテロリストの発言をお聞きになりましたか?あの青いコスチュームの者、むしろ我々をテロリストと見ていたようでした」
「そうかい?まあ、宗教テロリストの考えることなんざ、無宗教の俺達には理解不能だからねぇ……」
 とはいうものの、信仰者側にいる作者も、たまに無宗教者の考えが理解不能になることがある(例、湘南坊遺氏)。
「まあ、とにかく、これでコントロールセンターへ行けるってわけだ。そこでメイン電源を回復させてエレベーターを動かし、まずは怪しい地下へ行ってみよう」
「そうね」
 4人はコントロールセンター入口のドアを開錠した。
 その先には真っ暗な下り階段があり、エミリーとキールは片目をライトのように光らせて先導した。
 アンドロイド達は暗視機能付きの赤外線アイが搭載されているので、彼らだけならライト点灯の必要は無いが、もちろん人間2人の為である。

 4人は階段を下りる最中にも、ザコ・クリーチャーの相手を何回かしなくてはならなかった。
 無論、エミリー達にとっては、ただのびっくりキャラでしかない。
コメント (2)
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