報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「山の中の豪華客船」

2014-08-21 19:30:11 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月19日15:00.矢立峠 敷島孝夫、アリス・シキシマ、エミリー、キール]

「全く!ついてないもんだ!」
 運転席でミニバンのハンドルを握る敷島。
 リアシートでは、2人のアンドロイドが車内のコンセントで充電を続けている。
 敷島が愚痴をこぼしたのは、正に嵐が如く悪天候の中を走っているからだった。
「ゲリラ豪雨なら、止むまで待つって言う手もあったんだけどな!」
「しばらく降り続くみたいだから、このまま行くしか無いね」
「全く!」
 矢立峠の道の駅に入る車。
「ちょっとここで情報入れてこよう。今、あの廃ホテルに行けるかってな」
「行けるわけないと思うけど……」
 敷島は駐車場に車を止めると、傘を差してバシャバシャと水しぶきを上げながら建物の中に入っていった。
「博士も休憩されてみては?」
「いや、いいわ」

 しばらくして、敷島が戻って来た。
「分かりましたか?」
「分かった。廃ホテルはもう少しこの先、青森県に入ってからの所にあるらしい。ただ、おかしい。俺達以外に、そのホテルについて聞いた連中がいたらしいんだ」
「何それ?」
「いや、よく分からないんだけど、何かケンショーレンジャーって……」
「レンジャーか。うん、ゲリラ兵士のことだね」
 アリスが言った。
「それって、やっぱりイスラムの武装テロリスト?」
「奴らに先を越されたかもしれない。アタシ達も急がないと」
「よしっ!」
 敷島はすぐに車を発進させ、大雨の降る国道を北上した。

[8月19日15:30.青森県南部 廃ホテル前 ケンショーレンジャー]

「見て御覧なさい。このバブル時代の申し子を」
「私の分析によりますと、バブルだからこその建築物ですね」
「何か、怖いよォ……」
「へっ!ゾッキー時代を思い出すぜ!スプレーで何か書きたくなるぜ!」
「でも、ブルーじゃないけど、逆に荒れている割には、侵入者の形跡は無いわねぇ……」
「むっ?静かに!皆、静かにするんじゃ!」
「な、なに!?」

 ドドドドドドドド!

「わあっ!川が大濁流に!」
「むっ、しまった!国道とホテルを結ぶ吊り橋が流されてしまった!何てことだ!」
「私の分析によりますと、これはソッカー……もとい、武装ゲリラの罠ですね」
「てゆーか、これじゃ帰れないじゃない!」
「上等だぜ!だったらよー、イスラムの連中をよー、ボコせばいい話じゃねーかよっ、ああっ!?」
「うむ。今日のブルーはヤケに頼もしい!さすれば、このドアから中に入って武装ゲリラを殲滅するのが得策と思われまするが皆さん、どうでしょう?」

 パチパチパチパチパチパチ……。

 ガンッ!ザバーッ!(←頭上の雨どいが壊れ、バケツをひっくり返した水がレンジャー達に降りかかった)

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「ええい!これも罪障消滅じゃっ!グリーン!メガネ探してないで、さっさとこのドアをピッキングせんか!」

[同日16:00.廃ホテル入口に向かう国道からの私道 敷島、アリス、キール、エミリー]

「少し広場になってるんだな」
「おかしいですね」
「何が?」
 キールが辺りを見回す。
「ここへは殆ど車でしかアクセスできないはず。ホテルが営業中だった頃は、駅から送迎バスが運行されていたほどだそうです。先に向かったと思われる武装ゲリラ達の車が見当たらないのは何故でしょう?」
「……分かった。長距離トラックをヒッチハイクして来たんだ」
 敷島、大正解。
「んなわけないじゃないの。ここに別働隊が連れてきて、あとは何らかの手段で迎えに来るって感じかもしれないじゃない。あとは、ヘリとか?」
「ヘリの方が目立ちそうだがな。なるほど。ここに車を置いて行ったら、確かに目立つかもな。まあ、いいさ。それよりアリス、何だその恰好は?」
 アリスはウェットスーツのようなものを着込んでいた。
「この方が動きやすしいね」
「まあ、勝手にしろ。廃ホテルはこの先だ。行こう」
 敷島は傘を差しながら向かった。
 ウェットスーツを着ているアリスと、アンドロイドの2人は傘を差さず、そのままだ。
 朽ちた看板から、ホテルの名前が分かった。
 山奥にあるからそれに因んだ名前かと思ったが、『シークルーズ』という、ツッコミ所満載の名前だった。
「変な名前だ。ホテルから海でも見えるってのか」
「国道7号線なら、確かに海の近くを走る区間もありますが……」
「つったって、それは秋田県南部の話だろう?象潟とか、あの辺」
「ええ……」
「ここまで来れば、もう海から遠く離れた山の中だ」
「名前なんかどうだっていいでしょ。それより、ホテルの中がどうなってるかってことよ」
「ああ」
 営業中は車が走れたであろう道も、今は土砂に埋まって、さながら登山道のようだ。
 その中を進んで行くと、滝のような音が聞こえた。
「滝がこの近くにあるのか?」
 敷島が首を傾げると、そうでないことに気づいた。
「橋が流されてる!」
 川はこの豪雨で増水し、激しい流れに耐えられなくなったのか、元々朽ちていたのであろう橋が落ちていた。
「さあ、帰ろうか」
 敷島は踵を返そうとした。
「何言ってんの!渡るに決まってるじゃない」
「バカ!こんな川に入ったら、即死だろうが!」
「私が」
 エミリーが手を挙げた。
「超小型エンジンが・ありますので・これで・飛んで・渡ります」
「あっ……!」
「その手があったか」
 敷島はポンと手を叩いた。
 エミリー、足の裏に取り付けられた超小型エンジンを起動させた。

 飛んでいる姿は、まるで鉄腕アトムのようだ。
 もっとも、アトムは長時間、長距離飛べるようだが、エミリーはあくまで非常脱出用としての用途なので、短時間、短距離限定である。
「着いた!これで戻りも大丈夫そうだな」
「参事!」
 キールが敷島に話し掛けた。
「何だ?」
「複数の足跡があります。まだ新しいです」
「本当だ」
「ちっ。武装ゲリラに先を越されたみたいね」
「でも逆を言えば、この閉鎖されてるホテルへの進入経路を作ってくれてるってことでもあるからな」
「何言ってるの。そのまま辿ったら、見張りのゲリラに迎撃されるでしょう!平和ボケした日本人が!
「分かったよ。で、どこから入るつもりだ?正面エントランスのガラスでも割って入るか?」
「だーかーらっ!」
「冗談だよ、冗談。それにしても、意外と大きいホテルだな。横長かな?」
 キールは、
「『……当ホテルは山奥にあって、さながら豪華客船に乗船しているかのような……』と、書いてありますね」
 拾い上げた案内板を見て行った。
 本来はもっと目立つ所にあったのだろうが、外れてここに飛んできたのだろう。
「そんな中途半端なことするから、バブル崩壊したら即行で潰れるんだろうが。これだから、団塊ジュニア世代は……ブツブツ……」
「タカオ!」
「! びっくりした!何だよ?」
「この梯子を上がって、2階の窓から侵入できそうよ」
 アリスの指さした所には、大きく割れた窓があった。
「ウィリーの隠し遺品の場所の目星は付かないのか?できれば、そこへピンポイントで行きたいな」
「無理に決まってるでしょ。あの“鍵”の解析内容には、そこまで書いてなかったよ」
「ちぇっ……」
「まあ、とにかく上がりましょう。最悪、武装ゲリラが先に手に入れてしまう恐れがあるんですから」
「そうだな。行こう。お前達、俺らの前後にいてくれ。それなら、いきなり前や後ろから撃ってきても大丈夫だろ?」
「イエス」
「分かりました」
 敷島達は2階の窓から廃ホテルに進入した。

 彼らを待ち受けているものとは一体……?
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“アンドロイドマスター” 「十和田八幡平色彩ライン」

2014-08-21 14:53:35 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月19日11:00.秋田県北部 国道7号線を走る長距離トラック車内 ケンショーレンジャー]

 キャブの中ではなく、後ろのハコの中に潜むケンショーレンジャー。
「…………」
 1人パズドラに勤しむケンショーレッド。
「…………。クフフフ……」
 1人官能小説を読みふけるケンショーグリーン。
 時折、キモい笑みを浮かべる。
(小学5年生の女の子を合法的に【ぴー】できるのは、官能小説ならではですねー……。熟女好きのレッドの気持ちは知れません)
「……あー、そこじゃ、そこ!そこをもっと強く……」
「ダメよ、イエロー。動いたら揉めないわ」
 ホワイトに肩を腰を揉んでもらうイエロー。
「……ヒック。酒がこんなに一杯……功徳だぜぇ〜……」
 積み荷の酒を勝手に開けるブルー。

 この5人、果たして本当に何しに行くつもりなのだろうか。

[同日同時刻 JR花輪線・先頭車内 敷島孝夫、アリス・シキシマ、エミリー、キール・ブルー]

〔「次は赤坂田、赤坂田です」〕

「あかさたな?日本語の行かしら?」
「違うよ、アリス。あかさたた……あれ?あかさた……あかさかか……。田舎の駅は、時折読みにくいからね」
「日本人が発音しにくいんじゃ、しょうがないね」
「全くだ」
 敷島は肩を竦めた。
 正解は、あかさかたである。
「さっきの安比高原って、あのスキー場で有名な安比高原のことかな?」
「そうですね。以前は冬期間、下りだけ上野からスキー列車が運行されていたとの記録があります」
 敷島の質問にキールが答えた。
「上野からだと、寝台車かな?」
「はい」

[同日12:07.十和田南駅 敷島、アリス、エミリー、キール]

〔「まもなく十和田南、十和田南です。お出口は、右側です。この駅から、列車の進行方向が変わります。6分停車致します。発車まで、しばらくお待ちください」〕

 列車がホームに進入する。
 確かにその先には車止めがあり、先には進めない。
 ここから青森の三戸駅に向かう計画の名残だったそうで、当然それは頓挫している。
 東武野田線における柏駅のスイッチバックのように、元々そこを境に東西の路線で鉄道会社が違ったという歴史ではない。

 プシュー、ピンポーンピンポーン♪(乗降ドアの開いた音)

「ちょっと定時連絡してこよう」
 敷島はホームに降りた。
 ここも暑い。
{「あ、敷島さん。お疲れさまです」}
「あ、平賀先生。どうも、お疲れ様です。定時連絡を入れます。今現在、花輪線の十和田南駅です。指定されたルートを順調に進んでおります」
{「……はい、GPSで確認しました。引き続き、気をつけて向かってください。組織名は不明ですが、実はテロリストもまた現地に向かっているとの情報が入っております」}
「ええっ!?」
{「恐らくは、ウィリーの隠し遺品の在り処を見つけたのかもしれません。鉢合わせになるかもしれないので、十分気をつけてください」}
「何の情報も無いのでは困りますね」
{「こちらも情報収集しています。なるべく分かり次第、すぐに情報を送信しますから」}
「お願いしますよ」
 敷島は電話を切った。
「全く。イスラムの武装テロリストとかだったらカンベンだぜ。こちとら無宗教だってのによ……」

[同日12:00.秋田県と青森県の県境、矢立峠(やたてとうげ)の道の駅 ケンショーレンジャー]

「この……建物ではないのですね」
「あっ、オバちゃーん、カレーお代わり!」
「ちょっと!いくらお昼時だからって、食べてばっかりじゃないの!ねえっ!」
「あ?酒がいくらあっても足りねーぜ、ヒック……」
「今日のスポーツ新聞の風俗欄はショボいですね」
「あー、それより、ワシが発見した物件の情報じゃ。グリーン。食べ終わったのなら、最新情報を仕入れてきてくれんか?」
「それなら、お任せを。既に情報は仕入れてあります」
「おお!」
「実はたった今入った情報ですが、ソッカーとはまた違う得体の知れない団体がこちらに向かっているもようです」
「何じゃと?」
「ソッカーより怖い組織なのォ……?」
「ああっ!?ビビッてんじゃねーよ、レッド!どんな謗法団体が来ても、俺達ケンショーレンジューは無敵だぜ、ああっ!?」
「うむ。ブルーの言う通りじゃ。レッドも少しはブルーの勇敢さを見習わんか。……して、そのソッカーとはまた違う組織とは、如何なるものなのか?」
「申し訳ありません。そこまでは、情報が入りませんでした」
「ちょっと!肝心な所を手に入れなくてどうするのよ!?何度も言わせないでちょうだい!ねぇっ!?」
「いやいや、ホワイト。新手の謗法の魔の手が差し迫っているという情報が入っただけでも大きい。いいですか?ソッカーよりも恐ろしい謗法組織。これは恐らく、イスラムの過激派組織であると見て相違無いと思いまするが、どうか?」

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ……。

「アッラーなどという得体の知れぬ神を崇め、その名を使って自ら爆弾を抱えて飛び込む危険極まりない謗法組織であります。ついに、我がケンショーは広宣流布の最終段階に入った。対する相手はイスラム過激派であります!」
「で、でもォ……奴ら銃とか爆弾持ってるんだよね。いきなり撃たれたら怖いよォ……」
「そこはレッドの言う通りだぜ、先生。さすがの俺も、飛び道具には勝てねぇ」
「むむ、それは確かに。では、作戦会議と参りましょう」

[同日12:50.JR大館駅 敷島、アリス、キール、エミリー]

〔「長らくのご乗車、お疲れさまでした。まもなく終点、大館、大館です。3番線に入ります。お出口は、右側です。……」〕

「渋谷の忠犬ハチ公の故郷だな」
「そうなの?」
「駅前にもハチ公像があるよ。渋谷駅にあるのと同じヤツ」
 列車がホームに入る。
 進行方向が逆になったので、今度は敷島達が乗っている車両が後ろになっている。

 プシュー、ピンポーンピンポーン。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、大館、終点、大館です。奥羽本線ご利用のお客様は、1番線と2番線にお回りください」〕

 敷島達は列車を降りた。
「多分、駅の近くにレンタカーショップがあるだろう。そこから、車借りて来るよ」
「OK.じゃ、アタシは駅前で待ってるから」
「ああ」

 駅を出て、敷島はレンタカーを借りに行った。
 その間、駅前で待つアリス。
「これがハチ公像?」
「そのようです」
「Hum...」
 アリスは辺りを見回した。
 同じハチ公像でも、渋谷駅前のそれと比べると、随分とうら寂しい。
「それより博士。傘を購入してきます」
「傘?」
「秋田県北部に、大雨、雷注意報が発令されました。恐らくこれから、ゲリラ豪雨が降ると思われます」
 アリスは空を見上げた。
 確かに列車で移動している時は、夏の日差しが差し込んでカーテンを引いたりしたが(キハ110系のは縦引きロールではなく、横引きカーテン)、今はどんよりと曇っている。
「いい演出してくれるわね。ゲリラ豪雨を避けて、雨が止んだ時に行くのはどうかしら?」
「あいにくと、低気圧による雨なので、しばらく降り続けるようですね」
「あ、そう。しょうがないわねぇ……。タカオはともかく、アタシはいらないわ」
「は?ですが……」
「そんなこともあろうかと、ちゃんとしたものを持ってきたから」
(レインコートかな?)
 その時、キールはそう思った。が、実は違った。
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“アンドロイドマスター” ショートショート 「一方その頃……」

2014-08-21 10:17:24 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月19日06:00.JR東京駅八重洲中央口 ケンショーレンジャー]

「怠惰の戦士、ケンショーレッド!」
「憤怒の戦士、ケンショーブルー!」
「暴食の戦士、ケンショーイエロー!」
「強欲の戦士、ケンショーホワイト!」
「色欲の戦士、ケンショーグリーン!」
「5人合わせて……」
「ケンショーレンジャー!」(×5)

 ♪♪(「ドナドナ」の3和音メロディ)♪♪

「ん?」
 ドーン!
「あーれー!」
「ん、あれ?何か轢いたか?……まあ、いいや」
 ドナドナのメロディを流して走る清掃車に轢かれるケンショーレンジャー。
(※たまにこいつら脇見運転してることがあるので、ドナドナのメロディが聞こえてきたら、十分ご注意ください。んでもって、意外と速い!)

「ぐ……ぐぐ……」
「腰が……痛ェよぉ……グスン……」
「私の分析によりますと、あれは明らかな……脇見運転ですね……」
「どこ見て運転してんのよ、ねぇっ!」
「ボクとイエローパパだけ、大きなお腹でダメージゼロだもんね、エッヘン!」
「正に浅井家の功徳であります。功徳と言えば、この誇り高きケンショーレンジャーも他作品への友情出演という形で折伏させて頂くことでができ、正にケンショーが守られていることの何よりの現証であります」
「それで、イエロー先生。そうまでしてこの東京駅に来たワケとは?私の分析によりますと、鉄ヲタならむしろ東京駅より大宮駅の方がタチワルのような気がするのですが……」
「いいですかー?今、敵は首都圏にいるのではないんですね。見て御覧なさい。地方に蔓延る過疎化の波。未だにバブル時代の廃墟が探せば出てくる地域も沢山あります」
「まさかその廃墟を?」
「ケンショーの新たなアジトとして、既に私は青森と秋田の間にある建物を発見しました。ソッカーどもに占拠される前に、我々ケンショーレンジャーが真っ先に押さえるべきと考えまするが、皆さんどうでしょう?」

 パチパチパチパチパチパチパチパチ……。

「なるほど。秋田に行くために、ここから新幹線で……」
「さすがだぜ、イエロー!ああっ!」
「イエロー先生の御見識には、いつも体の震えが止まらないわ!」
「まずは“こまち”の座席を順縁に導きましょう」
「ケンショーの豊富な資金なら、電車まるごと1台抑えることも可能だぜ、ああっ!?」

 ザッザッザッザッ。

 一列横隊で“みどりの窓口”に向かう5人だった。

[同日06:15.東京駅みどりの窓口 ケンショーレンジャー]

「ああっ!?5人そろっての座席が無ェだとぉ?ああっ!?」
 窓口の女性係員に恫喝するブルー。
「グリーン車でしたら5名様分のお座席は空いているのですが、何ぶん“こまち”号は2列席しか無いもので、東北新幹線のような3列席と2列席での組み合わせというのが不可能でして……」
「ああっ!?そんな難しい話、俺には分かんねーよ、ああっ!?」
「ブルー、待ちなさい待ちなさい。我々は誇り高き、ケンショーレンジャー。ここで大声を出すのはイカン」
 イエロー、ブルーの肩を叩く。
 ……と、同時に変態行為をしているグリーンを足蹴にする。
「ああっ?だけどよ、イエロー先生……」
「羽田空港での教訓を生かさねばならん」
「さすがね、イエロー先生。あの時も座席がバラバラだったけど、皆の心は離れなかったわ」
「その通り。いかに席が離れようとも、我々の絆は離れるものではない」
「それに作者の情報によりますと、E3系なる“こまち”車両のグリーン車は小さいので、席が離れても大して寂しくは無さそうです」
「大丈夫なの?それって、悪しき宗門の罠なんじゃ……?」
「ううっ……!パープル兄さんを罠を掛けようとした宗門の情報じゃ怖いよォ……」
「いいですか?私達ケンショーレンジャーはどんな罠が待ち構えていようとも、常に前進あるのみなんですね。何があっても大丈夫。大聖人様は御照覧あそばされております。その証拠に、我々はソッカーのダイ・サークとも互角に戦えたではありませんか!」
「確かに……。よーし!ボクはあくまでもイエローパパについていくよ!」
「俺もだぜ、イエロー先生!」
「私もです」
「もちろん、アタシもよ!何度も言わせないでちょうだい、ねぇっ!」
「というわけで、大人5名お願いします」
「か……かしこまりました。(何なの、こいつら?)」
 係員はケンショーレンジャーの異様な雰囲気に負けじと、マルスと呼ばれる端末のキーボードを叩く。
「えー、それでは本日の6時32分発、“こまち”1号で秋田まで。11号車のグリーン車で、大人5名様ですね」
「うむ」
「お嬢さん、あなたのケンショーに対する御供養、必ずや大きな功徳に……」
 ドゴッ!
「さっ、行くわよ。こんなバカ、ほっといて」
 ザッザッザッザッ……。

 一列横隊で“みどりの窓口”をあとにするケンショーレンジャー。
 しかし彼らの向かった先は、東海道新幹線乗り場だった。
 果たして、彼らは無事に秋田に着けるのか?そして彼らの真の目的とは?

 次回も見逃せない!折伏戦隊ケンショーレンジャーぁぁぁぁぁッ!!

(※あくまでも、“アンドロイドマスター”が本編です)
コメント (3)
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