[8月19日17:45.廃ホテル“シークルーズ”1階 社員食堂内厨房 敷島孝夫、アリス・シキシマ、キール・ブルー、エミリー]
「スキャンが・完了しました。ロボットの・ようです」
「ロボット?こんな所に?」
「それも・アンドロイドに・近い存在です」
「おいおい。先遣隊のヤツじゃないだろうな」
「そうね。だいたい、先遣隊の連中、どこに行ったのかしら?」
「……これか?どうする?」
「引き上げて・よろしいですか?」
「できるのか?」
「イエス」
エミリーは排水口の前に屈み込むと、その中に手を突っ込んだ。
その中から出て来たのは、ライフル?……に、右腕を変形させたロボットだった。
「うぁちゃー……。先遣隊のロボットっぽいなー、これ……」
「でも、何でこんな所に?」
「さぁな」
敷島は肩を竦めた。
「メモリーを探せば、ここで何があったか分かるかもしれないわね」
「うん。そうだ」
キールがグレーチングを閉めた。
と、その時!
「グオオッ!」
「!!!」
エミリーの背後に突然、あの白いクリーチャーが現れた!
「人間……ではない。排除する」
エミリーは右手をマシンガンに変形させ、クリーチャーに発砲した。
同じく右手をショットガンに変形させたキールも援護射撃する。
「グ……グワアッ……!」
2体のアンドロイドに集中砲火を浴びせられたクリーチャーは一たまりもなく、敷島達に1度のダメージも与えられぬまま、その場に崩れ落ちた。
そう、崩れ落ちたのだ。
「な、何だコイツは?!」
まるで水を加え過ぎた石膏のようにドロドロと実体を無くしたクリーチャー。
しかし、その中には機械が入っていた。
石膏の水たまりの中に、配線やら基盤やらが覗いているといった感じ。
「ロボットなのか、これ!?」
「こんなの初めてよ!」
アリスも驚いていた。
「イエス。生物反応が・ありませんでした。ただ・ロボットしての・反応も・ありませんでした。Unkuownです」
と、エミリーは答えた。
「うーむ……。なあ、先遣隊もこれにやられたと思うか?」
「ええっ?」
「まあ、待ちなよ。殺されたとは言ってないよ」
「とにかく、私はこのロボットとクリーチャーについて調べてみるわ」
「了解。俺はもう少しこの区画を探索してみる。キールはアリスの護衛をしてくれ」
「かしこまりました」
「エミリー、お前は俺と来い」
「イエス。敷島さん」
「まさか、イスラムの武装テロリストじゃなく、化け物と遭遇するとはな……」
[同日18:00.廃ホテルB1階 敷島&エミリー]
「これだけの大きなホテルなんだから、どこかに防災センターがあるはずだ。そこでこのホテルの概況とかが分かると思うんだけどな……」
「イエス」
「何とか、そこを探し出してみて……」
2人は階段を下りる。
「そこならウィリーの隠し研究所とか、そういうのも見つけられると思うんだ」
「イエス」
ガコン!
「グワアアッ!」
「うっ!?」
ダクトからあのクリーチャーが現れた。
「ウウ……」
更には屋内消火栓の扉の中からも!
「くそっ!どこからでも現れやがって!」
エミリーがすぐにマシンガンを発砲し、駆逐した。
「ウィリーの新たな発明品なのか、これは?アリスが全く知らないなんて……」
そして気づいたのだがこのクリーチャー、倒した後でスキャンすると、中から実弾が出てくるのだ。
今倒した2体からは、マシンガンの弾やショットガンの弾が数十発も出て来た。
それは使用済みの薬莢ではなく、使用前のものだ。
何だってこんなものが体の中から出てくるのだろう?
エミリーは自分の体に搭載されたマシンガンやショットガンに、今の実弾を充填した。
「大丈夫なのか?ウィルスとかは……」
「ノー・プロブレム。ウィルス・スキャンしましたが・ウィルスは・検出されませんでした」
「そうか」
更にB1階の薄暗い廊下を進むと、
「見ィつけたぁ〜♪」
どこからともなく、女の声が聞こえた。
アリスの声ではない。
「! 今、声がしたよな!?」
「イエス」
エミリーは周囲をスキャンした。
「……検出・されません」
「はあ?……な、何か気持ち悪い。さ、先へ急ごう」
しばらく行くと、『医務室』と書かれたドアの前についた。
廊下からも強化ガラスで仕切られている。
そのガラスに、血がべっとりとついていた。
「マジかよ……」
「中に・入ってみます」
「ええっ?」
医務室のドアには鍵が掛かっていなかった。
幸い、中には誰もいない。が、窓の前には血だまりができていた。
エミリーがスキャンする。
「……血液では・ありません」
「そういえばこれ、血の臭いじゃないな」
「オイル・です。私達・アンドロイドが・使用するものと・同種です」
「何だって?」
その“血だまり”の中に、何かメモ書きのようなものが残されていた。
「何だこれは?」
敷島はそれを見た。
『ケンショー・レンジャー・ホワイト、記す。イエローに無理やり連れて来られて、気の乗らない任務だった。いきなり化け物に襲われるし、他の皆ともはぐれるし、もう最低よ!……このホテル、今は秘密の研究所として使用されているのね。その証拠に、その研究所に向かうというエレベーターの鍵も手に入ったわ。あとはどうにかして、イエローたちと……。(あとは油まみれでよく読めない)』
ベチャッ……ベチョ……。
「!?」
廊下の窓の外に、何か液体が当たるような音がした。
「見ィつけたぁぁ……ッ!きゃははは……!」
「うわっ!?」
その外には血みどろの女がいた。
「で、出たーっ!?」
女は一旦、廊下の向こうへと消える。
「追います!」
エミリーは一旦元の腕にしていた右手を、今度はショットガンに変形させた。
{「どうしたの、タカオ?」}
アリスから無線が届く。
「医務室でテロリストらしき女を発見!今、エミリーが追ってる!」
敷島は一瞬、化け物かと思ったが、さっきのドロドロの人型クリーチャーよりも、もう少し人間臭い姿をしていたことから、むしろテロリストの一員だと思った。
{「それ、本当?イスラムって、男尊女卑の世界でしょ?女はそれだけでテロ組織にすら入れないって話よ?」}
「え?いや、だって、どう見ても女……てか、オバはん……」
{「クリーチャーでしょ!?そんなの!」}
「うえ……」
敷島はエミリーの後を追っていたのだが、そのエミリーが戻って来た。
「敷島さん、下がって・ください」
「なにっ!?」
「いいオトコ……いいオトコ……」
廊下の向こうから、結構な速さで向かってくる。
そのイッちゃった目は、敷島を見ていた。
「アタシのォォォォォォ、オトコぉぉぉぉぉッ!!」
「俺がロックオン!?」
だが、エミリーはショットガンを放った。
「キャアアッ!」
更にもう一発。
「キャアアッ!」
「あれ?エミリー、その弾って……!?」
「い゛た゛い゛よ゛ぉぉぉ!い゛たい゛よ゛ぉぉぉぉぉっ!!」
ついに女は床に崩れ落ちた。
「これ、暴徒鎮圧用の模擬弾じゃないか」
「イエス。スキャンの結果・生物反応が・ありました。従いまして・実弾は・使用できません」
「人間には見えないけどなぁ……」
敷島は首を傾げた。
エミリーは女の赤い油にまみれた白いコスチュームの中から、鍵を発見した。
「地下研究所へ行く・エレベーターの・鍵です」
「よ、よっしゃ。てか、これがケンショー・ホワイト?イスラムじゃなくて、もっと別のテロ組織なのかなぁ?極左とか……」
「考えている暇は・ありません。まずは・ドクター・アリスと・合流しましょう」
「そ、それもそうだな。だいいち、鍵だけではダメだ。そもそも、エレベーターの場所を知らないんだから」
2人はアリス達のいる社員食堂跡へ向かった。その時、敷島はふと思った。
(待てよ。この展開、どこかで……???)
「スキャンが・完了しました。ロボットの・ようです」
「ロボット?こんな所に?」
「それも・アンドロイドに・近い存在です」
「おいおい。先遣隊のヤツじゃないだろうな」
「そうね。だいたい、先遣隊の連中、どこに行ったのかしら?」
「……これか?どうする?」
「引き上げて・よろしいですか?」
「できるのか?」
「イエス」
エミリーは排水口の前に屈み込むと、その中に手を突っ込んだ。
その中から出て来たのは、ライフル?……に、右腕を変形させたロボットだった。
「うぁちゃー……。先遣隊のロボットっぽいなー、これ……」
「でも、何でこんな所に?」
「さぁな」
敷島は肩を竦めた。
「メモリーを探せば、ここで何があったか分かるかもしれないわね」
「うん。そうだ」
キールがグレーチングを閉めた。
と、その時!
「グオオッ!」
「!!!」
エミリーの背後に突然、あの白いクリーチャーが現れた!
「人間……ではない。排除する」
エミリーは右手をマシンガンに変形させ、クリーチャーに発砲した。
同じく右手をショットガンに変形させたキールも援護射撃する。
「グ……グワアッ……!」
2体のアンドロイドに集中砲火を浴びせられたクリーチャーは一たまりもなく、敷島達に1度のダメージも与えられぬまま、その場に崩れ落ちた。
そう、崩れ落ちたのだ。
「な、何だコイツは?!」
まるで水を加え過ぎた石膏のようにドロドロと実体を無くしたクリーチャー。
しかし、その中には機械が入っていた。
石膏の水たまりの中に、配線やら基盤やらが覗いているといった感じ。
「ロボットなのか、これ!?」
「こんなの初めてよ!」
アリスも驚いていた。
「イエス。生物反応が・ありませんでした。ただ・ロボットしての・反応も・ありませんでした。Unkuownです」
と、エミリーは答えた。
「うーむ……。なあ、先遣隊もこれにやられたと思うか?」
「ええっ?」
「まあ、待ちなよ。殺されたとは言ってないよ」
「とにかく、私はこのロボットとクリーチャーについて調べてみるわ」
「了解。俺はもう少しこの区画を探索してみる。キールはアリスの護衛をしてくれ」
「かしこまりました」
「エミリー、お前は俺と来い」
「イエス。敷島さん」
「まさか、イスラムの武装テロリストじゃなく、化け物と遭遇するとはな……」
[同日18:00.廃ホテルB1階 敷島&エミリー]
「これだけの大きなホテルなんだから、どこかに防災センターがあるはずだ。そこでこのホテルの概況とかが分かると思うんだけどな……」
「イエス」
「何とか、そこを探し出してみて……」
2人は階段を下りる。
「そこならウィリーの隠し研究所とか、そういうのも見つけられると思うんだ」
「イエス」
ガコン!
「グワアアッ!」
「うっ!?」
ダクトからあのクリーチャーが現れた。
「ウウ……」
更には屋内消火栓の扉の中からも!
「くそっ!どこからでも現れやがって!」
エミリーがすぐにマシンガンを発砲し、駆逐した。
「ウィリーの新たな発明品なのか、これは?アリスが全く知らないなんて……」
そして気づいたのだがこのクリーチャー、倒した後でスキャンすると、中から実弾が出てくるのだ。
今倒した2体からは、マシンガンの弾やショットガンの弾が数十発も出て来た。
それは使用済みの薬莢ではなく、使用前のものだ。
何だってこんなものが体の中から出てくるのだろう?
エミリーは自分の体に搭載されたマシンガンやショットガンに、今の実弾を充填した。
「大丈夫なのか?ウィルスとかは……」
「ノー・プロブレム。ウィルス・スキャンしましたが・ウィルスは・検出されませんでした」
「そうか」
更にB1階の薄暗い廊下を進むと、
「見ィつけたぁ〜♪」
どこからともなく、女の声が聞こえた。
アリスの声ではない。
「! 今、声がしたよな!?」
「イエス」
エミリーは周囲をスキャンした。
「……検出・されません」
「はあ?……な、何か気持ち悪い。さ、先へ急ごう」
しばらく行くと、『医務室』と書かれたドアの前についた。
廊下からも強化ガラスで仕切られている。
そのガラスに、血がべっとりとついていた。
「マジかよ……」
「中に・入ってみます」
「ええっ?」
医務室のドアには鍵が掛かっていなかった。
幸い、中には誰もいない。が、窓の前には血だまりができていた。
エミリーがスキャンする。
「……血液では・ありません」
「そういえばこれ、血の臭いじゃないな」
「オイル・です。私達・アンドロイドが・使用するものと・同種です」
「何だって?」
その“血だまり”の中に、何かメモ書きのようなものが残されていた。
「何だこれは?」
敷島はそれを見た。
『ケンショー・レンジャー・ホワイト、記す。イエローに無理やり連れて来られて、気の乗らない任務だった。いきなり化け物に襲われるし、他の皆ともはぐれるし、もう最低よ!……このホテル、今は秘密の研究所として使用されているのね。その証拠に、その研究所に向かうというエレベーターの鍵も手に入ったわ。あとはどうにかして、イエローたちと……。(あとは油まみれでよく読めない)』
ベチャッ……ベチョ……。
「!?」
廊下の窓の外に、何か液体が当たるような音がした。
「見ィつけたぁぁ……ッ!きゃははは……!」
「うわっ!?」
その外には血みどろの女がいた。
「で、出たーっ!?」
女は一旦、廊下の向こうへと消える。
「追います!」
エミリーは一旦元の腕にしていた右手を、今度はショットガンに変形させた。
{「どうしたの、タカオ?」}
アリスから無線が届く。
「医務室でテロリストらしき女を発見!今、エミリーが追ってる!」
敷島は一瞬、化け物かと思ったが、さっきのドロドロの人型クリーチャーよりも、もう少し人間臭い姿をしていたことから、むしろテロリストの一員だと思った。
{「それ、本当?イスラムって、男尊女卑の世界でしょ?女はそれだけでテロ組織にすら入れないって話よ?」}
「え?いや、だって、どう見ても女……てか、オバはん……」
{「クリーチャーでしょ!?そんなの!」}
「うえ……」
敷島はエミリーの後を追っていたのだが、そのエミリーが戻って来た。
「敷島さん、下がって・ください」
「なにっ!?」
「いいオトコ……いいオトコ……」
廊下の向こうから、結構な速さで向かってくる。
そのイッちゃった目は、敷島を見ていた。
「アタシのォォォォォォ、オトコぉぉぉぉぉッ!!」
「俺がロックオン!?」
だが、エミリーはショットガンを放った。
「キャアアッ!」
更にもう一発。
「キャアアッ!」
「あれ?エミリー、その弾って……!?」
「い゛た゛い゛よ゛ぉぉぉ!い゛たい゛よ゛ぉぉぉぉぉっ!!」
ついに女は床に崩れ落ちた。
「これ、暴徒鎮圧用の模擬弾じゃないか」
「イエス。スキャンの結果・生物反応が・ありました。従いまして・実弾は・使用できません」
「人間には見えないけどなぁ……」
敷島は首を傾げた。
エミリーは女の赤い油にまみれた白いコスチュームの中から、鍵を発見した。
「地下研究所へ行く・エレベーターの・鍵です」
「よ、よっしゃ。てか、これがケンショー・ホワイト?イスラムじゃなくて、もっと別のテロ組織なのかなぁ?極左とか……」
「考えている暇は・ありません。まずは・ドクター・アリスと・合流しましょう」
「そ、それもそうだな。だいいち、鍵だけではダメだ。そもそも、エレベーターの場所を知らないんだから」
2人はアリス達のいる社員食堂跡へ向かった。その時、敷島はふと思った。
(待てよ。この展開、どこかで……???)