報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「狂科学者の遺産」 Final

2014-08-31 19:30:48 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月20日01:00.廃ホテル地下研究所・最深部 敷島、アリス、キール、エミリー]

「ここがウィリーの研究室か!?」
 しかし、そのドアは固く閉ざされていた。
 見ると、横には指紋認証の端末がある。
「アリス。もしかしたら、お前なら……」
「ええ。やってみる」
 アリスは自分の右手人差し指をモニタに当てた。

 ピーン!(←認証OK)
 ガァァァァ……。(ドアが開いた)

「やっぱり、アリスに渡すつもりだったのか???」
「どうだかね」
 入ってすぐ奥の壁には、40インチくらいのモニタがあった。
「! あれは……」
 敷島達の入室に反応したかのように、モニタが何かを映し出した。
 それは……。
「南里所長!」
 5年前に憤死した南里志郎が映っていた。
 この映像が、どこで撮影されたものなのかは検討がつかなかった。

 南里:「自らの欲望を求めることに関しては一分の無駄無く、合理的で隙が無い。いかにも米国人の考えそうなやり方だな」
 ウィリー:「褒め言葉と受け取っておこう。だが、志郎よ。お前は大きな間違いを犯しているぞ」
 南里:「何だと?」
 ウィリー:「解決の先送りは事態の悪化を招く。キミは一時の人道主義に溺れ、また後悔に苛まされることになるだろう」
 南里:「それは詭弁だな。その事態の悪化というはほんの一時であり、解決方法が全て無くなるまで放置するというものではない。それに……一瞬でも事態が悪化したら、困るのはキミの方ではないのかね?」

「……なあ?何の話をしてるんだ?」
「さあ……」
 敷島の問いにアリスは肩を竦めた。
「狂科学者同士の会話か。凡人には理解できないぜ。蒙昧な大衆が求めているのは、その大衆がちゃんと理解できる内容だよ」

 ウィリー:「とにかく、この場は私の勝ちだ。キミはキミで、自らの敗因を求めたまえ。チェック・メイト」
 南里:「貴様ぁっ!謀ったな!」

 カメラが下の方を向いた。
 2人が向かい合うテーブルの上に乗っていたのは……。

「チェスかよ!!」
「ったく、このジジィどもは……」 
「シッ!お静かに!」
 キールが夫婦のツッコミを黙らせた。
「んんっ!?」
 すると、チェス盤がテーブルの下に引っ込み、代わりに何かが出てくる。
「あれは・セキュリティ・トークンです」
 エミリーが答えた。
「セキュリティ・トークン?何だそれ?」

 ウィリー:「約束だ。これはもらっていくぞ」
 南里:「お前のことだ。どんなテロに使うことか……!」
 ウィリー:「訂正してもらおうか。『どんな正義』にでも使わせてもらおう」

 ウィリーが部屋から出て行く。
 残った南里は悔しそうな顔をしながら、
「あの新型ウィルスは世界中の電子頭脳を破壊し、暴走させる。ワクチンはまだ無い。電子に依存しているこの世界で、あれがバラ撒かれたら世界の終わりだ……」
 と、頭を抱えた。

「どういうことだ?」
 敷島はピンと来なかったため、隣にいた妻に聞いた。
「上手く扱えば、核保有国の端末に侵入して、核兵器を誤射させることができるってこと」
「何だ、そんなことか……って、おい!」
「ドクター……南里……」
「あっ、南里博士が!」
 画面を見ると、今度は南里がカメラの方を向いた。

〔「これを見ている正義の味方よ。どうか、ウィリーからウィルスを取り戻してくれ。エミリー、そのような正義の味方が現れたら、全力でサポートするのだ。頼んだぞ」〕

「イエス……」
(ってか、チェスの勝負で世界を滅ぼすウィルスの保有を決めてたのかよ!)
 敷島はその言葉を喉元まで出して飲み込んだ。
 南里の発言は続いており、それはエミリーに向けてのもので、実質的な遺言のようなその内容に、エミリーはポロポロと涙を流していたからだ。
「エミリー、泣くのは後にしなさい。南里から奪ったウィルスは、この部屋にあるはずよ」
「さっきのメモリー媒体だな。……あれが怪しいぞ」
 敷島が指さしたのは壁に埋め込まれた金庫。
 またもや指紋認証を必要とするものだった。
 もちろん、アリスの指紋でOKだ。
「ん?」
 その金庫の中に、果たして映像の中にあったフラッシュメモリーがあった。
「これが世界を滅亡に導くウィルスかよ……」
 敷島は俄かには信じられなかった。
「でも、間違いないわ」
 金庫の中にはノートが入っていた。
 アリスはパラパラをノートを捲る。
「これがじー様の遺した研究ノートだけど、間違いない」
「さすが、天才を自称するだけのことはあるな。ほんの一瞬目を通しただけで、もう内容が分かったのか」
「だいたいね」
「あとは“ワクチン”だ。それが無いとルカが直らない」
「それなら大丈夫。病原体のウィルスじゃないんだから、このウィルスを解析すれば、ルカが感染したものは直せるわ。そうでなくとも、このノートに“ワクチン”の作り方も書いてあったし」
「それを早く言えよ。てことは、もうここの捜索は十分ってことじゃないか」
「そうね」
「よし。あとはこんな化け物ホテルに用は無い。早く脱出を……」

 バンッ!(ドアがこじ開けられた音)

「!?」
「そうはさせねーぜ!ああっ!?」
「私の分析によりますと、あなた達はイエロー達の仇の為に死んで頂くのですね」
 倒したはずのケンショーブルーとケンショーグリーンだった。
「またか、こいつら!」
「ケンショーのしつこさをナメんじゃねぇぜ、ああっ!?じゃ、頼んます」
 だが、エミリーとキールの集中攻撃が待っていた。
「い、いてぇよぉ……クスン……」
 ブルー、あっという間に瞬殺される。
 しかし、グリーンは……。
「クフフフフフ!」
「くっ、弾が当たらない!」
「ロック・オン、できない!」
 見た目とは裏腹の素早い動きで、アンドロイド達の弾をかわすグリーン。
「しまった!」
 敷島が掴もうとしても抜けられてしまった。

 ムニムニッ!ナデナデ……。(←アリスの巨乳を揉み回し、尻を撫で回すグリーン)

「嗚呼……やはりこの生モノの感触は素晴らしい……」
「こ……このっ!ヘンタイ!アブノーマル!!」

 バキィッ!(グリーンの顔面にアリスのパンチ。眼鏡が吹っ飛ぶ)
 ゲシッ!ガッシャーン!(グリーンにアリスのハイキックが炸裂。操作システムの上まで吹っ飛ぶ)

「すげぇ、アリス!」
「フンっ!」
「私が次期会長ぉぉ……」
 グリーン、操作パネルの上に崩れ落ちる。
 が、右手がその際、警戒色のラインに囲まれた赤いボタンに当たった。

 ポチッ……!(←いかにもな赤いボタンを押してしまうグリーン)

 ビーッ!ビーッ!ビーッ!(室内……いや、館内に響くアラーム)

「な、何だ何だ!?」
 敷島がアラームだけでなく、それまで消灯していた赤いパトランプが点灯した室内を見回した。
 その時、スピーカーからエミリーのような声の女性の自動放送が流れた。
 しかし悲しいかな、英語のため、敷島には理解できない。
「自爆装置プログラムが作動したって!早くここから逃げましょう!」
「何だって!?キャンセルしてくれ!」
「できないって言ってる!」
「マジかよ!」
 敷島達は急いで、来た道を引き返した。
 その時だった。
{「こちら平賀、こちら平賀!誰か応答してください!」}
 インカムに平賀からの無線が入ってきた。
 どういうわけだか、館内の通信システムが復旧したらしい。
「平賀先生!敷島です!」
{「敷島さん!無事ですか!?他の皆は!?」}
「全員無事です。ミッションも成功しました!ただ、自爆装置プログラムが作動したみたいで、今、脱出を……」
{「分かりました。実は今、ヘリで現地に向かっています。敷島さん達との交信が途絶えたので、救助をと思いまして」}
「おおっ!」
{「ホテル“シークルーズ”のデータについては、入手済みです。屋上へ向かってください。屋上にヘリポートがあります。そこで合流しましょう」}
「どうやって行くんですか!?」
{「ホールに展望台に行くエレベーターがあります。その展望台から、屋上に出られるはずです」}
「よ、よし!分かりました!」
 ここで一旦、交信を切る。
「聞いたな?取りあえず、ホールに向かうぞ」
「はい!」
 敷島達は研究所からまずは脱出する為に、カジノに戻るエレベーターに向かった。
 時折、誘爆というか小爆発が起きている。
「大丈夫か?まさか、エレベーターが爆発したりはしないよな???」
「余計な心配をしてる場合じゃないわ。爆発するのは研究所だけで、ホテルはそうでないかもしれないし」
「そ、そうだな」

 ドォーン!
「ぅおっと!」
 敷島の近くで小爆発が起こる。
「早くしないと命が持たない!」
「ええ!急ぎましょう!」

 果たして、敷島達は無事に研究施設・ホテルから脱出できるだろうか。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“アンドロイドマスター” 「イエローとホワイト」

2014-08-31 12:15:02 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月20日00:02.廃ホテル“シークルーズ”地下研究所(B4F?) 敷島、アリス、キール、エミリー]

「日付が変わったなぁ……」
 敷島は腕時計を見た。
「参事、さっきから気になるのですが……」
「何だ?」
「ホテルの所からではあったのですが、通信状態が芳しくありません。特にここに至っては、ほぼゼロです」
「外部との連絡ができないってか。俺達も、本部から見れば行方不明ってとこだな」
「ちょっと。行方不明になったら、すぐ救助が来るってプランじゃなかった?」
 アリスが作業の手を止めて言った。
「むしろその方がいいかもなぁ……」
 敷島は腕組みをして天井を見上げた。
 この4人、今どこで何をしているのかというと……。
「あー、くそっ!非常予備電源の1つ、ブッ壊れたか何かしたか!?よりによって、エレベーター乗ってる時に!
 エレベーターに乗って更に下層に移動中、それが止まった為に閉じ込められた4人だった。
「ただの故障でしょうね。停電なら、この中の照明も消えるでしょうから」
 アリスが操作板を開けて、配線をチェックしていたりしているが、なしのつぶてだ。
「もういい。エミリー、このドアこじ開けてくれ」
「イエス。敷島さん」
「エミリー、私も手伝おう」
「右を・お願い」
「よし!」
 2人のアンドロイドは、左右のドアをこじ開けた。
 すると幸いなことに、よじ登れば脱出できそうな位置にエレベーターが止まっていた。
「早いとこ脱出しよう」
 4人はエレベーターから脱出した。
「図面によると、別にエレベーターがあるようです。それは使えるでしょう」
「一体、この研究所の最下層はどこまで下りればあるんだ?」
「この1つ下でしょうね。その為のエレベーターがもう1基あるはずなので、それを探しましょう」
「よ、よっしゃ!」

[同日00:15.同場所同じフロア 敷島、アリス、キール、エミリー]

「この向こう側にエレベーターがありそうです」
「シャッター閉まってんなぁ……」
 キールが指さした先には、防火シャッターが閉まっていた。
「こじ開けます」
「おっ、頼む」
 再びアンドロイド2人が防火シャッターをこじ開けた。
 そこから先に進むと、
「おっ、エレベーター発見」
 エレベーターを発見した。が、
「起動キーを差し込めって……」
「鍵が・合いません」
 ホテルのカジノにあったエレベーターの起動キーが合わなかった。
「マジかよ!えーっ、また鍵を探しに行かなきゃダメなのか!」
「……シッ!何か聞こえない?」
 アリスが敷島を黙らせた。
「ん?」

 ナンミョー……ゲホゲホッ……ホーレー……ゲヘッゲヘッ!……キョォォォォ……!

「何かの声のようだな?」
 するとエミリーは両目をギラッと光らせた。
「接近してきます!気をつけて!」
 ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「うわっ!?」
 エレベーター脇のドアがいきなり、向こう側から叩かれた。
「イィィィィデスカァァァァ……」

 ドンッ!ズゥゥゥン!(←ついに向こう側から鉄扉が破られた)

「な、何だ何だ!?」
 するとドアの向こうから現れたのは、相撲取りのような巨体に頭が2つある物体だった。
 正確に言えば、頭の1つは明らかに化け物としか形容できないものであり、もう1つは人間によく似ていた。
「ミィィィテェェェゴランナサァァァァァイ……!」
「うわっ!」
 化け物の口から、火炎が放射された。
 何とか避ける。
「あれが資料で見た、『あたかもロボットの方が人間を操っているかのような……』ってヤツ!?」
「なっにーっ!?じゃ、向かって右側のジイさんみたいなのは人間か!?」
「あれがどうやら、ケンショー・イエローのようですよ?」
 と、キール。
「何だって!?おい、爺さん!目を覚ませ!」
「ドォォォデショオォォォォォ!」
 突進してくるイエロー。
 デブッた体のくせに、意外と動きは速い。
「応戦しろ!ブッ壊して構わん!」
「は、はい!」
 敷島が命令すると、エミリーは右手をマシンガンに換えて、模擬弾を放った。
「エミリー!実弾だ!実弾を使え!」
「ノー。あの老人は・生きています」
「バカ!そんなこと言ってる場合か!あの資料には、『弱点は僅かに残った人間の頭部だ』と書かれてただろう!?」
「イケェェェダァァァァァァ!ダイサァァァァァァクゥゥゥゥゥ!」
「なに!?『たけやさおだけ』!?」
「違うでしょ!?」
「参事、博士!あの化け物の口に噛まれると、体を噛み砕かれます!気をつけて!」
「分かったから、さっさと応戦しろ!こっちの身が持たんぞ!」
「ワシャアァァァァァ!ソォォォォコォォォォォトォォォォォォ!」
「何言ってんだか、さっぱり分からん!一方通行だ!」
 エミリーは模擬弾をうわ言を放つイエローに向かって撃った。
 その度に、イエローがうわ言を吐くのだが……。
「コォォォセン……ルフゥゥゥゥゥ!」
「光線を放って来るぞ!気をつけろ!」
「その光線なの!?」
「オマエハァァァ……バカダノォォォォォ……!」
「もう訳が分からん!エミリー、俺の命令が聞けないってんならいい!キール、お前がやれ!」
「で、ですがっ……!」
 キールは地道に相手のボディの方を銃撃していた。が、効いているのかさっぱり分からない。

 と、そこへ!

 ガッシャァァァァン!(←天井のダクトにあるグレーチングが破壊される音)

「見ィつけたあぁああぁっ!アタシの……オトコぉぉぉぉぉっ!!」
「うわっ!ホワイト!?」
 ケンショーホワイトが血のよだれを流して、敷島を追ってきた。
「またか、ホワイト!いい加減、しつこい女は嫌われるぞ!」
 そこで敷島はピンと来るものがあった。
「こっちだ、ホワイト!」
「ちょうだぁい……!あなたのォォ……精液ぃぃぃ!」
 敷島はわざとイエローの方へ走り寄った。
「参事!危険です!」
「こうするしかないだろ!」
「どォこへェェェ行く゛の゛ぉぉぉぉぉ!」
 案の定、敷島を追ってくるホワイト。
「子種が足りなくて治療中の俺の精液を欲しがるとはな……」
「ゴクヨォォォォ……!」
「オトコォォォォ!!」
「そらよっ!」
 敷島はイエローの後ろに回り込んだ。
 イエローは真っ直ぐ進むことに際しては意外と速いが、反転は遅いのに気づいた敷島だった。

 ホワイトはイエローに激突し、
「アンタ、邪魔よォォォ!」
「ワシ以外……ミンナ敵ィィィィィ……!」
「上手く行った!」
 敷島は這いずって、アリス達の前に戻った。
 敵同士が仲間割れというか争う。
「危ない!この中へ!」
 キールとエミリーは敷島とアリスを連れ、イエローが出て来た小部屋の中に逃げ込んだ。
 エミリーは床に倒れ落ちている鉄扉を拾い上げ、それを盾にした。
 何が起こるのかというと、その直後、爆発が起きた。

「おおっ!?」
「この資料、太った方のヤツがある程度ダメージを食らうと自爆するって書いてあったわ」
 アリスは資料のファイルを開きながら言った。
「それを先に言えよ!」
「しょうがないでしょ!今気づいたんだから!」
「……静かになったな」
 エミリーが鉄扉を床に置く。
 そこには血だらけのホワイトとイエローが倒れていた。
「何だか知らんが、せめて魂の冥福を祈るぜ」
「参事、何か落ちてます」
「何だって?」
 イエローの死体?の横には、鍵が1つ落ちていた。
「これって、もしかして……」
 敷島はエレベーターのスイッチの所に差し込んだ。
 すると、エレベーターが動いた。
「コイツが持ってたのかよ……」
 敷島は呆れた。てことは、結局倒さなければならなかったということだ。
「まあ、これでやっと最深部へ行けます」
「そうだな」
 敷島達はやってきたエレベーターに乗り込むと、最下層へ向かった。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする