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日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!

2011-03-19 09:12:42 | Weblog
昨日の福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかで、《今からでも遅くない、米軍、露軍に緊急配備して貰ったらどうなのかと思う。》と述べた。放射能防御作業車両を始め放射能の充満した環境下で、連続的に作業可能な装備を備えた専門部隊の投入が原発事故の沈静化に欠かせないと思ったからである。どの程度に放射能防御態勢が欠けているかは今朝の朝日新聞がこのように伝えていることからでも分かる。

 作業員を守るため、消防車の前方に、鉄板やコンクリートの厚い壁をたて、放射線を遮るといった後方支援も必要だという。

今時このような話が取り沙汰なんて論外である。

次は今朝の産経ニュースである。

米軍、放射能専門家部隊450人派遣準備 日本はアドバイザー利用が有効

 東日本大震災で米国防総省は、東京電力福島第1原子力発電所の事態悪化に備え、放射能被害管理などを専門とする約450人の部隊を日本に派遣する準備に入った。日本政府も18日、受け入れ先の検討に着手したが、大規模部隊派遣は日本の情報発信に不信感を高める米側の最悪事態回避を迫る強いメッセージだといえる。自衛隊への支援が中心になるとみられる。日本側としては米軍の知見を生かす「活米」の発想が必要との声も出ている。
(2011.3.19 01:08)

「燃料棒の冷却」制御が地震発生後1週間を過ぎてしまっても、まだままならぬ現状はまさに非常事態である。私は福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しようで、《現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。》と述べたが、もはや事態はこの時点での規模を遙かに大きく上回り、総力戦に入っている。ところが肝腎の「指揮・命令系統」がおそらく未だに確立していないのであろう、私には見えてこない。

「指揮・命令系統」が存在する組織の代表例が「軍隊」である。たとえば関東大震災の時は関東戒厳司令部が地震発生後2日目の9月3日に設置され、陸軍大将が司令官となった。軍隊においては「指揮命令系統」は日常運用されているものであるが、とくに非常事態に際しての運用には事態を想定しての訓練が欠かせない。自衛隊はもともと「軍隊」ではないが、それでも「指揮・命令系統」がそれなりに存在して運用されているであろうが、一地域を完全に掌握して「指揮・命令系統」を一元化する事態を想定していたとは思えない。

時間があれば非常事態における「指揮・命令系統」の構築を考えていけばよいが、今はその時間がない。となると福島第一原発における「燃料棒の冷却」に集中して、米軍専門部隊への「指揮・命令系統」の委譲を念頭に入れつつ、なにはともあれその助力を要請すべきではなかろうか。とどのつまりは「人事を尽くして天命を待つ」である。まだまだ人事の尽くし方が足りていない。原発現場で必死の作業にあたっている作業員の方々の気力・体力も限界に達していることを憂う。一刻も早く次なる手を打つべきである。ここでいう米軍専門部隊は「核戦争」の戦場での行動が想定されているものと思う。その実態を知る絶好のチャンスでもあろう。

福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのか

2011-03-18 16:25:34 | Weblog
朝、外を見ると日陰の部分に雪が残っている。遙か北の被災地の方々のご無事をひたすら念じるのみである。

テレビを入れる。福島原発が出てこない。なんとか持ちこたえているようなのでほっとする。

3月11日に東日本大震災が発生、福島第一原発で稼働中の原子炉1号機、2号機、3号機とも緊急停止したが、停電とともに作動するはずだった13機ある非常用のディーゼル発電機が全滅して「電源」確保が破綻した。さらには「水」不足で炉心ならびに使用済み核燃料貯蔵プールの冷却に支障を来したことが現在にいたる数々の異常事態を引き起こした。

「電源」と「水」を一刻の遅滞も許さずに確保すべきであるのに、その動きが地震発生後48時間たってもほとんど伝わってこない。それが私をして福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかと言わせた。ところが地震発生後150時間になろうとするのに、いまだに「燃料棒の冷却」が制御下に置かれていない。現場で事態の沈静化に向けて決死の作業を続けている方々には頭の下がる思いであるが、一方、あまりにも杜撰としか言いようのない原発の「非常時対策」と、非常事態における「指揮・命令系統」が浮かび上がってきたのには驚きを禁じ得ない。私はもともと原子力発電については一般教養的知識しかないが、私なりに常識的に考えてみた。

●昨夜5時ごろのNHKニュースではもう10分もすれば警視庁機動隊の高圧放水車が放水を開始する予定と伝えていたが、予定が遅れに遅れて午後7時ごろになってようやく放水が始まったが、放射線量が基準を超えたので2回目の放水をせずに撤退してしまった。少々期待を持たされたがさもありなんと思った。もともと高圧放水車は暴徒鎮圧用のもので、放射能が充満しているようなところで作業をするように設計された車ではないからである。

そして驚いたのが、強い放射能環境下でも作業可能な放水車やポンプ車が福島原発には一台もなかったのかということである。放射能が周りに充満していても海水を汲み上げて注水や放水ができる作業車が一台でもあれば初期対応は遅滞なく行われたはずである。またロボット注水・放水車でもよい。このような特殊車両が備えられておればその動きが報じられるだろうに、そのような話がないので、もともと無かったのであろうと思わざるをえない。もしかして、日本中の原発のどこにも放射能防御作業車両が無いのだろうか。もしそうならこれは「想定外」で決して許されることではない。恐らく「秘密兵器」なのであろうが、今からでも遅くない、米軍、露軍に緊急配備して貰ったらどうなのかと思う。

●東京電力は17日になってようやく東北電力の近くの送電網から福島第一原発への送電ラインを復旧させる計画を発表した。当初の予定では17日午後にも「電源」が確保される見通しと言われたが、それが18日にも復旧しそうだに変わった。先ほどのニュースでは18日中に1、2号機に接続できて3、4号機も20日を目途に回復を目指すとのことであるが、あまりにも対応が遅すぎる。阪神・淡路大震災の時にわが家でも水道、ガスよりも電気の回復が一番早く、48時間程度であったように思う。「電源」確保が最優先であるはずなの何故ここまで遅れるのか、ぜひ説明を聞きたいものである。全体を統括する「指揮・命令系統」が不在であったせいだろうか。

●原発現場での作業を阻んでいるのがその周辺の高い放射能であると言われている。少しでも作業時間を稼ぐために作業員の被曝線量を100シーベルトから250シーベルトに引き上げたとのことである。やむを得ざる処置なのであろうが、もしこの放射能が噴出した蒸気に含まれる放射性物質によるものならどうせ外に出たものである、巨大なジェットエンジンでも使って原発周辺から海の方にでも追い払えば作業がしやすくなるように思うが、素人考えであろうか。

●東京電力福島第一原子力発電所への放水・冷却作戦に、東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)が参加することになったとのニュースが流れてきた。

 派遣されたのは車両30台と隊員139人。毎分3.8トンの水を22メートルの高さから放水できる屈折放水塔車や、毎分5トン放水できる大型化学車、40メートル級のはしご車などで構成。大量の水を継続してくみ上げられる送水車やホースを延長する車両、放射線量を測定できる特殊災害対策車などもある。
(asahi.com 2011年3月18日14時9分)

心丈夫ではあるがやっぱり出動が遅い。それにしても、ここまであなた任せの原発であったとは、発電量のほぼ50%を原発に依存している関西電力の管内に住んでいる私としては認識不足であった。学ぶべきことがあまりにも多い。


被災者の「疎開」を一刻も早く組織的に

2011-03-17 11:11:36 | Weblog
東日本大震災による避難者は原発事故による避難者を合わせると43万人を超えるとのことである(朝日朝刊)。ご苦労は察するにあまりある。この状態がいつまで続くことやら恐らく目途はたっていないことであろうが、この困難な状況から脱する最も有効で唯一の手段が「疎開」であると私は確信する。

これまでもこのブログで折に触れて書いてきたが、私たち家族は前の戦争の敗戦を当時の朝鮮・江原道鉄原で迎えた。ソ連軍に追われるような形でなんとか京城に脱出して、父の勤める会社の寮の一室での避難生活が始まった。避難生活といっても家屋はなんの損傷もなく、巷には食料品をはじめあらゆる物質が溢れかえっていたのだから、震災の惨状にくらぶべきもない。11月の中頃であろうか、ようやく貨物列車で釜山に運ばれて引き揚げ船に乗船するまで寺院の本堂で1週間ほど雑居生活を送った。引き揚げ船で博多に上陸してふたたび貨物列車で父母の故郷播州に辿り着き、会社の準備してくれた社宅に落ち着いたのは11月も終わりであったと思う。3月半におよぶ浮き草生活からようやく解放されたのである。もちろんこの間、学校とはまったく無縁であった。今でいうと小学5年の2学期は抜けてしまって、年を越した3学期から教室に戻った。

私たちのような朝鮮からの引き揚げ者は民間人だけで72万人に達した。さらに言えば海外からの引き揚げ者総数は軍人・軍属が310万人、民間人は318万人で合計628万人に達する。この巨大な人口をおなじく戦争の惨禍に打ち拉がれた祖国が一手に受け入れて、そして国民が一丸となって復興に立ち向かったのである。この時の状況に比べれば、今回の震災被災者を西日本をはじめ被災地周辺の府県が受け入れるなんて児戯に等しいものである。

私の家が阪神・淡路大震災で半壊になり、同居の母をとりあえず妹の嫁ぎ先にあずかって貰い、補修も済みライフラインのようやく回復したわが家に母が戻ってきたのは3、4ヶ月後であった。半壊といっても家の形が残っていたからこそ出来たことであって、家が全壊した被災者は当面の目途さえたたなかったのが実情であった。この方々と同じような状況に大津波に家を奪われた方々が今おられることになる。

避難所に救援物資を送り届けることは目下の急務である。しかし避難所での生活には限度があり、とくに高齢者や乳幼児をはじめ体調を崩した方々には先の見えない生活を強いることはもう出来ない。今や「疎開」を積極的に行うしかこの窮状を脱する手立てはないものと思い定め、国が即刻基本計画を立てて実行に移すべきであると思う。

被災者で東海・西日本地方に縁者・知己のある方々は、そういう個人的な繋がりを活用して「疎開」先を確保するのもよかろう。すでにこれらの地域で公営住居などを提供する動きがが早くも広がっている。縁故に頼るだけではなく、被災地の自治体がしかるべきネットワークで積極的に「疎開」の斡旋を行い、一方、国はあらゆる便宜を図ることで支援すべきである。自衛隊車両による輸送をはじめJRの無料化などはその手始めであろう。そして故郷との連絡手段を確保する。被災者の方々にはそれぞれの思いがあり、なかなか「疎開」に踏ん切れない方も多いことだろうが、「疎開」こそが最善の選択枝であることを、引き揚げと阪神・淡路大震災の経験者として確信する。


福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しよう

2011-03-16 11:18:11 | 社会・政治
科学者が実験をしていて秘かに興奮を押し隠すのは「想定外」の出来事に出くわしたときである。途轍もない発見をしたのではないかとわが眼を疑い、かつ奮い立つ。そしてこの思いがけない出来事が必然的なものであることを考えられる限りの手段を講じて確認が出来たら、そこで新発見の喜びを爆発させる。

今回の福島原発における一連の事故について、福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかで私なりの見方を述べた。13機もあった非常用ディーゼル発電機がすべてが動かなかったとか、水の供給が十分でなかったとか、信じがたいことではあるがまさに「想定外」の事態が起こったようである。その結果「燃料棒の冷却」が不十分になり、ひいては放射性物質を含んだ高圧蒸気の空気中への放出や「水素爆発」を引き起こしてしまった。

朝日新聞の今朝の「天声人語」に次のようなくだりがある。

▼「原発の二大事故」は、米国のスリーマイル島とソ連のチェルノブイリであった。こののち、フクシマを含めて「三大」となるのは現時点の規模でも間違いない。
おそらくそうであろう。しかしこの「二大」と「フクシマ」は根本的に異なるところがある。福島原発事故は観測史上世界4番目の規模といわれるマグニチュード9.0の巨大地震と1000年に一度という大津波が発生したことで引き起こされたが、「二大」にはこのような想像を絶する外的要因はまったく無かったのである。福島原発ではこのような過酷な状況下にもかかわらず、稼働中の原子炉で制御棒が正常に働いて連鎖的な核分裂反応を停止されたことは大いに評価すべきである。

連鎖的な核分裂反応は確かに停止した。福島第一原発のそれぞれの原子炉で用いられている燃料棒の成分構成は詳らかではないが、もともと燃料棒そのものが大量の放射性同位元素を含んでいるのであるから、その自然崩壊で熱が発生する。したがって通常の発電のための連鎖的核分裂反応は停止したとしても、自然崩壊による発熱を抑えるためには燃料棒を絶えず冷却しなければならない。この「燃料棒の冷却」の出来なかったことが今回の一連の事故を引き起こしているのであるから、なすべきことは一にも二にも「燃料棒の冷却」であることがはっきりしている。

「想定内」であれば日ごろ訓練に用いられたマニャルに従い定められた対応をすれば十分であろう。しかし「想定外」の事態ではそれが効かないからこそ、現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。それと同時に未曾有の事態であるだけに、すべての出来事は詳細に記録されなければならないと思う。そのための記録班を編成するぐらいの重要性を東京電力の責任者は認識して行動に移すべきであろう。これほど大がかりでかつ貴重なデータをもたらす実験は計画して行えるものではない。

朝刊は厚生労働省と経済産業省が福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を、現在の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに上げたことを伝えた。さらには突発事態でこれ以上の大量被爆の恐れのある厳しい環境下で、必死に作業に当たっておられる方々を心からの感謝をもって応援したい。「想定外」の状況でこそ叡智を発揮するであろう日本人の技術者魂を私は信じる。しかし、決して「特攻隊」を考えるようなことがあってはならないことを強調したい。

事実を伝えることの難しさ 取材・解説者に望むこと

2011-03-14 18:07:00 | 社会・政治
11時過ぎにある民放テレビ(?)が福島第一原発3号機の建物が11時01分に爆発する瞬間を何度も何度も繰り返して放映していた。閃光と炎に続いて黒煙が勢いよく上がり、やがて吹き上げられた外壁なのだろうか構造物の破片が幾つも落ちてきるとともに白煙が横に広がった。私が観たのとは異なるようであるが、爆発の瞬間がこのYoutubeに記録されている。閃光と炎を最初は29秒あたりで見ることができるが、1分10秒からの映像の方が見やすいと思う。



その後東京電力の会見発表があったが「爆発で白煙があがった」という内容であった。「閃光と炎」に「黒煙」を見ていただけに、「白煙」とはこれいかに、との思いを抱いた。

「大丈夫です、心配はありません」のメッセージを「白煙」に託したと思えないこともないが、「閃光と炎」を眼にした多くの視聴者が、東京電力は「白煙」と誤魔化すことでなにか重大なことを隠そうとしているのではないかと疑っても仕方がないような状況であった。東電のこの発表は一体どのような経緯で行われたのだろうか。事実を可能な限り正確に公表するという基本姿勢がまったく欠けているように感じた。

原子力安全・保安院の記者会見もひどいものであった。第一原発1号機の格納容器内の圧力が上昇して危険なので弁を開いて蒸気を放出するする手順を説明する際にも、自分たちが日常使っているのであろう、「ベント」「ベント」という術語を繰り返すのみ。話の筋で「ベント」とは弁のことか、と推測はついたものの、国民に分かりやすく説明するという姿勢を感じとることは出来なかった。

あれもこれもこの未曾有の災害に平静さを失い、伝えるべき内容を落ち着いてまとめられなかったのかも知れない。不断からの準備が無かったせいなのかも知れない。たとえば1号機にせよ3号機にせよ、燃料棒がなぜ水面上に露出するのか、水をどのように供給するのか、それを説明する模型図すら公表されていないのではないか。少なくとも私が調べた限り見当たらなかった。テレビ、新聞などで確かにそれらしき模式図が描かれているが説明がほとんどないものだから、ただの判じ物に終わっている。


これは1号機が問題になった時の朝日新聞の図であるが、どこにも「ベント」が見当たらない。さらに「スプレー装置」などがあるが、何をどういう目的でどのように水をスプレーするものやら、何一つ分からない。元来は福島原発か東京電力が提供すべき模式図であるが、マスメディアが積極的に取材をして、取材者がその模式図を見ながら原発側の説明を聞いて、それを理解出来ることを確認した上で視聴者に提供すべきなのである。その基本的なところを消化不良のまま残して、一般教養の持ち主より3本ほど毛の多いだけの「解説者」をテレビに並べたてての報道番組なんて無意味である。

私が望むような取材、解説が出来るのではないかと思ったのがNHK科学文化部の山崎記者である。原子力担当ということで短い間にお馴染みになったが、生の情報に接して常識的に考えて疑問が生じたらそれを解き明かして聴視者に伝ようとする姿勢を感じたからである。この山崎記者にもう一歩踏み込んで1号機、3号機の模式図を準備してもらい、それを使ってその時々の問題点を懇切に解説して貰いたかった。自分が納得出来て始めて視聴者に伝え、そして疑問を疑問として残さない。これがプロの取材・解説者に求められる資質ではなかろうか。

そして、最後に一言。情報を提供する側も取材する側も、民度の極めて高い日本国民に対して、いかなる意図であれ情報操作は、結局は自分の首を絞めることになることを銘記すべきである。



福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのか

2011-03-13 15:14:52 | 社会・政治
これまでに分かったことは、福島原発の原子炉がこのたびの東北地方太平洋沖地震で眼に見える構造的破壊を免れたということである。これから細かい損傷が見つかっていく可能性はあるだろうが、まずはその耐震性が実証されたと言える。ところが原子炉の安全性を確保する上で、思いがけぬ伏兵が現れた。地震が発生したのは11日午後2時46分ごろであるが、その午後3時42分に東京電力から経済産業省の原子力安全・保安院へ、福島第一原子力発電所の1、2号機で、炉心を冷やす緊急炉心冷却システム(ECCS)が動かなくなったという連絡が入ったのである。地震による停電に加えて、13機ある非常用のディーゼル発電機もすべてが停止したのでECCSを動かすことが出来なくなったのである。そこで東電は電源車51台を同原発に向かわせることにした。以上はおもにasahi.comのニュースであるが、一方、このようなニュースがあった。

 経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時すぎに記者会見を開き、東京電力福島第一原子力発電所の1号機(福島県大熊町)で、原子炉内の燃料の溶融が進んでいる可能性が高い、と発表した。(中略)

 1号機の燃料Aの水位は、マイナス90センチがマイナス170センチまで下がり、燃料が水面から露出しているとみられる。燃料Bの水位についても、80センチから145センチまで下がっていることが確認されたという。格納容器内の圧力は750キロパスカルが754キロパスカルで、圧力は比較的安定している
(asahi.com 2011年3月12日14時22分)
さらに

 原子力安全・保安院は12日午後3時すぎ、東京電力福島第一原発の1号機の配管の弁を開放した結果、炉心の圧力容器を覆う「格納容器」の圧力が低下し始めた、と発表した。格納容器内は通常、400キロパスカル(約4気圧)で運転されているが、1号機は大地震による自動停止後、800キロパスカル超の圧力を記録し、損傷の恐れがあった
(asahi.com 2011年3月12日15時43分)

ともに第一原発1号機についての記述で、格納容器内の圧力についての評価が微妙に変わっている。一方、1号機の炉心の水位についての続報である。

 原子力安全・保安院によると、東京電力福島第一原発1号機の炉心は、水位低下が止まらず、現在、自衛隊のタンク車やポンプ車が計3~5台出動し、給水をして冷却している。また、外務省を通じて米軍からも協力すると打診されているという。
(asahi.com 2011年3月12日14時55分)

実はいろいろと問題点があるのだが、この「電源」と「水」に限っても理解出来ないことが多い。私は原子力発電について、一般教養的知識しかないので、そういう意味では多くの国民の皆さんと同じレベルにあると思っている。したがって常識的な見方しか出来ないのであるが、その常識で考えて分からないことに誰も答えてくれないのである。

まずは「水」である。東京電力福島第一原発1号機の炉心は、水位低下が止まらずとのことであるが、炉心の水位低下が燃料棒を水面から露出させることになり、これが危険だから水を供給して水面を上昇させようとしているはずなのに、なぜ水位低下がとまらないのかが分からない。地震で容器かパイプ類にヒビがはいり、そこから漏れ出したのだろうか。私が取材者ならそれを問いただすだろうにと思った。

さらにその「水」のことである。この「水」とは真水のことだろうが、水道栓を開いて給水する仕組みだけしかなかったのだろうか。地震で給水管が破壊されうる可能性を想定すれば当然プールのような貯水槽が設置されている筈だと思う。だからこのニュースには驚いた。

 経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後、福島第一原子力発電所1号機の炉心を冷やす冷却水が不足してきたため、自衛隊に協力を要請したことを明らかにした。炉心が高温のままだと燃料棒の損傷が続く恐れがあるためだ。自衛隊が近郊の水源地から水を集め、給水車で運ぶ。

 現在は消火用の配管を炉心を冷やす配管と接続し、炉心の温度を下げるために使っている。保安院によるとこれまでに合計で2万1千リットルを投入したという。
(日本経済新聞 電子版 2011/3/12 15:00)

これが本当なら開いた口がふさがらない。2万1千リットルとは21トン。大型タンクローリー1台分ではないか。それで水が無くなってしまった?そしてとどのつまりが海水の注入とは!

「電源」もそうである。電気をつくる発電所でも停電することはあるだろう。その緊急時に備えて予備電源を設置するのは当たり前のことであろう。現に木造家屋がほとんど津波に奪い去られ、孤影悄然と建っているコンクリート造りの病院の窓が、自家発電で明々としている光景をテレビで眼にしたばかりである。それなのに原発では13機ある非常用のディーゼル発電機がすべてが停止してしまったとは誰が信じるだろう。

そしてこれからが本題なのであるが、この危機を乗り越えるために福島原発ではどのように意思決定がなされたのであろうか。

非常事態に際してどのように行動するのか、もちろん日常定期的に訓練はなされていただろう。では今回のように非常時電源まで使用不能になった際の訓練は出来ていたのだろうか。出来ていなかったような気がする。伝えられる限りではあるが、対応があまりにもスローモーだったからである。恐らく「想定外」であったのだろう。もし緊急事態での意思決定が現場でなされたのなら、対処は迅速に行われたに違いない。それが現場では意思決定ができず、東電本社、さらには経産省に原子力安全・保安院といちいちお伺いを立てていたのではなかろうか。そのうえ、厄介なことに菅総理までヘリコプターでやってこられてはたまったものでない。これが現場の声ではなかろうか、と私は思いたい。いずれ事後検証がなされるであろうが、意思決定を現場にまかせてそれを関係者全員が後押しをする、これが最善の危機克服の手段であると思う。

現場の方々は必死の取り組みをなさっていることであろう。なんとかして危機を脱していただきたい。


「原子力発電所の原子炉が、原子爆弾のように爆発を起こすということはありえない」 しかし・・・

2011-03-12 20:35:56 | Weblog
今日の午後3時36分、福島第一原発1号機で爆発音がしたことに関して、原子力安全・保安院は12日午後6時に記者会見を開いた。 事故が発生してから2時間半も経っているのに、明らかにしたのはただこれだけである。

 保安院によると、同日午後3時36分、1号機の原子炉とタービンの建物の周辺で縦揺れと爆発音がし、白煙が上がった。けが人が4人いると東京電力から報告を受けた。周辺の放射性物質の量については「これから確認する」と述べた。

 テレビ映像で1号機周辺の建物の外壁が落ちているような状況になっていることについては、「映像を見る形以外の情報を得られていない。放射性物質を閉じこめるときにどうすればよいかをよく調べて、情報を入手して判断する必要がある」とした。
(asahi.com 2011年3月12日18時29分)

これではテレビを見ているのと何も変わらない。このような仕事ぶりでは原子力安全・保安院なんぞは要らない。ただのでくの坊である。

次の文章を注意深くお読みいただくと、私たちが本当に欲しい情報は、今はどの段階でどのような手段をとっている、という具体的な説明であることがお分かりいただけよう。。

 原子力発電所の原子炉が、原子爆弾のように爆発を起こすということはありえない。いろいろな理由からして、そうした爆発は不可能なのだ。しかし、一年間運転した中型の原子炉には、広島で放出された1000倍に相当する放射性物質が蓄積されており、そのうちのほんの一部分が放出されても、人体や環境に重大な影響を及ぼす。
 この危険性を防止するため、たいていの原子炉は、強化コンクリートで造られた封じこめのための構造物のなかに鎮座し、ステンレス製圧力容器のなかに収容されている。しかし、水蒸気の大爆発とかあるいは爆弾やハリケーンといった外部の大きな力が加わると、これらの防御手段は破壊されてしまうことがある。
 さらに、究極的には原子炉の炉心が溶融して下に落ちこむという現象、すなわち「メルトダウン」するという脅威がある。原子炉が正常に機能しているときには、冷却水が原子炉の燃料集合体の間隙を通過して、炉心を冷却している。
 この冷却系が、停電、ポンプの故障、冷却水の配管の破損といったいずれかの理由で停止すると、一連の予備冷却系がその作動を始める。しかし、そうした装置がすべて作動しないときは、メルトダウンがさけられないことになる。

 一般に、原子炉の炉心は水漬けになっている。しかし、新たな冷却水の供給が途絶えると、圧力容器にすでに入っている水は加熱し、沸騰し、蒸発してしまう。この現象が起きると、原子炉内の温度が上昇を初め、粒状の燃料を収容している燃料棒の被覆菅が溶融する。やがて、ウラン燃料も溶融を始め、炉心を溶融した放射性金属の塊に変えてしまう。 そうした経過をたどったあと、最終的には炉心は圧力容器の底部に「たまり」となって崩れ落ちる。やがて温度は華氏5000度(摂氏2760度)にも達し、炉心は容器を突き抜け、原子炉を封じ込めている外部構造物の底部へと溶融してゆく。これら構造物は放射能の漏洩と爆発に耐えられるように設計されているが、メルトダウンに対しては抗する手段は与えられていない。

福島原発原子炉は紫色で強調した経過をたどっているようである。赤色で強調したようになるとこれは破局的である。原子炉の関係者はこの赤色にならないよう全力を傾注しているところであろうと固唾を飲んで見守っている。最悪の事態を逃れたとの記者会見が待ち遠しい。なお上の文章は次の新書の28-30ページからとったものである。この本を読んだとき、まさかこのような事態が日本で起こるとは夢にも思わなかった。日本人の科学・技術者魂に私なりに信頼を置いていたのである。


東北地方太平洋沖地震 息子が徒歩で無事帰宅

2011-03-12 10:02:03 | Weblog
津波の猛威にただただ唖然とするばかり。懸河の勢いですべてを飲み込んでいく。これではいくら警報が早めに発せられたとしても逃げようがない。津波による犠牲者の方が一番多くなるのではなかろうか。なんとも痛ましいことである。いまだに救助を待っている方々のご無事と一刻も早い救出を祈るばかりである。まずは自衛隊は総動員で出動していただきたい。

そして今、自宅に辿り着いた千葉の息子から電話がかかってきた。地震発生時は外出で電車に乗っており、錦糸町の駅で降ろされたそうである。私にメールで届いたのが昨夜の9時で「一応無事ですがトボトボ歩いています」と連絡があったきり途絶えてしまった。電池が切れてしまったそうである。今朝も千葉に電話をしたが息子はまだ帰っていないという。結局途中「マクドナルド」で夜を明かしつつ、自宅まで30キロほど歩いてようやく帰ったとのことであった。まずは安堵する。14日より友人と伊豆方面に出かける予定にしていた妻にも旅行社から中止するとの連絡が入った。これでひとまず身の回りは落ち着いた。息を詰めて救出者が一人でも多いことを見守っている。


東北地方・太平洋沖地震による被害救済と復興支援のために

2011-03-11 20:13:44 | Weblog
今回の東北地方・太平洋沖地震はM8.8と国内最大規模の大きさで、被害全容が明らかになるのが恐ろしい。私が眼を剥いたのは太平洋沿岸を襲った大津波の暴威である。日本人の勤勉さそのものの手入れの行き届いた畑地に綺麗に配置されたビニールの覆いのなんと平和なたたずまいであることよ。そんなところまで津波が押し寄せて一挙に蹂躙し尽くした。目の前で横倒しになっていく数々の船舶に、マッチ箱のように軽々と津波にもて遊ばれている自動車や建造物。こういう情景が現実に起こるなんて今でもまだ信じられない思いである。

阪神・淡路大震災の被害総額が約10兆円規模といわれたが今回もそれに匹敵する被害規模ではなかろうか。政府が全力を挙げて被害救済と復興支援にいち早く取り組むべきであるが、それこそお金が要る。この機会にこそ「ばらまき」と悪評の高い子ども手当に高速道路無料化などを断念し、その財源を東北地方・太平洋沖地震からの回復に回すべきである。そのためには与野党が力を合わせて必要な予算措置を講じることが欠かせない。党利党略を棚上げにして国民のために全力を傾注する政治家の姿を今こそ国民に示して欲しい。政治に対する国民の信頼を取り戻す貴重な機会でもある。

未曾有の大地震に心が痛む

2011-03-11 18:33:55 | Weblog
4時前だっただろうか、パソコン画面のニュースで東北・関東で大地震の発生したことを知った。急いで千葉の息子の家に電話をしたが混雑しているということで通じない。携帯電話もウンともスンともいわない。何度繰り返しても同じである。4時過ぎにふとIP電話のあることを思い出してその番号を呼び出すと「話し中」のシグナル音が聞こえる。もう一度かけると有難いことに通じて長男の嫁が出た。小学生の次男を迎えに行きその帰り道で地震に遭ったらしい。家に帰りつくと棚の上のものなどが床に散らばっていたが、家具の転倒などはなく、手早く点検した限りでは家にも異常がなく、電気・ガスの供給もOKとのことなので少し安堵する。市原市のコスモ石油の火事の煙が流れてきて臭いが強いという。震度は5強とパソコン画面に出ていた。霞が関に勤務している息子の携帯を呼び出したが無音のままである。嫁が家の状況を知らせてメールを送ったが返信は届いていないとのことだった。首都圏の交通機関は全部止まっているので、今夜は勤務先で待機ということになるのではなかろうか。

最新の情報では地震規模はM8.8で福島・相馬で津波7.3メートルとのこと。さらにテレビがこれまでに眼にしたこともない大津波の惨状を伝えている。自然の猛威に唖然とするばかり。この大地震に巻き込まれた方々のご無事を祈るのみである。一刻も早く援助の手が差し伸べられんことを!