日々是好日

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福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しよう

2011-03-16 11:18:11 | 社会・政治
科学者が実験をしていて秘かに興奮を押し隠すのは「想定外」の出来事に出くわしたときである。途轍もない発見をしたのではないかとわが眼を疑い、かつ奮い立つ。そしてこの思いがけない出来事が必然的なものであることを考えられる限りの手段を講じて確認が出来たら、そこで新発見の喜びを爆発させる。

今回の福島原発における一連の事故について、福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかで私なりの見方を述べた。13機もあった非常用ディーゼル発電機がすべてが動かなかったとか、水の供給が十分でなかったとか、信じがたいことではあるがまさに「想定外」の事態が起こったようである。その結果「燃料棒の冷却」が不十分になり、ひいては放射性物質を含んだ高圧蒸気の空気中への放出や「水素爆発」を引き起こしてしまった。

朝日新聞の今朝の「天声人語」に次のようなくだりがある。

▼「原発の二大事故」は、米国のスリーマイル島とソ連のチェルノブイリであった。こののち、フクシマを含めて「三大」となるのは現時点の規模でも間違いない。
おそらくそうであろう。しかしこの「二大」と「フクシマ」は根本的に異なるところがある。福島原発事故は観測史上世界4番目の規模といわれるマグニチュード9.0の巨大地震と1000年に一度という大津波が発生したことで引き起こされたが、「二大」にはこのような想像を絶する外的要因はまったく無かったのである。福島原発ではこのような過酷な状況下にもかかわらず、稼働中の原子炉で制御棒が正常に働いて連鎖的な核分裂反応を停止されたことは大いに評価すべきである。

連鎖的な核分裂反応は確かに停止した。福島第一原発のそれぞれの原子炉で用いられている燃料棒の成分構成は詳らかではないが、もともと燃料棒そのものが大量の放射性同位元素を含んでいるのであるから、その自然崩壊で熱が発生する。したがって通常の発電のための連鎖的核分裂反応は停止したとしても、自然崩壊による発熱を抑えるためには燃料棒を絶えず冷却しなければならない。この「燃料棒の冷却」の出来なかったことが今回の一連の事故を引き起こしているのであるから、なすべきことは一にも二にも「燃料棒の冷却」であることがはっきりしている。

「想定内」であれば日ごろ訓練に用いられたマニャルに従い定められた対応をすれば十分であろう。しかし「想定外」の事態ではそれが効かないからこそ、現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。それと同時に未曾有の事態であるだけに、すべての出来事は詳細に記録されなければならないと思う。そのための記録班を編成するぐらいの重要性を東京電力の責任者は認識して行動に移すべきであろう。これほど大がかりでかつ貴重なデータをもたらす実験は計画して行えるものではない。

朝刊は厚生労働省と経済産業省が福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を、現在の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに上げたことを伝えた。さらには突発事態でこれ以上の大量被爆の恐れのある厳しい環境下で、必死に作業に当たっておられる方々を心からの感謝をもって応援したい。「想定外」の状況でこそ叡智を発揮するであろう日本人の技術者魂を私は信じる。しかし、決して「特攻隊」を考えるようなことがあってはならないことを強調したい。

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