日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

神戸地下鉄は満員 そして驚きのテノール

2009-05-31 18:23:07 | 音楽・美術
昨日(5月30日)、散髪に行くつもりで午前11時前に新神戸行きの地下鉄に乗ろうとしたところ、珍しくも満員であった。なんとか乗り込んだが身動きできない。先週はゆうゆうと座っていけたのに大違いである。神戸市が新型インフルエンザについて28日に「ひとまず安心」宣言を行った影響であろうか。子供連れが目立った。

県庁前で降りて、行きつけの理髪店に向かう。新型インフルエンザ騒動で閑古鳥が鳴いていたとマスターがこぼしていた。5月20日には開業以来初めて、店を開けているのに一人もお客が来なかったそうである。例年5月になると官公庁関係の人事異動に伴う歓送迎会がピークを迎えるのだが、今年はそれが取りやめになり、周辺の店が軒並みに大損害を被っている話を聞かせてくれた。散髪が終わってから鯉川筋にある馴染みの中華料理店で昼食をとったが、ここでも客足ががた減りして、2時半過ぎてようやく一人のお客が入っただけの日もあったとのこと、やはり開業以来初めての経験だったらしい。

センター街に出ると人が多い。ジュンク堂では店内を歩き廻るだけで人とぶつかりそうになる。一挙に人が街に繰り出して、週末の賑わいが2週間ぶりに戻ってきた。もちろん「さんちか」も結構の人混みで、それにマスクをかけている人もあまり目立たない。あの騒ぎ、一体何だったのだろうと思うが、ヒットラーのような人物が出てきたら、日本人はひとたまりもないような気がして少々寒気がした。なんだか紛らわしい動きが選挙に向けてあるだけに気になる。それこそ杞憂であって欲しい。

三宮でぶらぶらしているうちに時間が迫ってきたのでJRで神戸駅に戻り、開演10分前に無事コンサート会場の松方ホールに到着した。東京のとある音楽大学の同窓生が毎年開いている演奏会で、あるご縁でチケットを頂いたのである。マリンバ、ピアノ、フルートなどの演奏に加えて、オペラのアリアに歌曲の演奏が組まれていて、私はどちらかというとそれに惹かれたのである。私が練習を終えたばかりの「二人の擲弾兵」(By Schuman)が歌われたものだから、密かに一緒に口ずさんでいた。そして思いかけず途轍もなく素晴らしいテノールに出会ったのである。

このテノールとは特別出演の加茂下稔(かもした みのる)さんで、そのプロフィールによると2007年の第50回NHKニューイヤーオペラコンサートに出演されたとある。この番組を見逃したことのない私はテレビでお目にかかっているはずであるが、つい佐野成宏さんとか福井敬さんのような常連?に目を奪われて、加茂下さんの名前が残念ながら記憶には止まっていなかった。その加茂下さんの生の歌声を初めて聴いてしびれてしまったのである。まずは「椿姫」の第一幕、ヴィオレッタとアルフレッドの二重唱「ある日、あなたは大気のように軽やかに」で登場、どこまでも伸びていきそうな、そして腰の据わった歌声に吸い寄せられてしまった。身体全体がテノールという楽器に巨匠の手により作り上げられたかのようである。お見受けしたところ「メタボ」確実(失礼!)の体型であったが、メタボ健診という愚行を尻目に、ますます楽器に磨きをかけていただきたいものである。

トスティの歌曲と「オー・ソレ・ミーオ」が続き、最後にはパバロッティもドミンゴもカレーラスもまっ青の三点ドとおぼしき(二点シ?)実のある高音で歌い上げて締めくくったのには思わずブラボーを叫んでしまった(・〇・;)。これでいっぺんに加茂下稔さんの名前を覚えてしまい、演奏会のお目当てが一つ増えた。

それにしても神戸の街を大勢の市民と一緒に楽しむ喜びが戻ってくれたのは嬉しい。幸せを噛みしめながら帰宅の途についた。

「最先端研究助成」よりましな2700億円の使い方があるのでは  追記有り

2009-05-28 21:05:36 | 学問・教育・研究

これは5月27日朝日朝刊の記事である。科学技術研究に大型予算とはご同慶の至りと申し上げたいが、今回ばかりは素直にその気になれない。というのもこの2700億円の出所がいわゆる景気対策のための15兆円の補正予算で一過性のもの、いわば科学技術界への一時定額給付金のようなものであるからだ。日本の科学技術研究基盤をどのように築いていくのか、国家の大計に基づいての予算計上ならともかく、どうも場当たり的なばらまきに終わりそうな予感がする。それでも科学界が潤えばよいではないかとの意見もありそうだが、週刊誌の新聞広告での見出しのようではあるが、「2700億円の最先端研究助成は日本の科学研究基盤を崩壊させる」とまで私は考えてしまうのである。

上の新聞報道では

 政府は09年度補正予算案に、最先端研究向けの研究助成費として過去最大規模の2700億円を盛り込んだ。文部科学省系の独立行政法人、日本学術振興会に創設する基金を通じ、首相が決めた30前後の研究に3~5年かけて配分する。

とある。「政府は09年度補正予算案に、最先端研究向けの研究助成費として過去最大規模の2700億円を盛り込んだ」ことと、「首相が決めた30前後の研究に3~5年かけて配分する」の関係が明確でないので、2700億円を3~5年かけて配分するのかどうかが分からないが、一応今年度で2700億円規模とみることにする。

2700億円がどれほどのものかと言えば、次の科学研究費補助金の伸びのグラフを見れば分かるように、平成19年度の科研費1913億円を遙かに上回っている。これだけのものを一挙にぶちまけようというのだから大津波の襲来である。


この助成金の1件当たりの配分額は、最大30件(平成19年度の科研費の採択件数(新規+継続)56400件のかれこれ1900分の1)とすると90億円となり、私から見ると天文学的数字になる。このような大金を上手に使いこなせる器量のある科学者がはたして日本にいるのだろうか。何事も経験によって学ぶのが常で、お金の使い方も例外ではない。親の莫大な遺産を手にしたとか、事業で大もうけしたのなら自ずと学習の機会もあるだろうが、学者・科学者のなかにそれほどの金満家がいるとは私には思えない(おられたら失礼!)。金を使い慣れない人が大金を手にするとどうなるか。ついつい鷹揚になり無駄遣いを無駄遣いと思わない感覚が発達して金銭感覚が麻痺し、下手すると身を滅ぼしかねない。私がこのような口出しをす所以である。

大金を使いこなす度量が一人ひとりになくても、みんなで使えば怖くない、と群れを作る。いわゆる研究班である。ではどのような人が中心になるのだろう。この新聞記事にも「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と出ているので、京都大学の山中伸弥さんのような方が浮かび上がってくる。すなわちそれぞれの研究分野で自他とも許す第一人者であり、世間にもそれと知られた名だたる方々ばかりであろう。隠れた逸材が下馬評に挙がり抜擢されるような柔軟性は残念ながら日本は持ち合わせていないと思うからである。となると当然このような第一人者は、これまでも比較的潤沢な研究費をあれやこれやの名目で獲得していることであろう。その人たちが屋上屋を重ねるような形でさらに突出した研究費を手に入れることになる。その限られた人々の周辺にお金がだぶつく状況が起きると、必ずや金銭的退廃が生じるだろうというのが私の懸念するところなのである。

このような「一時定額給付金」的科研費の氾濫が、科学研究者の金銭的モラルを大きく揺すり、ひいては科学研究基盤の崩壊をもたらすのではないかと恐れるあまりに、2700億円の別の使途を遅まきながら提案したい。学校耐震化費用に当てるのである。昨年末参議院予算委員会で民主党那谷屋正義議員が、定額給付金に使おうとしている2兆円があれば、学校耐震化の費用となる7000億円から8000億円が十分に賄え、おつりがくる、と主張している。それなら2700億とけちらずに7000億であれ8000億であれ予算に計上して、このさい思い切って学校の耐震化を一挙に推し進めるのである。このようなインフラ整備が、景気対策により直接的な効果を発揮することは疑いなかろう。このほかにも、たとえばポスドク活用策に振り向けるとか、「最先端研究助成」よりましな使途はいくらでも出てくると思う。たとえ一部の研究者であれ、金まみれ状況を作り出すことを許すのは愚の骨頂である。現行の「最先端研究助成」にそっぽを向くぐらいのやせ我慢の精神を現役の方々に期待したいが、酷というものだろうか。

追記(5月29日)
文部科学省による平成21年度補正予算(案)の概要を見つけた。学校耐震化の早期推進、太陽光パネルをはじめとしたエコ改修の拡大に2794億円の予算が計上されており、これで耐震化がかなり大幅に進められそうなので一応安堵した。一方、高度な専門的能力・知識をもつポスドクの産業界での積極的活用を含む成長力強化のための高度人材の活用に17億円が計上されているが、これではいかにも少ない。博士浪人問題を一挙に解消するために、たとえば企業への持参金を考えるとすると、1000億円もいらないのではないかと想像する。もちろんお金だけで片付く問題ではないが、問題解決の突破口になることは疑いなかろう。

IKEAのパラソルとパラソル土台は安くて優れもの

2009-05-26 20:30:56 | Weblog
古希を過ぎてから、思いもかけずささやかな裏庭が手に入った。最初に花壇を作り、その延長で煉瓦を敷き詰めたテラスまがいをこしらえた。テラスとはもともと一階の居間などから直接出られるように作った床部分を言うが、わが家のは直接には出られないからまがい物なのである。用途をとくに考えたわけではなかったが、気候のよい時期に屋外で本を読むのもよいかな、とは思っていた。テラス部分を整地して砂利で地面を均し、その上に煉瓦を敷き詰めたが、隙間はモルタルで塞ぐ代わりに砂を詰め込み煉瓦を固定した。そこにIKEAで購入した新素材の椅子を置いたが、だんだんと日差しがきつくなるにつれて、パラソルがあればいいなと思うようになった。それでホームセンターとかアウトドアグッズの店を見て回ったが、なかなかピンとくるのが見つからない。パラソルがしっかりしているなと思えば値が張るし、それに見合った重量のある土台となると品薄でかつ値が高い。決めかねていたところ、昨日IKEAから送られたメールにパラソルと土台が紹介されていた。パラソルは直径が2メートル半で100%ポリエステル製、そして土台はコンクリート製であるが27.5キロもあって、これなら3.6キロのパラソルと支えるのに十分である。しかも値が安い。「数量限定につき、在庫がなくなり次第販売終了」とあるのに釣られて早速IKEAポートアイランドに直行した。


展示品で見るとパラソルの布地はかなり透けて見えるが、UVカット加工をしているせいで紫外線を93%以上カットするそうであるし、布地そのものも決してペラペラではない。それに構造が簡単なのがよい。開閉操作は普通の傘と変わらない。手で開いて留めるだけ。土台に固定したパイプ柄に、ほぼ同じ長さのパラソルのパイプ柄を滑り込ませて、最高で2.4メートルになるが、望みの高さで大型ねじで固定すればよい仕組みになっている。きわめて操作が簡単であるのが気に入った。その場にいた女性店員に「よろしければカートを持ってきてお載せしますが」と言われて、すっと頷いてしまった。パラソルと土台を合わせて5480円也。椅子一脚が5490円だったので割安感が大きい。実はそれまで一応候補にしていたセットが4万円近くしていたので、大幅に節約できたことになる。ところでカートから土台を車に積み替えようと思ったら、カートンボックスに入っているせいで手がかりがないものだから簡単に持ち上げられない。それぐらいの重量なのである。それなのにかの女性店員はいとも軽々と持ち上げていたような気がする。負けた!



帰宅後すぐに設置してみた。組立は至極簡単で写真のように出来上がった。雨が降りそうになると上半分、傘の部分だけをたたんで屋内に持ち込めばよい。長さは1メートル少々なので置き場所には困らない。実に取り扱いが簡便である。屋外読書が楽しみになった。


ブログの一時的アウトブレイクに際して

2009-05-25 22:41:31 | Weblog
国内で初めての新型(豚)インフルエンザ感染者が神戸で確認されたのが去る5月16日でまだ10日ほどなのに、早くも「新型インフル、終息の方向」のニュースが流れた。

官房長官「新型インフル、終息の方向」

 新型の豚インフルエンザについて、河村官房長官は25日午前の記者会見で「日を追うごとに発生は減ってきているので、推移は十分注意していくが、終息の方向にむかっているという感じを持っている」と述べた。

 河村氏は「国民のみなさま方への呼びかけ、各自治体も懸命に努力をされて、拡大しないよう努力した結果だ」と指摘。基礎疾患を持つ人や妊婦は注意が必要なことに触れ、「ウイルスの変化もあるので、引き続き警戒心をもって、感染防止対策は手を緩めずやっていかなくてはいけない」と語った。
(asahi.com 2009年5月25日13時19分)

大阪・兵庫では今日25日から学校や各施設が活動再開したことでもあり、このまま社会全体が季節型インフルエンザに立ち向かうような態勢に自然と移っていって欲しいと思う。

巷での新型(豚)インフルエンザの発生とは比べるものでもないが、先週、私のブログへのアクセスが珍しくも急増し、そしてあっという間に終息に向かった。下が最近のアクセス・ランキング記録である。



このたびの急増の理由ははっきりしている。龍谷大学の先生が管理されている「セキュリティホール memo」というサイトが、次のような形で私のブログを取り上げてくださったからである。



「林真須美被告」にせよ「伊藤ハム」にせよ、以前に発表したものであるので、何故この時期に?と思ったが、5月20日に最高裁で林真須美被告の死刑が確定のニュースが流れたので、前者が多分検索で引っかかったのではないかと思う。そしてそのついでに「伊藤ハム」に行き当たったのではなかろうか。なんだか重版の印税が入ったような気分である。いずれにせよ大きな影響力のあるサイトが存在するものである。注目すべきニュースのソースと関連サイトを丹念に蒐集しているので、整理された情報源として公共性が高いからこそ購読者数が多いのであろう。

これに反して私のブログは興味の赴くままに、自分の好奇心を満たしていく経過を記すだけのものである。その時その時、心の赴くままに書き連ねるていく。現役を退いて10年にもなるともはや自他とも許す市井人である。その視点で物事を眺めまた考えていく。ただ考えの推し進め方に、その昔取った杵柄が顔を出すことはあっても、それはお愛嬌というもので、それが書き上げたものにある種の個性を与えることになるのだろう。その意味ではきわめて癖がが強いように思う。それにもかかわらず、このサイトに毎日400人前後も来て下さるのだから有難いことである。これからも我流を通すことになるが、ご愛顧を賜れば幸甚である。



新型(豚)インフルエンザに対する京都大学の特筆すべき指針

2009-05-24 16:49:28 | Weblog
5月18日に続いて実は昨日もまた京都に出かけた。18日には疫病退散を祈願する御霊祭の勇壮な神輿揺らしを目にしたばかりなのであるが、残念ながら21日に京都でも発症者が出てしまったので、街の様子の変化が少々気になった。しかし阪急電車もほどほどの混み具合だったし、またそれが目的で出かけた京都文化博物館も三条通りも木屋町も先斗町も、結構の人出で賑わっており、マスク姿が少し目立ったほかは街の様子にとくに違和感はなかった。ところがこの修学旅行のシーズンに小中高校のキャンセルが相次いで、少なくとも600校が中止・延期を決めたとのニュースが流れ、この週末の観光地は京都新聞によるとかなりの様変わりがあったようである。

 新型インフルエンザの影響で、京都市、大津市では23日、観光名所や商業施設、スポーツ施設の人出が減り、普段の週末のにぎわいは見られなかった。商店主らが地域経済への影響を心配する一方、市民や観光客からは「感染予防を心掛ければいい」と冷静な声も聞かれた。

 例年5、6月は修学旅行のピークだが、京都市での感染者発生が伝わった22日以降、関東地方の学校などからのキャンセルが急増。清水寺、産寧坂(東山区)でも制服姿はまばらだった。
Kyoto Shimbun 2009年5月23日(土)

こうした状況下で、京都市は比較的冷静に事態に対応しているようである。最初に患者が発生した際にも休校措置の範囲を市内全域とせず、児童の居住地と通学先である中京区、下京区に限定することを決め、保育園は通常通り開くこととし、イベントの自粛要請も見送った。京都市内で2例目となる新型インフルエンザ感染が確認された23日にも、その休校の地域範囲をこれまで通りとして 拡大していない。

この京都市の対応に反して京都府の対応はなんだかおかしい。

 京都府の対策本部も同日夜に緊急会議を開き、府立校のうち京都市、長岡京市、向日市にある府立高校と府立盲学校、府立聾学校など計21校を、同じく22日から6日間の休校措置とすることを決めた。

 府と市は、私立の学校や幼稚園、大学などにも休校を検討するよう要請した。
Kyoto Shimbun 2009年5月21日(木)

そして休校を検討するように要請された大学側では、府下の国公立を含む大学、短期大学全47校のうち、京都大を除く46校が休校・登校停止の措置をとるなど、京都大学を除いてはまったくの思考停止状態に陥ったようである。京都大学だけは独自の対応策をとった。

京大は休校せず 新型インフル
休校要請も独自判断

 京都市内での新型インフルエンザの発生で大学の休校が相次ぐ中、京都大(京都市左京区)は22日、休校とせず、通常通り授業を行うことを決めた。京都府と京都市から休校の要請があったが、「学内での発生がないのに休校の効果はない」と独自の判断を下した。府内の大学で唯一、休校や登校停止をしない。

 インフルエンザをはじめとする感染症の学内の専門家グループが意見をまとめ、総長や理事らで構成する対策会議が最終判断した。

 専門家グループの川村孝・京大保健管理センター所長は「休校にしても学生が外出しないとは限らない。学内で感染が認められていない以上、キャンパス内は安全で、勉強に励んでもらうほうがいい」とする一方、「いろんな地域からの人が集まる学内イベントは、できる限り延期するべきだ」と話している。
Kyoto Shimbun 2009年5月22日(金)

京都大学のホームページには

【重要】新型インフルエンザに対する本学の方針について(第4版)【5月22日更新!】
本日現在において本学は通常どおりの授業等を行っています。(2009年5月22日)

との指示が出されており、さらにこれに先立ち5月20日には保健管理センター:新型インフルエンザに関する緊急情報(第2報)が公開されている。その一部を引用するが、とくに強調部分(By 筆者)は、事態を冷静に見つめ、一人ひとりが新型インフルエンザにどのような心構えで立ち向かうべきか具体的な考え方を示しており、これが実に素晴らしい。これこそ研究者・学者の社会的責任を体現したものと言える。

冷静に受け止める

 メキシコのある農村で生まれた新型のインフルエンザ(A/H1N1)が、北米各国のみならず世界的に流行しています。日本でも西日本で相次いで発症者が出て、警戒体制に入っています。

 歴史的に見ると、今回と同様のブタ・インフルエンザは1976年に米国で小流行しています。また1977年に極東やアメリカで流行したソ連型インフルエンザも同じH1N1という抗原型を持っています。それらによって当時の人々が免疫を獲得したせいか、発症者は圧倒的に若い人に多くなっています。免疫を持っていない集団の中にいったん病原体が持ち込まれると、瞬く間に広がっていくのです。
不幸中の幸いというべきか、毒性は強くありません。しかし、持病のある場合や妊婦では重症化するおそれもあります。また、秋以降に強毒化する可能性も懸念されています。

 このインフルエンザに効くワクチンは当分ありません。発症してしまった人はちょっと辛いのですが、これで免疫を獲得して今後同じタイプのインフルエンザにはかかりにくくなることが期待できますし、公衆衛生的観点からは集団免疫の成立にも貢献することになります。賢く行動してやり過ごしましょう。


もちろん事態の進展に合わせて取り組みを柔軟に対応させていくことが前提にあるのは言うまでもない。京大生のみならず、すべての国民にこのような考え方が浸透して欲しいものである。

新型(豚)インフルエンザあれこれ ゴシップ・テストの正解

2009-05-21 13:00:29 | Weblog
今朝の朝日新聞社会面に次のような記事が出ていた。21日といえば今日のことである。「新型インフルエンザの影響で買い物客が激減したため」が痛ましい。



しかしこれも市民が人混みは避けるという防衛策を採ったせいで、買い物客激減は商店街の皆さんには大痛手であろうが、なんとか堪え忍んでいただきたいものである。個人的にはほとぼりが峠を越せば必ず売り上げに協力するつもりである。やはり感染を防ぐためにも、また感染を広がらせないためにも、出来ることなら家に閉じこもるのが最善の策なのだから仕方が無い。

それにしてもマスクの払底には驚いた。昨日、千葉の嫁から超立体設計マスク60枚入りが一箱届いたので妻がお礼メールを送ったところ、その時は山積みされていたのに次の日に自家用に買おうとしたらもう棚が空だったと返事が戻ってきたというのである。私なら家に閉じこもることもできるが、仕事を持っている人はそうはいかない。だからマスク頼みとなるのだろうが、私は感染を防ぐという面では効果に疑問を持っており、神戸で新型インフルエンザ発生のニュースにも次のように反応した。もちろん今でも変わらない。

日常生活をいつものように維持しながらもことさら人混みに出かけるのを避け、日頃の習慣通り外出から帰宅後のうがいと手洗いを欠かさずにしようと思う。もし咳などが出だしたら人に迷惑をかけないようにマスクをするつもりであるが、さて、まだ買えるかな、である。

このマスクの効用に関して、今日辺りになってようやくまともな新聞記事が出始めた。

「マスクで予防」過信は禁物 ウイルス、髪や服にも

 インフルエンザは、感染した人がくしゃみなどをした際に飛ぶしぶき(飛沫(ひまつ))を周囲の人が吸い込むことで感染していく、とされる。

 外岡(とのおか)立人・元北海道小樽市保健所長はマスクについて、「着ければ安全、と期待しすぎないほうがいい」。ウイルスを含んだ他人の飛沫が口から入るのを防ぐことができても、髪や衣服などに飛び散っている可能性もある。衣服などに付着したウイルスに触った手を口に運べば、そこから感染することもある。

 北里大学の和田耕治助教(公衆衛生学)らの実験によると、季節性インフルのウイルスは、不織布製マスクの表面上で8時間、感染力を持った状態が続いていたという。

 国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長も、症状があったり、感染した人と濃厚に接触したりした人が、周囲に感染を広げないために着ける場合に意味があると指摘する。

 欧米、日本でも共通してあげられているのは「せきエチケット」。せきやくしゃみをする際はティッシュで鼻と口を覆い、使用したティッシュはすぐにごみ箱へ。そしてすぐに手を洗ってウイルスを洗い流す。英国政府は「自分を守るとともに周囲に広がりを防ぐため」と説明する。

 外岡さんは「日本では自分をどう守るかということが強調されがちだが、欧米では感染源にならないためにはどうするか、というほうに比重が置かれている」と話す。

 日本政府が今年2月につくったガイドラインでは、市区町村は住民らにマスク着用を勧めることになっている。

 ただ、政府の対策本部専門家諮問委員会が、神戸市の高校生らの新型インフル感染が確認された16日に出した「基本的対処方針」では、人込みでのマスクの着用を勧める一方、「屋外では相当な人込みでない限り、着用する意味はない」と詳しく説明した。

 英国政府が一般市民向けにつくったパンフレットでは、マスクについて「感染を防ぐという科学的根拠はない」と明記。世界保健機関(WHO)はマスク着用を医療関係者に勧めるが、市民には「口と鼻を触るのを控える」「人ごみを避ける」といった対策のほうがマスクよりも重要かも知れないと呼びかける。
(asahi.com 2009年5月21日5時33分)

この強調部分(By筆者 以下同じ)が要点である。それなのに過日、京都行きの電車内で、隣のマスクがけの男性がせっかくのマスクを持ち上げてクシャミをするものだから驚いた。欧米とは発想が逆転している好例である。

そして、東京・神奈川の高校で2女子生徒の感染が確認された。

2生徒、感染はNYか 帰国機内で発熱、接触者を追跡

 新型インフルエンザの感染が東京都と川崎市で初めて確認された高校生は、帰国機内で発熱などが出たため、感染したのは米国と考えられる。

 カナダから成田に到着し、9日に感染が確認された大阪府の男子高校生らは、検疫で感染がわかり、隔離されていた。しかし、今回の女子生徒は、19日に帰国した際、水際対策の検疫で見つからず自宅に戻っていた。

 東京都などによると、女子生徒は機内検疫で簡易検査をした結果、A型陰性だった。発症初期や回復期にはウイルス量が少なく、陰性と出る場合がある。厚労省の検疫担当者は「検疫にも限界はある」と説明する。

 女子生徒は、ほかの都県の高校生らと一緒に出かけていた。この高校生らも、米国で感染していた可能性がある。帰国後に接した家族や同級生らに、感染が広がっている可能性もある。
(asahi.com 2009年5月21日4時47分)

朝日朝刊一面の記事によると八王子市内の女子生徒は

帰国の機中で39度の熱を出した。しかし、成田空港での簡易検査は陰性だったため、検疫官の指示でマスクをして空港からバスに乗り、午後6時ごろ、東京都多摩市内の多摩センター駅に到着。電車で帰宅した。

とある。

上の強調部分に注目すると、この検疫官は「発症初期や回復期にはウイルス量が少なく、陰性と出る場合がある」ということを知りつつも、その簡易検査でA型陰性だったからとこの女子生徒を入国させたのだろうか。水際作戦最前線で、簡易検査には限界があることを知りつつ39度発熱した女子生徒を「停留」させなかったとしたら、明らかにこれは検疫官の失態である。それともこの検疫官は簡易検査を絶対のものだと信じていたのだろうか。もしそうだとすれば検疫官として不適格である。

いずれにせよ今回の過剰とも思われる水際作戦にもかかわらず国内に感染が広がった事実は重い。強毒性の新型(鳥)インフルエンザの国内侵入を本気で防ぐとすれば、より強権的な対策もありうるだろうが、それよりも侵入を前提とした現実的な対応策を、国民に周知徹底させることが先決のように思われる。

追記 瀬戸内寂聴 画・横尾忠則 「奇縁まんだら」正・続を買ってでのお遊び、ゴシップ・テストの正解は以下の通り。納得のいかない方は本書でお確かめあれ!

ⓐ-㋘  ⓑ-㋔  ⓒ-㋣  ⓓ-㋜  ⓔ-㋑  ⓕ-㋟  ⓖ-㋗
ⓗ-㋐  ⓘ-㋡  ⓙ-㋚  ⓚ-㋺  ⓛ-㋖  ⓜ-㋛  ⓝ-㋢
ⓞ-㋙  ⓟ-㋓  ⓠ-㋝  ⓡ-㋕  ⓢ-㋒  ⓣ-㋞  ⓤ-㋠


瀬戸内寂聴 画・横尾忠則 「奇縁まんだら」正・続を買って

2009-05-19 18:27:09 | 読書
京都まで一弦琴のお稽古に通っていた頃、帰りには地下鉄四条烏丸駅近くのくまざわ書店によく立ち寄った。昨日は久しぶりの京都だったのでこの書店に顔を出したところ、平積みされている「奇縁まんだら」にお目にかかった。正・続が隣り合わせに並べられて「正」が10冊ぐらい積み重ねられているのに「続」が2冊しかない。「正」を手にとってぱらぱらとめくると何やら面白い。2冊しかしかない「続」が今にも売り切れてしまいそうな気になり、思い切って正・続とも買ってしまった。

実は瀬戸内寂聴さんの小説はほとんど読んでいない。手元にあるのは瀬戸内寂聴訳「源氏物語」巻一~巻十ぐらいのものである。ご縁がなかったのだろう。「続」こそ二00九年五月十五日第一刷とあるものの、「正」はもう一年も前に発行されているのに気がついていなかった。このたび新たに縁が生まれたのであろう。「はしがき」が次のように始まる。

 生きるということは、日々新しい縁を結ぶことだと思う。数々ある縁の中でも人と人との縁ほど、奇なるものはないではないか。

そして続く。

 ふり返れば茫々の歳月が流れ去っていた。
 長い生涯であった。その間に何が愉しかったかと思いをこらせば、それは人との出逢いとおびただしい縁であった。
 この世で同じ世代を生き、縁あってめぐりあい、言葉を交わしあった人々の俤が、夜空の星のように、過ぎてきた過去の空にきらめいている。

この人たちの記憶を老い呆けてしまわない前に書き残しておこうと、日経朝刊に書き連ねたものをまとめたのがこの本のいわれである。

読み始めたら面白い。私の大好きなゴシップの宝庫なのである。永井龍男さんの言葉として

「近頃の小説は面白くない。面白かったら悪いみたいな風潮がある。小説でも随筆でも面白くないのはよくない。本が売れなくなった原因は、ゴシップを嫌悪する風潮が強くなったからだ。文学といえば人生のゴシップですよ。小説の中で、ちょっと生きをつくところがなくちゃね」

をわざわざ取り上げているくらいで、だから寂聴さんもこの本の中で多くの作家のゴシップを直接の見聞に基づいて惜しみなく披露している。まさに絶品である。「正」を息も継がずに読み終えてしまった。

「正」に取り上げられたのは次の順番の21人である。名前の後ろの数字は、横尾忠則さんによる人物画を含めて、その人に割り当てられたページ数である。読み始めて、もしかすると寂聴さんとの関わりや思い入れの深さを反映しているのかな、とふと思ったので数えてみたが、分からない。せっかく数えたので挙げておく。また右の欄は「小見出し」からとったもので登場人物の一面を表しているが、順番はわざと変えている。興味をお持ちの方はそれぞれを結びつけていただきたい。「続」を直ぐに読んでしまうのがもったいないので、こんなお遊びをしてみた。正解は次回に。


ⓐ島崎藤村 5
㋐浮気の数だけ着物の数

ⓑ正宗白鳥 5
㋑前掛けをした文豪ってカワイイ!

ⓒ川端康成 13
㋒謹厳な批評家も春画へは興味

ⓓ三島由紀夫 14
㋓芸術は共同作品でいい

ⓔ谷崎潤一郎 12
㋔小説がうまくなくても、大評論家として名を残す

ⓕ佐藤春夫 14
㋕肥りすぎであぐらをかいている女大親分作家

ⓖ舟橋聖一 8
㋖善女も悪女も小説の肥料

ⓗ丹羽文雄 9
㋗○○立女形はトイレも女用

ⓘ稲垣足穂 10
㋘小説家○○が美男だったから私は文学を志した

ⓙ宇野千代 14
㋙ピストルで仇討ちに行くコキュの情熱

ⓚ今東光 15
㋚寝た寝ないで男を判別する美人老作家

ⓛ松本清張 10
㋛金持ちの息子でもドラ息子とは限らない

ⓜ河盛好藏 9
㋜文豪になる前の○○さんに送ったファンレターが縁

ⓝ里見 13
㋝天然の旅情の尽きる海の果て

ⓞ荒畑寒村 14
㋞学生や女子供の列が続いたお葬式

ⓟ岡本太郎 14
㋟複雑怪奇な小説家ならではの四角関係

ⓠ檀一雄 10
㋠自他ともに認めた男前の艶聞多き作家

ⓡ平林たい子 14
㋡天才も朝酒に酔えば三島由紀夫のこきおろし

ⓢ平野謙 14
㋢粋人になるには元手がかかる

ⓣ遠藤周作 14
㋣大作家になれば、お金持ちになれるんだなあ!

ⓤ水上勉 14
㋺学歴のむなしさ 独学のおそろしさ


関西三坂会 上御霊神社・御霊祭 新型インフルエンザ

2009-05-19 00:54:07 | 在朝日本人
今日の京都行きは関西三坂会出席のためだった。新型インフルエンザが広がりだしたが京都は今のところ感染者は0とか。そう言う空気を反映してか今年も出席者が44名で、東は東京、西は岡山から京城府立三坂小学校の同窓生が寄り集まった。出席者の年齢は89歳から72歳で、これからも回を重ねるとすると下は確実に毎年一歳ずつ増えていき、最年長者との年齢差は縮まる一方であろう。

新型インフルエンザについては、司会者が流行っているそうだからお互いに気をつけましょうと最後に挨拶をする程度で終わった。人生の荒波をかいくぐってきた猛者の集まりゆえ達観しきっている感じ。マスク姿は皆無であった。

会が終わって京都は久しぶりなのでぶらぶら歩くことにした。京都御所西の烏丸通りを北上していると、御所のなかに神輿が見えて人が群がっている。葵祭も終わっているはずだのに、と好奇心に駆られて近づいてみると御霊祭であることが分かった。平安時代の御霊信仰が隆盛になるにつけ各所で祭られた御霊社の一つ、上御霊神社の祭りなのである。その日が5月18日と決まっているので、月曜日であるにもかかわらず催されたのである。ちなみに御霊信仰を日本史広辞典は次のように説明している。

疫病をもたらすとされた御霊を恐れ、これを祭り祟りをまぬかれようとする信仰。奈良時代からみられるが、平安時代以降盛んになり、疫病の流行に際して、それを政治的事件により失脚して非業の死を遂げた特定の人物(御霊)の報復ととらえ、祭られるようになった。(後略)

なるほど、疫病払いご本家の行事なのでもある。富士川遊博士の「日本疾病史」によると、江戸時代だけで27回インフルエンザの流行があったそうだから、御霊神社はその当時から人々に頼りにされたのに違いない。インフルエンザをも追っ払うのだから、神輿の担ぎ手が誰一人マスクをしていないのもむべなるかな、である。神輿は三基あったが最初のはちょうど御所を出かけていた。





神輿を台車に乗せて運ぶのではなくて、実際に担ぎ手が担ぎ、また神輿を揺さぶるのが実に迫力があった。この神主さんは親子だそうで、私にも会釈してくださる愛想のよい方だった。京都新聞によると今日のはとくに記念すべき行事であったらしい。

140年ぶり 御苑に勇姿
上御霊神社・神輿巡行

140年ぶりに京都御苑内に神輿を進め、京都御所の朔平門前で神輿を揺らす氏子(18日午後5時45分、京都市上京区・京都御苑)

 上御霊神社(京都市上京区)の御霊祭(ごりょうまつり)が18日に営まれ、3基の神輿(みこし)が140年ぶりに京都御苑を巡行した。御苑では大勢の氏子が出迎え、京都御所北門に当たる朔平門(さくへいもん)前で神輿を差し上げて揺らす「神輿振り」に酔いしれた。

 上御霊神社によると、江戸時代には公家や宮家の屋敷があった現在の御苑内を神輿が練り歩いたが、都が東京へ移った後の1870(明治3)年以降は御苑内の巡行が途絶えた、という。
 この日夕方、3基の神輿は今出川御門から御苑へ入った。朔平門が特別に開かれ、その前で法被姿の担ぎ手が「ヨーサ」の掛け声とともに神輿を豪快に揺らした。小栗栖元徳宮司は「長年の悲願がかなって感無量です」と目を赤くしていた。
(Kyoto Shimbun 2009年5月18日(月))

帰りに三宮から地下鉄に乗ると乗客の7、8割がマスクを着用していた。往きは半分以下だったので急増である。かっての阪神淡路大震災の折に、京都から神戸に戻ってきた時に感じた落差ほどではないが、雰囲気の違いを大きく感じた。ところで個人個人がマスクを着用するなど自分なりの対応するのはよしとして、学校などを休校にしたり集会を中止させたりの規制は、全般的に感染が拡大しつつある現状でそれほど効果があるとは思えない。症状の出た人はもちろん体の調子がおかしいと思えば学校なり職場を休む。また人混みの中に出かけない。それを徹底させれば、罹るべき人がかかってそれで収束に向かう筈である。これまでの歴史を思い浮かべての私なりの判断である。

神戸に新型インフルエンザ 続き

2009-05-18 09:56:42 | Weblog
昨日の夜7時のNHKニュースで新型インフルエンザ患者を出した高校名がついに公表されて、私の母校の映像が全国に流れた。全国津津浦々にいる同窓生には懐かしく映ったかもしれない。しかしそれ以外に映像を流すことにどんな意味があるのか分からない。そのせいかどうか、千葉にいる長男の嫁からガーゼを送りましょうかとメールが入り、妻が買いそびれたところだったので送ってもらうことにした。

国内感染が神戸で最初に見つかったのは何故だろうと疑問に思ったが、このニュースで事情が分かった。県立神戸高校の男子生徒と女子生徒を診察した医師が、生徒に渡航歴がないと言うがすり抜けてくる人がいるはずなので、あやしいと思った場合はどんな場合でも検査すべきと判断して神戸市に連絡したことが、国内感染者発見につながったのである。インタビューの様子から年配の医師のようであったが、症状が普通の風邪と変わったところがなかったのにもかかわらず、このような判断を下したのはさすがだと思った。水際作戦をすり抜ける感染者があれば、新たな患者がどこにでも発生し得たのである。

私はふとこのようなことを夢想した。成田で初めて疑わしい感染者が見つかった旅客機の乗客・乗組員全員にその所在位置を追跡できるICタグを付けて貰い、その行動をすべて把握できておれば、水際作戦をかいくぐって新型インフルエンザウイルスが国内に侵入して広がる全過程がリアルタイムで把握出来て、疫学研究に新機軸をもたらしたのではないか、と言うことである。惜しいチャンスを逸したものである。公益にかなうこのような調査研究には快く調査に協力していただけるものと、関係者の良識を期待してもよいのではないか。それにして件の旅客機の乗客・乗組員全員の発症に関する追跡調査は出来ているのだろうか。気になるところである。

実はこれから京都に出かけるところである。年に一回のある会合が京都駅近くのホテルで催されるからだ。まさか神戸からやって来たと言うことで入場拒否をされることはあるまい。帰ってきてからまた話を続ける。

神戸に新型インフルエンザ 追記有り

2009-05-16 18:54:42 | Weblog
お昼前に「どうなる? 民主党代表 神戸まつり」を投稿してから三宮に出かけた。まず東急ハンズて予定していた買い物を済ませて外に出ようとしたら、各種のマスクが棚に積み上げられているのを見た。どれがよいのか分からないし、思いの外値段も高かったので今日のところは買うのを止めた。しばらく様子を見ることにする。

センタープラザ地下でお昼を食べる。六人しか入れないB(C?)級グルメの小さな店で、インフルエンザに罹っている人が一緒なら物理的には濃厚感染確実という広さであるが気にしないことにした。店主と客が「神戸高校や」「そんなのニュースに出ていなかったぜ」とやりとりしていたので、問題の高校が県立神戸高校であることが分かった。私が家を出るまでは伏せられていたが、お昼のニュースで公表されたのだろうか。

前の記事で引用した2009年5月16日9時41分のasahi.comでは「神戸市東灘・灘・中央区・芦屋市の一部学校 7日間休校」と報じながら、肝心の校名が伏せられていた。どこでそうなったか分からないが、きわめて不愉快な公表・報道姿勢であると思っていた。いち早く公表すれば市民がその高校を封鎖しに押し寄せるとでも思っていたのだろうか。市民の良識をもっと信頼すべきである。

3時頃三宮駅から地下鉄に乗った。後ろから二両目に50人ほどの乗客が乗っていて、素早く数えたらマスクをかけている人が6人いた。帰ってからはもちろん念入りに手を洗いいつものようにうがいをした。

ニュースを開いてみると

新型インフル、国内初の発生確認 神戸の高校生、陽性

 厚生労働省は16日、国立感染症研究所での詳しい検査で、神戸市内の県立高校3年生の男子が新型の豚インフルエンザに感染していることを確認した、と発表した。検疫を除く国内で初めての発生。同じ高校に通う2人の高校生も、神戸市環境保健研究所の検査で、陽性反応が出ている。政府は同日午後、対策本部の幹事会を開き、国内対策をこれまでの「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生早期)」に切り替える予定。

 厚労省によると、3人とも渡航歴はなく、国内で、人から人への感染が広がっている可能性がある。この高校ではほかにも17人が体調不良を訴えており、感染の広がりを調べる疫学調査は5月10日にさかのぼって実施する。

 朝日新聞の取材では、県立神戸高校の生徒らだという。 (後略)
(asahi.com 2009年5月16日13時10分)

と出ていた。ということは発表する側が校名を伏せたのか。御上(おかみ)的な発想である。感染経路が疫学調査で明らかになれば、これはこれで水際作戦で時間を稼いだことによる一つの成果になると思うが、やはり難しいのだろうか。。

同じくasahi.comに「学校は、企業では…〈政府の対策第2段階 Q&A〉」と記事が出ていた。もう少し早く出ていたらと思うが、今の内にぜひ目を通しておきたい。最後は次のような内容で、きわめて適切な指針であると思う。。

 Q24 国では、各省庁の事業や職員について、どのような措置を講ずるのか。

 A 国においては、職場における感染や事業を通じた感染を防止するため、各省庁において、例えば、次の工夫を行う。

 ▼全職員に対し外出に当たっては人混みをなるべく避けるとともに、手洗い、混み合った場所でのマスク着用、咳エチケットの徹底、うがいなどを呼びかける▼通勤途上の感染機会を減らすため、時差通勤などの方策を検討する▼自転車などによる通勤のための駐輪場の確保を検討する▼職員の健康管理を徹底する▼健康上具合の悪い職員は早めに休むよう呼びかける▼職員に対し発熱症状のある場合には発熱相談センターに相談した上、その結果を職場に連絡させ、自宅待機などを命ずることを検討する▼職場における咳エチケットを徹底する▼職場の清掃・消毒を徹底する▼各省庁が主催する集会、スポーツ大会などについては必要性の再検討や感染機会を減らすための工夫の検討を行う▼職員の子ども等が通う保育施設などが臨時休業になった場合の、当該職員の勤務のあり方に配慮する
(2009年5月16日17時27分)

いずれにせよ冷静な対応がかんじんであり、次の専門家の呼びかけに耳を傾けたい。

 ◇冷静に対応を 症状は「季節性」程度--元世界保健機関鳥インフルエンザ薬物治療ガイドライン委員会委員、菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長の話

 神戸ではおそらくまん延し始めた段階で、周囲にも発症者がいるはず。感染源、感染ルートは分からないが、全国各地に同程度の感染者がいると考えていい。しかし、患者の症状はあくまで季節性インフルエンザ程度のため、個人は絶対冷静に対応してほしい。そうしなければ偏見や隔離を避けるため、発症しても隠すようになってしまう。

 感染が確定すると、現在の国の行動計画では、診断した医者も含めて隔離されたり、病院が閉鎖されたりしてしまう。今回の症状程度では、そこまでする必要はない。過剰な対策は、発見を遅らせたり、拡大させる原因になりかねない。

 また、健康な人が感染を恐れて家に閉じこもる必要はない。だが糖尿病など別な病気を持っている人が重症化する例はあり、基礎疾患をもっている人は注意してほしい。

 今回の感染発覚は水際対策では完全に防ぎきれないという証拠だ。今後は水際対策より、早期の治療、診断を進めなければならない。
(毎日新聞 2009年5月16日 東京夕刊)

追記(5月17日深夜)

神戸の高校生8人が新型インフルエンザへの感染が確認されたそうであるが、なんとそのうち5名の女子高生が私の母校の在校生だというから驚いた。私の家から近いこともあって、新型インフルエンザを急に身近に感じ始めたところである。

新型インフル、神戸の高校生8人感染 大阪の9人も疑い

 新型の豚インフルエンザの国内感染者が16日、一気に8人に増えた。厚生労働省と神戸市によると、神戸市内で交流のあった二つの県立高校の男子生徒2人と女子生徒6人の感染が確認された。8人とも渡航歴がなく、国内で人から人への感染を確認したのは初めて。政府は同日、新型インフルの国内対策をこれまでの「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生早期)」に引き上げた。

 また、大阪府によると、府内の私立高校2年の女子(16)に加え深夜になってさらに8人も大阪府立公衆衛生研究所による遺伝子検査で陽性反応を示し、感染が疑われている。今後、国立感染症研究所に検体を送り、確認する。

 厚労省などによると、神戸市内の8人の高校生の健康状態は安定している。

 朝日新聞の取材では、この二つの高校は兵庫県立神戸高校と県立兵庫高校。

 まず、神戸高校の男女3人の感染が国立感染症研究所で確認された。その後、兵庫高校の女子5人について、神戸市環境保健研究所が詳しく検査し、感染を確認した。

 神戸高校と兵庫高校は8日にバレーボールやサッカーなど運動部の交流戦をしていた。人から人への感染が広範囲に広がっている可能性があるが、感染経路は不明だ。
(asahi.com 2009年5月16日23時46分)