福島第一原発3号機のタービン建屋内で被曝した作業員3人は早ければ週明けにも退院の予定とのことなので、まずは大事に至らなくてよかったと思う。しかし伝わってくる作業現場の状況があまりにもちゃらんぽらんで言う言葉を失った思いである。たとえば今日の朝日朝刊からの引用である。
おそらくそうなのであろう。切ない、としか言いようがない。
これも真実なのだろう。今、起こっていることを見れば納得出来る。さらには
3号機タービン建屋内に深さ15センチほどの水たまりが出来ていて、その水にはコバルト60やヨウ素131のほか、セシウム137が含まれており、1立方センチメートルあたり390万ベクレルの放射能量が検出された。それと同じ程度の放射能量を1号機タービン建屋内ですでに6日前に把握していたのに、その情報が3号機側に伝わっていなかったと言うのである。信じられな~い、である。この390万ベクレルとは、昨日述べたように私の体内に入った5400万ベクレルの十分の一に迫ろうとしている。さらに追い打ちをかけたのが次のデータである。
放水口から300メートル離れた場所の値である。では、放水口では?もうこれは燃料プールにある使用済み燃料ではなくて、明らかに原子炉圧力容器内の燃料棒が破損して放射性物質が外部に漏出したからであろう。さらには少なくとも1号機、2号機、3号機の原子炉建屋には放射線濃度が高くて作業員が入ることができないとのことである。したがってどのように「燃料棒の冷却」を行うことになるのかその手だてが見えてこない。
1979年3月に発生した米国スリーマイル島原発第二原子炉の原発事故も、冷却水の供給が止まり、冷却水が沸騰し始めて炉心上部が部分的に露出し、原子炉のウラン燃料棒が過熱により膨張して破裂した。その結果放射性物質のあるものは原子炉圧力容器内に排出され、放射能で汚染された大量の水が貯水タンクの収容されている別の建物にポンプで送られていったが、水そのものが外部には洩れなかった。そして給水回復措置がとられて事故は終息した。これにくらべると、福島第一原発では放射能に汚染された水がすでに外部にかなり大量に流れ出しており、また「燃料棒の冷却」が制御下に置かれてはいないので、過熱で燃料棒が破裂する危険性がいぜんとして続いている。いや、その一部はすでに破壊されているのかも知れない。福島第一原発事故が放出された放射能の推定量によって、国際評価尺度では米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回るレベル6相当とされたことが素直に理解出来そうである。それほど大きな事故も元を正せば初動の遅れが原因で、その規模がますます広がりつつある。それなのに、われわれに出来ることがただ眺めるだけとは。世界にまき散らす放射性物質の量が、チェルノブイリ原発事故の規模を上回ることにならないことを祈るしか仕方が無い。
人手不足 放射線管理甘く 警報後も作業継続
「東電の原発では以前から安全管理がずさんだった」。東電の作業実態に詳しい原子力技術者はこう明かす。
この技術者は、「かなり前の話」とことわりつつ、「下請け企業の作業員は放射線計のアラームが鳴っても止め、そのまま作業を続けることはこれまでにもよくあった」と指摘した。「下請けにはノルマがあり、時間通りに終えないと、契約額の減額などのペナルティが科せられることなどが背景にある」という。
「東電の原発では以前から安全管理がずさんだった」。東電の作業実態に詳しい原子力技術者はこう明かす。
この技術者は、「かなり前の話」とことわりつつ、「下請け企業の作業員は放射線計のアラームが鳴っても止め、そのまま作業を続けることはこれまでにもよくあった」と指摘した。「下請けにはノルマがあり、時間通りに終えないと、契約額の減額などのペナルティが科せられることなどが背景にある」という。
おそらくそうなのであろう。切ない、としか言いようがない。
一方、復旧作業に従事する作業員と連絡を取り合っている元東電社員の証言は、さらに深刻な事態をうかがわせる。「放射線の安全管理はひどいとしか言いようがない状態のようだ」
これも真実なのだろう。今、起こっていることを見れば納得出来る。さらには
東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が1号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。
(asahi.com 2011年3月26日17時0分)
3号機タービン建屋内に深さ15センチほどの水たまりが出来ていて、その水にはコバルト60やヨウ素131のほか、セシウム137が含まれており、1立方センチメートルあたり390万ベクレルの放射能量が検出された。それと同じ程度の放射能量を1号機タービン建屋内ですでに6日前に把握していたのに、その情報が3号機側に伝わっていなかったと言うのである。信じられな~い、である。この390万ベクレルとは、昨日述べたように私の体内に入った5400万ベクレルの十分の一に迫ろうとしている。さらに追い打ちをかけたのが次のデータである。
東日本大震災:福島第1原発事故 海水から1250倍ヨウ素 タービン建屋から漏出か
経済産業省原子力安全・保安院は26日、東京電力福島第1原発の放水口から南へ330メートル離れた場所で25日午前8時半に採取した海水から、放射性物質のヨウ素131が法律で定められている値の1250・8倍の放射能濃度で検出されたと発表した。東電は「放射性物質を含んだ水が海水に漏れ出している可能性が高い。(1~3号機のタービン建屋地下で見つかった)水たまりから出ている可能性も否定できない」とし、海水の調査を1日1回から2回に増やす。
経済産業省原子力安全・保安院は26日、東京電力福島第1原発の放水口から南へ330メートル離れた場所で25日午前8時半に採取した海水から、放射性物質のヨウ素131が法律で定められている値の1250・8倍の放射能濃度で検出されたと発表した。東電は「放射性物質を含んだ水が海水に漏れ出している可能性が高い。(1~3号機のタービン建屋地下で見つかった)水たまりから出ている可能性も否定できない」とし、海水の調査を1日1回から2回に増やす。
(毎日新聞 2011年3月26日 東京夕刊)
放水口から300メートル離れた場所の値である。では、放水口では?もうこれは燃料プールにある使用済み燃料ではなくて、明らかに原子炉圧力容器内の燃料棒が破損して放射性物質が外部に漏出したからであろう。さらには少なくとも1号機、2号機、3号機の原子炉建屋には放射線濃度が高くて作業員が入ることができないとのことである。したがってどのように「燃料棒の冷却」を行うことになるのかその手だてが見えてこない。
1979年3月に発生した米国スリーマイル島原発第二原子炉の原発事故も、冷却水の供給が止まり、冷却水が沸騰し始めて炉心上部が部分的に露出し、原子炉のウラン燃料棒が過熱により膨張して破裂した。その結果放射性物質のあるものは原子炉圧力容器内に排出され、放射能で汚染された大量の水が貯水タンクの収容されている別の建物にポンプで送られていったが、水そのものが外部には洩れなかった。そして給水回復措置がとられて事故は終息した。これにくらべると、福島第一原発では放射能に汚染された水がすでに外部にかなり大量に流れ出しており、また「燃料棒の冷却」が制御下に置かれてはいないので、過熱で燃料棒が破裂する危険性がいぜんとして続いている。いや、その一部はすでに破壊されているのかも知れない。福島第一原発事故が放出された放射能の推定量によって、国際評価尺度では米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回るレベル6相当とされたことが素直に理解出来そうである。それほど大きな事故も元を正せば初動の遅れが原因で、その規模がますます広がりつつある。それなのに、われわれに出来ることがただ眺めるだけとは。世界にまき散らす放射性物質の量が、チェルノブイリ原発事故の規模を上回ることにならないことを祈るしか仕方が無い。