蓋を開ければ東電の「測定ミス」で終わった「放射能1千万倍」騒ぎであったが、一つポジティブな面を指摘すると、今や日常業務となっているはずの放射能の測定と計算にいとも容易に「ヒューマン・エラー」が入り込むという現実を、全世界、とくに日本国民に広く知らしめたことである。
2号機 高濃度の放射性物質としてNHKニュースは当初次のように報じた。
ふつうの常識があればこの強調部分でこれまで報じられたことの無かった(と私は思うが)ヨウ素134が急に出てきたことにまず不審を抱くのでは無かろうか。さらに(たまり水)1cc当たり29億ベクレルという放射能すべてがそのヨウ素134に由来するようなものだから、特徴がはっきりしている。まずはヨウ素134の半減期を調べてみなくてはと思ったものの、いずれは追加発表で様子が分かるだろうとそれを待つ姿勢になった。後出しじゃんけんじゃないが私は最初から疑っていたのである。
同日遅くに東電から訂正発表があったが、この言い訳がよかった。
まあその通りであろうが、発表に至る過程で「なぜ急にヨウ素134が出てきたんや」と誰一人疑問を持たなかったのだろうか。今やそんなことはどうでもよい。東電のお粗末な台所事情がまたもや浮かび上がったこと、いとも容易に「ヒューマン・エラー」が起きることを国民にさらけ出したのがよかった。万全なんてありえないことが常識にならないといけない。米国人も東電発表は眉につばをつけて受け取るようで、The New York Timesは福島第一原発敷地内で行った土壌の調査でプルトニウムが検出されたことについて、次のように報じている。ここでも「測定ミス」が指摘されているのである。
まるで大人が子どもを諭しているようである。われわれは何も手を出すことが出来ないのだから、発表数値そのものに振り回されて一喜一憂することなく、福島第一原発事故が世界にまき散らす放射性物質の量が、せめてチェルノブイリ原発事故の規模を上回ることにならないようひたすら念じようではないか。
追加(29日 18:10)
東京電力が平成22年11月19日付けで「原子力発電所の安全と品質確保のためのヒューマンエラー防止に向けて」というPDF文書を公開している。福島第一所長は社員に対して『現場は「怖い」、「何が起こるか分からないところ」、「危険なところ」という認識の再徹底』などときわめて的確な指示を与えているし、また福島第二所長も『初めてや久しぶりの仕事、また慣れない仕事については、正しいとおもっていても間違っていることは多い。「どこのグループにおいてもヒューマンエラーは起こるものだ」と思い、・・・』と指示を与えている。
このこと自体はよいのであるが、昨年の暮れにこのような文書を出したということは、よほど作業員の能力の低下が問題になっていたからであろうか。
2号機 高濃度の放射性物質としてNHKニュースは当初次のように報じた。
福島第一原発では24日、3号機のタービンがある建物の地下で作業員3人が被ばくし、現場の水から運転中の原子炉の中の水と比べ、およそ1万倍の濃度の放射性物質が検出されました。その後、1号機の水たまりからもほぼ同じ濃度の放射性物質が見つかっています。このため、東京電力は、震災の発生当時、同じく運転中だった2号機の建物に出来た水たまりも調査したところ、1cc当たり29億ベクレルと、1号機、3号機のおよそ1000倍、運転中の原子炉の水のおよそ1000万倍という高い濃度の放射性物質が検出されたということです。この中には1cc当たりの濃度で、いずれも放射性の▽ヨウ素134が29億ベクレル、▽ヨウ素131が1300万ベクレル、▽セシウム134とセシウム137共に230万ベクレルなど、原子炉内で核分裂した際に発生する放射性物質が含まれていました。
(3月27日 12時11分)
ふつうの常識があればこの強調部分でこれまで報じられたことの無かった(と私は思うが)ヨウ素134が急に出てきたことにまず不審を抱くのでは無かろうか。さらに(たまり水)1cc当たり29億ベクレルという放射能すべてがそのヨウ素134に由来するようなものだから、特徴がはっきりしている。まずはヨウ素134の半減期を調べてみなくてはと思ったものの、いずれは追加発表で様子が分かるだろうとそれを待つ姿勢になった。後出しじゃんけんじゃないが私は最初から疑っていたのである。
同日遅くに東電から訂正発表があったが、この言い訳がよかった。
東電の広報担当者は、「測定結果が不確実な可能性があっても、公表しなければ、後から『隠していた』と批判を浴びる」と悩む。経済産業省原子力安全・保安院も、同じ理由で公表を優先したとしている。
(asahi.com 2011年3月27日22時14分)
まあその通りであろうが、発表に至る過程で「なぜ急にヨウ素134が出てきたんや」と誰一人疑問を持たなかったのだろうか。今やそんなことはどうでもよい。東電のお粗末な台所事情がまたもや浮かび上がったこと、いとも容易に「ヒューマン・エラー」が起きることを国民にさらけ出したのがよかった。万全なんてありえないことが常識にならないといけない。米国人も東電発表は眉につばをつけて受け取るようで、The New York Timesは福島第一原発敷地内で行った土壌の調査でプルトニウムが検出されたことについて、次のように報じている。ここでも「測定ミス」が指摘されているのである。
All the reported readings are within the safe range of plutonium levels in sediment and soil given by the United States Agency for Toxic Substances and Disease Registry. But Tokyo Electric said the highest reading was more than three times the level found in Japan compared with the average over the last 20 years. American nuclear experts expressed confusion on Monday about the company’s latest report that one form of plutonium was found at elevated levels at the Fukushima plant while other forms were not, and suggested it could be a measurement error.
(March 28, 2011)
まるで大人が子どもを諭しているようである。われわれは何も手を出すことが出来ないのだから、発表数値そのものに振り回されて一喜一憂することなく、福島第一原発事故が世界にまき散らす放射性物質の量が、せめてチェルノブイリ原発事故の規模を上回ることにならないようひたすら念じようではないか。
追加(29日 18:10)
東京電力が平成22年11月19日付けで「原子力発電所の安全と品質確保のためのヒューマンエラー防止に向けて」というPDF文書を公開している。福島第一所長は社員に対して『現場は「怖い」、「何が起こるか分からないところ」、「危険なところ」という認識の再徹底』などときわめて的確な指示を与えているし、また福島第二所長も『初めてや久しぶりの仕事、また慣れない仕事については、正しいとおもっていても間違っていることは多い。「どこのグループにおいてもヒューマンエラーは起こるものだ」と思い、・・・』と指示を与えている。
このこと自体はよいのであるが、昨年の暮れにこのような文書を出したということは、よほど作業員の能力の低下が問題になっていたからであろうか。