福島原発事故で東京電力の初動があまりにも遅いので、福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかと疑問を呈したが、作業現場では次ぎのような対応を期待していた。ささやかな経験にもとづく私なりの「常識」だったからである。
(福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しよう)
現役時代にある実験装置を作ったことがある。いろいろと創意工夫を加えて出来上がった装置は当時世界唯一のもので、狭い専門分野ではあるが結構注目を浴びた。装置の作動原理は私のアイディアであったが、基本設計にはじまり液体制御や気体制御の機械部分、さらにはレーザー装置との組み合わせに全システムの電子制御装置とソフトウエアなど、必要なものすべてを信頼していたメーカーの技術スタッフと共同で作り上げた。おもに試験研究など科学研究費の支援を受けて始めて可能になったもので、おそらく総額は3000万円を上回ったであろう。既成装置を購入したわけではないので、なにかトラブルがあると自分で解決しなければならなかった。問題点を探り当てるのはすべてを知る私の仕事で、それを解決するには技術者の助けを借りることもあった。だから定年間際まで続けた共同研究でも、装置は私が動かさなければならなかったのである。
規模も内容も比べるべきものではないが、東京電力にはすべてを知る生え抜き、たたき上げの技術者集団があって、その束ね役のトップ技術者が原発を動かす要の位置にいるのだろう、と私は勝手に想像していた。それがたとえば福島原発ならその所長であろうし、また本社では技術担当重役であろうと。原発とともに育った経験豊かな技術者が緊急時に指揮を掌握してこそ始めて迅速な対応が可能になる。だからこそ日ごろからその態勢で非常事態の訓練をしていたのであろうと思っていた。ところがいろいろと洩れ伝わる情報では東京電力のトップに技術系が不在とか。それに現場で実際に作業しているのはメーカーである東芝とか日立の技術者であるとか。では束ねているのは誰なのだろうか。
蓋を開けてみれば私の疑問、福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかも当たっていたようである。それならそれで核戦争の戦場にも出かける装備を持った米軍特殊部隊に福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!でも述べたように、場合によれば米軍に指揮権を委譲するぐらいの覚悟で助力を仰ぐべきなのにそれも出来なかった。その一方でやっていたことは、自衛隊の方々にはご苦労であったものの、自衛隊ヘリコプターから海水をジャーと撒いて終わりであった。あれでは山火事でも消えるまい。やることなすことすべて児戯に等しい。東京電力は、そしてわが国は原発事故に山火事かもしくはそれ以下の対応しかできなかったことを、あれで世界にさらけ出してしまった。
東工大出身の菅直人総理を東京電力のトップにすげ替えたら、少しは技術者を重視する布陣が期待されるかも知れないが、今となっては手遅れである。近いところでは関西電力であるが、もし出来ていなかったら技術者重視の運営システムを早急に構築して欲しいものである。
「想定内」であれば日ごろ訓練に用いられたマニャルに従い定められた対応をすれば十分であろう。しかし「想定外」の事態ではそれが効かないからこそ、現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。
現役時代にある実験装置を作ったことがある。いろいろと創意工夫を加えて出来上がった装置は当時世界唯一のもので、狭い専門分野ではあるが結構注目を浴びた。装置の作動原理は私のアイディアであったが、基本設計にはじまり液体制御や気体制御の機械部分、さらにはレーザー装置との組み合わせに全システムの電子制御装置とソフトウエアなど、必要なものすべてを信頼していたメーカーの技術スタッフと共同で作り上げた。おもに試験研究など科学研究費の支援を受けて始めて可能になったもので、おそらく総額は3000万円を上回ったであろう。既成装置を購入したわけではないので、なにかトラブルがあると自分で解決しなければならなかった。問題点を探り当てるのはすべてを知る私の仕事で、それを解決するには技術者の助けを借りることもあった。だから定年間際まで続けた共同研究でも、装置は私が動かさなければならなかったのである。
規模も内容も比べるべきものではないが、東京電力にはすべてを知る生え抜き、たたき上げの技術者集団があって、その束ね役のトップ技術者が原発を動かす要の位置にいるのだろう、と私は勝手に想像していた。それがたとえば福島原発ならその所長であろうし、また本社では技術担当重役であろうと。原発とともに育った経験豊かな技術者が緊急時に指揮を掌握してこそ始めて迅速な対応が可能になる。だからこそ日ごろからその態勢で非常事態の訓練をしていたのであろうと思っていた。ところがいろいろと洩れ伝わる情報では東京電力のトップに技術系が不在とか。それに現場で実際に作業しているのはメーカーである東芝とか日立の技術者であるとか。では束ねているのは誰なのだろうか。
蓋を開けてみれば私の疑問、福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかも当たっていたようである。それならそれで核戦争の戦場にも出かける装備を持った米軍特殊部隊に福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!でも述べたように、場合によれば米軍に指揮権を委譲するぐらいの覚悟で助力を仰ぐべきなのにそれも出来なかった。その一方でやっていたことは、自衛隊の方々にはご苦労であったものの、自衛隊ヘリコプターから海水をジャーと撒いて終わりであった。あれでは山火事でも消えるまい。やることなすことすべて児戯に等しい。東京電力は、そしてわが国は原発事故に山火事かもしくはそれ以下の対応しかできなかったことを、あれで世界にさらけ出してしまった。
東工大出身の菅直人総理を東京電力のトップにすげ替えたら、少しは技術者を重視する布陣が期待されるかも知れないが、今となっては手遅れである。近いところでは関西電力であるが、もし出来ていなかったら技術者重視の運営システムを早急に構築して欲しいものである。