3月20日に阪神なんば線が開通した。その「ご利用ガイド 保存版」には《阪神なんば線の開通に伴い、阪神電車は近鉄電車と相互直通運転を開始し、阪神三宮⇔大阪難波⇔近鉄奈良が乗り換えなしで結ばれ、利便性が飛躍的に向上します。》とうたわれている。たしかに、これまでは三宮から奈良に行くには大阪でいったんJRに乗り換えるか、また近鉄線で行く場合はさらにJR環状線鶴橋で近鉄奈良線に乗り換えなければならなかった。それが三宮から乗り換えなしに奈良に行けるのだから、神戸在住の私にとってまことに有難い。さっそく乗ってみたいと思っていたが、昨日、ようやくその思いを叶えることが出来た。それは良かったのだが、変なことが気になった。それは奈良行きの列車に増結されたり切り離された四両の車両のことである。
阪神なんば線開通を報じたニュースであったか、三宮と奈良の間のどこかの駅で、車両を増結したり切り離したりするので車両を乗り換えないといけない、と聞いたように思う。それが頭の中にあったものだから、そのような車両には乗らないように注意するつもりであった。
阪神三宮駅では三号線プラットフォームで10時13分発の奈良行き快速急行に乗った。六両連結の近鉄車両で、もちろん始発駅だから座席にちゃんと座れたが、三宮を発車した時はまだ空席が残っていた。快速急行のせいだろうか、結構停まる駅が多くて乗客がだんだんと増えてきた。そして尼崎駅でこの快速急行の先頭に車両が四両増結されることになり、5分ほど停車していた。
尼崎からは今回開通した阪神なんば線に入り、高架を走っているかと思うといつの間にか地下に潜ってしまった。大阪難波駅では思いの外大勢の乗客が降りて、車内はがら空きの状態になった。鶴橋を出ると生駒までノンストップで、大和西大寺に近づく頃に、この駅で前の四車両は切り離し、後ろの車両は奈良行きとの車内放送があった。したがって阪神三宮駅では六両編成のどの車両に乗ろうとも奈良までは乗り換え無しで行けることが分かった。
ただ分からないのは、尼崎で増結されて大和西大寺で切り離される車両の役割である。確かにこの両駅間で旅客の運送に役立っていることは分かる。しかし増結・切り離しのためにその二駅でそれぞれ5分ずつも停車しないといけない。仕方なしに待っている間に車両の扉は開いたままだし、昨日はやや寒くて外の冷気が車内の暖気を追い出してしまった。乗客にすれば迷惑な話である。尼崎から奈良方面への乗客が増えるのであれば、尼崎始発奈良行きの列車を増発すれば済む話である。もちろん三宮発奈良行きの直行列車を増発してもよい。なぜ車両を増結してはまた切り離すような手のかかることをするのか、私には分からなかった。それに、大和西大寺で切り離された車両はいったいどこに行くのだろう。
往きはまだよかったが、問題は帰りである。大和西大寺駅で待っていると、奈良方面から十両編成の阪神三宮行きが入ってきた。最初は⑦番の印のところで待っていたが、もし尼崎で切り離される車両だったら面倒と思って、列車が入ってきてから慌てて移動して⑤番印から乗り込んだ。乗ったのは阪神車両で先頭が⑩番車両だったから、⑤番車両に乗っている限り三宮まで乗り換えせずに行けるはずだと思った。実は⑦番車両でもよかったのであるが、頭がなにか混乱していたようである。鶴橋でようやく座ることが出来た。
尼崎に近づくと後ろ四両は切り離すとののアナウンスが流れた。私は⑤番車両に乗り込んでいるつもりだったので慌てることもなかったが、念のために車両番号を確認しようと思ったら、車内のどこにもその表示がない。自分が何番車両に乗り込んでいるのかはっきり分からずに、不安を感じた乗客が大勢いたのではなかろうか。尼崎駅では向かい側に停まっている姫路行き直行特急に取り替えた乗客も多かったが、多分切り離された車両からであろう、大勢の乗客が乗り込んできてかなり混み合ってきた。終点阪神三宮で下車したら確かに私の車両が最後尾になっていた。
一度このようなことを経験しておくと、どうすれば乗り換えせずに奈良に往き帰りできるかが分かって迷うこともないが、それにしてもなぜ車両の増結・切り離しというやっかいなことをわざわざしないといけないのか、どう考えても分からない。そう言う作業を見るのが好きな人のためにサービスでもしているわけでもあるまい。増結・切り離しをせずに済む方法を考えて欲しいものである。それはともかく、三宮から難波に出るのは非常に便利になった。乗り換え無しで行ける上に料金が400円と安い。これまでは阪急・阪神でいったん梅田まで出るのに310円かかるので、それにプラス90円で難波に行けるのである。さらに200円アップで韓国料理の町、鶴橋へ直行である。南の方へ足を運ぶ回数が増えるような気がする。