東京電力のホームページから新潟県中越沖地震に関するプレスリリースを見ることが出来る。ここに昨日発表された「柏崎刈羽原子力発電所における平成19年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析に係る報告(第一報)について」がある。
地震直後に経済産業省原子力安全・保安院が「柏崎刈羽原子力発電所における平成19 年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析及び耐震安全性への影響評価について(平成19 年7月16 日付平成19・07・16 原院第1号)」の調査を求めたのに対して、本震の際に取得された全ての記録の収集、整理が完了したのでその第一報として報告するというのである。その概要が公表されているが、それを見て私わが目を疑った。その部分を引用する。
《1.柏崎刈羽原子力発電所における地震観測の状況
柏崎刈羽原子力発電所では、従来より1号機、5号機および6号機の原子炉建屋、タービン建屋、ならびに敷地地盤(サービスホールを含む)の計67 箇所に地震計を設置し観測を行っている。また、上記以外にも平成19 年4月に1号機~7号機の原子炉建屋、タービン建屋、ならびに発電所敷地内地震観測小屋の計30 箇所に地震計を追加設置し、観測可能となっている。以下、前者を「既設地震計」、後者を「新設地震計」という。柏崎刈羽原子力発電所における地震観測点の配置を図1に示す。》
《なお、既設地震計67 台のうち63 台分について、余震記録により本震記録が上書きされ、本震記録の地震動の波形が消失していること(7月19 日お知らせ済)(中略)しかしながら、既設地震計の最大加速度値は消失していないこと、新設地震計による各号機の原子炉建屋基礎版および3号機タービン建屋基礎版上の本震記録が取得されていること等から、十分な検討ができるものと考えている。》(強調は私)
最後の言い訳はともかく、この強調部分には「マジかよ!」とわが目を疑ったのである。
私は7月20日のエントリー「原子力発電所耐震安全性『大実験』を生かすために」で、《思いがけぬ『大実験』で集積した貴重なデータを積極的に生かす手段を講じるべきである。その調査研究に国の主導による科学者・技術者の組織化が望まれるところである。そしてその成果は既存の他の原子力発電所の安全性の再検討にも直ちに生かされるべきで、関係者の獅子奮迅の働きを期待したい。》と述べた。
ところがなんとなんと既設地震計が集めたはずの貴重なデータの94%が失われたというのである。まさに壊滅状態ではないか。開いた口が塞がらないとはこのことである。『実験』で得たデータは全て記録・保存するのが鉄則、今や技術的(メモリー容量など)には何の困難もない。今朝のFujiSankei Business i. 2007/7/31が「KDDI、100年分メール保存 グーグルの技術活用 」 と報じていた。そのようなご時世なのである。何故二度と得られぬかもしれない貴重なデータを失うような羽目にいたったのか。これは年金記録の紛失に匹敵する大失態である。地震計が『時代物』だったのだろうか。徹底的に調査してその状況と責任の所在を明らかにすべきである。あまりにもずさんな管理体制であると云わざるをえない。
ところで朝日朝刊(7月31日)は第一面に「原発で最大揺れ2058ガル」の見出しで《3号機では2058ガル(ガルは加速度の単位)の揺れが観測されていた》と報じている。私にはこのデータの出所が分からない。3号機に関して概要の図2-3に「3号機原子炉建屋基礎版上の加速時刻歴波形(東西方向)」と図3-3に「3号機原子炉建屋基礎版上の加速度応答スペクトル(東西方向)」のデータが示されている。しかしそのいずれからも2058ガルを読み取ることが出来ない。この数字、どこから出て来たのだろうか。
地震直後に経済産業省原子力安全・保安院が「柏崎刈羽原子力発電所における平成19 年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析及び耐震安全性への影響評価について(平成19 年7月16 日付平成19・07・16 原院第1号)」の調査を求めたのに対して、本震の際に取得された全ての記録の収集、整理が完了したのでその第一報として報告するというのである。その概要が公表されているが、それを見て私わが目を疑った。その部分を引用する。
《1.柏崎刈羽原子力発電所における地震観測の状況
柏崎刈羽原子力発電所では、従来より1号機、5号機および6号機の原子炉建屋、タービン建屋、ならびに敷地地盤(サービスホールを含む)の計67 箇所に地震計を設置し観測を行っている。また、上記以外にも平成19 年4月に1号機~7号機の原子炉建屋、タービン建屋、ならびに発電所敷地内地震観測小屋の計30 箇所に地震計を追加設置し、観測可能となっている。以下、前者を「既設地震計」、後者を「新設地震計」という。柏崎刈羽原子力発電所における地震観測点の配置を図1に示す。》
《なお、既設地震計67 台のうち63 台分について、余震記録により本震記録が上書きされ、本震記録の地震動の波形が消失していること(7月19 日お知らせ済)(中略)しかしながら、既設地震計の最大加速度値は消失していないこと、新設地震計による各号機の原子炉建屋基礎版および3号機タービン建屋基礎版上の本震記録が取得されていること等から、十分な検討ができるものと考えている。》(強調は私)
最後の言い訳はともかく、この強調部分には「マジかよ!」とわが目を疑ったのである。
私は7月20日のエントリー「原子力発電所耐震安全性『大実験』を生かすために」で、《思いがけぬ『大実験』で集積した貴重なデータを積極的に生かす手段を講じるべきである。その調査研究に国の主導による科学者・技術者の組織化が望まれるところである。そしてその成果は既存の他の原子力発電所の安全性の再検討にも直ちに生かされるべきで、関係者の獅子奮迅の働きを期待したい。》と述べた。
ところがなんとなんと既設地震計が集めたはずの貴重なデータの94%が失われたというのである。まさに壊滅状態ではないか。開いた口が塞がらないとはこのことである。『実験』で得たデータは全て記録・保存するのが鉄則、今や技術的(メモリー容量など)には何の困難もない。今朝のFujiSankei Business i. 2007/7/31が「KDDI、100年分メール保存 グーグルの技術活用 」 と報じていた。そのようなご時世なのである。何故二度と得られぬかもしれない貴重なデータを失うような羽目にいたったのか。これは年金記録の紛失に匹敵する大失態である。地震計が『時代物』だったのだろうか。徹底的に調査してその状況と責任の所在を明らかにすべきである。あまりにもずさんな管理体制であると云わざるをえない。
ところで朝日朝刊(7月31日)は第一面に「原発で最大揺れ2058ガル」の見出しで《3号機では2058ガル(ガルは加速度の単位)の揺れが観測されていた》と報じている。私にはこのデータの出所が分からない。3号機に関して概要の図2-3に「3号機原子炉建屋基礎版上の加速時刻歴波形(東西方向)」と図3-3に「3号機原子炉建屋基礎版上の加速度応答スペクトル(東西方向)」のデータが示されている。しかしそのいずれからも2058ガルを読み取ることが出来ない。この数字、どこから出て来たのだろうか。