日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

NHKは民営化ではなく国営化を

2005-12-24 18:31:58 | 社会・政治
NHKは民営化せず 首相「他の改革を検討」 (産経新聞) - goo ニュース

小泉首相の最大の功績の一つは政治の透明性を高めたところにある。小泉首相は『郵政民営化』のあとも『国立戦没者追悼施設』の調査費計上問題について「もう少し時間をおいたほうがいい」と旗幟を鮮明にしてひとまずこの問題に決着をつけた。このたびは『NHK民営化論議』に対しても「民営化せず」に「他の改革」を検討すべきであるとの考えを表明した。

『政治の透明性』をますます高めるためにも私はNHKを国営化すべきだと考える。私はすでにこのブログで「NHKを国営化して政府・政権党の報道機関に」と意見を述べているがこの小文はそれを補足するものである。

『政治の透明化』の最たるものは国会審議の完全中継である。討論者のやりとりを忠実に追うのはもちろんのこと、各議員の生態もつぶさに追うのである。野次を飛ばすもの、居眠り、不作法も当然引っかかるであろう、カメラが議場を隈無くスキャンするのである。これは民間テレビ局には出来ない。

決して議員のあら探しを望んでいるのではない。それどころか国会議員全員に満遍なく平等に時間を割り当てて、たとえば30分でも1時間でもいい、その議員の日常を追うと同時に議員の信念、また時事性のある出来事に対する議員の考えなどを十分に表明していただくのである。もちろん選挙区にも議員に密着して出かける。格好の『ふるさと探訪』にもなるだろう。このようにして国会議員一人一人が絶えずテレビに登場することを繰り返していると、そこは国会議員にもなろうかと云う方々である、そのユニークなキャラで、テレビご常連の『吉本』の芸人さんも顔負けの登場を待たれる方々が輩出することであろう。かくして国民と国会議員との距離が限りなく縮まり、政治が国民のものになる。

小泉首相には毎朝毎晩登場していただく。現在のテレビ番組では編集結果しか目にすることが出来ないが、時間は無制限、会見の一部始終を放映するのである。官房長官の定例記者会見も同じ。この時点で実は『記者』の文字は『国民』に置き換わってしまっているのである。ご本人から全ての話を直接聞けるのにその中間に他人が存在する必要はなくなる。ただセンスのよい話の引き出し役が一人おればよい。テリー・伊藤氏なんていいですね。挑発的な櫻井よしこ氏もいい。

災害時の緊急報道も国営放送の重大な役割である。阪神・淡路大震災で経験したことであるが、民放各社のヘリコプターが用もないのにブンブン五月蠅く被災現場の上を飛び回って大いに顰蹙をかった。こういう災害時にこそ『国営放送』がその権威でもって唯一の報道機関として自衛隊・警察・消防・と連携して必要な状況を把握し、現況を刻々国民に報道すればよい。

『国営放送』のさらに重要な役目がある。『日本の主張』を世界に『発信』をすることである。何が何で『中国の軍事的脅威』を日本が問題にするのか、具体的な事実・資料に基づいて世界に発信するのである。原爆ももっていない日本の国連への拠出金が何故核大国中国の10倍近くにもなっているのか、その不合理を侃々諤々世界に訴えるのである。『喧嘩を売る』のではない。理性的に日本国の意見を世界に開陳するのである。中国が相手のことだと中国語で放送するだけではなく、英語、ロシア語、フランス語、韓国語、もちろん同じ内容を日本語でも放送する。これは国営だからこそ出来ることである。アメリカの国営短波放送であるVoice of Americaの日本テレビ版とでも云えようか。

テレビを購入して屋根にアンテナを建てただけでNHKに受信料を払わされる。税金と変わりない。国営になれば税金で運営されるから国民にさらなる負担はかからない。このことは既に論じた。12月7日現在の報道では法律で定められているはずの受信料の不払い・未契約が既に3割に達しているとのことである。これでは国民に支持されたNHKの看板が泣く。現実にはすでにこの現行システムは崩壊していると云って良い。法的な手段に訴えてでも受信料を徴収するとのNHKの方針も取りざたされているが、それにかかる手間暇を考えただけでも無駄を更に重ねるだけのことである。そのNHKの再生が避けて通れない事態になって『民営化論議』が起こってきたが、屋上屋を重ねる愚をおかすべきではない。必要とあれば新しい方策を考えてこそ前進がある。それが『NHKの国営化』である。

『民営化』だけが改革の『錦の御旗』であるはずがない。『耐震強度偽装』事件で『確認検査機関』の民営化がいかに企業責任の退廃を蔓延らせたかの事例が生々しい。小泉首相のいうNHKの民営化ではない改革の方策として、国益のためにも『NHK国営化』が真剣に取り上げられることを切望する。

松下電器産業製「石油温風器」事故騒動に思う

2005-12-19 21:46:46 | 社会・政治

今年の1月、2月、4月に松下電器産業製の石油温風機から一酸化炭素が室内に漏れて1名が死亡する中毒事故が発生した。同社は4月21日からリコールを開始していたが、11月21日に4件目の事故で更に死者が1名増加した事実を重くみて 経済産業省は同社に対して回収、点検・改修、危険性の周知など必要な措置をとるよう緊急命令を発動した。消費生活用製品安全法が1974年に施行されて初めての事態で緊急命令に違反した場合の罰則は1億円以下の罰金と定められているとのことである。

ところが松下電器産業がリコールした製品を修理したことが裏目の結果をもたらした。一酸化炭素の漏れの原因が給気用耐熱ゴム製エアホースに入った亀裂に由来するのではないかとの判断からそれを銅製ホースに交換したところ、今度はそのホースが外れるトラブルが13件も発生し、今月に入り一人の男性が重体に陥ったとのことである。ある意味では二次災害と云える。ホースを交換した際の取り付けミスであることは容易に推察されるので、これは最初の事故とは性質が異なるものである。このように石油温風器事故は内容が二手に分かれている。私がここで問題にするのは最初のケースである。

この一連の事故は4月に松下電器産業がリコールに乗り出したのにも拘わらず、未修理の石油温風器による死亡事故が11月に新たに発生したことから、同社の対応の遅れが問題視されたのである。そして経済産業省が『緊急命令』を発動したことから俄然世間の注目を浴びることとなった。ところがこの事故の報道を追うにつれて私は複雑な思いに囚われた。最初の事故の原因となった石油温風器がなんと13年から20年前に製造された年代物の製品だったからである。

最初の事故で亡くなられた方は長年この製品を愛用されてこられたことだろう。当時10万円という価格はかなりのものである。しかしその価格に見合った働きをこの温風器はし続けてきたに違いない。北国の冬は長い。ひょっとすると一年の半分近くは動いていたのではなかろうか。10年以上も文句を云わずに働き続けてきた愚直な健気さはまさに賞賛に値する。ところが不運にも『丈夫で長持ち』したばっかりに『ご主人様』を裏切ることになったのである。

一病息災という言葉がある。ちょっとした病気のある人ほど身体に気をつけるので健康な人よりかえって長生きするとの意である。この温風器は元気者であったに違いない。だから使う側もこの温風器の調子が悪くなることがあるとは夢にも思わなかったのではあるまいか。ほどほどに愚図っていたら使用者もそれなりに気を遣いまた時には修繕などすることで結果的にはメインテナンスの上では良かったのかも知れない。なまじっか調子の良すぎたことが裏目に出たとも云える。

そうしてみるとこのような『丈夫で長持ち』する製品を作り上げた松下電器産業は実に見上げた仕事をしていたことになる。パソコン、デジカメ、携帯音楽プレーヤなど最近のIT関連製品が、下手すると数週間で動かなくなったりして振り回されてきた私から見ると、松下電器産業はメーカーの鑑と云える。

松下電器産業は事故の再発防止策として、10~19日の10日間、すべてのテレビCM(約1万7200本)を「おわびや注意」を呼びかける内容に差し替えるそうである。また13万台を超える買い取りや広告費など事故対策費は200億円規模に膨らむ可能性があるとも云われている。

私は「一寸待て」と云いたくなる。石油温風器は機械ものである。動く部分を持っているものは必ずメインテナンスを必要とする。それが常識というものだ。事故を起こした温風器のメインテナンスの実情はどうだったのだろう。車検のように法律で強制されていないだけに定期的なメインテナンスという発想が生まれなかったのかも知れないが、日常使う道具もの『手入れ』は行われのが当たり前と云えないだろうか。その意識が使用者に欠けていたとしたなら残念としか云いようがない。私は今回のことは誰が悪いというものではないと思う。強いて云うなら10年保てばまあいいかと思わせなかった『丈夫で長持ち』する製品を作った側が悪かったということになるが、そう簡単に言い切れないからこそ複雑な思いが残るのである。

私は13年以上も前に作られた石油温風器をそのまま使っている危険性をメーカーが世間に周知させることで収拾を図れば良いと思う。私も新聞、テレビを通してこのことをすでに知っている。それで十分である。13年以上も使い続けられた該当製品を5万円で買い取るというのは非理性的な短絡的な発想のように思う。13年以上も使い続けた売値10万円の製品のどこに5万円の値打ちがあるというのか。理性的な企業経営者の考えることであってはならない。一方、10年以上も『おかげ』を被ってきた温風器と引き替えに5万円を受け取るような品性の卑しい日本人が一人でも少なからんことを念ずるのみである。

12月18日時点で対象152132台のうち84000台の状況が把握されたそうであるが、このなかの24000台はすでに買い換えられたり廃棄されていたとのことである。13年以上も前の製品だからこそ残りのほとんどは既にアラゴミになってしまっていると考えるのが常識というものだろう。そういう意味でもメーカーの余分な出費が抑えられるのは好ましいことである。

ただ現時点で松下電器産業に私なりに望みたいことがある。それは事故原因の技術的な解明である。一酸化炭素中毒とも不完全燃焼とも報道はされているが、その実体は明らかにされていないと思うからである。

FF式石油温風器(本体)構造概略が経済産業省のNews Releaseに掲載されている。この図解だけでは実際の構造がどのようになっているのか、私には分かりづらい。しかし排気をわざわざ室外に出す設計になっているということは、石油を燃焼させるバーナー部分を室内の空気から独立させようとする意図に基づいているのであろう。最近わが家でも愛用しているハロゲンヒーターは燃焼排気ガスを出さない『電熱器』が室内の空気を暖めるようになっている。石油温風器でもバーナー部分を独立させておればこれは『電熱器』と同じ働きをするとみてよい。

構造概略で見る限り最初亀裂が生じたとされる給気用耐熱ゴム製エアホースはバーナー部分の部品になっており、従って原理的には室内空気とは独立しているのである。いくらこのエアホースに亀裂が出来ようと、またこのホースが外れようと、給気の効率が悪くなって不完全燃焼が発生するかも知れないが、この亀裂なりホース外れが原因で室内に一酸化炭素が漏れ出すとはとうてい考えられない。一酸化炭素が室内に漏れ出すとしたらそれはバーナー部分の独立性が損なわれた時である。バーナー部分と室内空気を隔てる隔壁に穴でも空いていたのだろうか。

どのように異常な状況で石油温風器を使い続けると一酸化炭素中毒死を引き起こす程の一酸化炭素を室内に充満させることができるのか。そして事故を起こした温風器で致死濃度の一酸化炭素を発生させえたのだろうか。総力を挙げてそのような状況をつまびらかにして情報を公開することこそ松下電器産業に問われる社会的責務であると思う。

何故『デジカメ差し止め』?

2005-12-17 09:43:21 | 社会・政治
中国・デジカメ差し止め 日本メーカー影響懸念 (朝日新聞) - goo ニュース

使用者の命に関わる重大事故を引き起こすとも思えないのに中国当局が一部の日本メーカーに対してデジタルカメラの中国における「販売差し止め勧告」を行った。「デジカメへの苦情を受けて浙江省当局が買い集めた6社34機種のうち、ソニーの「サイバーショット」6機種を含む13機種を不合格とした」からだそうである。

このニュースだけでは「販売差し止め勧告」に至った経緯が定かではないが、製品の販売差し止めはメーカーの命運にも関わる一大事である。「13機種を5台ずつ2次検査した結果、ソニーの6機種30台はすべて基準を満たしていないとして、今月13日付で(浙江)省内販売差し止めを勧告」と云うことである。これがアメリカでなら『そのような動きがありそうだ』とあらかじめニュースが伝わってきて、そして当事者間のやり取りがあった上での『最終的行動』になるのだろうが、いかにも唐突である。なんだか裏があるのでは、とげすの勘ぐりが働く。

『基準』の中身はいざ知らず、メーカーは当然その存在を知った上でその『基準』を満たす製品を作っているはずである。品質検査も行った上での出荷であろう。「ソニーの6機種30台はすべて基準を満たしていない」が果たしてどのようなことであるのか私はそれを知りたい。というのは、これはまた別に述べることにするが、私自身メーカーの数々の製品に結構不信感を抱いていることもあるからだ。

『基準』を巡ってのやり取りはいずれつまびらかになるだろうが、私が驚いたのは日本人の常識とは全く相容れない中国当局のこの『強権的行動』である。これは『靖国問題』もかすむ強力な政治カードにもなりうるからだ。こんなことが日常まかりとおれば中国相手に落ち着いてビジネスが出来なくなる。しかし無理が通れば道理がへっこむ、であってはならない。メーカー側に落ち度が無いとの前提ではあるが、しかるべきところに提訴するなどメーカー側に毅然とした対応を望みたい。中国当局の反応を拝見しようではないか。


天晴れ偽『医師』の快挙?

2005-12-06 21:23:39 | 社会・政治
偽医者8年、20カ所勤務 33歳の男逮捕 (共同通信) - goo ニュース

『立派な』偽医師がいたものである。医学教育を受けたわけでもなく定時制高校中退の経歴を持つ男性が医師免許証を偽造して8年間にわたり20カ所の医療機関で医師として働いていたそうである。私は騙された医療機関が100%悪いと思だけにこの『医師』をあまり責める気になれない。

病院などの医療機関が医師採用に当たって資格の有無を厳密に調査しておればこういう問題の起こるはずがない。それが関門をパスしたのが20カ所に及ぶとあっては何をか言わんやである。そのうえ医療機関は偽医師を雇い入れることで患者をも騙しているのだから併せて200%悪いとも云える。偽造構造設計を見逃してきた審査検査機関も唖然とするぐらいの大失態である。

それにしてもこの偽医師は私の好奇心を大いに刺激する。どのような診療行為をしていたのだろう。早い話がカルテなどどのように書き込んでいたのだろう。当然保険診療手続きなどで医療事務担当者の目に触れるであろうから、そこで不審を抱かれることが無かったのだろうか。

まさか外科手術などを行っていないと思うが診療科がどの領域にわたっていたのだろうか。それなりの処置を患者に施したのではと思うが注射や採血などを自分でやっていたのだろうか。それとも全てを看護師に任せていたのだろうか。またそうした日常の医療行為に看護師などが不審を抱くことがなかったのだろうか。周りの正規の免状を持った医師が何か異常に気がつかなかったのだろうか。最後を看取った患者がいるのだろうか。となると死亡診断書も書いをてそれで火葬なども行われたのだろうか。疑問は膨らむ一方である。

患者の反応はどうだったのだろう。患者から何らかかのクレームでも出されたことがあるのだろうか。8年間も『医者』を続けてこられたという事実から私は逆に患者には評判が良かったのではなかろうかと想像する。

8年の年月は重い。医学部での修業期間は6年にしか過ぎないからそれを上回っている。この『医者』は連日生身の患者を相手に研鑽を重ねたことだろうから医学の要諦を医学生以上に会得していたのかも知れない。

司法取引という制度が日本にも欲しいと思うのはこのような場合である。彼を単純に医師法違反などで処罰するのは勿体なさすぎる。確かに彼は法を侵したかも知れないが現実には患者を人助けしているのであろう。実質的に責められるところは無いのではないか。それより医療現場での数々の問題点を明らかにしまたそれを解決するなど取引をすることによって彼の体験を医療現場の改善に生かす方が遙かに社会には有用である。

ここで一例だけを取り上げよう。

彼の社会への一つの大きな貢献は『医師免許証』という『神聖な公文書』が年間2000万円も生み出す打出の小槌であることを示したことである。彼は傷口を縫い合わせることぐらいはしたかも知れないが、高度の手術をすることもなくただただ患者の相手となって「お大事に、すぐによくなりますよ」と励ますことに終始したのではなかろうか。私に云わせればこれは極めて理にかなっているのである。そもそも疾病の治癒力は患者の心身に備わっているもので、医者はその手助けをするに過ぎない。例外的に『切った貼った』も役立つだろうが風邪を例に取るまでもなく治癒力はあくまでも患者に備わっているのである。彼はそのことを実証したのではなかろうか。

心身の治癒力を手助けするだけなのに『医師免許証』があるというだけで年間2000万円の収入は多すぎると思うのが常識、これは稼ぎすぎである。不当利益であると思うからこそ必死に医師会などがその既得権益を守ろうとするのではないだろうか。これでは『やくざ』も顔負けである。

高齢者の医療費負担が大きな社会問題になっている。医療費高騰は確かに深刻であるが、入るを計る前に出るを制するのが焦眉の急であることは誰しも認めること。高齢者の負担を求めるに先立って医者の診療報酬を大幅に削減すべきである。なぜなら診療報酬の大部分が『医師免許証』という『神聖な公文書』のお墨付き料に過ぎないからだ。報酬ダウンでは医者になる気がしない、というのであるのならとっとと辞めていただいて結構。偏差値が異常に高いわけではないごく普通の、人の痛みを解する医者を目指す心優しい医学生が必ずその穴を埋めてくれるから何も心配することはない。

世間的にはいわばずぶの素人が『医師免許証』を振りかざすだけで年間2000万円の収入を得たことの意味、それをあらためて考えさせるこの偽『医師』の行為はそれなりの快(怪)挙と云えるのかもしれない。


『耐震強度偽装』事件から確認検査機関不要論をおもう

2005-12-02 20:04:12 | 社会・政治
庶民が一生のうちの最大の買い物といえば『住居』であろう。住居こそ憲法で保障された「健康で文化的な(最低限度の)生活」を営む基盤である。そんな理屈ぽい話はともかく、自分の気に入った住居で家族と平和に暮らす、その幸せを求めて人は働くと云ってもいい。

家を買い求めるのは大事業である。そして多くの人にとっては一生に一度の大きな買い物であろう。ところが生憎なことにほとんどの人が良い物件悪い物件を見分ける経験も無いままに買い物を迫られるのである。

マンションを買う場合に一番頼りにするのは売り主の説明であろう。耐久性・耐震性についても売り主の説明を鵜呑みするしか手がない。よほど用心深い人ならともかく、自分で(たとえ専門家に依頼するとしても)独自に耐震強度を調査などしないだろう。耐震強度が満たされているかどうかは元来は国が検査を行っていたもので、近年民間にその業務が委託されたにせよ究極の責任は国にあり、国が目を光らせてくれていると思い自分を安心させるのである。

今回の『耐震強度偽装』事件に関して11月28日国会で参考人招致による質疑が行われた。その光景をテレビを通じて観た人はあのような職業倫理皆無の手合いが庶民の『財産』を食い物にしている現実に慄然としたことであろう。と同時に今回の事件を通じて国の施策がいかにいい加減なものであるかが露呈された。

『仏を作って魂を入れず』は補償の問題だけではないのである。民間確認検査機関や自治体による検査システムも全く機能していなかった。だからこそ構造計算書の偽造が長期間にわたって見逃されていたのである。この事実こそ『検査機関』が形だけの『無用の長物』であったことを証明している。ことはそれだけに止まらない。箸にも棒にもかからない『確認済み証』を「神聖な公文書」と声高に主張するヒューザーの小嶋社長の姿勢からも明らかなように、一人歩きを始めた『確認済み証』があらゆる『悪行』を覆い隠す隠蔽の道具立てになっているのである。

このような内容を伴わない形式だけを整えたような『確認検査』は不要である。建築業者は誠心誠意安全で快適な住宅を建設して適切な価格で販売する、その当たり前のことを建築主・売り主が行う。それで十分ではないか。

マンションを購入する側も疑い出せばきりがない。そこで思い切って売り主の言葉を信じることにするのである。相場より安い物件だと単純に喜ぶのではなく、何かありそうだと思った上で売り主を信じるのである。とにかく自分の目で見えるところは見てそれで納得して買ったものがたとえ震度5では危ない建物であったとしても、30年、50年と地震に見舞われることなく無事に住居であり続けてくれたらそれはそれでいい、と悠然と構えるのである。世の中には地震以外にも気になることが山ほどあるではないか。

しかし、である。万が一、購入したマンションが売り主の言葉、約束と異なるものであることが発覚した場合に、たとえ売り主が倒産したとしても業界全体で買い主に完璧な補償をするシステムを業界全体で確立することを大前提とする。愚にもつかないと確認検査機関を補強するのはおよそ無駄なこと、検査機関の検査機関、またその検査機関となるのが目に見えている。それにかかる費用を補償システムの方に振り向けるのである。一方、悪徳業者には厳しいペナルティを課すのだ。江戸時代になぞらえれば身代限りはもちろんのこと、市中引き回しのうえ磔け獄門、罪は九族に及ぶぐらいの最高刑に処するのである。信頼とはそれほどに高価なものなのであるのだから。

妄言多謝


テレビ朝日の卑劣な『海賊的行為』

2005-12-01 10:00:20 | 社会・政治
昨夜(30日)の報道ステーションを観ていて何かが心に引っかかった。殺人犯人に対する怒りとは別の話である。

広島の女児箱詰め事件の二日後にテレビ朝日が日系ペルー人の容疑者をインタビューしており、その後も二回、計三回のインタビューを『特ダネ』といわんばかりにテレビで放映したのである。

第一回目、容疑者に招き入れられたとのことであったが、多分記者が入ってよいかと容疑者に聞いたからではなかろうか。私は記者がカメラマン共々強引に室内に入り込んだかのような印象を受けた。しかもカメラは室内を容赦なくそしてガスコンロを執拗に映し出す。テレビスタッフはそのような不作法を日常茶飯事のごとく日本人相手にも行っているのだろうか。いや、日本人なら『殺人事件』の聞き込みにやってきたテレビスタッフが家に入り込もうとしたら当然拒否するであろう。室内を撮影さすなんて考えられないことである。

二回目はスペイン語の分かる記者を同行したかでスペイン語のやりとりが流れるが今回は容疑者がカメラを拒否した。三回目はスペイン語と日本語の達者な通訳を伴っていたが室内には入れて貰えずに入り口でのやりとりになった。しかし警官でもあるまいに容疑者に詰問口調で迫る。まるで『目明かし』である。

これは明らかに日本の事情にうという外国人の弱みにつけ込んだ卑劣な『海賊的行為』である。私が当事者なら当然人権侵害で告訴する。いや、それより先にそのような輩は箒を振り回して追い出し『肥えたご』の中身をぶっかけてやる。

私はたまたまニュースステーションを目にしたのでテレビ朝日を取り上げただけで、あの狭い地域でのマスメディアの暴虐無尽の跋扈ぶりを想像するのは難くない。『捜査妨害』にもなったであろうとは容易に想像がつく。警察の出方を見守りたい。