昨日(9月29日)の朝日朝刊はブッシュ政権が金融安定化法案について米議会と大筋で合意した旨を伝えていた。政府が金融機関などから最大7千億ドルの不良資産を買い取る制度の創設を意図したものである。ブッシュ大統領が早朝、議会の開会に先立ち国民に向けてこの法案の重要性を訴えていた。これで米国の金融安定化政策が一つの大きなステップへ踏み出すものと思っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/8b/cf7149ad1ba34178bf3e70c6a07d3fd0.jpg)
ところが今朝、インターネットで《米下院、金融法案を否決 ダウ終値、最大の777ドル安》(asahi.com 2008年9月30日5時28分)のニュースを見て驚いた。もはや『既定の事実』のように思い込んでいたことがひっくり返ったからである。それと同時にブッシュ大統領がテレビで訴えた「この救助計画がなければ、米経済への損害は悲惨なことになりかねない」とは何だったのだろうと不思議に思った。その経緯を見てみようとCNNのサイトを訪れたところ、意外な事実に出くわしたのである。
asahi.comは賛成205に対し、反対228で否決されたと伝えたが、その投票の中身は次のようで、なんと民主党の60%が賛成したのに対して共和党の3分の2が反対するというこれまた不可思議な『ねじれ現象』が生じている。ちなみに、各議員の投票内容が同時に公開されている。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/dd/fd38b1f46c8a11bb82ea9f989c285b03.jpg)
昨日の朝日朝刊が伝えるようにブッシュ政権と米議会の合意をうけて、民主党、共和党の議会指導者が、銀行の貸し渋りが拡大して経済が破綻することを防ぐためには、何としてでもこの法案を飲み込むべきであると、それぞれの議員に対して働きかけていた。民主党ではその効果があったものの、ブッシュ大統領のお膝元の共和党で議員が大量に造反してしまったのである。
法案が否決されて、共和党の議会指導者は民主党出身のペロシ下院議長がブッシュ政権の経済政策を批判したことが法案の通過を妨げたと批難している。どの時点か定かではないが投票直前であろうか、ペロシ議長は《the cost of the bailout "is a number that is staggering but tells us only the costs of the Bush administration's failed economic policies -- policies built on budgetary recklessness, on an anything-goes mentality, with no regulation, no supervision and no discipline in the system."》と演説している。7千億ドルの出費がブッシュ政権の経済政策の失敗代とは分かりやすいので、私は彼女の意見はもっともだと思うが、その発言のタイミングが悪かったようである。ペロシ議長、KYの巻だろうか。
民主党、共和党を問わず、この金融政策が納税者に過大な負担を負わせることを懸念して反対に回った議員もかなり多いようである。共和党議員によると選挙民が10:1でこの法案に反対していたとのことである。しかし原則的に自由経済を標榜する立場から、金融マーケットへの政府の介入に危機感を持つ共和党議員が多く反対に廻ったようである。
それにしてもこの金融安定化法案に対して、民主・共和両党各議員が自主判断で投票していることに私は感銘をうけた。《"We've entered into those conversations in a spirit of bipartisanship, with the understanding that each side would have half of our votes to pass the bill," she said.》とペロシ下院議長の言葉を伝えている。二大政党の下にあって党議によって議員の投票を拘束しないことが前提であるからこその判断であろう。行政府と立法府が独立していることから、両者の対立が議会の中での政党の対立より重く受け取られていることが注目される。
日本でも形の上では立法府と行政府は独立であるが、現実には政党間の対立の方がいつも表に出てくる。立法府の議員に国民の代表者としての意識がきわめて低く、議員になることが行政府の大臣への足がかりという発想しかないからだろう。日本の国会で議員に党議拘束をかけるというような幼稚な民主主義から早く脱皮すべきであろう。麻生首相が所信表明で合意形成のルールを打ち立てるべきだと述べたが、そのために自民党では党議拘束を一切かけない、とまず言明したらどうなのか。、民主党も否応なしに追随せざるを得ないだろう。
米議会を金融安定化法案が通過するためには13人が賛成に回れば済む。これぐらいのことはすぐにでもやれそうな気がするので、私に余っているお金があれば最安値の株を今こそ買いこむのであるが・・・。
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ところが今朝、インターネットで《米下院、金融法案を否決 ダウ終値、最大の777ドル安》(asahi.com 2008年9月30日5時28分)のニュースを見て驚いた。もはや『既定の事実』のように思い込んでいたことがひっくり返ったからである。それと同時にブッシュ大統領がテレビで訴えた「この救助計画がなければ、米経済への損害は悲惨なことになりかねない」とは何だったのだろうと不思議に思った。その経緯を見てみようとCNNのサイトを訪れたところ、意外な事実に出くわしたのである。
asahi.comは賛成205に対し、反対228で否決されたと伝えたが、その投票の中身は次のようで、なんと民主党の60%が賛成したのに対して共和党の3分の2が反対するというこれまた不可思議な『ねじれ現象』が生じている。ちなみに、各議員の投票内容が同時に公開されている。
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昨日の朝日朝刊が伝えるようにブッシュ政権と米議会の合意をうけて、民主党、共和党の議会指導者が、銀行の貸し渋りが拡大して経済が破綻することを防ぐためには、何としてでもこの法案を飲み込むべきであると、それぞれの議員に対して働きかけていた。民主党ではその効果があったものの、ブッシュ大統領のお膝元の共和党で議員が大量に造反してしまったのである。
法案が否決されて、共和党の議会指導者は民主党出身のペロシ下院議長がブッシュ政権の経済政策を批判したことが法案の通過を妨げたと批難している。どの時点か定かではないが投票直前であろうか、ペロシ議長は《the cost of the bailout "is a number that is staggering but tells us only the costs of the Bush administration's failed economic policies -- policies built on budgetary recklessness, on an anything-goes mentality, with no regulation, no supervision and no discipline in the system."》と演説している。7千億ドルの出費がブッシュ政権の経済政策の失敗代とは分かりやすいので、私は彼女の意見はもっともだと思うが、その発言のタイミングが悪かったようである。ペロシ議長、KYの巻だろうか。
民主党、共和党を問わず、この金融政策が納税者に過大な負担を負わせることを懸念して反対に回った議員もかなり多いようである。共和党議員によると選挙民が10:1でこの法案に反対していたとのことである。しかし原則的に自由経済を標榜する立場から、金融マーケットへの政府の介入に危機感を持つ共和党議員が多く反対に廻ったようである。
それにしてもこの金融安定化法案に対して、民主・共和両党各議員が自主判断で投票していることに私は感銘をうけた。《"We've entered into those conversations in a spirit of bipartisanship, with the understanding that each side would have half of our votes to pass the bill," she said.》とペロシ下院議長の言葉を伝えている。二大政党の下にあって党議によって議員の投票を拘束しないことが前提であるからこその判断であろう。行政府と立法府が独立していることから、両者の対立が議会の中での政党の対立より重く受け取られていることが注目される。
日本でも形の上では立法府と行政府は独立であるが、現実には政党間の対立の方がいつも表に出てくる。立法府の議員に国民の代表者としての意識がきわめて低く、議員になることが行政府の大臣への足がかりという発想しかないからだろう。日本の国会で議員に党議拘束をかけるというような幼稚な民主主義から早く脱皮すべきであろう。麻生首相が所信表明で合意形成のルールを打ち立てるべきだと述べたが、そのために自民党では党議拘束を一切かけない、とまず言明したらどうなのか。、民主党も否応なしに追随せざるを得ないだろう。
米議会を金融安定化法案が通過するためには13人が賛成に回れば済む。これぐらいのことはすぐにでもやれそうな気がするので、私に余っているお金があれば最安値の株を今こそ買いこむのであるが・・・。