日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

大晦日に映画「ひまわり」を楽しむ

2010-12-31 23:52:04 | Weblog
歳末恒例の大掃除も予定通りに5時過ぎには終えて、後は心静かに2010年を送るだけ。7時からはニュースの代わりに映画「ひまわり」をケーブルテレビで観た。ソフェア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主役で監督がヴィットリオ・デ・シーカ、そしてテーマ音楽がヘンリー・マンシーニのあの名作である。もう何回も観ているが適当な間隔を空けるとまた観たくなる映画で、そのたびに何か発見がある。観られた方も多いと思うので粗筋はgoo映画に委ねる。

今回の発見?は幕切れに映し出されたひまわり畑の一面のひまわりが、すべて萎れていることであった。そして雪中に倒れたアントニオを助け、やがて彼の子を宿し、さらにはかっての妻ジョバンナに会いに出かけるアントニオを、信頼しきって見送る控えめながらひたむきなロシア女性マーシャの内面からにじみ出る美しさにはあらためて心うたれた。ジョバンナの潔さが二重悲劇を回避させたが、萎れたひまわりが彼女の心を象徴しているようでとても切なかった。

アントニオがジョバンナに会いに出かける前に、約束していた毛皮の襟巻きを赤の広場に面したグム百貨店で買い求めたときには、かって私たちがぶらぶらと歩き回ったことを思い出したり、また夜のミラノ駅の場面では、ウイーン行き夜行列車を待っている間のウインドーショッピングのはずが、構内の宝飾店でディスプレイされていた多面体にカットしたラピスラズリーのネックレスを、妻が気に入って衝動買い?をしたことなどを思い出したりしていた。今は教育テレビの音楽番組に耳を傾けながらこれを書いているが、間もなく除夜の鐘、わが家は穏やかな年の暮れである。

JR舞子駅での人身事故 運転士、車掌から見えにくい位置の回転灯?

2010-12-30 23:35:38 | Weblog
遅まきながら神戸新聞の次の記事が目についた。

舞子駅の非常装置増設へ JR西、死亡事故受け

 神戸市垂水区のJR神戸線舞子駅で17日、女性がホームから転落、死亡した事故を受け、JR西日本は28日、同駅のホームの異常を知らせる非常ボタンや非常報知灯を来年1月末までに増設するなど当面の対策をまとめた。(中略)

 舞子駅には現在非常ボタンが14個あり、ボタンを押すと回転灯が光って警報音が鳴り、ホーム端にある非常報知灯が点滅して運転士に知らせる仕組みになっている。しかし、回転灯は運転士や車掌から見えにくい位置にあり、非常報知灯はホームに入る前の運転士しか見ることができなかった

 そのためJR西は、同駅の非常ボタンを21個に増やし、非常報知灯も2個から6個に増設。警報スピーカーも6個新設する。さらに、事故現場に転落防止用のステンレス柵(長さ2・5メートル、高さ1・2メートル)を設置。車掌が安全を確認するテレビモニターを設置したり、照明を増やしたりすることも検討する。
(2010/12/28 15:00)

私はJR舞子駅での人身事故 大声をだせなかったのかで《プラットフォームにある「非常停止ボタン」を押せばどういうことになるのか私は知らないが》と記したが、上の記事によると《ボタンを押すと回転灯が光って警報音が鳴り、ホーム端にある非常報知灯が点滅して運転士に知らせる仕組みになっている》ことが分かった。異常発生を運転関係者に知らせるのに回転灯と非常報知灯の二つの手段があるようだが、具体的にどこがどう違うのかはこれからは分からない。この事故については、乗客がホームの非常ボタンを押したのに電車が発車したという言い分と、車掌の「非常ブレーキを作動させて停車した後にボタンが押された」という発言が対立したので現場検証でも行われたのであろうか、その結論が《回転灯は運転士や車掌から見えにくい位置にあり、非常報知灯はホームに入る前の運転士しか見ることができなかった》ということであったとすれば、これでは危険防止対策になっていないではないか。

そしてまだ分からないことがある。回転灯は光って警報音が鳴るとのことだから、たとえ回転灯が見えにくい位置にあっても、警報音は少なくとも車掌の耳に届くのではなかろうか。それとも警報音の音量が極度に低く、警報としての役割を果たし得なかったのであろうか。一方、非常報知灯はホームの端にあるそうだが、それがホームに入ってくる運転士の目にしか入らないということは、ホームのもう一方の端には設置されていなかったということだろうか。電車が停車中に今回のような異常事態が発生したときに、それを伝える非常報知灯が運転士が視認出来る前方位置に何故設置されていなかったのであろうか。普通の常識があれば今回指摘されたような危険防止対策の不備が起こりうるはずがないと思うだけに、何故このような事態が長い間放置されてきたのか理解しがたい。

それにしてもこういう問題点は、現場で働いているJR舞子駅の駅長(無人駅でないとして)をはじめとして駅員が先ず気付くべきだと思うが、実際はどうだったのだろう。気になるところである。

大掃除なんてしたこともなかった私が・・・

2010-12-29 21:35:36 | Weblog
とにかく日の経つのが早い。今年も余すところ2日のみ。今日は午前中買い物のアッシー君を務めて午後は家のクリーニング、まずはキッチン周りから始める。スチームクリーナー(ケルヒャー1501)の出番である。ところが夕飯の支度を始める頃になっても道半ば、火を使えない。そこは臨機応変で、買ってきたばかりの肉でサーロインステーキの予定が、ローソンのおでんに変わってしまった。そう言えば去年も二日がかりだったが、それを忘れて立てた計画が甘かったのである。残りの仕事は明日の午前中に回すことにした。

私のもう一つの役目は家の外回りのクリーニングで、これにもケルヒャーの高圧洗浄機が活躍する。ガレージをはじめ何カ所かのシャッター、ガラス窓に網戸に外壁と何でもござれである。洗剤は一切使わなくても綺麗になる。ただどうしても落ちにくいシャッターの汚れなどには柄付きたわしを援用する。玄関ポーチ、石段に塀などもあるが、この作業は大晦日にするつもりである。

高圧洗浄機はもともと車の洗浄用に買ったのだが、その目的にはほとんど使っていない。車は日ごろからあまり使わないし、ガレージに入っているので汚れることもないからである。車を買った当時こそワックスがけを二、三回したが後はほったらかし。時々ぞうきんで拭くだけで薄汚れた感じはしないから不精者には有難い。だから本当は高圧洗浄機なんて要らなかったのだけれど、道具ものに目がないものだから飛びついただけなのである。ところが難儀なことに買ったものを使わずに置いておくと(そういうものが結構あるものだから)思いがけないときにお小言が飛んでくるので、そこまでやる必要な無いと思ったが新しい使い道として家の洗浄を始めたのである。

京都で仕事をしていた頃は神戸に帰ってくるのは決まって大晦日の夜で、帰り道に錦市場に寄って頼まれたものがあれば買って帰るのが常であった。だから大掃除なんてしたことは一度もなかった。唯一、靴の底をきれいにして入らないと玄関が汚れるなと気遣ったぐらいである。それなりに仕事に追われていたからで、年賀状を文字通り元旦に書くことが多かった。それがどうしたことであろう、今やかっての仕事とはまったく無縁な3K仕事をあたかも天職のようにてきぱきとこなしていくのだから人間変われば変わるものである。これから先のどのように変わっていくのか、まずは来年の楽しみとしよう。

ぐるっぽユーモア風オペレッタ「チャルダッシュの女王」あれこれ

2010-12-27 18:18:12 | 音楽・美術
今年のぐるっぽユーモア風オペレッタ「チャルダッシュの女王」の公演が年の瀬も押し迫った昨26日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで催された。午後2時に始まり第一幕と二幕の間に15分の休憩を挟んで終わったのが4時半前、あー楽しかったというのが私の第一声であった。これで今年も終わりである。

現役時代、ブダペストで開かれた学会の余興でチャルダッシュの歌と踊りを観たのが何時のことだったか、そのときにカールマン(Emmerich Kalman)の名前を覚え、いくつかのオペレッタを作曲していることを知った。そのうちの一つ、「チャルダッシュの女王」を始めて観たのは10年ほど前で、ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場が大阪フェスティバルホールで「メリー・ウィドウ」と「チャルダッシュの女王」の連続公演をしたときである。連日妻と通い「チャルダッシュの女王」では大団円のエネルギッシュな歌と踊りに酔った観客が大いに囃したてるものだからアンコールに次ぐアンコールで、妻までが「ブラボー」とか大声を上げるのでびっくりした思い出がある。「チャルダッシュの女王」には親しみやすいメロディーがふんだんにあるので身近に感じているものだから、ぐるっぽユーモアでやらないかなと口にしていたら、いつの間にか実現することになったので今回の公演を心待ちにしていた。

チャルダッシュとはいわばジプシー音楽で流れに緩急の激しいのが特徴、それに踊りが加わる。「ぐるっぽユーモア」がそれにどのように立ち向かうかが私の個人的な興味であったが、プロはだしを期待するのは厚かましすぎるというものであった。これからは観劇された方を前提とするが、プロでも踊りが苦手だからと、酒に酔っぱらっては座り込む演技に変えてもらった歌姫シルヴァもいるということだから、出演の皆さん、無理に足を振り上げたりせずに無事に舞台をつとめられたことはご同慶の至りである。そういう目で観たせいか、第一幕は大人しい出出しで女性のスカートの赤い色とブラウスの胸を飾るハンガリー刺繍?がエキゾチックな雰囲気を醸し出すのには効果的だったが、全体の動きがかなり平板的であった。その中にあって目立ったのが小柄な女性の小気味の良い活発な演技で、今はこういう状況なんですよという説明役の働きをしているように感じた。これが一人だからよかったので、もし出演者の半分はよく動くが残りは控えめとなっては、舞台がバラバラになって仕舞ったことだろう。

第二幕になると公爵家大広間の舞台装置にかわり、それだけで立体感がはっきりとした。それに二十名の出演者全員が舞台に揃う場面が多く、合唱がなかなか力強く華やかで盛り上がってきた。二重唱もそれぞれよかったが、公爵と公爵夫人の二重唱「初めて貴方と」が私の心に温かくしみわたった。役柄として歌っている二重唱に、二人の実生活の長い生活体験が結晶しているように感じたからである。ほんとうにいいなぁと思っていたら、妻も同じように感じていたようである。同じことが出演者全員についても言えるのであって、こういう舞台の味わい方に観客を優しく誘うのがぐるっぽユーモアならではの持ち味で、プロには絶対真似の出来ない利点でもあると言えよう。だからこそ今回の超満員となる観客を引き寄せたのだろう。そして出演者一人ひとりにスポットライトを当てるべく、換骨奪胎自在の岡崎脚本・演出のウラを探るのも楽しかった。でも原作のEdwin Ronaldをなぜエドウィン・ピーターにしたのかが分からなかったし、さらには(私の勘違いでなければ)大きく戸惑ったことがあった。

第二幕でスタージが「違った世界に」を歌い始めたときに、あれっ、これはピーター(ことロナルド)の歌ではないかと思った。というのもドミンゴがイザック・パールマンのヴァイオリン伴奏で歌っているこの曲、原題「Weisst du es noch?」を私はよく聴いていたからである。元来はピーターが歌い、シルヴァとの二重唱が続いて終わりの方でシルヴァが一人で歌うことになっている。それなのにシルヴァならぬスタージが始めから一人で歌ったから驚いたのであるが、これも岡崎マジックなのだろう、スタージの見せ場が立派に生きていた。そして第三幕、「Program note」で物語のあらすじが解説されていたが、そこには隠されていた「瞼の母」物語が急浮上して大団円。ちょっとくどいなと思ったが、カーテンコールに拍手を送っている間は忘れていた。

ところで舞台展開が丁寧に説明されていたのでそのついでに、各場面で演じられる音楽のタイトルを原語で表記できないものだろうか。出来たら次の機会からお願いしたいものである。今や有難いことに原題さえ分かればYouTubeで検索してほとんどの曲に辿り着けるご時世だからである。ぐるっぽユーモアの公演が終わったら、西北のあたりにはYouTubeで耳を肥やし、公演に出てきた歌を思い思いに口ずさみながら行き交う人が増えてきたなんて、想像するだけでも楽しいではないか。私はさっそく「Weisst du es noch?」を口にしながら劇場を後にした。


研究者がブロガーの標的になったときは・・・

2010-12-25 21:06:15 | 学問・教育・研究
昨日の朝日新聞朝刊に今年の科学10大ニュースが出ていた。科学関係の報道に携わる朝日新聞記者が投票で選んだとのことで、第1位が「はやぶさの帰還」で第2位が「日本人2人のノーベル化学賞受賞」であったが、私の目を引いたのは第8位「ヒ素食べる細菌、常識を覆す」であった。というのも「異論も相次ぐ」と但し書きにもあるように、この「発見」に対して多くの疑義が湧き起こっているのが現状だからである。ことの起こりは次のニュースであった。

ヒ素食べる細菌、NASAなど発見 生物の「常識」覆す

 猛毒のヒ素を「食べる」細菌を、米航空宇宙局(NASA)などの研究グループが見つけた。生物が生命を維持して増えるために、炭素や水素、窒素、酸素、リン、硫黄の「6元素」が欠かせないが、この細菌はリンの代わりにヒ素をDNAの中に取り込んでいた。これまでの「生物学の常識」を覆す発見といえそうだ。

 今回の発見では、NASAが記者会見「宇宙生物学上の発見」を設定したため、「地球外生命体発見か」と、CNNなど国内外の主要メディアがニュースやワイドショーで取り上げるなど「宇宙人騒動」が起きていた。(後略)
(asahio.com 2010年12月3日5時1分)

私のこのニュースに対する反応はどちらかといえば醒めたもので「ほんまかな?」であった。確かにDNAの骨格にあるリンにヒ素が入れ替わって、それが代々複製を繰り返して細胞が増殖していくのが本当であればこれは大ごとである。それだけにどれだけの実験的根拠があるのかがまず気になったのである。

Felisa Wolfe-Simonらによる件の論文は「F. Wolfe-Simon, J. Switzer Blum, T.R. Kulp, G.W. Gordon, S.E. Hoeft, J. Pett-Ridge, J.F. Stolz, S.M. Webb, P.K. Weber, P.C.W. Davies, A.D. Anbar and R.S. Oremland (2010). A bacterium that can grow by using arsenic instead of phosphorus. Science. in press.」としてダウンロードすれば今のところ誰でも見ることが出来る。またこの論文の要点はScience誌のニュース、「What Poison? Bacterium Uses Arsenic To Build DNA and Other Molecules」に見ることが出来る。私が要点を一つに絞るとすれば「DNA骨格のリン(P)がヒ素(As)に入れ換わった」ということに尽きる。ところが「置換」について誰もが納得する実験的証拠が欠けていたこともあって多くの論議を呼ぶことになった。では何が実験的証拠となるかと言えば、私はこの方面には疎いので意見を引用するだけであるが、Nature Newsには次のようなコメントがある。

The big problem, however, is that the authors have shown that the organism takes up arsenic, but they "haven't unambiguously identified any arsenic-containing organic compounds", says Roger Summons, a biogeochemist at the Massachusetts Institute of Technology in Cambridge. "And it's not difficult to do," he adds, noting that the team could have directly confirmed or disproved the presence of arsenic in the DNA or RNA using targeted mass spectrometry.

ところが著者らのとった方法は私にとって昔懐かしいExtended X-ray absorption fine structure (EXAFS) spectroscopyで、私の実験材料でもあった金属酵素の金属イオンと配位子との距離を決めるのに使われた手段である。Arsenic Bacteria Breed Backlashの記述である。

To learn more about arsenic's chemical environment, the team performed X-ray studies. Extended X-ray absorption fine structure (EXAFS) spectroscopy, one technique the team used, can reveal arsenic's oxidation state and average distances of any bonds it's making, explains Keith O. Hodgson at Stanford University, an expert on X-ray techniques. In its report, the team "looks at the average distances, they make comparisons, and they conclude that it's a reasonable assumption that arsenic could be part of a DNA backbone," Hodgson says. However, "there's no direct proof in the X-ray absorption data that the arsenic is a part of the DNA backbone."

そしてこのように続く。

The team "has not conclusively proven, in my view, that arsenic has been incorporated into DNA," Hodgson says. It'll take studies on isolated molecules with techniques such as X-ray crystallography or NMR to unambiguously prove that, he says.

いろんな論議が交わされているとしても、ここに示されているように構造決定を行えば答えは自然と出てくる。問題の科学論文の筆頭著者Wolfe-Simonがそのイニシアチブを取れば良いだけのことである。

科学そのものの問題はこれで解決と思うが、多くの科学者にとって意外だったのがこのScience論文に対しての批判的な意見がブログを通じて燎原の火の如く広がったことであろう。問題の広がりの時間的経緯はArsenic bacteria - a post-mortem, a review, and some navel-gazingに要領よくまとめられているが、Arsenic-eating microbe may redefine chemistry of lifeでは多の研究者の指摘する問題点も含めてScience論文を紹介したNatureが、一週間後にMicrobe gets toxic response Researchers question the science behind last week's revelation of arsenic-based life.で、その批判的な意見を紹介している。

ブログによる批判の口火を切ったのがUniversity of British Columbia in Vancouverの微生物学者Rosie Redfieldで、彼女によるとほんの限られた研究者の目にとまればと書いたブログ記事が、公表して一週間もしない間に3万回以上のヒットがあったというから、科学的論議にしてはなかなか面白い展開である。ブログという気安さからであろうか、感情の吐露が素直であり、また直截的な表現が目立つのでジャーナル記事とは違った味わいがある。

Wolfe-Simonは疑問を提出したブロガーに対して、当初は査読制度をとるジャーナルの上で論争することを望んだが、いくつかの疑問に対してはResponse to Questions Concerning the Science Articleで論文に記載されていない情報をも使って答えると、それに対してさらにComments on Dr. Wolfe-Simon's Responseでコメントが寄せられるなど応酬が続いている。Science誌は寄せられたコメントとそれへの返答を査読のうえ今後の号に載せるそうである。そしてこのような応酬がThe Washington Postのような新聞でもAuthors of arsenic-based life study respond to Web critiquesと紹介されるまでになった。この新聞記事ではFelisa Wolfe-SimonがScience論文の要点を講演しているビデオを見ることが出来るが、なんだか口説かれているような気分になるところが妙である。Los Angeles Timesもつい最近のSomething's amiss with aliens and arsenicで今回のNASAの発表とScience論文にまつわる数々の問題点を要領よく紹介している。ここまで出来る新聞が日本にあるようには思えないのが残念である。

今回の問題はこの論文が公表されるのに先立ってNASAが記者会見を開き一般に公開したことが、査読制度をとるジャーナルによらないブログなどを介しての活発な議論を引き起こしたように感じる。日本の研究者にもいずれ押し寄せてくる潮流ではなかろうか。もし自分の論文が槍玉に挙げられたときに、もちろん一切の批判を無視するのも手である。しかし神ならぬ身ゆえ自分の気付かなかったミスを指摘される可能性が皆無でないと思えば、頭をかっかとさせながらもこれらのコメントに目を通さざるをえない気持ちになることだろう。無視出来るものは無視し、明らかに問題点を指摘されたと自分で判断出来れば、その批判には実験をもって応えるのが最善の選択であろう。それにしても忙しない世の中になってきたものである。ブログで叩かれTwitterで囁かれっぱなしではたまったものでない。それを切り抜ける強靱な精神を宿すために、若者よ、身体を鍛えておけ!




JR舞子駅での人身事故 新聞もつぶやくだけ?

2010-12-23 17:48:11 | Weblog
JR舞子駅での人身事故 大声をだせなかったのかで取り上げた人身事故が発生したのは12月17日の午後10時前であった。新聞記事だけではその時の状況がはっきり分からないので、何故ホームに居た乗客が一人でも大声で危険を知らせなかったのだろう、と感じたままのことを記事にしたのであるが、19日から三日連続でこの記事へのアクセスがトップページをも大きく上回った。GoogleでもYahooでも「舞子駅 人身事故」の検索でこの記事がトップ近くに出てきたせいなのかも知れない。私もこの事故の状況を詳しく知りたいと思いGoogleニュースを調べたが、下の検索結果が示すように目新しい報道はない。二番目の「テレビ朝日」は登録の日付こそ20日になっているが、内容は18日に放映されたものである。


被害者について、asahi.comは《ホームにいた女性が停車中の快速電車の連結部分から線路に転落。その後、電車が発車し、異常に気付いて車掌が約10メートル先で停車させたが、女性は死亡したという》のように《線路に転落》と報じたが、NHK、産経ニュース、読売新聞、時事通信なども《線路に転落》とこれに与している。ところが共同通信は垂水署への取材として《女性がホームと車両の間に頭を挟まれた状態で電車が進んでいた》と報じており、線路への転落とは明らかに状況が異なる。共同通信から配信を受けたのだろうか日刊スポーツも同じ内容である。微妙なのが毎日新聞で《ホームから車両間の連結部分に転落》というから、線路上に転落とは受け取りにくく、どちらかと言えば共同通信の線に沿っている。いずれにせよ線路上に落下していたのか途中で止まっていたのか、私には判断のしようがない。何故このようなことにこだわるのかといえば、もし頭がホームと車両の間に挟まれただけなら、簡単に引きずり出せるように思えるからである。

また毎日新聞はこの被害女性が《友人の女性(28)と同県加古川市で飲食し、事故当時は酔っていたらしい》と報じており、日経も《女性2人は同県加古川市で飲酒し、帰宅する途中》と伝えている。私が最初に見たasahi.comでは女性が飲酒したとか酩酊状態であったとかの報道は皆無であった。未だに真偽の確かめようはないが、女性が酩酊状態にあったとすれば、この人身事故に対する世間の見方が大きく変わってくるかもしれない。といって、車掌が何も気付かなかったとはこれまた信じがたい。それほど車掌の行動が不審なのである。

報道では、またGoogle Earthで確かめても、垂水駅のプラットホームは直線で見通しは悪くなさそうである。車掌は発車の合図をする前に全車両を見渡して異常の有無をちゃんと確認したのだろうか。人が線路に落ちたか落ちかけたのである。現にそれに気付いた乗客が居たということだから、声を上げるとか手を振るとか注意を喚起する行動を起こしたであろう。ふだんとは異なる乗客の動きを目にすれば、車掌として訓練を受けているからには反射的な行動を取るのではなかろうか。時刻に遅れないようにという思いに駆られて安全確認には上の空だったのだろうか。

被害女性がどのように線路に落ちたのか落ちかけたのか、また車掌がどのような状況判断で発車のシグナルを出したのか、肝心要の情報が伝わってこない。同じような思いの人が新しい情報でもあれば、と私のサイトを訪れてくださったのかも知れないが、分からないのは私も同じである。それなのに早くも報道が尻すぼまりになってしまった。Twitterではないが何かをつぶやいてお終いでは報道の名に値しない。「取材をして裏付けを取り、事実を報道することが、報道の原則である」(Wikipedia)だそうであるが、この定義が何とも空しく感じるではないか。



本日開店 MARUZEN & ジュンク堂書店 梅田店へお出かけ

2010-12-22 22:23:48 | 読書
朝刊に「丸善・ジュンク堂 梅田に共同出店」の記事が出ていた。22日の今日、大阪・梅田に売り場面積が日本最大となる書店を開業するというのである。そしてページをめくっていると「本日午前10時 OPEN」を告げる全面広告が現れた。「在庫数200万冊という品ぞろえは、これ以上広ければ陳列する本がないという規模の売り場面積です。日本中の出版社に出品を依頼して、この店に置いていなければ出版社にも在庫がないという品ぞろえを目指しました」そうである。その上、「洋書についても専門書2万冊、一般書5万冊という幅広い品ぞろえです。提携している丸善の永い歴史と経験をいかし豊富な知恵と経験を借りながら選書・店創りにのぞみました」とあっては、何はさておいても駆けつけなければならない、とばかり午前中に家を出た。

地図で予め見当をつけていたので、阪急梅田駅の茶屋町口から外に出て東のように向かう。それらしきビルは目に入らないけれど、書店のものらしい紙袋を提げた人と行き違ったのでさらに先に進むと書店の入り口が目に入ってきた。


「MARUZEN & JUNKUDO」とMARUZENが先に出てくる。丸善のほうが遙かに老舗だからなんだろうか。入り口で貰ったB1から7Fまでの「フロア案内」が良くできていて、たとえば2Fの文庫・新書・文藝のフロアで、何々文庫がどの書棚にあるかが分かりやすい。


1Fは雑誌、新刊・話題書のフロアで、新聞広告などに出ていた本をすぐに見つけ出せそうである。スペースがあるせいであろう、書棚に単行本と、もし出ておれば文庫本も一緒に置かれているのが便利に思えた。下の写真は村上春樹のコーナーであるが、わざわざ文庫本を探しにいかなくてもここで用が足せるのが有難い。ただ上から二段目の「ノルウエイの森」の単行本のように、表紙をこちらに向けていると分かりやすくて良いのだが、本を何冊も棚の際まで並べているものだから、ちょっと手が触れただけで下に落ちたりする。本が沢山あるのは分かっているから、棚からはみ出るように並べるのは止めてほしいものである。ミスであれ本を落とした当人は気まずい思いをする。経験者が語ることだから間違いはない。


5Fの芸術のフロアでは楽譜が充実しているのに感心した。輸入楽譜はいざ知らず、一般の愛好者には十分な品ぞろえである。すくなくとも国内で出版された楽譜に関する限り、ここに来れば間に合うのではなかろうか。それに嬉しかったのが6Fの洋書コーナーである。一昔前、東京・日本橋の丸善での品揃えを思い出した。Amazonもよいがやはり実物を手にとって中身に目を通す感覚は格別である。いろんなシリーズのCLASSICSも豊富で、Cloth-boundのEveryman’s Libraryが揃っているのには郷愁を覚えた。科学書もかっての京都河原町丸善を上回るような規模で揃えられており、「専門書2万冊」を豪語するだけのことはあるように感じた。もっとも私が手を出すことはなさそうである。

出版社がマイナーなせいであろうか、これまで店頭で見かけなかったが面白そうな本を数冊購入したが、そのうちの一冊が小俣和一郎著「精神医学の歴史」(第三文明社 レグルス文庫 252)で、出版は2005年6月15日である。このような本は本棚で見ない限りまず網には引っかかってこない。その意味で200万冊常備書店は貴重な発見の場になりそうで、梅田通いが増えそうである。一方、意外なことがあった。出版されたばかりの平凡社・東洋文庫の「訓民正音」を東洋文庫の棚で探したが見当たらない。係員に尋ねたところ調べてくれたが、開店準備に取り紛れてまだ入荷していないとのことであった(Amazonでは2730円で購入可能)。少々広告の揚げ足取りをしてしまったが、レジで精算すると全部で1万円を少し上回った。以前ジュンク堂で1万円以上の買い物をすればに書いたように店員が青色の布製バッグを取り出し本を入れようとしたが、うまく収まらないので紙袋に詰め直し、律儀にも布製バッグを添えたくれた。帰って出してみたら布製バッグにもすでに「MARUZEN & ジュンク堂書店」のロゴが入っていた。神戸のジュンク堂ではこれ以外にドリンク券をくれるがそれはなく、代わりに?オープン記念とかで出口でレシートを見せたらチーズケーキを三つくれた。


店を出て時計を見て驚いた。すでに3時を回っている。この時間まで食事をせずにまたどこかに腰を下ろすことなく3時間以上店の中を動き回っていたのである。いつもなら行動開始まえに腹ごしらえをするのが私の習いであるのに、食べ物のことが私の頭から消えていたのである。純情可憐な学生時代に戻ったような気分になり、目に飛び込んできた「マクドナルド」の店に入った。



NEC AtermWM3500Rのサインアップも終わってみれば・・・

2010-12-20 17:21:23 | Weblog
朝10時10分頃「YAMADA Air Mobile WiMAXお客さまサポートセンター」に電話をしたところ、なんと一発で繋がった。それから30分ほど、感じの良い女性担当者とやり取りしながらPCにUSBでルーターを接続して数々の操作を行い、さらには二台目のPCにも接続してテストを繰り返した。結果は昨日と同じで、WiMAXのポータルサイトの読み込み中に接続がタイムアウトして先に進まない。結論としてルーター本体の初期不良という可能性が浮かび上がった。そこで担当者はルーター本体を購入店に持参して、動作確認をして貰ってくれと言う。その結果で製品の交換もありうるとのことであった。「つなぎかたガイド」に従って操作したところ、「Step2 WiMAXサービス加入契約をしよう」のところで、このルーターがガイドに記載されたようには動作しないことがあった。ガイドには「接続処理中の画面が表示され、WiMAXランプが緑点滅に変わる」とあるが、実際にはPOWERランプがゆっくりした間隔で緑点滅するだけで、WiMAXランプは消えたままであった。だから初期不良と言われると、さもありなんと素直に思ったのである。

購入店にWM3500Rを持参したところ、問い合わせの電話を聞いてくれた当人でかつ昨日の販売員が受け付けてくれたので話が通じやすく、サポートセンターでそう言われたのなら製品を交換しますと応じてくれた。しかしそれでは私の方が素直にウンとは言えない。製品を交換して貰ってまた同じようなトラブルに見舞われないとも限らないからである。私自身疑問に思ったことを納得したかったので、何はともあれ動作確認をしてほしいと要求した。もしかするとサインアップまで行けるかも知れないからである。そこで売り場のPCを使って動作確認という名目のサインアップ操作を試みた。すると、WiMAXのポータルサイトの読み込みも無事に終了したので、依然としてWiMAXランプが点灯しないという不都合はあったが、それならと画面の案内に従ってサインアップの完了まで一気に突っ走って貰ったのである。いったんWM3500Rの電源を切り再起動すると、これまでは赤点滅を繰り返していたWiMAXランプが緑点灯してサインアップ(サービス加入契約)の完了したことが確認出来たし、WiMAXを介してiPhoneのWi-Fi接続を行うことが出来た。目出度しめでたしである。

なぜ私の家のPCでサインアップが出来ず、ヤマダ電機の店頭のPCで上手く行ったのかは分からない。私はサインアップという目的が達成されたからそれで十分なので、あえてトラブルの原因を探ろうとはしなかった。「サインアップを行うときは、WiMAX通信サービスエリア内で電波が届いていることを確認してから行ってください。アンテナランプが緑3点灯(強レベル)でのサインアップをお勧めします」とガイドにあったが、わが家でもヤマダ電機でも緑2点灯であった。またWM3500Rのファームウエアは、すでに現時点で最新の1.02になっていた。おそらくもう3年も使っている私のPCのいろんな「よごれ」が邪魔をしていたのではなかろうか。

それにしても昨日店に電話をしたときはサインアップ・サービスが5300円からと言われたのである。サービスセンターに電話したときにその旨を話して、一体どうなっているのかと質したところ、有料とは考えられないがとの返事が戻ってきた。今朝、店頭ではその話も持ち出して、いくらなんでも5300円は高い、それはないでしょう、と話を「動作確認」に持っていき、結果的には無料でサインアップ・サービスをして貰ったのである。

購入者と店とのいろんな手間暇を考えると、最初から店頭で有料サインアップ・サービスを売り物にした方がよいのではないかと思う。ヤマダ電機の販売員さんは意欲的な若い男性で、私の話を素直に聞いた上、私が要求した「動作確認」にも積極的に取り組んでくれた姿勢がとても印象的であった。もう一人現場の店員さんと私を含めて三人の共同作業でどうすればサインアップが出来るかを自ら体験出来たのである。その後は店頭で同じ作業を繰り返すだけでよいのであるから、15分もあれば作業は完了するはずである(今日はいろいろと手間取ったので小一時間かかった)。これならサインアップ料金として1000円も取れば店として損をすることはないだろうし、購入者にとってもメリットが大きい言える。

これでiPadを外出先でもネットに接続できるようになった。もちろん「iTranslate for iPad」を使って朝鮮語の作文に翻訳、なんでもござれである。明日の朝鮮語教室が楽しみなこと。

追記(12月21日)
なんと教室内ではWiMAXランプが一切点灯しなかった。電波が届いていない、すなわちここでは使えないのである。楽しみが露と消えた。Alas!


NEC AtermWM3500Rのサインアップに泣く

2010-12-19 20:27:39 | Weblog
朝鮮語の勉強にiPadを愛用しているが最近凄いアプリを見つけた。「iTranslate for iPad」である。50カ国語以上の言葉をお互いに翻訳し合うソフトで、言語によっては読み上げもしてくれる。たとえば日本語の文章を朝鮮語に変換すると、それぞれの文章を日本語、朝鮮語で読み上げてくれる。この素晴らしいアプリが無料であるのに驚くが、350円払うと広告を削除出来るので私はこちらを選んだ。次がその一画面である。


この日本語から朝鮮語への翻訳は私が判断する限り正しい。そしてそれぞれの画面にスピーカーが表示されているのは、この文章を読み上げてくれるというサインなのである。その発音機能もまた素晴らしい。私の耳にはネイティヴ・スピーカーのように聞こえる。究極の作文・翻訳機械には至らないとしても、カンニング・マシンとしては十分に役立つように思える。これを朝鮮語の教室に持ち込めばどんな作文でもお茶の子さいさい、その上、発音まで教えてくれる。よし、来週から教室に持ち込んでやろうと思ったが、問題のあることに気がついた。私のiPadはWi-Fiタイプなので、無線LANが使える家の中ならともかく、外出するとネットに接続出来ないからこのアプリも教室では使えないのである。そこで目をつけたのがWiMAXである。いくつかのプランの中に2段階定額プランの「UQ Step」では基本使用料380円/月で9050パケットの定額無料パケット数が含まれており、上限額は4980円/月である。私は週に一度朝鮮語教室で使うことしか考えていないのでこのプランで十分であろうと思い、ルーターとして最大連続8時間稼働が魅力的だったのでNECのAtermWM3500Rを選ぶことにした。これだとルーターの通常価格19800円が9850円になる。ネットから申し込むのもよいが、ヤマダ電機だと車で15分もかからないところにあるので直接店舗で申し込むことにした。

ヤマダ電機は確かにUQ WiMAXを取り扱っているので即、加入を決めた。すると「YAMADA Air Mobile WiMAX」への申し込みをさせられたが、なんと本体価格が12450円で、UQ WiMAXへ直接申し込むよりも高くなっている。ヤマダ電機が取り扱えばこの値段で、もし他のプランを選べば本体価格はUQ WiMAXよりもかなり安くなるという。なんだか狐につままれたようではあったが、せっかく出向いたことでもあり、来週の火曜日までには間に合わせたかったので、この値段で購入した。

家に帰りさっそくWM3500Rのサインアップに取りかかった。ルーターをUSBでPCに接続して、WM3500Rのサーバーに登録する手続きを始めた。ところが何回繰り返してもサインアップができない。そこでヤマダ電機の「お客さまサポートセンター」に電話をしたが、混んでいるということで未だに電話が繋がらない。ブログを見るとWM3500Rのサインアップがことごとく失敗orzのような記事が目につく。そして「WM3500Rのオンラインサインアップにはかなり泣かされた。
結局、購入したのとは別の新品に取り替えてもらって、店舗側でオンラインサインアップをやってもらう。という事に(^ ^;」という記事を見たものだから購入した店舗に電話して、店舗でサインアップ・サービスをやって貰えるかと尋ねたところ、持ってきて二三日あずけて貰ったら出来るが、専門家にやって貰うので費用がかかります、との返事が返ってきた。その費用は、とおそるおそる尋ねると5300円から、という。

という訳で未だに悪戦苦闘を続けている。それにしてもこんなに手こずったセットアップは、私の半世紀以上にわたるコンピュータ人生でも珍しい。これから手を出そうとされる方、ご用心ご用心!!

JR舞子駅での人身事故 大声をだせなかったのか

2010-12-18 20:23:39 | Weblog
昨夜JR舞子駅で人身事故があった。次はasahi.comの記事である。

ホームから連結部に転落、発車…2女性死傷 JR舞子駅

 17日午後9時50分ごろ、神戸市垂水区東舞子町のJR神戸線舞子駅で「若い女性が上り線ホームから線路に落ちた」と119番通報があった。神戸市消防局と兵庫県警によると、ホームにいた女性が停車中の快速電車の連結部分から線路に転落。その後、電車が発車し、異常に気付いて車掌が約10メートル先で停車させたが、女性は死亡したという。県警は業務上過失致死傷の疑いもあると見て、詳しい状況を調べている。

 垂水署によると、死亡したのは神戸市西区の女性(32)。一緒にいた兵庫県明石市の女性(28)も、落ちた女性を助けようとして足に軽傷を負った。

 同署によると、事故があったのは姫路発米原行きの快速電車(12両編成)。電車が舞子駅に停車後、女性2人が電車からホームに降りて歩いていたところ、1人が4~5両目付近の連結部分からホーム下に転落。もう1人の女性が助けようと線路に降りようとして他の乗客に制止されているうちに、電車が発車したという。このため、ホームにいた別の乗客らが電車の乗務員に合図をするとともに、非常ボタンを押して停車させた。女性には電車に巻き込まれた形跡があるという。女性がバランスを崩して線路上に落ちる様子を目撃した乗客もいるという。駅員によると、当時は30人ほどの乗客がホームにいたという。 (後略)
(2010年12月18日3時7分)

そして続報があった。

友人「発車前に非常ボタン」 舞子駅事故 JR側は否定

 神戸市垂水区のJR舞子駅で17日夜、神戸市西区の女性(32)が線路に転落し、発車した電車にひかれた事故で、一緒にいた友人の女性(28)が兵庫県警に「乗客がホームの非常ボタンを押したので、発車しないと安心したら電車が動き出した」と説明していることがわかった。一方、車掌はJR西日本に「非常ブレーキを作動させて停車した後にボタンが押された」と説明しているという。(後略)
(2010年12月18日15時31分)

もしかしたら避けられたかも知れない事故だけに犠牲者が痛ましい。しかしこの新聞記事だけではなかなかその時の状況が伝わってこない。プラットフォームにある「非常停止ボタン」を押せばどういうことになるのか私は知らないが、想像するに、少なくともまず警報ベルが鳴るのではなかろうか。もしそれを車掌なり運転士が聞けば直ちに非常ブレーキをかけるとか発車を見合わすとか適切な対応が取れただろうにと思うだけ、その対応の遅れが気になる。

当時30人ほどの乗客がホームに居たそうである。一人でも大声で「人が落ちたぞ-」とか叫べば少なくとも車外に出ているか窓を開けている車掌の耳に届き、電車の発車を止めることが出来たかも知れない。いつの間にかわれわれは文明の機器の恩恵に浴することが当たり前になって、電話口でも囁くような声しか出さないが、非常の時ぐらいは大声で周りに危険を知らせる反射的行動を取れるよう、日ごろから備えておきたいものである。