「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「檜を攻略」 

2006-10-23 09:14:33 | 和歌


 住宅街の一画に「うつろ庵」を構えて久しいが、狭い庭には似つかわしくない「檜」が、三十数年前から鎮座ましましている。

 この檜は建売住宅が売り出された時から、庭木として植えられていて、ご近所の目印でもあり、「うつろ庵」の庭の東南の角でシンボルツリーとしての役目も果たしてきた。当初の下枝は、更に三/四メートルほど下まで伸びて生垣に届いていたが、余りにむさ苦しいので、下枝を払って現在の樹形にした。

 高砂百合のバックには、鬱蒼と枝葉をはって打ってつけだが、樹高が電線を越えているので、台風シーズンには風圧で倒れて、ご近所に迷惑をお掛けせぬかとヒヤヒヤものだ。植木職人に依頼しても、余りの高さに尻込みして、剪定を請け負って貰えない。堪りかねて数年毎に自ら木に攀じ登り、安全帯で身を守って剪定をする仕儀と相成った。 





 今年も何とか攻略出来たが、この先、一体どうなるのだろうか。通りかかったプロは「脱帽です」と褒めるが、慣れぬ木登りで、体中の筋肉が悲鳴をあげている。






             見上げればさしたる高さに思わねど 

             よじ登り来て流るる冷汗



             枝つかみ身を確保して見下ろせば
 
             見上げる妻の姿は小さき



             事終えて檜を見上げる樹の下に
 
             深く吸うかも枝葉の香りを