胃の全摘出など開腹手術の予後では、腸閉塞を併発するケースが多いようだが、虚庵居士もご多聞に漏れずに体験してしまった。
入院中に詠んだ戯歌「断崖絶壁のジャングルと空を舞うトンビ君」を掲載してから、あっという間に一ヶ月余が経過した。自宅の珊瑚樹の生垣には実房が、主の退院を待ち侘びていたかのような風情で、見事な血赤珊瑚ぶりを誇っていた。
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しかしながら、この一ヶ月の間にあろうことか虚庵居士は、体力の衰えと共に抗菌力が減退して肺炎を併発し、短期の入退院を二回も繰り返してしまった。こんな虚庵居士にあきれ果てたのであろうか、血赤珊瑚は瞬く間に変身し、枝には新芽を伸ばして何時もの逞しさを発揮し始めた。
入退院 繰り返す間に生垣の
実房は真似るや主の姿を
生垣の血赤珊瑚は黒ずみて
あわれ萎びる実房を惜しみぬ
惜しみつつ姿を変えにし実房をば
袋に収めぬ妹子に頼みて
留守すれば珊瑚樹の生垣 枝のびて
主の手入れを待ちにけらしも