「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「満開の蘇芳梅」

2015-02-28 04:05:07 | 和歌

 「うつろ庵の紅梅」とのタイトルで、蘇芳梅の開花をご紹介してから2週間ほどを経て、今や「満開の蘇芳梅」に変身した。

 

 殆どの梢にはまだ蕾が残っているので、梢まで咲き昇るにはまだ半月ほどの日時がかかることであろう。蘇芳梅は咲き初めから、ほぼ一ヶ月もの間、タップリと花を愉しませてくれる優れものだ。
暖かくなってから開花する桜は、開花すればアッと云う間に満開を迎え、4・5日で舞い散る儚さとは雲泥の差だ。

 梅も桜も、それぞれの花のもつ風情と、またその愉しみ方にも好みがあるので優劣を論じるつもりはないが、開花時期の違いによってこれ程の開花日数の差があるのは、愕きだ。

 孫娘の璃華ちゃんは昨秋に、蘇芳梅の樹の下に虚庵じじと一緒に簡単なベンチを作って、「りかのハウス」と書いた暖簾も掲げてある。 「蘇芳梅を観にいらっしゃい」と誘ってあげねばなるまい。

  

           伸びて立つ梢こずえに咲き昇る

           蘇芳の梅花と飽かず語りぬ


           半月を越えて語りぬ蘇芳梅と

           朝な夕なに庭に降り立ち


           彼方から色鮮やかな蘇芳梅の

           花咲く庵を眺めつつ帰りぬ


           玄関の扉を開けるその前に

           暫し見上げて梅花に 「ただいま」


           孫娘の 「りかのハウス」のベンチに坐して

           蘇芳の梅花を共に観あげむ




     (お詫び) 写真のみで暫し放置し、お見苦しい庵をお目にかけて
           恥じ入るばかりです。日に百余通のメールに追われ、
           管理の目が行き届かず失礼しました。

           

「真冬に満開」

2015-02-24 12:09:17 | 和歌

  「真冬に満開」を迎える草花は極めて珍しいが、オキザリス・バーシカラーは将に
冬の真っただ中に満開を迎えていた。

 

 オキザリスの園芸種の一つであろうが、鉢植えや庭の片隅に植えられて、紅白の捩じれ模様が何とも可愛いではないか。紅白の捩じれ模様を除けば、花そのものの姿形は普通のオキザリスに良く似ている。

 オキザリスの葉はクローバーによく似て嫋やかだが、オキザリス・バーシカラーの葉のサイズはごく小さく、量も極端に少ない。逆に花の数は鉢に溢れるほどで、園芸種として品種改良を重ねた結果であろうか。

 草木の生命は、根から吸い上げた水分と養分、それに肝心なのは緑葉が受けた
太陽光による「光合成」のエネルギーが、植物には欠かせない。オキザリス・バーシカラーを観れば、余りにも緑葉の量が少ないので、是だけの数の花を咲かせるのに十分な、光合成エネルギーの供給が不足せぬかと心配だ。

 ご覧の通り極めて少量の緑葉と、斯くも沢山の花を咲かせている現実は、生命のバランが取れている何よりの証しゆえ、虚庵居士の心配は単なる杞憂に過ぎないことを思い知らされた。それにしてもオキザリス・バーシカラーの花を咲かせる、逞しいエネルギーには脱帽だ。
 

           襟立てて歩み来たればオキザリス

           バーシカラーは満開なるかな


           厳寒の真冬なれども斯くばかり

           数多の花に愕かれぬる


           オキザリス・バーシカラーの逞しき

           命のみなもと何に依るらむ


           緑葉の光合成エネルギーは

           葉の量少なく僅かならむに


           紅白の花びら捩じれ独特の

           花の模様に見惚れぬるかも






「アロエの苑」

2015-02-21 13:24:21 | 和歌

 市街地の一画で、入り組んだ細い路地を辿ったら、建造物が撤去された後の空き地にアロエが蔓延り、見事に花を咲かせていた。花が極めて乏しい冬のこの時節に、「アロエの苑」とでもいった感じで、目を愉しませて貰った。

 

  例年だと温暖な横須賀だが、今年の冬は殊のほか厳しい寒気が襲った。
「うつろ庵」のご近所では、「金のなる木」の肉厚の葉や、アロエの花の凍傷が目立つが、ここのアロエの花だけが、凍傷にも見舞われずに健全なのは何故だろうか。

 周りの建物に囲まれた空き地では、寒風が吹き抜けない環境だからであろうか。
ここの空き地の日溜りの温室効果が、アロエを護っているのに違いあるまい。

 


           入り組んだ路地裏辿り巡るかな

           木枯し避ける冬の散歩は


           路地奥の空き地は周りを建物に

           囲まれ其処は「アロエの苑」かな


           背伸びするアロエの花茎それぞれに

           花の冠 競う苑かな


           街中のアロエの花は凍傷に

           打ち拉がれるに此処だけ何故に


           数多なる花咲き花散り更になお

           莟のかずかずアロエの花はも






「小鳥たちの勲章」

2015-02-16 15:30:55 | 和歌

 「うつろ庵」の庭先の石畳に、藪椿の花が落ちていた。
真冬の庭は色鮮やかな草花は皆無ゆえ、藪椿の落花ではあっても、殊に石畳に
落ちた藪椿の花は類い稀な華やぎで、朝寝坊の虚庵居士は目を瞠った。

 

 薮椿は、小枝を剪定して「鳥カゴ」風に仕立てたことについては、年末に掲載した
「椿二輪」に書いたが、椿は次々と開花するので、目白たちは頻繁に花蜜を求めて
「鳥カゴ椿」に飛来するのだ。

 目白たちは、朝食代わりに花蜜を堪能したのであろう、石畳に落ちていた藪椿の花びらには、小鳥たちが花蜜を吸った際の疵が、痛々しく残されていた。しかし、藪椿の落花にはその疵を嘆く気配が全く感じられなかった。
むしろ、「小鳥たちの勲章」だと誇っているかに見えたのは、虚庵居士の独り善がりであろうか。

 部屋に戻って、「鳥カゴ椿」に目をやれば、もはや目白の番がアクロバットのような姿勢で、花蜜を貪っていた。


           お寝坊の朝の散歩は庭先の

           石畳径 行ったり来たり


           足元に「鳥カゴ椿」の落花かな

           石に花咲く おもろき径かな


           花びらの疵は目白が花蜜を

           吸いたる名残りか 誇らしげに見ゆ


           藪椿の落花は疵を誇るらし

           これ見よがしに 「小鳥の勲章」を  






「厳寒のオキザリス」

2015-02-13 20:45:33 | 和歌

  寒さが頬を刺す公園の片隅に、「オキザリス」が華やかに咲いていた。

 

 クローバーの葉によく似た小さな葉が、真冬にも拘われず鮮やかな緑を誇り、所々に黄色のオキザリスの花が揺れていた。

 オキザリスの葉も花も、極めて嫋やかで、厳寒の季節には堪えられそうもないのだが、公園や街路樹の足元などのチョットした日溜りに、良く見かける野草だ。

 厳寒とは云え横須賀周辺の冬は、気温が零度以下になるのは殆どない気候ゆえ、これだけの元気な姿が保てるのであろうか。それにしても、草木が葉を落しジッと寒さに耐えるなかで、嫋やかな野草のオキザリスが、厳寒に耐えうる逞しさを備えているのには、感服だ。

 日本国内のエネルギー需給の厳しさは、今年の厳寒の厳しさを遥かに凌ぐものがある。3・11以来、原子力発電所が全て運転を停止し、電源供給は専ら火力発電に頼らざるを得ない。 その結果として石油・天然ガス・石炭などの燃料の輸入で、我国は年間3.6兆円もの貿易赤字が続くのが現実だ。

 我が国の経済力・国際社会の中での国力は、眼をおおうばかりの凋落だ。円安などの僥倖による一部企業の増益はあるものの、基本的には日本経済を支えるエネルギー供給の健全な回復こそが、長期的にみた日本の国力の根源だ。

 厳寒の中で、逞しく堪えるオキザリスを観ながら、厳しい国際社会の中で闘いうる我国の国力について、思ひを馳せる虚庵居士であった。

 (お詫び)
 ミスタッチにて、短歌の部分の更新前の原稿を、迂闊にもそのまま掲載して
 失礼しました。お詫びして、更新させて頂きました。

 


           防寒着・襟巻・手袋 身に付けて

           頬刺す寒気に オキザリスと語りぬ


           嫋やかな草葉も黄花もこれ程の

           寒気に耐える オキザリスかな


           草木みな緑葉落してひたすらに

           寒気を凌ぐに 君はなぜ?


           嫋やかな野草が凌ぐ逞しさに

           国の備えを重ねて思ひぬ


           我が国の力の凋落憂いつつ

           厳しき現実 明日を思ひぬ


           国力の源となるエネルギーの

           確保の備えに思ひを凝らしぬ






「一輪の水仙」

2015-02-11 22:01:01 | 和歌

  一輪の水仙が、木陰で清楚に咲いていた。

 

 真冬とはいえ、三浦半島の横須賀周辺では、今を盛りと様々な水仙が咲き誇り、眼を愉しませて貰う毎日だ。日溜りで陽光をたっぷりと浴びて咲き乱れる水仙は、思わず寒さを忘れさせて呉れる。殆どの水仙は、日当たりの良い環境で、沢山の球根が次第に数を増やし、多くの花が競うかの様に咲き乱れるのをよく見かける。

 散歩の途上で、一輪だけが木陰にひっそりと、清楚に咲いている水仙に出合った。
沢山のお仲間と一緒に咲く水仙を見慣れた目には、一輪だけで咲く姿に思わず惹かれ、腰を屈めてカメラに収めた。

 ほんの暫しの間の水仙との対話であったが、淋しさなどは湛えず清楚で凛と咲く姿に、思わず 「頑張れよ!」 と声を掛ける虚庵居士であった。


           寒風に陽ざしを求めて散歩すれば

           水仙群れ咲く日溜嬉しも


           陽を浴びて球根増やす水仙は

           花顏寄せ合い笑みを湛えて


           街路樹の木蔭にひっそり一輪の

           水仙咲くかな清楚な姿に


           腰屈めカメラを向ければ凛として

           独り咲くかな水仙一輪






「うつろ庵の紅梅」

2015-02-08 11:07:52 | 和歌

 「うつろ庵」の蘇芳梅が綻んだ。 紅梅の花の色は、一般的には仄かに紅が色付く程度だが、「うつろ庵」の梅は鮮やかな蘇芳色の花を咲かせてくれる。

 

 紅色の和色お仲間は、ごく薄い桜色から始まり、真朱(まそお)・紅緋(べにひ)・臙脂(えんじ)・茜色(あかねいろ)等など数十種類に及び、蘇芳(すおう)はその中でも色濃い部類だ。

 花木で小粒の花を咲かせる「蘇芳」の花の名前が、色の名前にもなっているが、虚庵居士の色の好みは「蘇芳」の花よりは「蘇芳梅」に軍配をあげたい。
蘇芳梅も虚庵居士も「うつろ庵」の住人同志ゆえ、応援したくなる気分だが、それを措いて、純粋に色調だけでも微妙な違いが有るのだ。

 「蘇芳」の花は小粒で若干肉厚だが、「蘇芳梅」の花びらはごく薄く、陽の光が透かすので、色調がより鮮やかに見えるからであろうか。



           凍てつける如月なれども「うつろ庵」の

           古木の梅が綻び初めにし


           一つ二つ数えるほどの綻びに

           妹子と共に見上げる今朝かな


           蘇芳梅に朝日は何をささやくや

           花の応えは 色鮮やかに


           蘇芳色の花びら囲むは懐に

           大切そうな 金色のしべを






「子持ちカンランの歌舞伎役者」

2015-02-03 12:21:11 | 和歌

 「子持ちカンラン」が大きな葉を拡げ、下には沢山の一口カンランが育っていた。

 

 別名「芽キャベツ」・「姫甘藍」、或いは一口サイズであることから「一口カンラン」とも呼ばれる、ごくポピュラーなお野菜だが、畠で栽培される姿に接するのは何年振りのことだろう。

 キャベツの一種で、葉のつけ根の脇芽が小さく結球するので、適宜大きな葉を切欠いて、結球の育ちを促すのがコツのようだ。大きな葉を下側から次々と欠くので、甘藍の茎はいやが上にも伸び立ち、丸く結んだ「芽キャベツ」がコロコロと並ぶ姿は、見ようによっては至極滑稽だ。

 「芽キャベツ」は程々に成長したものから順次収穫して、何と3~4カ月もの長期に亘って生育・収穫が可能らしい。たっぷりとお楽しみが続くのは、堪らないことだろう。伸び上がった「子持ちカンラン」は、成すがままに放置すれば忽ち傾き倒れるので、菜園の主はご丁寧にも支柱を添えているが、日曜農夫ならではの慈しみが窺えて、微笑ましい。

 たった一株の「子持ちカンラン」であったが、散歩で立ち寄った観客をも愉しませて下さった、優れ者の大役者であった。そんな観方をすれば、大きく広げた葉の姿は、将に腕を拡げ手のひらをパット開いて、「見得を切る」歌舞伎役者の姿に見えるではないか。


           緑葉を大きく開き足元に

           芽キャベツころころ おもろき様かな


           緑葉を下から次々欠き昇り

           あまたの芽キャベツ身籠る茎かな


           姫甘藍・子持ちカンラン・芽キャベツと

           一口カンラン 人気の証しか


           腕拡げ もろ手を開き 頭(かしら)振る

           姿は見得切る 歌舞伎役者ぞ


           散歩にて立ちよる観客 大向こうの

           掛け声宜しき 「子持ち甘藍!」