梅雨の時節でしか逢えない、レインリリーが咲いた。
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洋の東西を違わず、若者の繊細な感性をこの花ほど見事に表している花は、類い稀だ。
小さな傘の中では、乙女の仄かなうなじの香が、言葉以上に思ひを伝えて、心がときめく。ふと目をやれば、彼女の胸のトキメキの色であろうか、色白の肌はごく仄かにも色付いていて、目がくらみ、言葉を失う。
夢から醒めれば、日に日に変化する彼女の表情には驚かされる。
ことほど左様に繊細な花ではあるが、多様な面も持ち合わせているようだ。
アルゼンチン・ブラジル辺りが原産地らしいが、Habranthus Robstusなど、黄色や色濃い赤などと共に花の名前も各種あるのは、それだけ各地で好まれている証しであろう。
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花の後には、逞しくも実を結ぶ。
梅雨が明けて、灼熱の真夏になればその実も乾燥して、やがて実がはじける。中からは、ごく薄い羽が付いた種が風に吹かれて、飛び立って行く。「うつろ庵」のレインリリーもその様にして、風で運ばれて来たものだが、一旦根付くと毎年「梅雨時のランデブー」を忘れぬ律儀な乙女である。
此処まで書いて来て、昨年も「ハブランサス・ロブスタス」とのタイトルで、このブログに掲載したことを思い出した。昨年は乙女の花に相応しからざる思ひを認めたが、いまだにその後遺症が残っているのは、誠に残念だ。
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この花と梅雨の合い間の逢瀬かな
小雨に濡れなむ君を見つめて
さす傘に肩寄せあえば仄かにも
ときめく香はきみがうなじか
目をやれば白妙の肌 色づけば
胸ときめくを 君は聞かずや
傘させば喉かれ言葉も失ひし
梅雨の逢瀬をおもほゆるかも
目覚めれば爺の夢かな儚くも
レインリリーに恋する今日かも