「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「御嶽山の夕陽」

2006-10-10 21:44:19 | 和歌
 
 家内を伴って、信州・蓼科に遊んだ。

 毎年この季節になると、蓼科へ紅葉狩りに出掛けるのが愉しみの一つであるが、宿の予約に合わせて、紅葉の進み具合を宿の主に尋ねたら、
「大分色付いて来ました。山葡萄の葉は今が盛りです」
とのご案内であった。

 気も漫ろに「うつろ庵」を飛び出して、車を大分走らせてから、肝心のカメラを忘れて来たことに気付いた。カメラに収めると、何時でも後から振り返れるので安心だが、カメラが無いとなると「心のまなこ」にシカと焼き付ける以外にあるまい。久しぶりの蓼科の山は、紅葉には未だ少し早過ぎたが、所々に見られる鮮やかな紅葉と緑葉の対比が、素晴らしかった。

 夕暮れになって、標高千七百メートルに位置する宿に到着した。折りしも西の窓には、夕陽が射しこんでいた。重なる遥かな山並みを越えて、御嶽山の山の端に紅蓮の夕陽が落ち込むところであった。稀に見る素晴らしい夕映であった。



             紅に燃ゆる夕陽は今まさに
  
             一瞬 煌めき 沈まむとすなり  



             御嶽の山影黒く深まれば 
 
             たなびく浮き雲 輝きわたりぬ  



             あかねさす光を残して沈みける 
 
             夕日の後を眺めつるかな