千両の実が、大分色づいて来た。これから寒波がくれば、更に鮮やかに発色して、年末年始の頃には目を楽しませてくれるに違いあるまい。
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「うつろ庵」の千両は、檜の根元に鉢植えで置いてあったら、底から根を出して何時の間にか根付いてしまったものだ。檜の枝を塒にする鳥達が時々上から汚すが、千両は気にも掛けない態で逞しく華麗に育っている。
念のため図鑑で調べたら、「万両」「千両」の他に、「百両・からたちばな」「十両・やぶこうじ」「一両・ありおどし」などが見つかった。赤い実の付き方はそれぞれ異なるが、百両・十両・一両など、低額になるほど実の数が少ないのは、世知辛い人間社会の現実を連想させて、苦笑いを誘われた。
「うつろ庵」の千両は、正月の床の間を飾る定番であるが、それまでには門被り松の剪定も、年賀状書きも終わらねばなるまい。既に喪中欠礼のご挨拶状が何枚か溜まって、そろそろ気忙しい季節を迎えることになりそうだ。今年の年末には、キャメロン君を初めてを迎える予定だ、その準備もせねばなるまい。
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千両の紅の実の色付きて
無言に告げるや歳の瀬迫るを
既にはや虚庵夫人はあれやこれ
指折り数えて催促始めぬ
そのうちにそのうち為すを繰り返し
歳の瀬やがて駆けて来るらむ