「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ローズマリー」

2006-10-27 20:54:20 | 和歌
 
 密集したローズマリーの枝に、小さな花が咲いて、爽やかな香りを振りまいていた。





 ハーブについては殆ど無知な虚庵居士だが、肉の鮮度を保つ効果があるので、肉料理に良く使われることだけは知っていた。かつて冷蔵庫の無い昔の人々は、食材の保存には殊のほか気を使ったことだろう。そんな時代の欧米では、勝手な想像だが、ローズマリーは巾を利かせたことだろう。現代の文明社会にあっては、肉の鮮度はローズマリーに頼るまでも無かろうが、食文化・香りの文化を担ってきたローズマリーには、人々は様々な思いを託しているようだ。





 何を隠そう、三・四日前の檜の剪定が祟って、あれ以来腰を痛めているが、パソコンに向かいつつ、ローズマリーの芳香を嗅いだら少しは癒されるかと思い立って、十センチ程の小枝を失敬に及んだ。これまでローズマリーは草だとばかり思い込んでいたが、気が咎めつつ小枝を折ったら、何と木だと判明した。

 小枝を五センチほどの小壺に挿して机の上に置き、この文章をしたためつつ、改めて悟った。グラスのコニャックを呷り、痛みを忘れんとすれば、ローズマリーの芳香どころではないことを。






             痛みをば癒す香りのローズマリーに
 
             縋らむとして一枝を手折りぬ



             余りにも腰の痛みの激しくば
 
             ハーブに頼りぬコニャックも呷りぬ



             痛みをば忘れむとして虻蜂を
   
             取らぬ愚かな吾を蔑む