密集したローズマリーの枝に、小さな花が咲いて、爽やかな香りを振りまいていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/76/4c6047c26e6ebc5a89df8181952dc4be.jpg)
ハーブについては殆ど無知な虚庵居士だが、肉の鮮度を保つ効果があるので、肉料理に良く使われることだけは知っていた。かつて冷蔵庫の無い昔の人々は、食材の保存には殊のほか気を使ったことだろう。そんな時代の欧米では、勝手な想像だが、ローズマリーは巾を利かせたことだろう。現代の文明社会にあっては、肉の鮮度はローズマリーに頼るまでも無かろうが、食文化・香りの文化を担ってきたローズマリーには、人々は様々な思いを託しているようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/6f/856f257bf5690e5b0bd79feb01f494f2.jpg)
何を隠そう、三・四日前の檜の剪定が祟って、あれ以来腰を痛めているが、パソコンに向かいつつ、ローズマリーの芳香を嗅いだら少しは癒されるかと思い立って、十センチ程の小枝を失敬に及んだ。これまでローズマリーは草だとばかり思い込んでいたが、気が咎めつつ小枝を折ったら、何と木だと判明した。
小枝を五センチほどの小壺に挿して机の上に置き、この文章をしたためつつ、改めて悟った。グラスのコニャックを呷り、痛みを忘れんとすれば、ローズマリーの芳香どころではないことを。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/79/26dbb6a30841ba410ecac0cfdfd694d6.jpg)
痛みをば癒す香りのローズマリーに
縋らむとして一枝を手折りぬ
余りにも腰の痛みの激しくば
ハーブに頼りぬコニャックも呷りぬ
痛みをば忘れむとして虻蜂を
取らぬ愚かな吾を蔑む