これからの季節はトウガラシの出番が多くなる。毎日のように使うことになる。使うのはおもに粉末になった市販のトウガラシで、姿のままのトウガラシはなかなか出番がない。
トウガラシは毎年作る。作るといっても1株の苗を買ってきて植えつけておくだけだ。それを秋に真っ赤になったところで収穫し、陰干しして保存している。毎年それを繰り返している。
ところが、この収穫したトウガラシが使い切れないで残る。冷蔵庫の野菜室には、過去のトウガラシが眠っている。たまに取り出して使うのだが、古くなったものでも辛さはまったく変わらない。残さないためにも粉末にして一味唐辛子にすればいいのではないかと思うのだが、これができないでいる。年年たまるばかりだ。
トウガラシの辛さは好きだが、辛さに異常に敏感に反応してしまうから困る。外でカレーライスが食べられない。見ただけですぐに汗が出てくる。外でカレーを食べるときは覚悟がいる。絶対にタオルが必要だ。ハンカチでは用をなさない。それくらいだから、外ではカレーは食べないことにしている。
わたしが姿のままのトウガラシを使うのは、スパゲティを作るときだ。ぺぺロンチーノをおもに作るからトウガラシは欠かせない。タネを取って使うのだが、たった1本入れただけなのに、飛び上るほどの辛さを感じるときがある。一本一本辛みが違うのかなと思ってしまう。
辛過ぎるとだめだ。異常に精神が高ぶるのだろうか、いらいらしてくる。我慢できないくらい頭に血がのぼる感じで、いまにも相手かまわず暴力をふるってしまいそうになる。もう耐えられないと食べているものを投げ出したくなる。それもできないから、味なんかそっちのけで一刻も早く食べる。食べ終えるとぐったりしてしまうのである。
ことしもトウガラシを収穫した。すぐに取れ立てのナマでスパゲティを作った。辛みをつよく感じない。やはり程よい辛さが心地いい。