山高の実相寺境内にある神代桜。推定樹齢2000年のエドヒガンザクラで国指定の天然記念物。
観光名所は好きではないが、すごいねと見入ってしまった。パワーが私に向かって押し寄せてくる
2013年3月29日(金)に、日本三大桜の一つ、山高の神代桜を見てきた。満開宣言は前日の28日(木)だった。それ急げとばかりに見に行った。
神代桜は山梨県北杜市の実相寺の境内にある。樹齢2000年といわれるエドヒガンザクラ。樹高10m、幹周12mの日本で最古。2000年ともいわれても想像がつかない。さすがに樹勢は衰えたものの、ごつごつした巨大な塊のような幹には迫力がある。圧倒されるほど大きなパワーが感じ取れる。
山と高山植物なら遠くまで積極的に出かけるのだが、桜を見るに遠出する趣味はない。地元や東京の桜で十分に満足できる。それなのに今春は違った。というのも、かみさんが京都に桜を見物に出かけてしまい、ひとり留守を守るにしてもヒマだから、その気になったのだろう。3月29日からは韮崎駅を起点にサクラの名所を周遊するバスが運行開始した。JRを利用するならこのバスが便利だ。満開の宣言はたちどころに広まったのだろう。平日なのに、いやいや、すごい人出だ。見ごろは、あくまでわたしの見立てだが4月3日ごろまでか。確実なのは北杜市観光協会に問い合わせることだ。
観光名所が嫌いな私がこの桜を気に入った。いまにも朽ち果てそうなぼろぼろの姿から、生きているうちはがんばって咲かせるぞ、という意思をもらった。それにロケーションがいい。山好きにはたまらないだろう。甲斐駒、鳳凰三山、八ケ岳、茅ケ岳・・・。満開の桜の向こうに雪の山がそびえていた。
観桜日 2013年3月29日(金)
天気 曇り時々晴れ
場所 山梨県北杜市
メンバー 単独
コース&タイム
我孫子駅5:13=5:26新松戸5:35=6:32西国分寺6:37=6:42立川6:46=8:38甲府8:53=9:06韮崎(周遊バス)10:08実相寺・神代桜-眞原桜並木-神代桜13:34(周遊バス)=14:12韮崎14:32=17:32高尾17:35=17:30東京駅(エキナカで買い物)=我孫子駅
山梨県は桜の木が多い。中央線が山梨県に入ると、車窓からはサクラ、サクラのオンパレードだ。いまを盛りとばかりに見事に咲いている。このぶんだと神代桜を見る前に食傷気味になってしまう。これでもう十分だなと納得してしまうほどだ。
桜の開花が早いということは、甲府盆地の春を彩る桃の花も早いだろう。山梨市駅から春日居町駅、石和温泉までは、甲府に向かって進行右手に栽培農家が点在する。わたしの好きな風景だ。やはりというか桃の花がすでに咲いていた。この春はわれさきにと咲き競う。走る電車から桃の畑を撮った。だいぶぶれている。
韮崎駅前のバス乗り場3番が「周遊バス」の乗り場だ。目の前のバス案内所でフリーパスを購入。1日乗り降り自由で1000円だ。最初は5人程度が並んでいたが、どこにいたのか見る間に増えて、発車するときは大型バスが満員になった。「みんな、神代桜が満開だっていうのを知っているんだな」としきりに感心してしまう。
最初の桜の名所「わに塚の桜」。推定樹齢300年だという。ここで下車する人も多くいたが、わたしはパスして神代桜に直行。この写真は満員のバスの中から人を押し分けて撮ったもの。まあまあうまく撮れたか。
実相寺に着いた。この境内に神代桜がある。写真では見ているが実際の姿が皆目見当つかない。山を歩いているから木は好きだ。実際に巨樹はよく見る。そして触る。力強さがある。屋久島の縄文杉も、見てはじめてその巨大さに納得した。
実相寺は桜のお寺だった。どこもかしこも桜の花だ。すでに観光客もいっぱいだ。
山門の背後に甲斐駒がそびえる。これだけの景色を見られればそれだけで満足だ。でもでき過ぎだね、この構図は。
甲斐駒から左に視線を移すとこんどは鳳凰三山。目を凝らすと地蔵岳のオベリスクを見ることができる。またまた、いいねえと連発だ。
アップで見る。オベリスクが見える。
いよいよ神代桜のお出ましである。
一周しながらカメラを向ける。北、西、南、東の側から順に眺めることにする。しつこいぐらい撮った。
まずは北側から、こちらはまだ7分咲きだという。逆光で暗い。
少しずつ西側に移動する。
西側から見た姿。
南にすこし移動する。順光になってきた。日当たりがいいのかこちらは満開。
幹の太さがすごい。
しだいに南へ。
こちらが南から見た姿。これが正面の姿になるのだろうか。
少しずつアップしてみよう。
少し 東へ移動。
東から見た姿。
カメラを引くと甲斐駒が。電線が邪魔だが、これまたできすぎの構図か。これでぐるりとひとまわりして眺めた。
こんどは逆回りして再度撮った。見るのにすぐにあきるだろうと思っていたのだが、これがあきない。あきないで見続けている。それだけ引き寄せるなにかがある。見続けている。他人がわたしを見ていたら、あきれるだろう。それくらい見ている。
幹を子細に眺めた。だいぶ傷んでいる。ここまで長く生きていたらそうなる。その生々しい傷跡に妙にひかれた。
こんどは「眞原桜並木」を見に行く。徒歩30分ぐらいだという。歩くのは苦にならない。
西に向かう。正面に甲斐駒を見て歩く。
そして八ケ岳。
途中で向こうから来た人に尋ねた。「まだ蕾で咲いていない」。戻ろうかと思ったが、話のタネにと行ってみることにした。やはりまだ蕾の状態だった。ここが「眞原桜並木」。ずっと奥まで続く長い並木だ。
また、神代桜へ戻ってきた。帰りのバス時刻までにまだ間がある。またあきずに眺める。
幹がいいね。内部爆発したかのような姿。老いて静かなたたずまいといった雰囲気はない。
しかし周囲が若い桜に囲まれているだけに老いが目立つ。若い桜の旺盛さがよくわかる。
よくもまあ見続けたものだ。十分に満足した。桜見物に遠出することなど思いもよらなかった。以前なら、観光なんてと興味がなく気乗りがしなかったのに。ところがこれを書いているいまも、行ってよかったという気持ちでいる。それが気にくわないのだが、それだけ年をとったということか。最近はなんでも年のせいにしてしまうきらいがある。
帰りのバスは乗り切れないほどの満員になった。
最後にそのバスの中からまた「わに塚の桜」をパチリ。