山本一力著 「損料屋喜八郎始末控え」を読みました
田沼バブルのはじけた江戸で米を担保に金を貸す『札差』という職業が、武士(政治)の経済を握っていた。
上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、刀を捨てた喜八郎。
庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつし、与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差たちと渡り合う。
話の背景にあるのは棄捐令(きえんれい)。
棄捐令とは札差に借金のある旗本・御家人らの借金をチャラにするという、いわば武士救済法令である。
もちろん旗本・御家人は喜ぶが、札差にしてみれば冗談じゃないという話になる。
棄捐令が出されると、結果的には札差は旗本・御家人に貸し出しを行わなくなる。
再び棄捐令を出されたらかなわないからだ。
すると、旗本・御家人は困ることになる。
この棄捐令を下敷きにして、
札差たちの陰謀に頭脳戦で戦いを挑んでいくところは、
かなりスリリングで最高に面白い!!
御上(おかみ)まで巻き込んで繰り広げられる、札差同士の知恵比べ。
義理人情話だけの時代劇だと思って読んでたら、足元すくわれます。