約360年ぶりに全面修復された道成寺縁起絵巻
故郷を想う宮子姫(右)と道成寺(左)が描かれた紀道大明神縁起
安珍清姫物語の原書で、江戸時代(1655年)以来362年ぶりに全面修復が施された道成寺=日高川町鐘巻=所蔵の「道成寺縁起絵巻(国の重要文化財)」はじめ、同寺を建立中に命を落とした紀道成(藤原道成)をまつる紀道神社=同町三百瀬=の「紀道大明神縁起」が、10月14日から和歌山市の県立博物館で初公開される。特別展「道成寺と日高川~道成寺縁起と流域の宗教文化~」をテーマに、日高川流域の歴史と文化の魅力を伝える貴重な資料を11月26日まで展示する。
道成寺縁起修理完成記念として開かれる今回の特別展は、道成寺を中心に日高川流域における熊野信仰による歴史をたどりながら、江戸時代以来の全面修復となった「道成寺縁起」の上下巻を初公開するとともに、仏像や関連する日高川流域の縁起などを展示。紀道神社所蔵で江戸時代中頃に記された「紀道大明神縁起絵巻」、下阿田木神社所蔵の「愛徳山熊野権現縁起(書写)」などを展示する。
このうち「道成寺縁起絵巻」は、日本法華経験記や今昔物語からの説話が応永時代(1394年~1428年)に絵巻物となった世に有名な道成寺霊験記の1つ。安珍清姫物語の原書として知られ、同寺では複製を使って、日本で唯一の絵巻による絵解き説法が毎日行われている。寺伝によると後小松天皇が勅筆、絵は土佐光重が描いたといわれる。上下2巻で幅31・5センチ、全長21メートル50センチ。修復の記録がなく、明治時代以降に数回の小修理が行われたとみられるが、古文書によると、1655年に当時の紀州藩主・徳川頼宣が寄進し、本堂の修理とともに絵巻も全面的な解体修理が行われたとある。それ以来約360年ぶりの全面修復された絵巻が初公開される。
その道成寺を建立するきっかけとなった宮子姫(髪長姫)の物語を記した紀道神社所蔵の「紀道大明神縁起」は初の一般公開。同絵巻は幅50センチ、14メートルあり、観音様のご加護で髪が生え、文武天皇の后とった宮子姫(髪長姫)が雨の日に故郷を想って涙を見せることから、道成寺を建立することになる物語が記されており、故郷を想う宮子姫と道成寺や紀道神社の様子も描かれている。紀道成の最初の文字をとって「紀道」と神社名が付き、後の2文字が「道成寺」の名前の由来となっている。
展示期間中、県立近代美術館では道成寺縁起をテーマにした講演会や学芸員による展示解説なども3回ずつ予定されている。入館料は一般820円、大学生510円。高校生以下や65歳以上、障害者は無料。
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