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市教委 御坊祭は財産、貴重な民俗文化  4年の学術調査終え、報告書刊行 〈2022年6月12日〉

2022年06月12日 08時30分00秒 | 記事


祭礼道具を写真入りで詳しく紹介


 御坊市教育委員会は10日、平成30年度から実施していた御坊祭民俗文化財総合調査事業の報告書を刊行した。御坊祭は「地域の財産、貴重な民俗文化」と位置づけ、文化庁や県教育委員会指導のもと、全国から民俗学や郷土史など各分野の専門家12人で調査委員会をつくり、事業期間を当初の2カ年から4カ年に延長し、総合的かつ詳細な学術調査を続け、後世に末永く残せる貴重な報告書を仕上げた。

 御坊祭(小竹八幡神社秋季例祭)は、国記録選択芸能で県無形民俗文化財の戯瓢踊、県無形民俗文化財の御坊下組の雀踊をはじめ、四つ太鼓、獅子舞、奴踊などが行われる日高地方最大の秋祭り。市教委は文化庁事業を活用して平成23年度から28年度にかけて御坊祭及びその奉納踊映像記録作成事業などを行い、映像資料を記録整理し、御坊祭ガイドブックを刊行した。
 調査で多彩な奉納芸能や小竹八幡神社の氏子組織、祭礼様式などが都市型祭礼の様相を示す典型例であることなどが明らかになった。御坊祭の歴史を含めた詳細な文化財調査が不十分だったことから文化庁や県教委の指導で、平成30年度から戯瓢踊の記録作成や御坊祭の歴史や芸能、行事など総合学術調査を始めた。
 全国から民俗学や郷土史、音楽学、歴史学、工芸・刺しゅうの専門家12人が集まり、御坊祭民俗文化財調査委員会(委員長・吉川壽洋県文化財保護審議委員会委員長)を設置。各組や個人で所有する祭礼関係の古文書調査や資料収集▽屋台、四つ太鼓の実測図面作成、構造の特徴▽奴や先奴、乗り子、戯瓢踊、鬼の衣装の形状や素材の特徴、変遷▽祭礼踊りの伝播、狂言囃子物と戯瓢踊、元禄期の歌舞伎踊と奴踊▽獅子舞の囃子、道中囃子▽周辺の祭りでの出し物ごとの分布などの調査、祭礼道具の写真撮影等を行った。
 報告書には御坊祭の変遷や御坊祭の行事、御坊祭の芸能と音楽、御坊祭の祭礼道具、日高地域の祭礼など6章、総論、資料編からなり、総論では「歴史や全国的な事例と比較検討した上で、御坊祭は御旅所への浜下りを基層とし、加えて海路により、多様な芸能や祭礼文化を様々な時代に接取し、それらを組み合わせて独自な祭礼を作り上げていった非常に貴重な民俗文化である」と記している。
 報告書はA4版の402ページ、全ページフルカラー、付録DVD付。300部(非売品)つくり、関係者や県、市町村教育委員会等に配布する。市立図書館で閲覧できる。事業費は約800万円。弓倉正啓教育長は「多くの皆さまのご協力のお陰で報告書を刊行することができ、感謝申し上げます。この報告書が御坊祭の保存、継承の一助になれば幸いです」と話した。


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