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御坊市 将来の地域公共交通確保維持へ 会議設置し、今後の在り方協議 〈2021年8月29日〉

2021年08月29日 08時30分00秒 | 記事


御坊市内を運行する路線バス


 御坊市は、第5次総合計画前期事業計画(令和3年度~7年度)の新規事業に地域公共交通確保維持事業を盛り込んだ。全国的に地域公共交通機関の利用者が減少する中、市内や周辺町でも同様の傾向にあり、現状のままでは将来的に地域公共交通が維持できず、公共交通サービスが低下する恐れがあるため、市や旅客輸送事業者(路線バスやタクシー、紀州鉄道等)市内利用者等で構成する地域公共交通会議を設置し、将来の公共交通の在り方等を協議する。

 公共交通の大きな役割を占める路線バスは全国路線バス事業者の約85%が赤字といい「利用者減少~運送収入減~コスト削減(便数減、人件費縮減等)~サービス低下」が連鎖する負のスパイラルに陥り、地方を中心に路線廃止に追い込まれる地域が増加。県内でも利用者はピークの昭和46年から8割減少し、過去10年間で累計406・2キロ(和歌山市~御坊市4往復分)の路線が廃止された。
 市内を走る路線バスは平成15年当時は2社8路線あり、年間乗客数は約59万4千人いたが、22年は6路線約39万3千人、令和元年度は6路線約19万4千人に減っている。事業者が市町とタイアップして利用が少ない路線の利用促進キャンペーンを行っているほか、市は今年度から高齢者や障害者の外出支援対策で従来のタクシー券を廃止し、タクシーだけでなく、路線バスや紀州鉄道など公共交通機関でも使える外出支援券を導入した。
 市内を運行する紀州鉄道の年間乗客数は平成10年の15万2415人から15年は10万7743人に減り、19年に9万人を切った。その後は持ち直し、最近は10万人前後で推移している。
 赤字路線でも維持できているのは、黒字路線でカバーしたり、ノンステップバス導入など営業努力のほか、行政からの補助も大きい。市では地域公共交通バス路線確保維持事業補助金で県とあわせて年間約2500万円、地域鉄道運行維持対策補助金で約64万円補助しているが、財源にも限りがあり、利用が少ない路線は将来的に廃止される恐れは常につきまとう。
 市企画課は「路線バスは周辺町と市をつなぐように運行され、これまでも各事業者や周辺町、県など関係機関と協議し、地域公共交通機関の在り方を検討してきたが、現状のままでは将来的に維持できなくなり、市の公共交通サービスが低下する恐れがある」と危機感を持っている。総合計画市民アンケートを見ても公共交通サービスは施策の重要度は平均値より高いにもかかわらず、市民の満足度は平均値よりも低く、今後の課題の一つ。
 路線を維持するには一人でも多くの人に乗ってもらうことが最善策なのは言うまでもないが、そのために行政、旅客輸送事業者、利用者がそれぞれの立場で何ができるか、また、コミュニティバスや福祉タクシーなど地域に応じた新たな公共交通サービス導入が必要かなど将来の在り方を考えようと「地域公共交通会議」を設置する。今後、課題整理やテーマの検討等を行い、来年度の早い時期に設置し、議論を始める。


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