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御坊市 今後10年間現行の水道料金維持 経営戦略案 施設等更新23億円 〈2019年11月17日〉  

2019年11月17日 08時30分00秒 | 記事

安全でおいしい水の安定供給へ(写真は藤井浄水施設)


 御坊市水道事務所が「安全でおいしい水の安定供給」を基本方針とした令和2年度から11年度まで10年間の「水道事業経営戦略」素案をまとめた。人口減少等に伴う料金収入が減少している中でも現行の水道料金を維持するため、課題の老朽管路更新に当たっては国も認めている市独自の基準を設け、投資の平準化を図りながら計画的に更新することで10年間の施設・設備投資総額を23億円に縮減する。不測の事態がない限り、現行料金を維持し、健全な経営を続けられると見込んでいる。
 
 厚労省の方針で平成21年度に10年間の水道事業ビジョンを初策定。昨年度で計画期間が終わったが、新たに総務省が中期的な収支計画を盛り込んだ経営戦略策定を求めているため、同ビジョンと経営戦略を包括した新たな「水道事業経営戦略」を策定する。このほど素案がまとまり、20日から12月10日までパブリックコメントを募集し、必要に応じて見直しを行い、今年度中に策定を終える。
 市民の関心が高い水道料金は消費税増税に伴う改定を除けば昭和55年から39年間値上げしていない。使用水量10立方メートル当たりの家庭用平均料金は1185円で全国平均1556円、類似団体平均1621円、県平均1297円と比べても低い水準にある。料金収入は10年前は4億8000万円前後だったが、昨年度は4億4000万円まで落ち、今後も減少傾向をたどると予想している。
 これまで人件費抑制など効率化や合理化など財政健全化を進めながら水道料金を値上げすることなく浄水場の耐震化を終え、配水池も一部を除いて完了。懸案だった石綿管の敷設替えも終わっている。独立採算制を堅持し、今のところ経営は比較的安定しているが、大きな課題の老朽管路更新をはじめ亀山配水池改修、富安同更新など施設整備があるため楽観できない。
 老朽管路更新は、法定耐用年数40年を超える昭和52年以前に敷設した管の更新はほぼ終えているが、同和対策事業などで公共事業が多かった昭和55年~60年ごろに敷設した管、農業集落排水事業で平成6~12年ごろ集中的に敷設した管の更新を控える。法定耐用年数で更新すれば10年間で67億円の事業費が必要で今の料金収入、財政規模では困難。このため、国が認め、他の自治体も行っている管の実使用年数(40~80年)を基準に更新し、投資の平準化を図ることで約18億円まで縮減できる。
 この結果、10年間の投資総額は22億6110万6000円を予定。内訳は管路に18億4489万6000円、亀山・富安両配水池整備に2億7000万円、藤井浄水場電気・機械設備更新に8000万円、量水器更新に6000万円など。管路は年平均更新延長を約2・3キロに設定し、拠点病院、避難所など重要給水施設を優先して更新する。
 今回の計画で今後10年間は健全経営、現行料金を維持できると見込んでいるが、令和12年度から10年間では実使用年数を迎える管の更新が発生するため、17年度にも単年度赤字が発生し、料金値上げの検討が必要になる見込み。水道事務所は「将来を見据え、早い段階からさらに総合的な対策が必要」とし、施設規模・配置の適正化、投資費用の縮減や平準化、広域化や民間委託の検討など経営の効率化を進める方針。 


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