kotoba日記                     小久保圭介

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水野さん

2009年04月03日 | 生活
朝、4トントラックの運転手の水野さんが、
僕を手招きしました。
行ってみると、
古くて青い4トントラックの、
荷台と運転席の間に、
鳥の巣がありました。
「毎年、ここに作る」
と水野さんは鳥の巣を見て言います。
でも、実際は、水野さんの言葉はとても聞き取りにくく、
どこの出身か判らないし、聞いたことがない方言です。
でも凄く目がきれいな人で、きれいなおじいさんです。
背は小柄で、朝早く起きるのが似合いそうな人です。
「卵が」
とひどく訛った風に言うので、
見てみると、
巣に小さなグレイの卵が3個ありました。
当然、トラックは野外の工場(こうば、と職人さん達は発音する)に置かれていることが多く、
こうして労働場に移動するのですけど、
親鳥はトラックが帰ると巣に来て、
卵を守ろうとするらしい。
「ひなは孵るんですか」、
と水野さんに訊くと、
「毎年、孵る」
と訛って言います。
鳥は、水野さんのトラックに、
毎年、巣を作り、
水野さんは淡々とトラックに荷を積み、
卵は日々、エンジン音と共に移動しながら成長して、
水野さんのトラック、ラジエーターの隣から、
殻を破り、巣立っていくのです。
水野さんという木のような人に、
微笑まれながら、
親鳥は夜になると、
卵を抱いているのでしょう。
それにしても、
水野さんの方言はどこだろう、
といつも思うのですけど、
そんなことはたいしたことじゃない気もしてくるのは、
水野さんの在りようの、せい。
コメント
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