ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

「左派ブロック」のすすめ

2014-10-20 | 時評

地元市の地方選挙が始まった。全国的にはほとんど注目されない選挙だが、当市が特異なのは、自民党と共産党が相乗りで現職市長を支えてきた点である。国政では「自共対決」を強調していながら・・・という批判が地元でも聞かれる。

ただ、地方政治では国政ほどに党派対立が存在しないのはどの自治体でも共通傾向であるので、地方で自共相乗りが起きること自体に不思議はない。実際、現在の日本共産党はすでに共産主義革命を放棄し、共産主義の実現を遠い未来の理想として事実上棚上げしているから、自民党とすら部分的に相乗りすることに障害はない。

そうであれば、もう一つの左派政党である社会民主党とは合併すら可能ではないかと思えるのだが、そこには党派性の壁が立ちはだかり、両党の歴史の違いや、棚上げとはいえなお共産主義を放棄していない共産党と、資本主義との共存を前提とする社民党の理念の相違から、合併は望み薄である。

しかし、選挙協力(特に選挙区)と選挙後の統一会派結成というレベルでの緩やかな社共連携なら、十分可能な状況にあり、このような「左派ブロック」はむしろ緊急に必要でもある。

現在の日本政治は自民党はもちろん、当面二大政党の座を滑り落ちた民主党や「第三極」を称する諸政党も含めて、総体として右に動き、左の座標がますます狭くなっている。飛行機にたとえれば、左翼をほぼ失い、右翼だけで飛行するようなもので、墜落は必至である。

左派の政権獲得は望めなくとも、真の第三極としての「左派ブロック」の構築は墜落防止のためにも必要なことである。しかし、その程度の緩やかな連携ですら、現実には困難な状況にある。嗚呼、党派政治の狭量さよ!

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もう一つのW辞任は?

2014-10-20 | 時評

公選法や政治資金規正法違反の疑いを持たれた安倍改造内閣の目玉女性大臣二人がわずか一月で同時辞任という異例の結末となったが、まだ二人残っている。いずれも差別主義的な政党、団体の幹部と写真に納まっていた面々だ。

政治と金(品)の問題はもちろん重要だが、差別主義との関わりもそれと同等かそれ以上に重要だ。うちわや観劇で辞任なら、ネオナチや在特もW辞任に値する。

だが、そうはなりそうにない。写真の大臣たちのほうは、まさに安倍政権の極右的体質を思想的にも映し出す核心人事だからだ。辞任した二人は比較的右派色が薄い面々であったから、深読みすれば、右派の策動で不祥事を暴露され、内閣を追い出されたと見られなくもない。

それが穿ち過ぎとしても、結果として写真の二人は騒動の陰に隠れて、すっかり忘れられかけている。野党やメディアも、うちわを追及するのと同じくらいのエネルギーをもって、ネオナチや在特も追及すべきだが、こちらは専ら外国メディアからの追及にどとまっている点に、差別天国日本の深刻な認識不足がある。

もし「思想の自由」を持ち出すなら、大きな間違いだ。差別思想は、現代の地球的意識水準では、思想の自由の対象外である。自由は無制限ではない、自由と放縦を履き違えるな―。保守主義者はこの科白が好きなはずだ。差別問題にはまさにこの理が妥当する。

実際、反ナチ法や差別禁止法が存在する欧州諸国であれば、政治家とネオナチ団体や差別団体との関わりの態様によっては、法令違反に問われる可能性もあるところである。差別天国ならではの法令の欠如という理由だけで免責されるべきではない。

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