ザ・コミュニスト

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もう一つのW辞任は?

2014-10-20 | 時評

公選法や政治資金規正法違反の疑いを持たれた安倍改造内閣の目玉女性大臣二人がわずか一月で同時辞任という異例の結末となったが、まだ二人残っている。いずれも差別主義的な政党、団体の幹部と写真に納まっていた面々だ。

政治と金(品)の問題はもちろん重要だが、差別主義との関わりもそれと同等かそれ以上に重要だ。うちわや観劇で辞任なら、ネオナチや在特もW辞任に値する。

だが、そうはなりそうにない。写真の大臣たちのほうは、まさに安倍政権の極右的体質を思想的にも映し出す核心人事だからだ。辞任した二人は比較的右派色が薄い面々であったから、深読みすれば、右派の策動で不祥事を暴露され、内閣を追い出されたと見られなくもない。

それが穿ち過ぎとしても、結果として写真の二人は騒動の陰に隠れて、すっかり忘れられかけている。野党やメディアも、うちわを追及するのと同じくらいのエネルギーをもって、ネオナチや在特も追及すべきだが、こちらは専ら外国メディアからの追及にどとまっている点に、差別天国日本の深刻な認識不足がある。

もし「思想の自由」を持ち出すなら、大きな間違いだ。差別思想は、現代の地球的意識水準では、思想の自由の対象外である。自由は無制限ではない、自由と放縦を履き違えるな―。保守主義者はこの科白が好きなはずだ。差別問題にはまさにこの理が妥当する。

実際、反ナチ法や差別禁止法が存在する欧州諸国であれば、政治家とネオナチ団体や差別団体との関わりの態様によっては、法令違反に問われる可能性もあるところである。差別天国ならではの法令の欠如という理由だけで免責されるべきではない。


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