黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『赤い星』高野史緒(早川書房)

2008-10-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
ネット技術のみがいびつに発達した、帝政ロシア支配下の江戸。人々は、大黒屋が司会を務める不定期なテレビ番組“シベリア横断ウルトラクイズ”に熱狂し、ペテルブルクを夢見ている。
プログラム職人の町娘・おきみは、ある日、友人である吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。
秋葉原の小さな岡場所に潜伏している“若旦那”と呼ばれている人物が、皇帝ボリスに暗殺されたという噂の先代皇帝の遺児・ドミトリー皇子ではないかという噂があり、その情報を収集してほしいという。
公方様の落胤を自称する真理奈太夫だったが、もし彼を射止めることができたら、彼女を将軍家の姫と認めると、幕府からの使者が告げたらしい。
そんな中、おきみは幕府の大老・シュイスキー公爵から、ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。ペテルブルクで音楽修行中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、オンラインゲームに存在する仮想空間のペテルブルクで、“ヒロシゲさん”という分身(アバター)で歩き回るうち、本当のペテルブルクへと迷い込んでしまう。 
一方、ペテルブルクに向かっていた龍太郎は、その列車の中で、ケーニヒ博士と出会う。芸術愛好家リボピエール氏の家で世話になることになった龍太郎は、舞踏学校の練習ピアニストの職を得、そこで、天才的な才能を持つヴァスラフ・フォミッチに出会い……

ペテルブルクと江戸、択捉を舞台に、過去・現在・未来、虚実が混在した世界で展開するSF。
“回答は用意されていない。回答などというもの自体が妄想なのだ。物語はそう思って読み、人生はそう思って生きなさい。”という、作中傍点の老師の言葉が示すままの世界観というか、いろんな話があちこちでパラレル的に進行しているけれど、いろいろ謎が残ったままだったりで、読者おいてけぼり状態というか…(笑)。

<08/10/11>


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