黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『消えずの行灯 本所七不思議捕物帖』誉田龍一(双葉社)

2008-03-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
時は幕末。浦賀に黒船が現れ、何かと世間は騒がしい最中、外傷もなく死因のわからない男の死体が発見された。江川太郎左衛門の塾で蘭学を学ぶ、御家人の子息の仁杉潤之助とその友人・榎本釜次郎は、その発見現場に居合わせ死体を動かしたことを、南町奉行所同心・磯貝に咎められるが、その後、彼は潤之助の姉(亡き兄の妻で、その後養女となった)・千代の縁談相手として、仁杉家に現れた。その後も同様の事件が発生し、釜次郎の剣術仲間である今井と、噺家・出淵次郎吉とともに調査を開始した潤之助たちだったが……『消えずの行灯』、
送り提灯に送られたという娘・お佐代の話が話題に。しかしその後、その話を聞いて提灯について行った娘・お美津が辻斬り襲われたことから、お佐代が誹謗中傷を受けることに。かつて彼女は千代の教え子であったことから、潤之助たちが彼女を守ることになり……『送り提灯』、
赤穂浪士の錦絵をばらまく娘がいるらしい。しかも次郎吉によると、名は入っていないが、当代の人気絵師・歌川国芳の手によるものだという。そんな中、道でかつて一緒に学んだ友人・益村小四郎に再会した潤之助は、彼が遭った屋敷…血だらけの足が上から下りてきて、洗えと命令する…の怪について、相談を受ける。その話を一緒に聞いていた釜次郎は、先の錦絵に描かれていた塩冶判官の顔が、益村に似ていると指摘し……『屋敷』、
磯貝の配下である与七の父親代わりのような存在であった、岡っ引きの新吉が、左足を切り落とされ、何者かに殺害された。しかもその場には、片葉の芦が生えているという。事件について調べ始めた潤之助たちは、千次郎と名乗る若侍に出会う……『片葉の芦』、
道の真ん中で、急に体調を崩した釜次郎は、医術の心得があるという上野房五郎という男に助けられ、彼の知り合いである病身の女性・お夕の家で世話になる。彼女の家の近くには、冬でも落葉しないという不思議な椎の木があり、彼女はそれを見て、病が治ると思い込んでいるらしい……『落葉なしの椎』、
置いてけ堀で死人が出たという。身元は音松という音曲師。しかし町方は黒船や川流れの仁蔵という盗賊の探索に忙しく、事故だと思われる音松の事に関わっている暇はない。その事件が気になり、現場に見に行った潤之助と釜次郎だったが、娘らしい手によって、潤之助が突き落とされそうになる。そんな2人は、そこで、浜御殿の警固をしているという剛太郎と名乗る旗本と出会う……『置いてけ堀』、
旗本・米川の元で一席やることになった次郎吉。しかしその最中、お咲という娘が殺され、その恋人である向井宇三郎に疑いを向ける磯貝。しかし向井は、その頃、次郎吉の高座を観ていたと証言。その場にいなければわからないであろう、即興であげられた三題噺のお題も言い当てるが……『馬鹿囃子』の7編収録の連作短編集。

本所七不思議をモチーフとした歴史ミステリ。釜次郎が探偵役です。
決まったパターンの中で、テンポよく進められており読み易く、お約束のように最後に明かされる、登場人物たちのその後の姿(幕末の有名人)を推理しながら読むのも楽しいです♪

<08/3/8>


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