黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『アンジャーネ』吉永南央(東京創元社)

2011-03-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
祖母・緒方梅の危篤の知らせを受けた松本瑞輝は、北関東のとある町にやってきた。
ひとまず持ち直し、親族一同ほっとして囲んだランチの席で、司法試験浪人中で無職の瑞輝は、梅が経営する外国人向けアパート<ナカマチアパート>、通称<ランタン楼>の大家という、面倒な仕事が押し付けられる。
喧嘩や夜逃げは当たり前、警察沙汰も珍しくないことから、昔から入居者のトラブルが続き、近隣からも迷惑がられているランタン楼の歴史に怯えつつ、慣れない大家業をはじめた瑞輝。
そんな中、二○一号室の住人、フォン、こと中野芳子…ベトナム人のハーフと親しくなった瑞輝。
ところがそんな彼女の元に、グエン・ヴァン・タインという中年男性が訪れた。そのからというもの彼女の様子がおかしく……“1/4”、
残暑厳しい九月の半ば。近所の瀬戸農園で働く、一○二号室のマルシオのところに、昔の悪い仲間が姿をあらわして、嫌がらせをしているらしい。マルシオの態度も微妙で……“ジロ  Jilo Morro Redondo”、
十一月。九月に入居した中国広東省からの留学生・黄淑英がなかなか家賃を払ってくれず、問い詰める瑞輝。どうやら、働いてるキャバクラのオーナーが、ゴルフ会員権の預託金返還訴訟でお金がないことを理由に、バイト代を全額払ってくれないらしい。
そんな中、瑞輝の友人・都築がやってきた。
一応、キャバクラのオーナーについて調べてみた瑞輝は、その訴訟はすでに決着がつき、勝っていると……“海亀”、
一月の二週目。
二○五号室に住む、テヘラン生まれのイラン人で、アメリカから来日している女性・ジーラの部屋から、女子高生が出てくるのを見かけた瑞輝。彼女が持っていた裸体の写真をたまたま見てしまった瑞輝は、突き飛ばされて怪我をする。
どうやらジーラの部屋には、さまざまな女性が出入りしているようで……“バルザフ”、
五月。二○四号室に住む、クラブ歌手キム・スジョンの頼みで、彼女の知り合いのボブに、メンズブティックの倉庫として部屋を貸した瑞輝。
ところが数日後、品物が部屋から消えた。瑞輝は店員を名乗る若い日本人にスペアキーを渡したが、それは別人であったらしい。
スジョンは犯人を知っているようだが……“テリンノム”、
七月。昔、ランタン楼に住んでいたという、ロサンゼルス在住の中年男性ソウジロウ・イノが来日し、翌週、再度墓参りにやってきた。彼は、何故かこれまで貸されることがなかった、一○一号室に住んでいたという。
一週間前、近所の住宅で独居の老人・久保井がくも膜下出血で死亡。持っていたらしい金も消えていて、事件性が疑われた。近くで外国人の目撃証言があり、ランタン楼の住人が疑われて、近隣の住民と問題に……“住人祭  La fete des voisins”、
ランタン楼で映画のロケがあり、エキストラとしてちょっとだけ出演することになった瑞輝。
そんな中、ランタン楼に買い手がつき、さらに伯父から弁護士事務所で働かないかと言われ、心中複雑。
買い手は、中華料理店や整体院、バーなどを経営する中国人・周勇。ところが本契約を結ぶ段になっても、申込金が届かないことから、彼の店の様子を見に行くことにした瑞輝は……“エキストラ”の7編収録の連作短編集。

祖母が営んでいた、外国人専用アパートの大家を引き受けることになった青年との成長物語。
外国人がいっぱい出てくるので、タイトルは何語?と思っていたのですが、まさかの北関東方言(笑)。

<11/3/5,6>


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