つきあたりを曲って上に出てみれば焼野原かもしれないけれど(1/14)
気がすんだらしき獣がゆうるりとまるまってゆくとうめいな箱(2/7)
うつくしい一瞬だけでよかったの 川を流れてゆく柩たち(3/7)
夜が明ける刹那うつくし果てなしの世界をめぐる刹那うつくし(4/25)
水の上に花をうかべて流れ去るまでのようです一夜のことは(5/2)
さっきから同じ姿勢の青年のぎょうざの底のようにしずかだ(6/13)
迷い猫のら猫ひたに眠る猫ずっと探していた家はどこ(7/28)
木下闇にペットボトルを埋めている少年のシャツまだらにぬれて(8/6)
この星のどこへ逃げても鱗粉を散らし散らして消えるのですね(9/26)
夜の街めざして落ちてくる雨のひとつぶの記憶てのひらに沁む(10/20)
ヨーグルト一匙すくうようにこの悲しい痛み食べてくれぬか(11/19)
あたらしい手帳に記す約束の時間と場所とあなたのことば(12/31)
2007年の一年365日を短歌で綴った日記。
日常を詠んでいるのに、ちょっと不思議テイストが入るのが東さんっぽいですね。
<13/11/3>