黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ある秘密』フィリップ・グランベール(新潮社)

2009-04-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
フランスで運動洋品店を営む両親…父・マクシム、母・タニヤは、どちらも身体を鍛えるのが趣味で、理想的な肉体の持ち主。
しかしそんな2人の間にうまれた少年<ぼく>は、どちらにも似ず、虚弱体質。そんなぼくは、想像で理想的な兄を作り上げ遊んでいたが、ある時屋根裏でひとつのぬいぐるみを見つけ、兄が実在していたことを知る。
15歳になったある日。いつも世話になっている施療院のルイーズから、両親たちの秘められた歴史を知ることに。そしてぼくはそんな話の中から物語を作り上げてゆく……

戦争を知らずに育った少年が、兄・シモンの存在、両親の秘密とユダヤ人迫害の歴史について知り、両親が語らない部分を自分で埋めて作り上げたお話。
作者の自伝的小説だそうです。
直接的に本人が迫害されていたわけではないことからか、フィルタが掛かっているように、若干客観的な印象。
別の視点で見るとまた違う物語に感じそうですが、それが戦後世代の迫害の歴史の捉え方のひとつなのかも。

<09/4/27>