例えばカメラ。Webカムだったりビデオカメラだったりデジカメだったり、はたまた銀塩カメラにも。ピンホールカメラは除く。
例えば望遠鏡。数百円で買える小さな物から、天体望遠鏡、お仲間の双眼鏡やオペラグラスにももちろん。
例えば顕微鏡。子供用のオモチャみたいな物から、研究用に使う特殊な物まで。
例えば投影機。プロジェクターはもちろん、OHPや映写機、ピンホール式でないプラネタリウムとか。
これらの機械には全てレンズが使われています。レンズの発明によって、人類は様々な発見や発明を重ねてきました。今では工業製品として世の中に欠かせない物の一つになっています。
レンズの材料としては、ガラスやプラスティックなどが使われてきました。これらはもちろん固体ですので、焦点距離を合わせるためには複数のレンズを組み合わせる必要があります。対して、人間の目に使われているレンズ、水晶体は厚さを変えることによって、シンプルな形で焦点距離の調整を実現しています。
水晶体と同じようではありませんが、レンズ自体を可変させることによって焦点距離を調整するレンズが量産されることになりました。
液体で焦点を合わせるレンズ Varioptic社の液体レンズを今秋にも量産 セイコーインスツルメンツ(株)プレスリリース
Varioptic社が開発した液体レンズは、レンズホルダー(容器)内に水溶液と油を封入し、容器の上下の電極から水溶液に電圧を加えることで水溶液と油の境界面の形状が変化する技術を利用したものです。この境界面がレンズとなり、電圧の変化によって焦点距離を合わせる可変焦点レンズとなります。
初めて読んだときは、正直なところよく分かりませんでした。複雑な機構が必要なく、スムーズな可変が可能、衝撃にも強い・・・と確かに搭載スペースの関係で複数のレンズ搭載が難しい携帯電話やバーコードリーダーなどの小型化に貢献しそうですが、どうやって液体をレンズ上に固定するかがさっぱり分からないのです。
ウェブニュースにもレンズの「製品」の写真はのっているんですけれど、ガワからは中身は全く想像できませんでした。そこでプレスリリースを探してみると、ありました。
なるほど液体とオイルをフィルム状に封入するわけですね。すると、境界面がたわんで、それぞれの屈折率の違いからレンズの役割をするという仕組みのようです。この方式のユニークなのは、単体で凹レンズにも凸レンズにもなるところ。実はこれって画期的な事じゃないでしょうか。もしかするとレンズを使っている様々な分野で革命を起こす「かも」知れないですね。
それにしても、この技術もそうですけれど、メイドインジャパンじゃないんですよね。日本発の画期的な技術が今後、活発に発表されることを祈っています。