Linuxが使われるようになってもうずいぶんと経ちましたが、相変わらず世の中はWindowsが支配的。Linuxをメインに使うのは、一部の好事家か、企業内、大学などの特殊な環境に限られるのが現状です。
実際のところ、一般の人がPCのOSとしてのLinuxを使う機会というのはほとんどありません。使う必要が無いというのもありますが、そもそも触れる機会が少ないのです。なぜなら、市販のPCでLinuxがプリインストールされているPCは非常に少なく、ほとんどの人がWindowsを前提としてPCを使っているからです。
しかしながら、産業界においては非常に様々な分野で使われており、エンジニアとして働くならば、何らかの形で関わることになる可能性は非常に高いと言えます。小型機器の組み込み制御に使ったり、サーバーを組んだり・・・汎用性とライセンスの関係で用途は広がっており、Linuxの学習の重要性は増してきているのです。
Linuxは、ユーザー同士の交流によって今日の発展を遂げました。そのような性質故に、ネット上には大量のドキュメントが転がっており、調べようと思ったならいくらでも資料が見つかります。また、各出版社から関連書籍も山のように発行されており、学習教材には事欠きません。
とはいえ、「本当の初心者が体系的に学習」しようとしたときに、今の状態が優しいかと言えばそうでもありません。あまりにも情報があふれすぎ、且つ断片的に散らばっているので、どこから手を付けて良いのか難しいのです。もちろん入門用の書籍を入手すると言う手もありますけれど、「時期にあった最適に物」を選び出すのは、また苦労が伴います。
そこで、Linux技術者認定試験を主催しているLPI-JAPANが非常にスマートな解決策を用意しました。教科書を自前で作成し、クリエイティブ・コモンズライセンスで無料配布を行うことにしたのです。
「Linux標準教科書」開発プロジェクト LPI-JAPAN
このたび、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンは、Linux技術者教育に利用していただくことを目的とした教材、「Linux標準教科書(Ver1.0)」を開発し、インターネット上にて公開し、提供することとなりました。
この「Linux標準教科書」は、多くの教育機関から、Linuxを「基礎」から学習するための教材や学習環境の整備に対するご要望があり、開発したものです。
ものとしてはPDF形式で配布されており、ダウンロード前に簡単な登録とアンケートへの回答が必要になります。また、製本にも実費にて応じてくれるようで、まるで計ったかのように256ページあるこの教科書を、何十部も印刷するうんざり感はなんとか回避できそうです。
私も早速ダウンロードしてぱらぱらと読んでみましたが、教科書に恥じることなく読みやすいと感じました。これなら、普通に冊子にして売っても良いんじゃないでしょうか。日経Linuxあたりの別冊で出ないものでしょうかね。
こういう教材までもがCCで出てきてしまうのはLinuxならではというか・・・これからも随時改訂されていくようですので、学習のとっかかりとして、手軽なドキュメントして、ハードディスクに入れておくのも良いかもしれませんね。